カテゴリー「12国内経済」の記事

2020年5月29日 (金)

コロナウイルス禍で日本の雇用情勢悪化

【総務省統計局】は5月29日、4月の【雇用統計】を発表した。【就業者数】は6628万人で前年同月比80万人減少した。これは88カ月ぶりの減少であった。【雇用者数】は5923万人で、前年同月比36万人の減少でこれも88カ月ぶりの減少であった。【完全失業者数】は189万人、前年同月比13万人の増加で3カ月連続の増加である。

ここ数年の日本の【完全失業率】は2017年が2.8%、18年が2.4%、19年が2.4%,20年1~2月も2.4%で推移していたが日本国内で【新型コロナウイルス】の感染が3月中旬から拡大し出すと3月の完全失業率は2.5%,4月は2.6%と上昇し続けている。【完全失業率】の上昇に伴い、3月の【完全失業者数】は前月より6万人増の172万人、4月は3月より17万人増えて189万人となった。

【有効求人倍率】も下落し、3月の【有効求人倍率】は2月より0.06ポイント下がり、3年半ぶりに1.4倍を割って1.39倍となった。【有効求人倍率】の低下は【新規求人数】の減少を意味し、【新規求人数】は1月から前年同月比10%超の落ち込み、3月も12.1%落ち込んだ。

2月の【新規求人数】の落ち込みは製造業が中心であったが3月からは非製造業でも求人数減少は拡大している。雇用の先行指数とされる【新規求人数】は【訪日外国人旅客数】の急減の影響で【宿泊・飲食サービス業】が前年同月比19.5%減、【卸・小売業】が15.0%の減少であった。

日本の4月の【完全失業率】が上昇したと言っても米国に比べれば日本の失業率上昇の度合いは微々たるものである。米国の4月の失業者は2050万人増えて【失業率】は3月の3%台から14.7%に急上昇している。米国と日本の【新型コロナウイルス】被害の格差も日米の失業率の差の要因の一つとも言えるが最大の原因は日本では従業員の解雇を簡単にはできないために、雇用者が仕事をしなくても給与や賃金を雇用者が支払って【休業者】という扱いになっている。米国は企業の業績が落ちれば企業はすぐに従業員を【レイオフ】(一時解雇)ができるので失業者が増え、失業率が上昇する。

現在、日本は仕事のない雇用者を休業者としているので失業率はさほど上昇しないのである。4月の休業者数は597万人である。企業の業績悪化が長引けば【休業者】はいずれ【失業者】となる。

【コロナウイルス禍】が長引けば日本の【完全失業率】も10%に達する可能性はある。失業率が急上昇すれば社会不安を誘発するので日本は【コロナウイルス禍】を1日も早く収束させなければならない。   (おわり)

| | コメント (0)

2020年5月28日 (木)

景気後退期に突入した日本経済

2019年10月1日から消費税の税率は食料品など一部の例外を除き、8%から10%に引き上げられた。2018年7月6日から【米中貿易戦争】が勃発し、その悪影響が日本経済にも波及していたので純粋に経済的見地から判断すれば【消費税率の引き上げ】は再々再度見送るべきであった。しかし、安倍首相は消費税率の引き上げにゴーサインを出さざるを得なかった。【森友学園】への国有地払い下げ問題で安倍首相は財務省に大きな借りを作ったからである。

【安倍内閣】は消費率引き上げ後の個人消費の落ち込みを避けるために事前に様々な対策を講じていたが消費税率引き上げ前の【駆け込み需要】の反動で2014年の第2四半期(4~6月)の名目GDPは前期比マイナス0.1%、年率換算でマイナス0.4%であった。

この苦い体験から安倍内閣は個人消費の落ち込みを回避すべく様々な手立てを講じたがその成果を得ることなく2019年第4四半期の名目GDP成長率は予想外の下落幅で6.3%減となった。政府は2020年の第1四半期(!~3月)での名目GDP成長率のプラスへの転換を期待していたが中国で湖北省武漢市を中心に【新型コロナウイルス】の感染拡大が1月下旬から顕著になり、2月に入って武漢市が封されるとその影響は中国に進出している日本企業にも飛び火し、日本企業の中国市場での販売額が前年比で大きく落ち込んだ。

【新型コロナウイルス】の感染は3月中旬以降、欧米に伝播し、欧米の感染被害を受けた国々は入出国を厳しく制限し、その影響は観光産業に甚大な損害を与えることになった。当然日本もその被害を受けたため日本の第1四半期(1~3月)の名目GDP成長率はマイナス3.1%となり日本のGDP成長率は2四半期連続でマイナス成長になった。欧米では2四半期連続のマイナス成長は景気後退期に突入したと理解されている。

