カテゴリー「16アメリカ問題」の記事

2019年6月 2日 (日)

メキシコ国境に壁建設という選挙公約実現のためにへのメキシコに対し追加関税課すという危険な賭けに出たトランプ大統領

本年2月にトランプ大統領は、【非常事態宣言】をし、連邦議会の承認なしに【国境の壁建設費】を捻出するという奇策に出た。それに対して、カリフォルニア州など16州(15州が民主党知事、1州が共和党知事)が【非常事態宣言】に基づく【大統領権限行使】の差し止めを求める訴えを2月18日に起こした。5月24日、カリフォルニア州の連邦地方裁判所は一部差し止め命令を出した。【壁建設差し止め請求】は全米20州にまで拡大し、2020年の大統領選までには壁建設の選挙公約は実現が困難な見通しとなった。

窮状を打開するためトランプ大統領は5月30日、米国の脅威となる非常事態に備えるために商業活動を規制する【国際緊急経済権限法】を根拠としてメキシコからの輸入品全てに5%の追加関税を課すと宣言した。中米のホンジュラスやグアテマラからの不法移民がメキシコ経由で米国になだれ込むことに対してメキシコの不法移民阻止の対策が生ぬるいとトランプ大統領が不満を抱いていたからである。今年4月のメキシコ国境での米国当局の拘束者の数は4月単月で約10万人と昨年同月の2.6倍に達しているという。

トランプ大統領は【非常事態宣言】の理由として中米からの犯罪者の増加や違法薬物が大量に流れ込み米国人の生活に深刻な影響を及ぼしていると主張しているがトランプ大統領の主張は実態とはかけ離れているというのが実情らしい。

メキシコは現在では中国に次いで米国への輸出額が多い。昨年の輸出額は約3465億ドル(約38兆円)で、輸出品は自動車の完成車や部品、家電製品、食料品でそのうち自動車関連の製品の輸出額は約4割を占めている。メキシコには米国の3大メーカ―(GM、フォード、クライスラー)ばかりでなく日本の3大メーカー(トヨタ、日産、ホンダ)など世界の主要メーカーの生産拠点が存在している。新NAFTA(北米自由貿易協定)の条件をクリア―していれば米国への輸出品には関税は0%であるからだ。

メキシコがアメリカの要請に応じなければ6月10日に5%の追加関税が発動され、メキシコがそれでも対策を怠れば毎月関税率は5%づづ上乗せされ最終的には10月1日には25%となる。しかしながら不法移民問題を絡めた一歩的な追加関税はWTO(世界貿易機構)の取り決めに違反する可能性があり、米国は世界を敵にする可能性がある。

自らの権力を維持する(大統領再選)ためにトランプ大統領が世界経済を混乱に陥れるリスクを冒すことを許してはならないであろう。米国民がトランプ大統領に鉄槌を下すのを他国民は傍観するほかないのであるが。   (おわり)

 

 

 

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2019年2月18日 (月)

