カテゴリー「16アメリカ問題」の記事

2019年12月 8日 (日)

民主主義崩壊の危機に晒されている日米両国

12月3日に開催された米国下院の情報特別委員会は、ドナルド・トランプ大統領が自身の2020年の大統領選挙での再選を目指してウクライナに米大統領選への干渉を要請したほか米国の安全保障のリスクを高めたり、米議会の妨害を指示したなどとするトランプ大統領を批判する【弾劾調査報告書】を公表した。同委員会は同報告書を賛成13、反対9で承認した。

翌4日、米下院司法委員会は、トランプ大統領の【ウクライナ疑惑】に関する【弾劾手続き】で4人の法学者(民主党3人、共和党1人)を招き、初めての公聴会を開いた。民主党が招いた憲法学者ハーバード大学のノア・フェルドマン教授は「18世紀に(1886年)憲法が起草された時、創案者(ジェームズ・マディソン 後の第4大米国大統領)は『現職の大統領が職権を乱用して大統領選の結果を自身に有利になるように歪める」ことを懸念した』と指摘し、さらにトランプ大統領の行動はまさにこの懸念を体現している」と述べた。その上で同教授は「個人的な利益のために職権を乱用する大統領を弾劾できなければ、われわれは民主主義の国に住んでいるとは言えない。君主主義、もしくは独裁主義の下で暮らしていることになる」と主張した。共和党が招いた法学者ジョージ・ワシントン大学のジョナサン・ターリー教授は【集められた証拠は民主党の主張を裏付けるものではない」と指摘した。(ロイターの記事より引用)(   )は筆者による注。

米国下院は野党民主党が過半数を制しているので下院がトランプ大統領の弾劾訴追を決定することは間違いない。下院の弾劾訴追の決定に基づき上院で弾劾裁判を開始する。弾劾の決定には上院の3分の2以上の賛成が必要なので現在の上院の勢力図から考えればトランプ大統領の弾劾が決定する可能性は極めて低い。米国上院の勢力図は与党共和党が53、野党民主党が47であり、弾劾が成立するには共和党から20人以上が造反しなければならない。現時点では共和党上院は一枚岩なので大量の造反者は出現しないであろう。但し。世論の風向きが弾劾支持に変わればその限りではない。

しかしながら、トランプ大統領が弾劾を免れても米国の民主主義が崩壊の危機に瀕していることは間違いない。トランプ大統領は、米国大統領は【法を超越する存在】であるかの如く振る舞っているが大統領は法を超える存在ではない。

米国と同じように米国民主主義の流れを汲む【日本の民主主義】も崩壊の危機に瀕している。日本の民主主義の崩壊は日本の官僚機構が内閣人事局の誕生によって人事権を内閣官房に掌握されたことによって始まった。総理大臣や官房長官の意向によって官僚機構は骨抜きにされてしまったからだ。   (おわり)

 

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2019年11月27日 (水)

米中貿易戦争の被害者米自動車メーカー

2016年の米大統領選挙のドナルド・トランプ氏の選挙スローガンは【偉大なアメリカを取り戻そう(Make America great  again)]】で、これを実現するには新たな雇用を生み出す必要が不可欠であった。トランプは10年間で2500万人の雇用の創出を選挙公約で謳った。

2008年9月に米国発の世界経済を揺るがす【リーマンショック】が起こり、米国では2009年以降、倒産件数が増大し、それに伴い失業者も増加した。リーマンショック前年の2007年の失業者数は754万1000人であったが08年の失業者数は1110万8000人、09年は1527万5000人と急増している。09年10月の失業率は10%にまで上昇したがその後の各種の経済対策によって2016年の年間平均失業率は4.9%にまで低下した。トランプ大統領が誕生した2017年の失業率は4.4%と前年より0.5%低下し,直近の2019年10月の失業率は3.6%と史上最低の水準である。

失業率の低下は雇用者数が増えることを意味するがトランプ政権が目指していた製造業の雇用者数はそれほど増えてはいない。2000年の雇用者数を100とすると【リーマンショック】の影響が最も顕著になった2010年の雇用者数は67となり、その後上昇に転じたが2016年の雇用者数は72である。雇用者総数に占める製造業の雇用者の割合は8%に過ぎない。