日本も3月下旬から感染拡大期に入り、4月7日には【緊急事態宣言】を7都府県に発出した、7都府県は不要不急の外出自粛要請や生活に欠かせないスーパーやドラックストア、医療機関、銀行などを除く店舗には休業を要請をした。経済活動よりも国民の生命を優先させたのである。

この結果、経済活動はマヒ状態になり、第2四半期(4~6月)の名目GDP成長率はマイナス10%を超える可能性が高い。この感染拡大の収束時期が誰にも分らない以上日本経済の先行きは不透明である。   (おわり)

| | コメント (0)

2020年5月26日 (火)

新型コロナウイルス感染拡大によって生産計画に狂いが生じた化粧品メーカー

【新型コロナウイルス】の感染拡大によって甚大な被害を受けた国々は国民の生命を守るために国民の出国禁止や外国人の入国禁止あるいは都市封鎖を実施した。日本は法的な制約があって国民の出国制限や外国人の入国制限あるいは不要不急の外出の自粛要請という法的強制力のない措置で感染拡大を阻止している。

こうした禁止令や措置によって大打撃受けた産業は観光業を筆頭に数は多い。その一つが化粧品製造業である。第2次安倍内閣の誕生以降、【アベノミクス】の3本の矢の一つである【大胆な金融緩和】によって円安状況が生まれ、【訪日外国人旅客数】(訪日外客数)は飛躍的に増加した。

民主党政権の最後の年の2012年のドル/円相場はi1ドル=100円以下で民主党政権末期の11月16日には1ドル=80円という超円高であった。12年の【訪日外客数】は835万8100人、安倍内閣の実質的な初年度の13年の【訪日外客数】は200万人増えて1036万3900人、14年が300万人増えて1341万3400人、15年の【訪日外客数】は630万人増えて1973万7400人、18年には3119万1800人、19年が3188万2000人であった。2015年以降の【訪日外国人客】の日本での旅行消費額増加に最も貢献したのが訪日中国人であった。

2019年の【訪日中国人数】は959万4000人で、中国人の日本での旅行消費額は7704億円でそのうちの34.7%は買い物代金であるから約6000億円が日本の商品の購入に充てられている。最も購入される商品が資生堂のスキンケア製品やメイクアップ製品である。こうした傾向を分析したうえで【資生堂】は2018年から国内に3つの工場を新設すことを決断した。

2019年12月24日に【資生堂】は栃木県大田原市中田原の工業団地に年間1億2000万個のスキンケア商品を生産する能力のある【那須工場】を稼働させた。今年の後半には大阪府茨木市に建設中のスキンケア商品製造の工場を稼働されると発表している。

ところが【新型コロナウイルス】感染拡大によって【訪日中国人】の数は激減し、日本の入国制限措置によって4月の訪日中国人数はたったの200人である。5月は恐らく0人であろう、

さらに追い打ちをかけたのが【外出自粛要請】で4月7日以降は7都府県は巣ごもり生活を余儀なくされ、その結果、女性は外出の機会は激減し、マスクの着用によって化粧をする必要もなくなり、スキンケア商品やメイクアップ商品の売り上げは激減しているという。口紅の売り上げが最も落ち込んで、前年比で26,3%しか売れていない。

こうした状況では約350億円を投入した【那須工場】も生産調整をせざるを得ないであろうし、【茨木工場】の今年度中の稼働は難しいかもしれない。天災なので【資生堂】の経営陣は手の打ちようがないのではなかろうか。   (おわり)

| | コメント (0)

2020年4月15日 (水)

倒産の危機に瀕する日本の観光関連産業

【新型コロナウイルス】の世界的な【パンデミック】によって3月中旬から欧米を中心に世界的に【ヒトとモノ】の流れが停滞している。今回の想定外の事態の発生によって最も打撃を受ける産業は【観光関連産業】であろう。

日本の戦後の経済発展を支えたのは外需(輸出)であったが日本製品の主な輸出先である米国とは度々貿易摩擦が起こり米国との通商交渉によって日本側が譲歩するという形で危機を乗り越えてきた。譲歩の内容は輸出量の削減であるとか生産拠点を米国国内に建設し、米国人の雇用を保護するという形で。それとともに日本政府は内需の拡大策を模索してきた。内需の拡大策の一つが2003年に始まった【ビジットジャパン・キャンペーン】つまり外国人の日本への誘客運動である。

