カテゴリー「14中国問題」の記事

2019年7月15日 (月)

中国環境車規制でハイブリット車優遇に転換、トヨタとホンダに順風

【EV】(電気自動車)と【PHV】(プラグインハイブリット車)を【新エネルギー車】と規定し、これらの車の一定比率の生産を義務付ける【NEV規制】が中国で2019年から始まったが,【新エネルギー車】の生産台数はガソリン車やディ―ゼル車の製造・販売台数に基づいて複雑なポイント制によって算定される。

中国市場で【EV】や【PHV】が発売されたのは2011年で、【EV】の販売台数は5579台、【PHV】の販売台数は2000台に満たなかった。昨年の【EV】の販売台数は78万8000台、【PHV】は26万5000台であった。中国の北京などの大都市の大気汚染は深刻でその対策として新エネルギー車の販売の促進と世界の自動車産業の主導権を握ろうとして中国政府は【EV】の製造に注力しているのであるが【EV】の販売台数は中国政府が期待したほど増えてはいない。充電施設の整備と【EV】の航続距離がそれを阻んでいるのである。しかしながら、【大気汚染】の解消は喫緊の課題なので中国政府は苦肉の策として低燃費で省エネ車と中国政府が位置付けている【HV】(ハイブリット車)を優遇する方針に転換した。

中国で自動車行政を担当する【工業情報化省】の当初の計画では【ガソリン車】を100万台製造するメーカーは【EV】を2万台製造することが義務付けられていた。【HV】は【ガソリン車】のカテゴリーに分類されていたので【HV】を100万台製造するメーカーの【EV】製造台数は2万台であった。だが新たな【修正案】で【HV】はガソリン車のカテゴリーから離れたので【EV】の製造台数は大幅に引き下げられて6000台となった。【ガソリン車】は逆に【EV】製造台数が引き上げられて2万9000台となった。【工業情報化省】が7月に公表した【修正案】は8月中にメーカーや専門家の意見の聞き取り調査を終えて年内には決定する見通しであるという。

昨年の【HV】の世界販売台数は229万台であったが日本の【トヨタ】と【ホンダ】2社の販売台数の合計は200万台を超えている。因みに【トヨタの2018年の【HV】の世界販売台数は公表されていないが2017年の販売台数は152万台であった。

今年の上半期の中国新車販売台数は前年比で12.4%減1232万3000台で【トヨタ】と【ホンダ】以外の中国に生産拠点のある各国のメーカーは前年比で販売台数は減少している。【トヨタ】は前年同期比12.2%増の76万9000台で昨年より販売台数は8万9000台増えた。【ホンダ】は前年同期比で22.4%増の74万5400台で昨年同期より13万6300台の大幅増である。【HV】の販売が好調だったからだ。

【NEV規制】で【HV】が優遇されるので、【HV】製造では他のメーカーに先んじている両社の中国での販売台数は今後大幅に増加する可能性が高まってきた。   (おわり)

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2019年4月17日 (水)

中国の景気減速に歯止めがかかる

中国国家統計局は4月17日、2019年第1四半期(1~3月)のGDP(国民総生産)統計を公表した。GDP成長率は前期比(2018年第4四半期)の6.4%と同じであった。ということは中国の経済成長率は前期と横ばい状態で3月に設定した2019年の経済成長率の目標値6.0%~6.5%の範囲に収まっているということである。中国経済の減速が目立ち始めたのは米中貿易戦争が勃発した7月以降である。

2017年の中国の新車販売台数は史上最高の2887万8900台であったが2018年は上半期は、長期休暇となる【春節】が2月であったために2月の新車販売台数は前年同月比でマイナスとなったがそれ以外の月はいずれも前年同月比を上回っていた。ところが7月以降は全て前年同月比で販売台数が前年を下回り、通年では前年比で2.8%減の2808万1000台となった。台数としては79万7900台減少したことになる。