ところで、失業率の低下とダウ平均株価の上昇にも拘らず米国の勤労者の賃金は伸び悩み、所得格差は拡大の傾向にある。その結果所得が少ない10~20代の勤労者の間では最近の世論調査によれば社会主義支持者が51%と過半数を超えている。

昨年の3月から始まった米国の【追加関税】の発動によって米国の鉄鋼業とアルミニュウㇺ製造業はその恩恵を受け、業績は回復したがトランプ大統領が注力している自動車産業は大きな被害を受けている。米国の自動車市場では乗用車の販売台数が他の車種を圧倒していたが2017年以降は【SUV】の全盛期に突入し、【乗用車】部門に強み発揮していた最大手の【GM】は2018年末には北米7工場の閉鎖を発表し、【フォード】は段階的に乗用車製造からの撤退を発表してている。

【米中貿易戦争】が勃発した昨年の7月以降、米国メーカーのドル箱であった中国で【GM】は2018年第3四半期(7~9月)~2019年第3四半期の販売台数は2017年の404万台から約83万台減少し、【フォード】は同期で約100万台販売台数を減らしている。

現時点で米国の自動車メーカーにとってはトランプ大統領の【追加関税政策】は悪夢である。   (おわり)

 

 

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2019年10月26日 (土)

トランプ大統領によって破壊される民主主義と法治国家としての米国

米国のドナルド・トランプ大統領は2017年1月21日に大統領就任以来、確認されただけで1万2000回の【虚偽発言】を行ったという。重大な「虚偽発言】の一つとされるのがオバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデン氏とその子息に関する発言である。トランプ大統領は繰り返し、「バイデンは腐敗している。ウクライナがバイデンの圧力に応じて2016年の大統領選挙に介入して【ヒラリー・クリントン】のために動いた。2014年にウクライナのガス会社の役員に就いた息子は「正真正銘のインチキだ】と発言していた。

ジョー・バイデン氏は来年の(2020年)の大統領選挙でトランプ大統領の対立候補になることが有力視されている。そのためにトランプ大統領はバイデン氏のスキャンダル探しに血道を上げ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に見返りを仄めかしてバイデン氏に関する調査を実施させるために同大統領を恫喝したという疑惑が浮かび上がっている。米国史上、大統領が自己の利益のために外国の最高権力者を脅かしたのはトランプ大統領唯一人だ。

この恫喝疑惑を受けて民主党のナンシー・ペロシ米下院議長は9月24日、ドナルド・トランプ大統領の「重大な犯罪と不品行」に関して【弾劾調査】を開始すると発表した。この【弾劾調査】発言の余波を受けてバイデン氏の民主党の大統領選の候補者としての支持率が下落する一方で支持率でバイデン氏の後塵を拝していたマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員とバーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員の支持率が上昇し、民主党大統領選の指名争いは混沌としてきた。

ところで、トランプ大統領の【虚偽発言】が米国民に明確に【虚偽発言】と認識されないように米国内法違反を犯しても防波堤の役割を果たしたのがトランプ政権の閣僚たちである。トランプ大統領の脱税疑惑に関して、米国内法の規定によれば野党議員などから要求があった場合には財務省は下院にトランプ大統領の納税申告書を提出する義務がある。民主党はトランプ大統領の納税申告書の提出を要求しているがスティーブン・ムニューシン財務長官はひたすら申告書の提出を拒否し続けている。

【弾劾調査】開始の一つの原因となった今回の【ウクライナ疑惑】でもマイク・ポンぺオ国務長官は【ウクライナ疑惑】に関する文書の提出を要求する【召喚状】に応じていない。召喚状で証言を求められた者はそれに従うことが法律では定められているがポンぺオ長官はそれに従ってはいない・

トランプ政権下では遵法精神に溢れる各省の幹部官僚は次々に解任され、トランプ大統領の意向に唯々諾々と従う者だけが生き延びているのである。独裁者を目指すトランプ大統領によって米国の民主主義は色褪せ、米国は法治国家から逸脱し始めている。   (おわり)

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2019年6月 2日 (日)

メキシコ国境に壁建設という選挙公約実現のためにへのメキシコに対し追加関税課すという危険な賭けに出たトランプ大統領

本年2月にトランプ大統領は、【非常事態宣言】をし、連邦議会の承認なしに【国境の壁建設費】を捻出するという奇策に出た。それに対して、カリフォルニア州など16州(15州が民主党知事、1州が共和党知事)が【非常事態宣言】に基づく【大統領権限行使】の差し止めを求める訴えを2月18日に起こした。5月24日、カリフォルニア州の連邦地方裁判所は一部差し止め命令を出した。【壁建設差し止め請求】は全米20州にまで拡大し、2020年の大統領選までには壁建設の選挙公約は実現が困難な見通しとなった。