2003年の【訪日外国人客数】(訪日外客数)は521万1000人であったが04年には613万7000人となり、リーマンショックが起こった08年には835万人にまで増えたが【リーマンショック】の影響が深刻化した翌年は大激減した。さらに2011年の東日本大震災によって【訪日外客数】は再度激減したが、安倍内閣が金融緩和を実施たことによって大幅な円安状況が生まれた13年には初めて1036万3900人と1000万人の大台を超えた。以後【訪日外客数】は増え続け、昨年は3188万人であった。ただし、昨年の11月以降は前年同月比でマイナスに転じている。

今年1月の【訪日外客数】は前年同月比1.1%減の266万1000人、2月は中国湖北省武漢市を中心に【新型コロナウイルス】の感染が拡大、武漢市が封鎖された影響で2月の【訪日外客数】は前年同月比58.3%減の108万5000人、3月は日本も入国制限措置を実施したことから、93.0%減の19万3700人である。【中国】からの訪日客数は、昨年の54万人から3700人に【韓国】からの訪日客数は昨年の56万6000人から1万人に、【米国】からの訪日客数は7万3400人から2万1000人と悲惨と言えるほどの減少ぶりである。その結果、今年の第1半期(1~3月)の【訪日外客数】は393万9800人である。昨年同期の【訪日外客数】が803万8300人であるから前年同期比で51.1%減ったことになる。

これから日本国内の感染者数が増加することを考慮すれば第2四半期(4~6月)の【訪日外客数】はさらに減少することになるであろう。日本の観光関連産業にとって今年1年はまさに危急存亡の時になりかねない。

【観光関連産業】の育成は【アベノミクス】の3本の矢の一つ成長戦略に含まれている。昨年の【訪日外国人客】の日本での旅行支出は4兆8113億円で日本のGDPの1%に近付いている。政府はここまで成長してきた観光関連業界を見殺しにしてはならない。地方経済を破壊させかねないリスクがあるからである。あらゆる手段を講じて政府は観光関連業界を救済すべきである。   (おわり)

 

 

| | コメント (0)

2020年3月24日 (火)

日本経済はリセッション「景気後退」に入ったのか

昨年10月1日から消費税率が食料品など以外は2%アップした影響もあって昨年の第4四半期(10~12月)の【経済成長率】は前期比で予想外の低下率でマイナス1.6%、年率換算でマイナス6.3%であった。日本のGDPの約6割は【個人消費】であるが【消費税増税】によって個人の消費意欲が減退したために【個人消費】は前期比でマイナス2.9%となり、住宅や企業の設備投資といった項目でも2.7%と3.7%とマイナスに転じた。日本の製造業は米国と中国に大きく依存しているために米中貿易戦争の行方に配慮して設備投資を控えているのである。

昨年の各四半期別の成長率は第1四半期(1~3月)が0.6%、第2四半期(4~6月)が0.5%、第3四半期(7~9月)が0.1%と低下傾向にあったので第4四半期(10~12月)のマイナス成長はある程度予測されいた。多くの市場関係者や経済の専門家の関心事は2020年の第1四半期の成長率がプラスに転じるのかという一点にあった。政府関係者は様々な対策を講じたので成長率は回復すると楽観視していた。

その期待を打ち砕いたのが昨年12月初旬に中国湖北省武漢市で感染が確認された【新型コロナウイルス】患者の誕生であった。年が明けると武漢市内で感染が飛躍的に拡大し、武漢市は交通封鎖の事態にまで追い込まれた。武漢市には日系企業199社が進出しているが【製造業】が92社と最も多く全体の46.2%を占めている。細かい業種分類では【自動車部品等製造業】が一番多くて23社である。【ホンダ】と【日産】のそれぞれの中国企業との合弁会社の完成車工場が武漢市にあるためだ。

武漢市の封鎖によって日本企業には2月に入ってから影響が出始めた。春節休暇によって武漢を離れていた従業員が職場に復帰できなくなったからだ。その結果、2月に入ると日系企業も春節休暇を延長して従業員やその家族を日本に帰国させる処置を取ったために中国からの帰国者を中心に日本国内でも感染が拡大し始めた。2月27日に安倍首相は全国の公立の小・中・高校の一時休校を要請した。3月に入ると日本では【巣ごもり経済】が始まった。なるべく国民の多くは外出を控えるようになったからだ。巣ごもりによって一部の業種は売り上げが急増したが大半の企業は売り上げ激減した。特に被害が大きかったのが百貨店で、【大丸松坂屋】は3月1~14日の売り上げが前年同期比で43%減、3月1~15日の売り上げは【三越伊勢丹ホールデイング】が34.8%、【高島屋】は32.9%減。