国家非常事態宣言という暴挙に出たトランプ大統領

2018年7月の米中貿易戦争の勃発によって米国の中国向けの大豆の輸出は激減した。中国の米国製品への25の報復関税によって米国産の大豆の価格は高騰して売れなくなることが明白になったからだ。
中国は2014/2015年作物年度(2014年10月~2015年9月)と2015/2016年の作物年度には米国から約3000万トンの大豆を輸入した。2016/2017年の作物年度には米国のライバルのブラジルでは大豆が不作であったことから約3600万トンの大豆を中国は米国から輸入した。
ところが2018年の7~11月の5が月間で米国の中国向けの大豆輸出量の約1500万トン前後がブラジルやアルゼンチンなどのライバル国に奪われたことになる。この影響から米国の大豆農家の破産が2017年比で約2倍にまで増えた。
米国農務省は破産が相次いだ【大豆生産農家】を支援するために2018年9月には約20億ドルの支援金を【大豆生産農家】に支払ったが20億ドルの支援金は【大豆生産農家】にとって根本的な解決にはならなかった。
増加の一途を辿る大豆生産農家の倒産件数に危機感を抱いた米国農務省はその後、12月17日に中国をはじめとする報復関税措置によって損害を被った農家や酪農家に総額95億7000万ドルの支援金を支払うと発表した。そのうちの7割にあたる72億6000万ドルは大豆農家に支払われる。大豆農家の損害が群を抜いているという証である。
結局、トランプ大統領の農家や製造業の利益を守るという触れ込みの中国に対する高率関税は米国の【大豆生産農家】に壊滅的な打撃を与えたという皮肉な結果を齎したことになる。
米国内で大豆農家が多い地域は米国北部のノースダコタから南部のアーカンソーの中央諸州と五大湖周辺の諸州である。2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利を収めた州が多く含まれている。大豆農家の不満が限界に近付いているので今後、これらの諸州では2016年当時よりも反トランプの勢力が拡大することは確実でトランプ大統領の再選にマイナス要素が増えたことは間違いない。
【大豆生産農家】の破産の急増の主たる原因は中国への大豆輸出が激減して米国内に大豆の在庫が積み上がり、穀物価格が下落したことと、米中両国が相互に課した関税のせいで、中国が米国産大豆を買わなくなったことにある。
トランプ大統領は内政の不手際が顕著になり、トランプ大統領は焦燥感に駆られているに違いがない。トランプ大統領に残された内政打開策は選挙公約の一つの【メキシコ国境に壁を建設する】ことだけである。だがこれも議会下院の過半数を制している民主党の頑強な抵抗にあって壁の建設費は国境沿いの55マイルにわたって新たなフェンスを設けるための約14億ドルに減った。「57億ドルを手当てして234マイルの壁」を造るというトランプ大統領の要求とは大きな隔たりがある。その隔たりを埋めるためにトランプ大統領は国家非常事態を宣言して軍事費から約88億ドル壁建設費を捻出しようという憲法違反の可能性が否定できない暴挙に出た。
米国の憲法では【国家の非常事態】に関する明確な規定がない。トランプ大統領は国家非常事態に関してテロリストが侵入する可能性があるとか麻薬が運び込まれるとか主張しているが国家非常事態というには説得力に欠ける。
野党民主党は法廷闘争に持ち込む意向である。この問題の決着は2020年の大統領選にまで持ち込まれる可能性が出てきた。   (おわり)

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2019年1月21日 (月)

政府閉鎖を意に介さないトランプ大統領

トランプ大統領の人気公約である移民排除のために【メキシコ国境に壁を建設する】は米国下院議会の過半数を制している野党民主党の反対によって【壁建設費】(57億ドル・6200億円)を含む暫定予算が成立せず一部政府機関が閉鎖された状態が昨年の12月22日から続いている。
【政府機関の閉鎖】は、ビル・クリントンとバラク・オバマという2人の民主党大統領の政権下でも起こっている。この時は【小さな政府】を標榜する野党共和党が予算削減という抽象的な財政規律をを求めたのに対して与党民主党がこれに応じなかったことが原因で【政府機関の閉鎖】が起こった。
ところが今回の【政府機関閉鎖】は野党民主党がメキシコ国境の壁建設費という具体的な予算費用を認めないことが原因である。民主党やメディアが【壁建設予算】に反対している理由はトランプ大統領の壁建設の論拠が3転4転していることと財源に関する説明が選挙期間中と一変していることさらに【政府機関の閉鎖】をトランプ大統領が全く意に介さず「(政府機関を)数カ月いや数年閉鎖してもいい」とまで発言していることである。その理由をトランプ大統領は「政府職員の多くは(16年の大統領)選挙で(対抗馬の)ヒラリー(クリントン氏に)入れた連中だからだ」と米国大統領にはあるまじき発言をしている。
トランプ大統領は選挙期間中に【壁建設の理由】を「メキシコ国境から入ってくる不法移民は犯罪者だ」と主張していたが不法移民の犯罪率が低いことが判明すると主張をトーンダウンさせた。その後は、「イスラム原理主義のテロリストがメキシコ国境から入って来る」や「多くのアメリカ人の命を奪っているヘロインがメキシコ国境経由で密輸されている」などと虚偽の情報をトランプ大統領は流していた。
【壁建設費の財源】に関してはトランプ大統領は選挙期間中は終始一貫して「メキシコ政府に負担させる」と主張していたがメキシコ政府に負担を拒否されると「北米自由貿易協定(NAFTA)の改訂でアメリカに有利になるように条件を変更したので『メキシコは間接的に壁の建設費を負担している』」と無理筋の主張をトランプ大統領はするようになった。
大統領の2年間の任期終了が目前になった19年1月に入っても【政府機関閉鎖】問題が解決しないので米国メディアは世論調査を実施し、その結果を公表した。
【ワシントン・ポスト紙】が1月13日に発表した世論調査の結果では、【壁建設】を支持する人がこの1年で8ポイント増えて42%、反対は9ポイント減って54%であった。
【ABCテレ】が1月8~11日に実施した電話による世論調査では、暫定予算執行に伴う【政府機関の一部閉鎖】については53%がトランプ大統領と共和党に非があると回答し、民主党に非があるの29%を大きく上回った。
【CNNテレビ】が13日に公表した世論調査ではトランプ大統領の支持率は37%で横ばい。不支持率は5ポイント上がって57%であった。世論調査の結果は、トランプ大統領も民主党をも勇気づける内容を含んでいる。
トランプ大統領にとって再選を果たすためには【メキシコ国境の壁建設】の実現が不可欠である。これが実現できなければ再選の道は遠のくであろう。【政府機関の閉鎖】は当面続くことになりそうだ。この問題の解決の長期化がトランプ大統領と共和党を利するのか民主党を利するのかは神のみぞ知るであろう。   (おわり)