新車販売台数の減少の傾向は2019年に入っても継続し、1月が前年同月比で15.76%減、2月が13.77%減、3月が5.18%減と減少は続いているが減少幅は縮小している。2019年の1~3月の第1四半期の販売台数の累計は前年同期比11.32%減少の637万2400台で前年同期の販売台数の累計数よりも81万0300台減っている。

中国政府は顕在化した景気の減速に歯止めをかけるために3月に入ると景気対策を打ち出した。一つ目は2兆元(約33兆円)の減税である。大幅減税には落ち込んでいる個人消費を回復させる狙いがある。しかし財源の手当ては容易ではないであろう。今日発表されたGDP統計では個人消費が回復している兆候はない。減税の効果が表面化するには多少の時間が必要であろう。

中国は08~09年のリーマンショックに端を発する世界金融危機を乗り切るために4兆元(約57兆円)の公共投資を実行して世界経済を救ったと言われている。中国の李克強(リー・クオーチャン)首相は世界金融危機の際のように洪水のような景気刺激策に頼ることはないと明言しているが3月に入って中国の地方政府の債権発行と中央政府のインフラ投資は急増して、中国政府が従来型の景気対策に回帰したことが見て取れる。

中国の銀行による融資は1~3月に5兆8000億元に達し、四半期としては過去最高を記録した。融資した資金の大半は投機用の住宅建設に注ぎこまれることになるであろう。住宅バブルを起こさない限り、中国経済は減速から脱出できないからである。

中国政府は負債の削減を図ると宣言しながらその一方では債務を拡大させる真逆な政策を実行している。これでは国民は混乱するばかりで景気の回復には時間が必要であろう。   (おわり)

 

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2019年3月 7日 (木)

経済の減速を公式に認めた全人代で発表された経済成長率目標

日本の国会に相当する中国の第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が3月5日北京で開幕した。この大会は例年全国から約3000人(中国の憲法で3000人以下と規定されている)の代表が集まり、ほとんど決定事項を追認するだけの約10日間の大会である。
今年の【全人代】の最重要議題は、新しい【外商投資法】を可決すること。これは外資合弁会社(外資系企業の出資の上限は50%)や100%外資系企業を規制する既存法に代わるもので、中国の投資環境を巡る海外の懸念を払拭しようという目論みがある。中国は現時点で米国と貿易摩擦の解消を目指して協議中だ。
事前に公表された草案によると、新法では、中国に進出している外国企業の技術を中国に強制的に移転させることと、外資系企業の慣行に政府が違法に「干渉」することを禁じている。
海外のマスコミや経済専門家が注目したのが李克強首相の大会初日の演説で、今年の主要な経済目標を発表したことだ。その中でも最も注目が集まったのが、今年の経済成長率の目標を昨年の6.5%前後から今年は6.0─6.5%に引き下げたことである。経済成長率に0.5%の幅を持たせたことは初めてである。それだけ中国政府は経済の著しい減速を認識し、中国発の金融危機を回避するために大規模な景気浮揚策を打ち出さざるを得なかったということなのであろう。
李克強首相は5日開幕した全人代の政治活動報告で中国が経済減速を視野に入れた大規模な景気対策を打ち出した。その内容は、2019年に2兆元(約33兆円)規模の減税と社会保険料引下げを実施することと経済成長率の6%割れを避ける方針を明確にしたことである。中国政府は米中貿易戦争の影響が顕在化するなか、企業や地方政府の債務膨張を防ぎながら景気のてこ入れを図る「背水の陣」の経済運営を強いられる。
景気対策の柱は企業向け減税である。税収の柱である増値税(付加価値税 日本の消費税に該当)を製造業で116%から13%に引き下げるほか、公的年金保険料の企業負担分をいまの18~20%から16%まで下げる。各種の税率の軽減規模は18年当初より8割も拡大し、国内総生産(GDP)の2%超に相当する。税収が減り、支出が増えるのであるから中国政府の財政運営は厳しくなる。
中国政府首脳が真に恐れているのは実体経済の減速ではなく、中国発の金融危機が起こることである。【全人代】開催前の2月1日に中国の民営最大手の投資会社【中国民生投資集団】(中民投)の社債の一部が【債務不履行(デフォオルト)】となった。このことは中国で過去最大級の【デフォルト】に発展するリスクが高まったことを意味する。民間企業59社の共同出資で2014年に事業を開始した【中民投】の昨年6月末の時点での債務残高は2320億人民元(約3兆8000億円)あり、これが連鎖反応が起こせば収拾がつかない大混乱が中国金融市場に生まれることになる。
【中民投】がデフォルトを起こした原因は、中国経済に詳しい評論家宮崎正弘氏によれば中国政府は太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー事業に補助金を給付して後押ししていたが昨年の第1四半期に補助金を打ち切ったという。その結果、【中民投】は投資資金の回収が困難になり、高利の社債を発行して凌いでいたのであるが高利の負担に耐えられなくなったということである。
このデフォルトが引き金となって中国発の金融危機に発展しないことを願うばかりである。   (おわり)