2020年の第1四半期(!~3月)の経済成長率の見通しは、日本経済センターが3月17日にまとめた民間エコノミスト34人の経済見通し【ESPフォーキャスト】によれば2020年第四半期の実質経済成長率の予想平均は前年比年率2.89%のマイナスで、2月調査時の0・33%増から2期連続のマイナス成長となり、日本経済は景気後退期突入する可能性が濃厚になった。原因は言うまでもなく【新型コロナウイルス】の感染拡大である。   (おわり)

| | コメント (0)

2020年2月18日 (火)

日本の経済成長の足かせとなる新型肺炎

内閣府は2月17日、2019年第4四半期(10~12月)の経済成長率を発表した。日本の2019年第4四半期のGDP成長率は前期比(7~9月)で実質で1.6%減り、年率換算では6.3%の減少となった。四半期のGDP成長率が前期比でマイナスとなったのは【米中貿易戦争】の影響を受けて日本の貿易収支が悪化した2018年の第3四半期(7~9月)以来、5四半期ぶりである。

政府は消費税率の2%の再引き上げの影響で昨年の第4四半期のGDP成長率が下落することを想定し、成長率の下落幅を少なくする対応策を講じていたが市場の4%の減少という予測以上にGDP成長率の下落幅は大きかった。その最大の原因は消費税の引き上げと自然災害などによって日本のGDPの5割を占める個人消費が前期比で2.9%落ち込んだことである。さらにGDPの15%を占める貿易収支が2302億1700万円の赤字となり、外需の足を引っ張ったからである。

【日経平均株価】は、【新型肺炎】の感染拡大によって2月12日以降、下落傾向にあったが、市場の予想以上のGDP成長率の下落幅が大きくマイナスに転じたことにより、2月14日には2万3687円、17日が2万3523円、18日は2万3129円と3日間で493円の値下がりとなった。

【新型肺炎】の一日当たりの感染拡大者数は2000人を下回り、一頃の勢いは無くなったがまだピークアウトしたとは断言できない状況である。2月18日現在の中国全土の感染者数は7万2436人、死亡者は1868人である。【新型肺炎】の発生地の湖北省の感染者数は約6万人で中国全土の感染者の約8割を占めている。

中国では一部企業は操業を再開させているが全面再開に至るまでにはまだ時日を要すると思われる。中国経済の停滞は日本の貿易収支の赤字の拡大に繋がりかねない。2018年の日本の貿易赤字は1兆2245億8100万円、2019年の貿易赤字は1兆6481億4100万円と拡大傾向にある。【新型肺炎】の収束が6月前後となるのであれば2020年の日本経済の成長率はマイナスになりかねない。

経済学的な見地に立てば昨年10月1日の消費税率の再引き上げは再々度先送りすべきだったのであろう。それができなかったのは安倍首相が森友学園と加計学園問題で財務省に大きな借りを作ったからだ。もし、消費税率を先送りすれば、筆者の独断と偏見ではあるが財務省は安倍首相に反旗を翻し、安倍内閣にとって不都合な情報をリークし、安倍首相を退陣に追い込んだかもしれないのである。   (おわり)

 

| | コメント (0)

2019年5月21日 (火)

内需の低迷から脱出できない日本経済

内閣府は5月20日、2019年第1四半期(1~3月)のGDP速報値を発表した。物価の変動を除外した実質GDPの伸び率は直前の3カ月(2018年10~12月 2018年第4四半期)に比べて05%増となり、2018年第4四半期に続き、2期連続のプラスとなった。

実質GDPが0.5%増(年率換算で2.1%増)となった最大の要因は、【財貨・サービスの純輸出】(輸出―輸入)が前期比で0.4%増えたことによる。【輸出】は中国へのIT関連製品の輸出の大幅減少によって前期比で2.4%の減少となったが【輸入】が原油価格の暴落によって大幅に減少し、前期比で4.6%減となったために【純輸出】は前期比で0.4%増に転じたのである。【輸入】の減少によって【純輸出】がプラスになったという状況は歓迎すべき事態ではない。

【実質GDP】の0.5%増加の寄与度は個人消費(-0.3%)や民間の設備投資(ー0.1%)が減ったことにより【実質国内需要】(内需)は0.1%、【財貨・サービスの純輸出】は0・4%であった。GDPの5割を占める【個人消費】が低迷していることが日本の経済成長率の伸びが緩やかな原因なのである。