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2018年12月20日 (木)

トランプ大統領は弾劾されるのか

ニューヨーク州南部連邦地裁は12月12日、ドナルド・トランプ大統領の顧問弁護士であったマイケル・コーエン被告に禁固3年の判決を申し渡した。コーエン被告は8月に脱税や選挙資金法違反などで有罪が確定していたので実刑判決が出されることは予測されていた。
コーエン氏は司法取引をしての3年の実刑であるから至宝取引をしなければ刑期はもっと長期に及んだことは間違いない。コーエン被告の有罪判決によってトランプ大統領は【ロシア疑惑】で一歩追い詰められたことになる。
ところで、【ロシア疑惑】を捜査しているロバート・モラー特別検察官はコーエン被告の罪状と量刑について記した文書を同連邦地裁に提出したがその文書には同被告が2017年9月5日の下院情報特別委員会での証言で偽証を行ったという内容が含まれているとされる。
コーエン被告の偽証は、ロシアでのトランプタワー建設計画(モスクワプロジェクト)に関して同委員会で証言をした際にいくつかの嘘をついたことである。
さらに同文書には2016年の米大統領選挙中にロシア側とトランプ側で複数のやりとりがあったと記述されているという。コーエン氏は逮捕された後、モラー特別検察官と司法取引をして議会での偽証を認め、その後、捜査に協力した。
トランプ氏の選挙中の側近の一人で、トランプ氏の外交顧問であったジョージ・パパドプロス被告は司法取引をして2週間の禁固刑の判決を受け、服役して既に出所している。パパドプロス氏は司法取引後に「モスクワプロジェクトを推進することでトランプ氏側に多額の利益がもたらされる予定であった」と証言した。
トランプ氏の側近で、選挙対策本部委員長だったポール・マナフォード被告の判決はこれからであるが刑期はコーエン氏より長期に及ぶとみられている。トランプ大統領は着実に一歩一歩追い詰められている。
モラー氏は2017年5月に捜査に着手し、間もなく最終報告書を提出する予定である。最終報告書の内容がマスメディアを通して報じられればその内容如何によってはトランプ大統領弾劾問題が再燃することになる。
米国大統領は【起訴免除】という免責を持つと言われている。米国では大統領が起訴される可能性は低いと思われているが全くないわけではない。1997年、当時のビルクリントン大統領はある女性からセクハラ訴訟を起こされた。地裁では原告は敗訴したが控訴し、最高裁までいき、クリントン大統領が85万ドルを支払って和解した。
コーエン被告の判決が出る2日前、44人の超党派の元上院議員が連名で「国家権力(トランプ政権)によって法の支配と憲法が脅かされているので民主主義を擁護する必要がある」という主旨の記事をワシントンポスト紙に投稿した。
米国の下院議会は民主党が過半数を掌握している。民主党下院議員がトランプ大統領弾劾に立ち上がるのか現時点では予測は難しい。一般有権者は【大統領弾劾】に否定的だからだ。民主党下院は民意の反応を見極めて判断することになるであろう。   (おわり)