窮状を打開するためトランプ大統領は5月30日、米国の脅威となる非常事態に備えるために商業活動を規制する【国際緊急経済権限法】を根拠としてメキシコからの輸入品全てに5%の追加関税を課すと宣言した。中米のホンジュラスやグアテマラからの不法移民がメキシコ経由で米国になだれ込むことに対してメキシコの不法移民阻止の対策が生ぬるいとトランプ大統領が不満を抱いていたからである。今年4月のメキシコ国境での米国当局の拘束者の数は4月単月で約10万人と昨年同月の2.6倍に達しているという。

トランプ大統領は【非常事態宣言】の理由として中米からの犯罪者の増加や違法薬物が大量に流れ込み米国人の生活に深刻な影響を及ぼしていると主張しているがトランプ大統領の主張は実態とはかけ離れているというのが実情らしい。

メキシコは現在では中国に次いで米国への輸出額が多い。昨年の輸出額は約3465億ドル(約38兆円)で、輸出品は自動車の完成車や部品、家電製品、食料品でそのうち自動車関連の製品の輸出額は約4割を占めている。メキシコには米国の3大メーカ―(GM、フォード、クライスラー)ばかりでなく日本の3大メーカー(トヨタ、日産、ホンダ)など世界の主要メーカーの生産拠点が存在している。新NAFTA(北米自由貿易協定)の条件をクリア―していれば米国への輸出品には関税は0%であるからだ。

メキシコがアメリカの要請に応じなければ6月10日に5%の追加関税が発動され、メキシコがそれでも対策を怠れば毎月関税率は5%づづ上乗せされ最終的には10月1日には25%となる。しかしながら不法移民問題を絡めた一歩的な追加関税はWTO(世界貿易機構)の取り決めに違反する可能性があり、米国は世界を敵にする可能性がある。

自らの権力を維持する(大統領再選)ためにトランプ大統領が世界経済を混乱に陥れるリスクを冒すことを許してはならないであろう。米国民がトランプ大統領に鉄槌を下すのを他国民は傍観するほかないのであるが。   (おわり)

 

 

 

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2019年2月18日 (月)

国家非常事態宣言という暴挙に出たトランプ大統領

2018年7月の米中貿易戦争の勃発によって米国の中国向けの大豆の輸出は激減した。中国の米国製品への25の報復関税によって米国産の大豆の価格は高騰して売れなくなることが明白になったからだ。
中国は2014/2015年作物年度(2014年10月~2015年9月)と2015/2016年の作物年度には米国から約3000万トンの大豆を輸入した。2016/2017年の作物年度には米国のライバルのブラジルでは大豆が不作であったことから約3600万トンの大豆を中国は米国から輸入した。
ところが2018年の7~11月の5が月間で米国の中国向けの大豆輸出量の約1500万トン前後がブラジルやアルゼンチンなどのライバル国に奪われたことになる。この影響から米国の大豆農家の破産が2017年比で約2倍にまで増えた。
米国農務省は破産が相次いだ【大豆生産農家】を支援するために2018年9月には約20億ドルの支援金を【大豆生産農家】に支払ったが20億ドルの支援金は【大豆生産農家】にとって根本的な解決にはならなかった。
増加の一途を辿る大豆生産農家の倒産件数に危機感を抱いた米国農務省はその後、12月17日に中国をはじめとする報復関税措置によって損害を被った農家や酪農家に総額95億7000万ドルの支援金を支払うと発表した。そのうちの7割にあたる72億6000万ドルは大豆農家に支払われる。大豆農家の損害が群を抜いているという証である。
結局、トランプ大統領の農家や製造業の利益を守るという触れ込みの中国に対する高率関税は米国の【大豆生産農家】に壊滅的な打撃を与えたという皮肉な結果を齎したことになる。
米国内で大豆農家が多い地域は米国北部のノースダコタから南部のアーカンソーの中央諸州と五大湖周辺の諸州である。2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利を収めた州が多く含まれている。大豆農家の不満が限界に近付いているので今後、これらの諸州では2016年当時よりも反トランプの勢力が拡大することは確実でトランプ大統領の再選にマイナス要素が増えたことは間違いない。
【大豆生産農家】の破産の急増の主たる原因は中国への大豆輸出が激減して米国内に大豆の在庫が積み上がり、穀物価格が下落したことと、米中両国が相互に課した関税のせいで、中国が米国産大豆を買わなくなったことにある。
トランプ大統領は内政の不手際が顕著になり、トランプ大統領は焦燥感に駆られているに違いがない。トランプ大統領に残された内政打開策は選挙公約の一つの【メキシコ国境に壁を建設する】ことだけである。だがこれも議会下院の過半数を制している民主党の頑強な抵抗にあって壁の建設費は国境沿いの55マイルにわたって新たなフェンスを設けるための約14億ドルに減った。「57億ドルを手当てして234マイルの壁」を造るというトランプ大統領の要求とは大きな隔たりがある。その隔たりを埋めるためにトランプ大統領は国家非常事態を宣言して軍事費から約88億ドル壁建設費を捻出しようという憲法違反の可能性が否定できない暴挙に出た。
米国の憲法では【国家の非常事態】に関する明確な規定がない。トランプ大統領は国家非常事態に関してテロリストが侵入する可能性があるとか麻薬が運び込まれるとか主張しているが国家非常事態というには説得力に欠ける。
野党民主党は法廷闘争に持ち込む意向である。この問題の決着は2020年の大統領選にまで持ち込まれる可能性が出てきた。   (おわり)