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2019年3月 3日 (日)

中国電子商取引法が訪日中国人需要に悪影響

2003年に内需振興策として始まった【ビジットジャパン】のキャンペーンの予想以上の成果が表れ、2018年の【訪日外国人客数】は3119万人と3000万人の大台を突破した。増加のトレンドは2019年に入っても衰えず1月の【訪日外国人客数】は前年同月比7.5%増の268万9000人と前年1月の250万1000人を約18万人上回り、1月としては過去最高となった。
3000万人超えに最も貢献したのは中国人で、2008年の100万人から昨年は838万人と8倍以上増えた。
中国人は日本旅行中の買い物金額でも昨年の第3四半期(10~12月)の1人平均金額は前年同期より1503円減ったがそれでも11万7813円と他国人を圧倒していた。
中国人の昨年の第4四半期の買い物金額が減った最大の原因は今年の1月から施行された【中国電子商取引法】(新EC法)の影響である。日本を訪れる中国人の約2割は転売を目的とする代理購入者と言われている。
【新EC法】はEC出店者などに政府への登録を義務付けて納税を義務化している。その上で脱税者には罰則を科している。
ECへの転売を目的に日本で商品を購入する【代理購入者】も登録の対象者となった。その影響を受けて【新EC法】の施行前の昨年末から転売目的の商品購入が減少し、さらに中国国内での流通在庫処分によって商品価格が下落した。商品の価格が下落すれば転売の旨味が少なくなるので代理購入が減ったのである。
この商品購入減は昨年の第4四半期から日本の大手メーカーの売上高の減少に表れている。【紙おむつ】の大手【花王】の2018年の第3四半期までのベビー用品に含まれる【紙おむつ】の売上高は前年同期比で3%程度増えていたが第4四半期に入って売り上げが激減して最終的に2018年の売上高は9%の減少となった。ベビー用品の【紙おむつ】を含む花王のヒューマンヘルス事業の最終的な売上高は7%の減少となった。
近年、百貨店はインバウンド(訪日外国人)需要の恩恵を受けているが、今年の1月から中国人の代理購入減少により【高島屋】の免税売上高は前年同月比15.1%減少し、高島屋でも外国人の比率が高い大阪店は20.5%減、新宿店は19.5%の減少であるという。
【三越伊勢丹ホールディングス】の新宿、日本橋、銀在の主要3店舗の免税売上高も1月には10.3%減った。今年に入っての売上高の減少は【新EC法】が原因ばかりとは言えないようだ。昨年の日本円/人民元の為替相場は1人民元=17円台で推移していたが今年に入っては1人民元=15円台と円高に振れている。人民元安で商品購入額が減っているのである。
ところで、ここ数年の医薬品、化粧品、日用品の売上高の急増で、化粧品最大手の【資生堂】や同2位の【花王】、、日用品の【ライオン】は国内工場への投資に事業戦略を転換したが暗雲が立ち込め出したようだ。しかし、最終消費者の個人の購買者の日本メーカーの製品に対する信頼は篤く、【資生堂】は商品供給力不足による売り上げ減少を危惧しているので国内の生産設備への投資の中止は全く念頭にないようである。   (おわり)