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2018年12月 5日 (水)

トランプ支持に疑念を抱きだしたラストベルト地帯のトランプファン

米国の【乗用車】とSUV(スポーツ用多目的車)を含む【小型トラック】の販売台数は、2012年が【乗用車】741万4282台、【小型トラック】707万7591台、13年が【乗用車】778万0710台に対して【小型トラック】781万9439台と初めて【小型トラック】の販売台数が【乗用車】の販売台数を上回った。この原因はSUVの人気が沸騰したからだ。【SUV]人気を支えたのはシェールオイル由来の原油の生産が増大し、原油価格が下落したからである。
2014年の【乗用車】の販売台数は791万8601台に対して【小型トラック】の販売台数は860万3399台、15年は774万0912台と972万9587台と【小型トラック】の販売台数と【乗用車】の販売台数の差は拡大する一方であった。2018年11月の時点で【小型トラック】の販売台数は前年比8.1%増の1062万0977台、一方、【乗用車】の販売台数は前年比13.4%減の502万5790台とその差はダブルスコア以上に離れている。
2015年の【乗用車】の【小型トラック】に対する販売比率は48%であったが2018年には32%にまで下がっている。こうした乗用車の大幅販売台数減に対応してフォードとクライスラーは北米では乗用車生産の比率を下げ、小型トラック生産を中心とする工場を1カ所だけ稼働させている。
米国の自動車販売台数のピークは20016年の1755万台、昨年は32万台減って1723万台で今年は11月の時点で販売台数(!~11月の累計)は前年同期比0.1%増の1564万6767台である。
米国市場で年間100万台以上販売している日米のメーカー6社のうち今年11月の時点で販売台数が昨年を上回っているのは昨年同期比で8.0%増の【クライスラー】だけで、GMが前年同期比1.4%減、フォードが2.9%減、トヨタが0.1%減、ホンダが2.8%減、日産が7.6%減である。この結果、米国メーカーのGMとフォードは昨年からリストラに着手している。。
【フォード】は昨年5月にリストラ策を発表して9月末には国内工場で1400人を削減した。さらに今年の9月5日には110億ドル(約1兆2500億円)の経費削減策を発表している。その内容はメディアの推測であるが販売不振が続く欧州を中心に20万2000人の従業員の12%にあたる2万4000人を解雇するという計画である。
米国自動車メーカー最大手の【GM】も11月26日にリストラ策を発表した。その内容は2019年末までに月給制スタッフや工場労働者1万4000人余りを削減し、米国内外の7カ所の工場を閉鎖するというものだ。
米国内で閉鎖される完成車工場はラストベルト地帯に含まれるミシガン州とオハイオ州の工場である。オハイオ州ローズタウンの工場は昨年は3000人が解雇され、来年3月末にはさらに1500人が解雇される予定で、【GM】の労働者の間では動揺が広がっている。
トランプ大統領は選挙戦中に【ラストベルト地帯】の製造業の雇用を取り戻すと主張していたがGMのミシガン工場とオハイオ工場は【ラストベルト地帯】にある。トランプ氏の言葉に淡い期待をかけてトランプ氏に一票を投じたラストベルト地帯の労働者の間でトランプ大統領に対する【このままトランプ大統領を信じ続けていいのか】と不安感が広がっているという。トランプ再選への障害がまた一つ増えたことになる。   (おわり)

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2018年11月 7日 (水)