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2019年1月21日 (月)

政府閉鎖を意に介さないトランプ大統領

トランプ大統領の人気公約である移民排除のために【メキシコ国境に壁を建設する】は米国下院議会の過半数を制している野党民主党の反対によって【壁建設費】(57億ドル・6200億円)を含む暫定予算が成立せず一部政府機関が閉鎖された状態が昨年の12月22日から続いている。
【政府機関の閉鎖】は、ビル・クリントンとバラク・オバマという2人の民主党大統領の政権下でも起こっている。この時は【小さな政府】を標榜する野党共和党が予算削減という抽象的な財政規律をを求めたのに対して与党民主党がこれに応じなかったことが原因で【政府機関の閉鎖】が起こった。
ところが今回の【政府機関閉鎖】は野党民主党がメキシコ国境の壁建設費という具体的な予算費用を認めないことが原因である。民主党やメディアが【壁建設予算】に反対している理由はトランプ大統領の壁建設の論拠が3転4転していることと財源に関する説明が選挙期間中と一変していることさらに【政府機関の閉鎖】をトランプ大統領が全く意に介さず「(政府機関を)数カ月いや数年閉鎖してもいい」とまで発言していることである。その理由をトランプ大統領は「政府職員の多くは(16年の大統領)選挙で(対抗馬の)ヒラリー(クリントン氏に)入れた連中だからだ」と米国大統領にはあるまじき発言をしている。
トランプ大統領は選挙期間中に【壁建設の理由】を「メキシコ国境から入ってくる不法移民は犯罪者だ」と主張していたが不法移民の犯罪率が低いことが判明すると主張をトーンダウンさせた。その後は、「イスラム原理主義のテロリストがメキシコ国境から入って来る」や「多くのアメリカ人の命を奪っているヘロインがメキシコ国境経由で密輸されている」などと虚偽の情報をトランプ大統領は流していた。
【壁建設費の財源】に関してはトランプ大統領は選挙期間中は終始一貫して「メキシコ政府に負担させる」と主張していたがメキシコ政府に負担を拒否されると「北米自由貿易協定(NAFTA)の改訂でアメリカに有利になるように条件を変更したので『メキシコは間接的に壁の建設費を負担している』」と無理筋の主張をトランプ大統領はするようになった。
大統領の2年間の任期終了が目前になった19年1月に入っても【政府機関閉鎖】問題が解決しないので米国メディアは世論調査を実施し、その結果を公表した。
【ワシントン・ポスト紙】が1月13日に発表した世論調査の結果では、【壁建設】を支持する人がこの1年で8ポイント増えて42%、反対は9ポイント減って54%であった。
【ABCテレ】が1月8~11日に実施した電話による世論調査では、暫定予算執行に伴う【政府機関の一部閉鎖】については53%がトランプ大統領と共和党に非があると回答し、民主党に非があるの29%を大きく上回った。
【CNNテレビ】が13日に公表した世論調査ではトランプ大統領の支持率は37%で横ばい。不支持率は5ポイント上がって57%であった。世論調査の結果は、トランプ大統領も民主党をも勇気づける内容を含んでいる。
トランプ大統領にとって再選を果たすためには【メキシコ国境の壁建設】の実現が不可欠である。これが実現できなければ再選の道は遠のくであろう。【政府機関の閉鎖】は当面続くことになりそうだ。この問題の解決の長期化がトランプ大統領と共和党を利するのか民主党を利するのかは神のみぞ知るであろう。   (おわり)