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2019年1月30日 (水)

中国の悪行が国際社会で白日の下に晒されるのか

米国の司法省は1月28日、記者会見を開き、中国の通信機器製造大手の【華為技術(ファーウェイ)】の副会長兼兼財務最高責任者(CFO)の孟晩舟(モンワンチョウ)被告を、米国のイラン制裁を回避しようとして米国の金融機関に虚偽の説明をしたとして【詐欺罪】など13の罪状で起訴した発表した。
米国司法当局は近々カナダ司法当局にカナダのバンクーバーの自宅に滞在中の孟被告の身柄引き渡しを要請する見通しである。
孟氏は中国共産党の諜報部門を担う【人民解放軍】の諜報機関の幹部の肩書を持ち、諜報活動のために世界を舞台に暗躍しているとされる。孟氏の身柄が米国に引き渡され、中国の諜報活動の一端が米国に把握されるような事態になれば中国は国際社会で孤立する状況に陥る可能性があるので中国は孟氏の身柄引き渡しに強く反発しているのである。
さらに米司法当局は法人としての【ファーウェイ】、同社の米国の関連会社【ファーウェイデバイスUSA】、ファーウェイのイランの関連会社【スカイコム】の3社も起訴した。一方で、米司法当局はイラン制裁違反とは別にファーウェイの2つの関連会社を米携帯電話大手の【Tモバイル】から企業秘密を盗んだなどの10の罪状で起訴した。
企業秘密の盗用に関してFBI(連邦連邦捜査局)のレイ長官は「ファーウェイは意図的にアメリカ企業の知的財産を盗もうとしていた」と発言している。
起訴された関連2会社は競合他社の秘密情報入手に躍起になり、重要な情報を盗み出した社員には特別報酬を支給していたと指摘されている。まさに企業ぐるみの犯罪に【ファーウェイ】は手を染めていたことになる。
米国が【ファーウェイ】に対して危機感を抱いていたのは2012年からである。米国の【議会下院・特別委員会】はこの年に調査報告書を作成して公表している。報告書の内容は要約すれば、中国通信機器製造大手の【ファーウェイ】と【ZTE(中興通訊)】を名指しで「両社の製品は『強力なスパイ活動の道具になりうる。』し『安全保障上の脅威になりかけない』」と警告しているものであった。
両社が製造しているIT機器にはインターネット連結部分にあたる【ルーター】や基地局の設備でその世界シェアは50%を超えていた。別の表現をすれば世界のサイバー空間の過半を支配していたことになる。
ファーウェイなどの製品は価格の安さから米国はじめ世界主要国の政府関連機関で採用されたために各国政府の機密情報が中国に流れていたということになる。
今回の米政府の告発によって中国は各国政府の機密情報を入手することが困難になったことになる。中国のことであるから別の手立てを考え出すであろうが。
カナダ政府が米国の要請に応じて孟晩舟被告の身柄を引き渡せば中国政府の悪行が暴かれ、中国に対する国際社会の警戒感は沸点に達することになる可能性が高い。
もっとも中国政府はあらゆる手段を講じて孟被告の身柄引き渡しを阻止するであろう。   (おわり)

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2018年10月17日 (水)