米中間選挙の結果米議会ねじれ状態に陥る

11月6日に実施された米国議会の【中間選挙】は上院100議席のうち35議席(改選議席34と空席1)と下院の435議席(改選前共和党235議席、民主党193議席、空席7議席)すべてが改選され、日本時間の11月7日午前8時から開票が進んでいる。
米国【ABCテレビ】は日本時間午後5時半過ぎに、議会【下院】について、事前の情勢取材に基づく分析結果や投票所の出口調査の結果などから野党・民主党が過半数の議席を獲得することが確実となり、下院で8年ぶりに多数派を奪還する見通しだと伝えた。
【AP通信】は、これまでのところ【下院】では、共和党は191人、民主党は210人の候補者の当選が確実になったと伝えている。民主党は前回選挙より26議席増やし、共和党は26議席減らした。残る議席は34議席で下院の過半数は218議席記であるから民主党は今後、8議席を獲得すれば8年ぶりに下院の主導権を奪還することになる。
一方、議会【上院】では、改選されない議席(42議席)も合わせて共和党が51議席、民主党が43議席(非改選議席23議席)を獲得することが確実となり、引き続き共和党が多数派を維持する見通しになったと伝えた。
選挙結果によって米議会は上院は共和党が主導権を握り、下院は民主党が主導権を握るという【ねじれ現象】が生まれた。トランプ大統領はこれまでのように強引に選挙公約の実現に邁進することはできなくなるであろう。
しかしながら面妖な性格の持ち主のトランプ大統領の今後の政権運営を予測することは不可能である。これまで以上に移民に反発する共和党のコアな支持者向けに強硬な言動を繰り返す可能性は否定できない。
民主党が【下院の過半数】を制した要因は、トランプ大統領の虚実を交えた居丈高な言動に女性と、比較的高収入で教育水準の高い都市郊外の住民の反発を招いたことであろう。ある意味では下院選では米国の良識が蘇ったことになる。
民主党は北東部から南部にかけてと中西部全域で共和党を破ったがこの地域は【ラストベルト地帯】(錆び付いた工業地帯、衰退した製造業の象徴)と【コーンベルト地帯】(米国の穀倉地帯)が入り乱れている地域である。トランプ大統領が仕掛けた【米中貿易戦争】の一部の製造業(鉄鋼やアルミ製造業)を除いて悪影響を最も被った地域でもある。少なくとも下院選ではトランプ大統領はこの地域では【レッドカード】を突き付けられたことになる。
トランプ大統領は、中間選挙の趨勢が判明した日本時間の7日午後1時すぎ、みずからのツイッターに「今夜、すばらしい成功を収めた。皆さん、ありがとう」と投稿し、議会下院で野党・民主党が多数派を奪還することが確実になったものの、弱みを他人に晒すことを極度に嫌うトランプ大統領は強気の姿勢を崩さなかった。
トランプ大統領が今後、どのような政権運営を行うかは誰にもわからない。もしかしたらトランプ大統領本人にも決断を下す瞬間まで解らないのかもしれない。   (おわり)

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2018年10月23日 (火)