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2018年12月20日 (木)

トランプ大統領は弾劾されるのか

ニューヨーク州南部連邦地裁は12月12日、ドナルド・トランプ大統領の顧問弁護士であったマイケル・コーエン被告に禁固3年の判決を申し渡した。コーエン被告は8月に脱税や選挙資金法違反などで有罪が確定していたので実刑判決が出されることは予測されていた。
コーエン氏は司法取引をしての3年の実刑であるから至宝取引をしなければ刑期はもっと長期に及んだことは間違いない。コーエン被告の有罪判決によってトランプ大統領は【ロシア疑惑】で一歩追い詰められたことになる。
ところで、【ロシア疑惑】を捜査しているロバート・モラー特別検察官はコーエン被告の罪状と量刑について記した文書を同連邦地裁に提出したがその文書には同被告が2017年9月5日の下院情報特別委員会での証言で偽証を行ったという内容が含まれているとされる。
コーエン被告の偽証は、ロシアでのトランプタワー建設計画(モスクワプロジェクト)に関して同委員会で証言をした際にいくつかの嘘をついたことである。
さらに同文書には2016年の米大統領選挙中にロシア側とトランプ側で複数のやりとりがあったと記述されているという。コーエン氏は逮捕された後、モラー特別検察官と司法取引をして議会での偽証を認め、その後、捜査に協力した。
トランプ氏の選挙中の側近の一人で、トランプ氏の外交顧問であったジョージ・パパドプロス被告は司法取引をして2週間の禁固刑の判決を受け、服役して既に出所している。パパドプロス氏は司法取引後に「モスクワプロジェクトを推進することでトランプ氏側に多額の利益がもたらされる予定であった」と証言した。
トランプ氏の側近で、選挙対策本部委員長だったポール・マナフォード被告の判決はこれからであるが刑期はコーエン氏より長期に及ぶとみられている。トランプ大統領は着実に一歩一歩追い詰められている。
モラー氏は2017年5月に捜査に着手し、間もなく最終報告書を提出する予定である。最終報告書の内容がマスメディアを通して報じられればその内容如何によってはトランプ大統領弾劾問題が再燃することになる。
米国大統領は【起訴免除】という免責を持つと言われている。米国では大統領が起訴される可能性は低いと思われているが全くないわけではない。1997年、当時のビルクリントン大統領はある女性からセクハラ訴訟を起こされた。地裁では原告は敗訴したが控訴し、最高裁までいき、クリントン大統領が85万ドルを支払って和解した。
コーエン被告の判決が出る2日前、44人の超党派の元上院議員が連名で「国家権力(トランプ政権)によって法の支配と憲法が脅かされているので民主主義を擁護する必要がある」という主旨の記事をワシントンポスト紙に投稿した。
米国の下院議会は民主党が過半数を掌握している。民主党下院議員がトランプ大統領弾劾に立ち上がるのか現時点では予測は難しい。一般有権者は【大統領弾劾】に否定的だからだ。民主党下院は民意の反応を見極めて判断することになるであろう。   (おわり)

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2018年12月 5日 (水)