中国の地方政府経済の減速を想定し日本企業に投資を求める

米国のトランプ大統領が膨大な対米貿易黒字削減を中国政府に要求しているにもかかわらず中国の米国に対する貿易黒字は膨らみ続けている。中国政府も対米貿易削減への努力をしてはいる。例えば米国産のシェールガス由来の天然ガスや原油、米国企業が優位性を保っている航空機さらに半導体の輸入を大幅に増やしている。しかしながら大幅な企業減税によって米国経済は堅調に推移し、個人の所得も増え、個人消費が旺盛であるために米国の携帯電話やパソコン、玩具などの中国製品の輸入量は中国の米国製品の輸入量を大きく上回っている。その結果、中国の対米貿易黒字はさらに拡大している。
【中国税関総署】の7月13日の発表によると、2018年1~6月の中国の対米貿易黒字額は前年同期比14%増の1337億ドル(約15兆円)と上半期として過去最高だった。
【輸出】は前年同期比14%増の2177億ドル、【輸入】は同12%増の840億ドルだった。6月単月では輸出は前年同月比13%増の426億ドル、輸入は同10%増の136億ドルで黒字は同14%増の289億ドル。6月の黒字額も単月として過去最高だった。米国は中国との貿易協議で対米黒字を年2千億ドル圧縮するよう求めている。
【米中貿易戦争】に突入した7月の中国の対米貿易収支は【,中国税関総署】が8月8日発表した7月の貿易統計によると、米国の対中関税発動にもかかわらず、ドル建て輸出が予想外に増え、【対米貿易黒字】も依然として高水準を維持している。。【輸出額】は前年同月比11%増の約415億ドル、【輸入額】は前年同月比11%増の約136億ドルで貿易収支は280億ドルの黒字であった。1~7月の【対米貿易黒字】は1616億3000万ドルと、前年同期の1427億5000万ドルを上回った。
8月の貿易収支は、輸出の伸びは前年同月比9.8%と鈍化したが、【貿易黒字】は310億5000万ドルとこれまでの過去最大であった6月の水準を上回った。
ところで、10月12日に発表された8月の貿易統計によれば9月の【輸出】は前年同月比14.5%増と持ち直し、【貿易収支】は320億ドルの過去最大の黒字であった。この輸出と黒字の大幅拡大は中国企業が米国の関税発動前に前倒しで輸出したことが原因である。
【米中貿易戦争】の負の影響は来年から顕著になると中国政府の関係者や専門家は想定している。中国経済は来年以降成長が鈍化ずることは避けられない。しかし、リーマンショック以降、中国の地方政府はインフラ整備事業によって中央政府が決定した【経済成長率】の目標達成のために負債を重ねてきた。大半の地方政府はこれ以上の負債を重ねることは不可能な状況に追い込まれていると言われている。米中間の関係が悪化した現時点で中国が融資を含めた投資を頼めるのは日本以外にはないのである。
今年に入って日本企業の中国への投資を求めるために中国の地方政府の幹部が投資説明会開催のために続々と来日しているという。投資説明会開催は既に昨年の2倍に達していると。但し、中国への投資はリスクを伴うので慎重な市場調査と地方政府との信頼関係を築く必要性がある。   (おわり)

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2018年2月 4日 (日)