中間選挙で与党共和党は上下両院の過半数を維持できるのか

トランプ政権の約2年間の施政の是非に判断を下す【中間選挙】まで2週間をきった。
現時点での米国議会の勢力地図は【上院議会】が与党共和党が51議席、野党民主党が49議席である。上院議会の定員は各州2名で合計100名で2年ごとに定員の3分の一(33名、6の倍数の年は34名)が改選される。今年は6の倍数の年であるので34名さらに補欠選挙が加わるので35名が改選される。今回の改選議員の内訳は共和党9人、民主党26人で共和党は上院の過半数を掌握するには9議席を死守すればいいので民主党が上院の過半数を制するのは当初から困難とされていた。
【条約承認】に関する権限と政府閣僚や各省局長クラスの高級官僚等のいわゆる政治的任命職と、 連邦判事、 陸海空軍および海兵隊の将官ポストに任命するための【大統領指名への承認権】は、 条約承認の件と同じく、 上院弐だけ付与されている。それ故に米国の上院選への国際的な関心は高く、日本にとっても貿易問題に関して上院選に無関心ではいられないのである。
【下院議会】の定数は435議席で、下院議員の任期は2年で、選挙のたびに全員が改選される。下院議会の現有勢力は共和党が236議席、民主党が193議席、欠員が6議席である。各種の世論調査の結果によれば下院では【民主党】が過半数の議席を確保する可能性が高い。
ところで、中間選挙が間近になって共和党の勝利が確実されてきた上院でも波乱が起こる可能性が出てきた。今回、共和党の改選議員の選挙区は、アリゾナ州、コネチカット州、ミシシッピー州、ネブラスカ州、ネバダ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、ワイオミング州の9選挙区である。このうち民主党議員と共和党議員が接戦を演じているのはアリゾナ州とネバダ州である。アリゾナ州では民主党の女性新人候補カイルステン・シネマ氏が優位に立っているとされていたが共和党の女性新人候補のマーサ・マクサリー氏が猛迫して予断を許さない状況になっているという。ネバダ州は民主党の新人候補が優勢とされている。
下院選挙では共和党の敗北を覚悟しているのかトランプ大統領は起死回生の秘策として中間層向けの大幅減税を中間選挙直前に打ち出すという情報が駆け巡っている。さらに下院選での敗北の責任逃れをするために10月16日、トランプ大統領はメディアとのインタビューに応じ、「私は候補者を助けているだけで、選挙結果はトランプ政権への人気投票ではない。仮に共和党が下院で敗北したとしても自分のせいではない」と述べ、中間選挙の勝敗の責任は自分にはないという考えを示した。
中間選挙では民主党が、下院選で23議席を積み増して下院の過半数を制する可能性のほうが大きい。とにかく上下両院のどちらかでも民主党が過半数を奪回すれば、トランプ大統領の政策目標の多くが頓挫するリスクが高まり、、トランプ政権はこれまで以上に厳しく監視されることになるであろう。国際社会はそれを望んでいる   (おわり)


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2018年10月 7日 (日)

米中貿易戦争の影響で18年8月の米国の対中貿易赤字過去最大

米商務省が10月4日に発表した2018年8月の貿易収支統計によると、8月の財とサービスを合わせた【貿易赤字】(国際収支ベース、季節調整済み)は7月から6.4%拡大し532億ドルとなった。7月の【貿易赤字額】は500億ドルである。貿易赤字拡大の原因は大豆の中国向けの輸出量が激減したことによる。7月6日から始まった【米中貿易戦争】の影響が端的に現れたのである。
8月の輸入額は前月比0.6%増の2627億ドル(28兆89979億円)、輸出額は前月比0.8%減の2094億ドル(23兆0340億円)であった。世界最大の輸出量を誇る米国産大豆の中国への輸出額rは前月比で28%減少して25億8000万ドル(2838億円)となった。今年に入り、大豆輸出額は減少しており第1四半期(1~3月)は40億3500万ドル(4438億5000万円)で前年比で5.9%減少していた。7月以降は激減し始めている。
2017~18年の穀物生産年度(17年9月~18年8月)の米国の大豆生産量は世界一の1億1950万トンで、そのうち5620万トンが輸出され、その57.5%は中国に輸出された。輸出額は1兆6170億円である。
米国が世界第1位の輸出国である【トウモロコシ】の中国への輸出量が激増したのが2010年からで10年の輸出量は160万トン、11年は170万トン、12年が500万トン、13年が300万トン、14年が90万トン、15年が30万トン、16年が20万トンである、2014年を境目として中国の米国産トウモロコシ輸入量は減少の一途を辿っている。その理由はウクライナへの経済援助の返済をトウモロコシの現物返済に変えたからである。
2017年、中国は、米国産豚肉(くず肉を含む)にとって輸出量で第3位(30万9284トン)、輸出額で第4位(6億6300米ドル)の輸出先であったが、今年の4月に中国産の鉄鋼に25%の関税をかけたことにより、中国は4月と7月に米国からの輸入商品に対して25%の報復関税を課した。その結果、米国産の豚肉の関税率は78%となり、中国では米国産豚肉は価格競争力を失い輸入量は激減することは間違いない。米国商務省の試算では18年の豚肉輸出の損失額は11億4000万ドル((1254億円)に達する見込みである。
米国にとって打撃となるのは農産物以上に【自動車】である。米国最大の自動車メーカーの【GM】の2017年の中国市場での販売台数は約400万台であった。【GM】は中国国内に生産工場を建設しているので米国からの輸入車数は10万台程度である。
米国からの輸入車に対する中国の輸入関税率は25%の報復関税を加えると40%となる。これでは【GM】を初めとする米国の輸入車は価格競争力が失われる。
輸入車以上に問題なのは【米中貿易戦争】の勃発によって米国車不買運動が起こることである。2010年の尖閣諸島の国有化によって日本車の不買運動が起こったし、昨年の【THAAD】の韓国配備によって韓国車の不買運動が起こっている。米国車不買運動が起こる可能性は極めて高い。
さらに米国で生産された【BMW】や【メルセデスベンツ】にも40%の輸入関税が課されるので【BMW】は高級車の生産拠点を米国から中国に移すことを検討している。【米中貿易戦争】の悪影響が米国にも及んでいる。   (おわり)