トランプ支持に疑念を抱きだしたラストベルト地帯のトランプファン

米国の【乗用車】とSUV(スポーツ用多目的車)を含む【小型トラック】の販売台数は、2012年が【乗用車】741万4282台、【小型トラック】707万7591台、13年が【乗用車】778万0710台に対して【小型トラック】781万9439台と初めて【小型トラック】の販売台数が【乗用車】の販売台数を上回った。この原因はSUVの人気が沸騰したからだ。【SUV]人気を支えたのはシェールオイル由来の原油の生産が増大し、原油価格が下落したからである。
2014年の【乗用車】の販売台数は791万8601台に対して【小型トラック】の販売台数は860万3399台、15年は774万0912台と972万9587台と【小型トラック】の販売台数と【乗用車】の販売台数の差は拡大する一方であった。2018年11月の時点で【小型トラック】の販売台数は前年比8.1%増の1062万0977台、一方、【乗用車】の販売台数は前年比13.4%減の502万5790台とその差はダブルスコア以上に離れている。
2015年の【乗用車】の【小型トラック】に対する販売比率は48%であったが2018年には32%にまで下がっている。こうした乗用車の大幅販売台数減に対応してフォードとクライスラーは北米では乗用車生産の比率を下げ、小型トラック生産を中心とする工場を1カ所だけ稼働させている。
米国の自動車販売台数のピークは20016年の1755万台、昨年は32万台減って1723万台で今年は11月の時点で販売台数(!~11月の累計)は前年同期比0.1%増の1564万6767台である。
米国市場で年間100万台以上販売している日米のメーカー6社のうち今年11月の時点で販売台数が昨年を上回っているのは昨年同期比で8.0%増の【クライスラー】だけで、GMが前年同期比1.4%減、フォードが2.9%減、トヨタが0.1%減、ホンダが2.8%減、日産が7.6%減である。この結果、米国メーカーのGMとフォードは昨年からリストラに着手している。。
【フォード】は昨年5月にリストラ策を発表して9月末には国内工場で1400人を削減した。さらに今年の9月5日には110億ドル(約1兆2500億円)の経費削減策を発表している。その内容はメディアの推測であるが販売不振が続く欧州を中心に20万2000人の従業員の12%にあたる2万4000人を解雇するという計画である。
米国自動車メーカー最大手の【GM】も11月26日にリストラ策を発表した。その内容は2019年末までに月給制スタッフや工場労働者1万4000人余りを削減し、米国内外の7カ所の工場を閉鎖するというものだ。
米国内で閉鎖される完成車工場はラストベルト地帯に含まれるミシガン州とオハイオ州の工場である。オハイオ州ローズタウンの工場は昨年は3000人が解雇され、来年3月末にはさらに1500人が解雇される予定で、【GM】の労働者の間では動揺が広がっている。
トランプ大統領は選挙戦中に【ラストベルト地帯】の製造業の雇用を取り戻すと主張していたがGMのミシガン工場とオハイオ工場は【ラストベルト地帯】にある。トランプ氏の言葉に淡い期待をかけてトランプ氏に一票を投じたラストベルト地帯の労働者の間でトランプ大統領に対する【このままトランプ大統領を信じ続けていいのか】と不安感が広がっているという。トランプ再選への障害がまた一つ増えたことになる。   (おわり)

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2018年11月 7日 (水)

米中間選挙の結果米議会ねじれ状態に陥る

11月6日に実施された米国議会の【中間選挙】は上院100議席のうち35議席(改選議席34と空席1)と下院の435議席(改選前共和党235議席、民主党193議席、空席7議席)すべてが改選され、日本時間の11月7日午前8時から開票が進んでいる。
米国【ABCテレビ】は日本時間午後5時半過ぎに、議会【下院】について、事前の情勢取材に基づく分析結果や投票所の出口調査の結果などから野党・民主党が過半数の議席を獲得することが確実となり、下院で8年ぶりに多数派を奪還する見通しだと伝えた。
【AP通信】は、これまでのところ【下院】では、共和党は191人、民主党は210人の候補者の当選が確実になったと伝えている。民主党は前回選挙より26議席増やし、共和党は26議席減らした。残る議席は34議席で下院の過半数は218議席記であるから民主党は今後、8議席を獲得すれば8年ぶりに下院の主導権を奪還することになる。
一方、議会【上院】では、改選されない議席(42議席)も合わせて共和党が51議席、民主党が43議席(非改選議席23議席)を獲得することが確実となり、引き続き共和党が多数派を維持する見通しになったと伝えた。
選挙結果によって米議会は上院は共和党が主導権を握り、下院は民主党が主導権を握るという【ねじれ現象】が生まれた。トランプ大統領はこれまでのように強引に選挙公約の実現に邁進することはできなくなるであろう。
しかしながら面妖な性格の持ち主のトランプ大統領の今後の政権運営を予測することは不可能である。これまで以上に移民に反発する共和党のコアな支持者向けに強硬な言動を繰り返す可能性は否定できない。
民主党が【下院の過半数】を制した要因は、トランプ大統領の虚実を交えた居丈高な言動に女性と、比較的高収入で教育水準の高い都市郊外の住民の反発を招いたことであろう。ある意味では下院選では米国の良識が蘇ったことになる。
民主党は北東部から南部にかけてと中西部全域で共和党を破ったがこの地域は【ラストベルト地帯】(錆び付いた工業地帯、衰退した製造業の象徴)と【コーンベルト地帯】(米国の穀倉地帯)が入り乱れている地域である。トランプ大統領が仕掛けた【米中貿易戦争】の一部の製造業(鉄鋼やアルミ製造業)を除いて悪影響を最も被った地域でもある。少なくとも下院選ではトランプ大統領はこの地域では【レッドカード】を突き付けられたことになる。
トランプ大統領は、中間選挙の趨勢が判明した日本時間の7日午後1時すぎ、みずからのツイッターに「今夜、すばらしい成功を収めた。皆さん、ありがとう」と投稿し、議会下院で野党・民主党が多数派を奪還することが確実になったものの、弱みを他人に晒すことを極度に嫌うトランプ大統領は強気の姿勢を崩さなかった。
トランプ大統領が今後、どのような政権運営を行うかは誰にもわからない。もしかしたらトランプ大統領本人にも決断を下す瞬間まで解らないのかもしれない。   (おわり)