依然として続く中国地方政府のGDPの水増し

米国防相は、1月19日、10年ぶりに【国家防衛戦略】を発表し「、中国を戦略的競争相手である」と規定した。米国はオバマ政権時代は中国への配慮から中国を刺激することを避けていたがトランプ政権は同じ覇権国を目指す国家として中国をライバルと認めたのである。
そうした米国政府の政策転換に反応したのが日米の2つの経済問題に強いマスメディアの【産経新聞】と【ブルームバーグ】である。2つのメディアは中国のGDPは捏造されていると報じている。
以前から中国の公表されているGDPは信憑性に欠けると言われていた。その根拠となったのが中華人民共和国の第7代国務院総理(首相)である李克強氏が遼寧省トップの共産党委員会書記であった2007年に米国大使に「中国のGDP成長率は信頼できず、経済状況をみるために、【鉄道貨物輸送量】、【銀行融資残高】、【電力消費量』の推移を見ていると語ったとされることに由来する。
この3つの経済指標から作られた中国経済を推測する指数を【李克強指数】と呼んでいるが2010年イギリスのエコノミスト紙によって名づけられたものである。ただこの指数で中国経済の儒教が滴下に把握されるとも思えない。中国の物流の主力はトラック輸送だからだ。
【ブルームバーグ】は2月1日夜、2015年の中国のGDPについて『エネルギー消費と生産を相互参照し算出したところによれば、11年から15年にかけ1級行政区(省・直轄市・自治区)レベルでGDPは継続的に水増しされていたもよう。ただ財政収入を膨らます手法がなくなり、16年はそうした誇張が小さくなったようだ。
ブルームバーグのエコノミスト、トム・オーリック氏らの調査によれば、15年については全国レベルのGDPも恐らく水増しされた公算が大きい。ここ1年間に遼寧省と内モンゴル自治区が統計の不正操作を認めた。
中国は15年に事実上の人民元切り下げに踏み切り、金融市場の深刻な混乱を招いたが、同年のGDP成長率は6.9%と、前年と比べ0.4ポイントしか低下しなかった。電力使用量に基づき実際の経済成長率を推計すると、省レベルの11-15年GDP成長率は公式統計より「1.2-3.1ポイント」低かったようだ。』と配信した。
2017年の名目GDPは、1月18日の中国国家統計局の発表によれば82兆7122億元(約1552兆5060億円)である。ところが【産経新聞】が地方政府が発表した地域内のGDPを累計したところ国家統計局発表の全土のGDPを2兆9769億元(約52兆円)上回っているという。国家統計局は地方政府の統計を信用していないので国家統計局が昨年発表した名目GDPに今年の成長率6.9%(これも信憑性は疑わしいが)をかけて算出したのであろう。
このような地方政府と国家統計局での水増しと捏造が起きるのは地域経済の成長を達成すれば地方政府の幹部は評価されて中央政府へ登用されて出世を約束されるからであり、国家統計局の幹部は共産党指導部が定めた目標値が達成されたと数値を捏造すれば出世が保証されるからだ。
日本のマスメディアと企業経営者は中国政府の発表する統計の数値を鵜呑みにしないことである。   (おわり)

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2017年10月24日 (火)

習近平独裁色が強まった2期目の習近平政権誕生

【中華人民共和国】(中国)の憲法は「中国共産党が国家を領導する」と規定していることから中華人民共和国の政治構造において、5年に1度開催される中国共産党の【全国代表大会(党大会)】は国家の最高の指導機関である。
その党大会が10月18日に始まり24日に閉会した。
最終日の24日、全体会議で党の最高規則に該当する党規約の改正案が採択され、習近平国家主席の指導理念を「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」と、習主席の名前を冠した形で、党規約の中でも最も重要な「行動指針」として盛り込むことを決定した。
これによって中国共産党は、党規約のうえでも習主席に権力が集中した独裁体制に移行することが確実になった。
【党大会】は5年に1度しか開かれないのでその閉会中は【党大会】で選出された【共産党中央委員会(党中央委員会)が最高指導機関としての職権を代行するが【党中央委員会】も通例では1年に1回ほどしか開かれないので中央委員会全体会議で選ばれた党中央政治局とその上位機関の党中央政治局常務委員会が中央委員会閉会中にその職権を代行する。すなわち、政治局と政治局常務委員会が平常時における党の最高指導権を掌握・行使し、日常的に重要政策を審議・決定する。
最高指導機関である【政治局常務委員会】の構成メンバーは習近平総書記体制になって7名である。中国共産党の最高指導者である中国共産党中央委員会総書記は、政治局常務委員の中から必ず選出されることが定められている。更に慣例上日本の内閣総理大臣にあたる国務院総理(首相)も政治局常務委員から選出される。常務委員の任期は5年で定年は68歳である。今回の党大会で常務委員の任期が切れるが、党大会前までの常務委員は習近平氏(太子党)、李克強氏(共青団派)、張徳江氏(江沢民派)、劉雲山氏(共青団派)、王岐山氏(太子党)、張高麗(共青団派)の7人で習近平総書記は共産党の有力派閥【太子党】と【共青団(共産主義青年団)派の微妙なバランスの上に乗っている。
習近平総書記が所属する【太子党】は中国の建国に功績のあった人物を父親に持つ子弟の集団であるが高齢化し、組織は先細りである。習近平総書記にとって経済成長の鈍化が鮮明になる時期の5年間を乗り切るために【党規約】によってカリスマ性を維持する必要があったのであろう。
常務委員7人の中で定年の年齢に達していないのは習総書記と李首相だけである。残りの5人は全員常務委員を退任する。
【NHK NEWS WEB】は24日夕刻、【党大会】について『総書記として2期目を迎えるのに合わせて、その指導理念が党規約の「行動指針」に盛り込まれるのは、これまでの指導者と比べると異例の早さです。
また、名前を冠した形で盛り込まれたことで、この指導理念は建国の父と言われる毛沢東の「毛沢東思想」と、改革開放政策を打ち出した※トウ小平の「トウ小平理論」に並び、習主席への権威づけが一層進むことになります。』と報じた。
習近平氏が毛沢東やトウ小平のような実績を残せるかは甚だ疑問である。   (おわり)