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2018年10月 5日 (金)

中間選挙を前に話題作りに事欠かないトランプ大統領

トランプ大統領は、【ニューヨーク・タイムズ(NYT)】を批判し続けている。それに対して【NYT】は同紙が掲載する記事の中でトランプ大統領に対して【大統領】という呼称を用いずに【MR Trump】をという表現を使用している。つまり米国大統領に相応しい人物とは評価していないということである。
【NYT】は米国のリベラルを代表する正統派のメディアである。米国の【リベラル】とは「米国は移民国家であり、この国家は移民と奴隷によって作られてきた。それ故に国民の平等と民主主義は擁護されなければならない」とうい政治的な心情の発露なのである。
トランプ大統領はイスラム系の移民希望者やメキシコ人の移民希望者を排除する政策を採っている。【NYT】からすればトランプ大統領は批判されて当然の人物ということになる。
【中間選挙】を約1か月後の控えた10月2日に【NYT】は「トランプ米大統領が両親の脱税を手助けし、一族の富を蓄積していた疑いがある」と報じた。
【NYT】のトランプ大統領の父親の納税申告書200点超を入手してそれを分析した結果によると、トランプ大統領は兄弟と共に偽の企業を設立し、多額の資金を両親からの【贈与】と装っていた可能性があるという。
【NYT】によると、トランプ大統領が父親から譲り受けた不動産事業は、現在の価格水準で少なくとも4億1300万ドルに達するという。
大統領は選挙期間中自身の経歴について、実業家の父親から「ごくわずかの」借金をしてたたき上げた不動産王と称していた。
司法関係者の証言によれば【NYT】が報じた疑惑事件は時効を過ぎているので刑事事件には問えないという。但し、民事事件には時効はないという。
マスメディアは現在、膨大な資料の分析を進めている段階なので【NYT】の後追い記事が報じられるか否かは微妙である。
ところで、中間選挙に影響を与える可能性が高いのがトランプ大統領が米連邦最高裁判事候補のブレット・カバノー氏を支持する姿勢を貫くことを決断したことである。トランプ米大統領は米連邦最高裁判事候補のブレット・カバノー氏を支持する姿勢を貫くことで、共和党支持者に11月の中間選挙で投票所に出向かせ、共和党による下院支配を死守できると衝動的な判断を下した。
【ブルームバーグ通信】は10月4日午後、「ミシシッピ州で2日開かれた集会でトランプ氏は、カバノー氏による性的不適切行為を告発した複数の女性に同情する見せ掛けの態度をついにやめた。集会の参加者が「われわれはカバノー氏を望む」と連呼する中で、トランプ氏は疑惑に関する矛盾や欠落部分を指摘し、告発女性を攻撃した。」という記事を配信した。
さらに、同記事は「 共和党指導部は支持層が中間選挙に無関心でいることを恐れており、ホワイトハウスは共和党支持者に衝撃を与え、世論を二分するような問題を探している。ただカバノー氏に賭けるのはリスクがある。性的暴行疑惑のある人物を支持することで女性や穏健な支持者が離れ、民主党支持者を団結させるかもしれない。トランプ氏は支持層の怒りを買うと同時に、カバノー氏の指名承認獲得の機会を喪失する可能性もある。」と報じた。
【米連邦最高裁判所判事】候補のカバーノ氏の支持を表明せずにカバーノ氏の最高裁判事指名の鍵を握る3人の共和党上院議員ジェフ・フレーク氏(アリゾナ州選出)、コリンズ氏(メーン州選出)、マカウスキ氏(アラスカ州選出)はトランプ大統領を激しく批判している。
トランプ大統領は中間選挙を前に【危険な賭け】に打って出たことになる。トランプ大統領の賭けは共和党が中間選挙で苦戦しているという証なのであろう。   (おわり)