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2018年10月23日 (火)

中間選挙で与党共和党は上下両院の過半数を維持できるのか

トランプ政権の約2年間の施政の是非に判断を下す【中間選挙】まで2週間をきった。
現時点での米国議会の勢力地図は【上院議会】が与党共和党が51議席、野党民主党が49議席である。上院議会の定員は各州2名で合計100名で2年ごとに定員の3分の一(33名、6の倍数の年は34名)が改選される。今年は6の倍数の年であるので34名さらに補欠選挙が加わるので35名が改選される。今回の改選議員の内訳は共和党9人、民主党26人で共和党は上院の過半数を掌握するには9議席を死守すればいいので民主党が上院の過半数を制するのは当初から困難とされていた。
【条約承認】に関する権限と政府閣僚や各省局長クラスの高級官僚等のいわゆる政治的任命職と、 連邦判事、 陸海空軍および海兵隊の将官ポストに任命するための【大統領指名への承認権】は、 条約承認の件と同じく、 上院弐だけ付与されている。それ故に米国の上院選への国際的な関心は高く、日本にとっても貿易問題に関して上院選に無関心ではいられないのである。
【下院議会】の定数は435議席で、下院議員の任期は2年で、選挙のたびに全員が改選される。下院議会の現有勢力は共和党が236議席、民主党が193議席、欠員が6議席である。各種の世論調査の結果によれば下院では【民主党】が過半数の議席を確保する可能性が高い。
ところで、中間選挙が間近になって共和党の勝利が確実されてきた上院でも波乱が起こる可能性が出てきた。今回、共和党の改選議員の選挙区は、アリゾナ州、コネチカット州、ミシシッピー州、ネブラスカ州、ネバダ州、テネシー州、テキサス州、ユタ州、ワイオミング州の9選挙区である。このうち民主党議員と共和党議員が接戦を演じているのはアリゾナ州とネバダ州である。アリゾナ州では民主党の女性新人候補カイルステン・シネマ氏が優位に立っているとされていたが共和党の女性新人候補のマーサ・マクサリー氏が猛迫して予断を許さない状況になっているという。ネバダ州は民主党の新人候補が優勢とされている。
下院選挙では共和党の敗北を覚悟しているのかトランプ大統領は起死回生の秘策として中間層向けの大幅減税を中間選挙直前に打ち出すという情報が駆け巡っている。さらに下院選での敗北の責任逃れをするために10月16日、トランプ大統領はメディアとのインタビューに応じ、「私は候補者を助けているだけで、選挙結果はトランプ政権への人気投票ではない。仮に共和党が下院で敗北したとしても自分のせいではない」と述べ、中間選挙の勝敗の責任は自分にはないという考えを示した。
中間選挙では民主党が、下院選で23議席を積み増して下院の過半数を制する可能性のほうが大きい。とにかく上下両院のどちらかでも民主党が過半数を奪回すれば、トランプ大統領の政策目標の多くが頓挫するリスクが高まり、、トランプ政権はこれまで以上に厳しく監視されることになるであろう。国際社会はそれを望んでいる   (おわり)


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