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2017年9月25日 (月)

中国地方政府発表のGDPは捏造なのかそれとも不況の証なのか

欧米の経済専門家の間では中国の地方政府が発表する域内のGDPは捏造されているとここ数年言われ続けていた。その根拠とされたのが李克強首相が2007年遼寧省の最高権力者の遼寧省共産党委員会書記当時、省発表のGDPよりも李克強指数と呼ばれる鉄道貨物輸送量】、【銀行融資残高】、電力消費の推移を見るほうが遼寧省の経済の実情が正確に把握できると米国大使に語ったエピソードである。
旧満州国の領土であった現在の中国東北地方の遼寧省が今年の1月に経済統計の水増しを正式に認めたことによって欧米の経済専門家の疑念は証明されたことになる。、同省の2017年1~6月のGDPは物価の変動を考慮しない名目GDPで前年同期比20%減った。経済大恐慌でも起こらない限りありえない数字で「過去のGDPが約2割かさ上げされていた」と考えるほうが合理的だ。
GDPの数値の捏造は「①名目GDPの水増し、②実質GDPを算出する係数である【デフレーター】の数値を少なく改ざんして実質GDPをかさ上げする」という2段階方式によって可能である。その結果、通常では起こりえない実質GDPが名目GDPを上回るという【名実逆転】現象が起こる。GDPが【名実逆転】になっていれば一般的にはGDPの数値を人為的に操作したことを意味ずる。
この10年間で【名実逆転】が起こった回数の多い地方政府は6回が山西省、内モンゴル自治区。5回が遼寧省、天津直轄市,河北省、河南省。4回が吉林省、浙江省、江西省、山東省、陝西省、甘粛省、青海省、新疆省。
共産党中央検査委員会は6月に吉林省と内モンゴル自治区の経済統計の捏造疑惑を指摘した。
【日本経済新聞】(電子版)は9月22日深夜、GDPの【名実逆転】について『もちろん名実逆転が多いことがすぐにGDP水増しを意味するわけではない。5~6回あった7地区をみると、消費者物価は09年を除けばプラス基調だが、卸売物価はマイナスが目立つ。とくに09年と15年は大幅なマイナスだ。経済に占める鉄鋼、石炭、化学の比重が高い東北・華北ではデフレ圧力が強く、GDPも名実逆転が起きやすかっただろう。逆に経済の構造転換が進みつつある華中・華南地域は名実逆転が少ない。回数ごとに色分けした地図を描くと中国経済の「南高北低」がはっきりと浮かび上がる。
中国経済は地域差が大きく、ユーロ圏によくたとえられる。ギリシャが遼寧、吉林、黒竜江だとすると、ドイツは浙江や広東、福建だ。財政政策は地域ごとの事情を考慮できるが、金融政策は簡単ではない。中国は10月の共産党大会が終われば利上げ局面に入りそう。遼寧の銀行監督当局者は「企業の手元資金は非常に厳しく、高利貸しに手を出す企業も少なくない」と話す。広がる地域間格差は中国の金融政策を難しくする大きな要因だ。』と配信した。
【名実逆転】が捏造でなければ経済はデフレ経済に陥ったことを意味する。GDPの捏造よりもデフレ経済に陥ることのほうが深刻である。   (おわり)