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2018年9月24日 (月)

日米貿易協議日本はどこまで米国に譲歩するのか

米国は日本時間24日午後1時1分、知的財産の侵害などを理由として約2000億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入製品に年内は10%の追加関税を課す対中制裁関税の第3弾を発動した。それに対して中国も600億ドル(約6兆6000億円)相当の米国からの輸入製品に5~10%の関税を上乗せする報復措置を直ちに取り、両国の貿易戦争は互いの輸入品の5~7割に高関税を課す着地点の見えない紛争に突入した。
年内の10%関税は中間選挙を意識した11月中旬から始まる【クリスマス商戦】対策である。25%などという高関税を課せば物価が高騰して11月6日の中間選挙で下院の共和党の議席が過半数割れを起こしかねないからだ。
ところで7月6日に開始された【米中貿易戦争】で輸入自動車に25%の関税が上乗せされたことによって中国から米国に輸入される中国産の米国のGMの高級車や、中国産の【ホンダ】や【日産】の高級車には2.5%+25%=27.5%の輸入関税が課されることになった。一方、米国産のドイツの【BMW】や【ダイムラー】の【メルセデスベンツ】の高級車には15%+25%=40%の輸入関税が課される。
この25%輸入関税合戦によって一番得をしたのはトヨタの【レクサス】である。中国向けの【レクサス】は全車日本国内で製造している。そのために【レクサス】に課される輸入関税は15%である。【レクサス】の17年の中国販売台数は約13万400台であった。関税の25%の差によって高級車の中でドイツのBMWやメルセデスベンツ、米国の中国産のキャデラックよりも【レクサス】は優位に立っている。
【ロイター通信】は9月22日、「24日にニューヨークで開かれる日米通商協議(FFR)と26日の日米首脳会談では、貿易不均衡是正が大きなテーマになりそうだ。複数の関係筋によると、米側は非公式に日本側に対し、自動車の米現地生産拡大と輸出削減を求めてきている。自動車輸出削減は自由貿易の原則に反するだけでなく、国内の生産体制や雇用問題に直結し、日本経済全体にも大きな影響を与えかねず、日本側がどこまで自国の主張を貫けるのか注目される。」と配信した。
日本の自動車メーカー6社の2017年の米国販売台数は【トヨタ】が243万4518台、【ホンダ】が164万1429台、【日産】が159万3464台、【スバル】が64万7956台、【マツダ】が28万9470台、【三菱】が10万3686台の合計669万0523台で昨年の米国新車販売台数の40%を超えている。
日本メーカーの米国内での生産台数は約400万台、日本からの輸出台数が174万台、残りの約100万台は関税ゼロのメキシコやカナダ産の日本車を米国に輸出していた。【トヨタ】の日本から米国への輸出台数は約130万台である。【スバル】が31万台。
米国としては日本からの輸出の174万台を米国内で生産するように要求しているのである。しかしながら【トヨタ】は国内の雇用を死守するにはグループの国内生産300万台維持する必要がある。
経産省は自動車関連の税金を減らすことによって国内の自動車販売台数を伸ばし、米国の要望に応じようと検討中である。
しかしながら、米国の要求は理不尽なものであり、某マスメディアの世論調査では80%の日本国民が米国の要求に応じいるべきではないと回答しているという。日本としては中間選挙の結果が判明するまで静観することが正解であろう。共和党が下院で過半数を失えば米国の理不尽な要求が沈静化する可能性があるからだ。   (おわり)

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