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2017年8月24日 (木)

第2期習政権の最高指導部の政治局常務委員会人事案が固まる

第19回中国共産党全国代表大会(党大会)が今年の秋に北京で開催される。この党大会は5年に一回開かれ、中国共産党中央委員会の第1回の全体会議において中央委員会総書記(中国最高指導者の役職)、中央政治局、中央政治局常務委員会(中国の最高指導部)、中央書記処、中央軍事委員会のなど中央指導機関と責任者を選出する。  
最高指導部の【政治局常務委員会】の委員は習政権下では7人でその人事案の情報が党大会を前に複数のルートで漏れ出している。
18期(2012~2017年)の常務委員のうち留任するのは習近平共産党総書記兼国家主席及び中央軍事委員会主席と李克強国務院総理(首相)の2人。張春江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗の5人の政治局常務委員は任期中に68歳の定年を過ぎたので退任。ただし汚職追放で辣腕を揮った王岐山氏の処遇は留任するという噂も流れ流動的とされている。
政治局員から常務委員に昇格するとされているのが胡錦濤前国家主席派の汪洋副首相、同じ胡錦涛派の胡春華広東省共産党委員会書記、習国家主席派の韓正上海市共産党委員会書記、それに同じ習派㋨栗戦書共産党中央弁公庁主任の4人、政治局員より1ランク下の中央委員(定員204人)から2階級特進するのが習派の陳敏爾重慶市共産党委員会書記である。
新任の常務委員の中で年齢が一番下なのは1963年生まれで54歳の胡春華氏で常務委員に選出されれば副首相の座に就く。胡春華氏は共産党の序列は習国家主席、李克強首相、汪洋氏(全国人民代表者大会常務委員に就任予定)に次ぐ第4位である。習近平国家主席退任後の国家主席の最有力候補に躍り出たことになる。。
新しい政治局常務委員会の勢力地図は習国家主席派が4人、胡錦濤前国家主席派が3人となり、第二期習政権は常務委員会の過半巣を掌握するので安定する。
【ヨミウリオンライン】は8月24日午前、政治局常務委員候補者のリストについて『中国の習近平シージンピン政権が今年秋の第19回共産党大会で発足させる2期目指導部の人事で、最高指導部・政治局常務委員7人の最新の候補者リストに、処遇が最大の焦点となっていた王岐山ワンチーシャン中央規律検査委員会書記(69)が含まれていないことが、複数の関係筋の情報でわかった。
党内では、習総書記(国家主席)の右腕として汚職摘発運動を進めてきた王氏について、「68歳定年」の慣例に従った常務委員などの退任が有力視されているという。
政権に近い党関係者や外交筋によると、リストは、8月中旬まで習氏や党長老らが河北省の避暑地で行った非公式協議「北戴河会議」を経て作成されたとみられる。定年に関する慣例を覆して留任するとの観測もあった王氏の処遇を巡っては、党内ではいまだに賛否両論が存在しているといい、リストの最終的な顔ぶれも含め、党大会まで駆け引きが続くものとみられている。』と配信した。
李克強首相が留任すると見られているので習国家主席の権力基盤が盤石になったとは考え難く胡錦濤派への配慮が必要な政権運営になるであろう。   (おわり)

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