2012年12月の衆院選で自民党が政権復帰し、第2次安倍内閣が本格的に始動し始めたのが2013年4月からであった。3月に黒田東彦アジア開発銀行総裁が日本銀行総裁に就任して、日本は先進国と歩調を合わせるように金融緩和政策を採用し、円安・株高の状況が生まれ、【アベノミクス】と安倍内閣の経済政策は持て囃された。金融緩和政策により円安状況が生まれ、円高で業績が低迷していた日本の自動車産業を中心とする輸出主導型産業は息を吹き返した。

2013年以降の実質GDP成長率は13年が+2.6%、14年が消費税率3%引き上げの影響で成長率はー0.4%、15年が+1.3%、16年が0.9%、17年が1.9%、18年が+1.2%と推移している。円換算のGDPは、13年が507.3兆円、14年が518.2兆円、15年が533.0兆円、16年が536.8兆円、17年が547.4兆円、18年が549.0兆円である。円換算のGDPは円安になれば金額は大きくなり、円高になれば金額は減る。15年にGDOが15兆円も増えたのは円安によるものであり、18年が1.6兆円しか増えていないのは円高に振れたからである。

経済が成長を遂げて円熟期に入った先進国はGDP成長率が2%を超えれば経済状況は良好であると言われている。【アベノミクス】で2%を超えたのは13年だけである。17年は1.9%であるから合格点と見做していいであろう。

内需拡大の鍵を握っているのは【個人消費】であるが可処分所得が増えない限り、個人消費が増えることは望み薄である。【個人消費】拡大には【最低賃金】の地域格差の是正と非正規雇用者を減少させることが必要不可欠であろう。   (おわり)

| | コメント (0)

2019年4月 9日 (火)

中国経済の減速の影響が日本の一部地域の経済に波及

財務省は4月8日、2019年2月の【国際収支統計】を公表した。【国際収支統計】とは日本銀行(日銀)の説明によれば「ある国が外国との間で行った財貨、サービス、証券などの各種取引の決済資金のなどを体系的に把握、記録した統計」である。【国際収支統計】の主な項目は、【経常収支】、【資本収支】及び【外貨増減】があり、【経常収支】は貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支で構成されている。  2019年2月の【国際収支統計】のうち【経常収支】に含まれる【貿易収支】は4892億円の黒字で前月より2893億円黒字幅が拡大した。【輸出】は6兆3070億円前月より1218億円の減少、【輸入】は5兆8178億円で前月より4112億円の減少。【サービス収支】は2366億円で前月より689億円増えて黒字幅が拡大。【第1次所得収支】は2兆9145億円で前月より621億円増えてこれもまた黒字幅が拡大した。【第2次所得収支】は635億円の赤字で赤字幅は縮小した。                                           【輸出】の減少の原因は金額にして【自動車】が前月比5.6%の減少、【鉄鋼】が13.8%のマイナス、【半導体等電子製品】が10.7%の減少したからである。【輸入】は原粗油は金額で前月比で11.2%の減少、石油製品が27.9%マイナス、医薬品が18.9%減少した。2月の輸出額が減少したにも拘らず【貿易収支が黒字】になった要因は、原油価格の下落によって【輸入額】が減少したためである。             今年に入っての対中国貿易収支は1月が輸出が9581億円と1兆円割れで、輸入は1兆8381億円で8799億4100万円の赤字、2月が輸出が1兆1397億6700万円、輸入が1兆2708億6400万円と1310億9700万円と昨年に比べて赤字額が大幅に減少している。ここにも中国経済の減速が浮かび上がっている。                                                     【日銀】は四半期(3カ月)ごとに全国支店長会議を開いている。4月8日に今年2回目の支店長会議が開かれ、その席上で【景気の動向】が議論されて、同日、【地域経済報告】(さくらリポート)が公表された。同リポートでは全国9地域のうち東北と北陸、九州・沖縄の3地域の【景気総括判断】が引き下げられた。景気判断の引き下げの理由は、工作機械や電子関連部品の海外の需要が減り、輸出や生産の減少の原因となっているからだ。                                                          今年1月の第1回目の【全国支店長会議】から海外の経済に対する認識が大きく変化した。1月の【さくらリポート】では米中貿易摩擦などの影響を「現時点では限定的」記していたが今回のリポートでは「輸出や生産に海外経済の減速がみられる」と明記された。中国政府は経済減速を放置するわけにはいかず各種の経済浮揚策を打ち出している。その効果が表れるの今年の下半期であろう。                日本は10月1日から消費税率が2%引き上げられる。それ以前に中国経済の減速が止めばと期待するばかりである。   (おわり)

 

 

 

| | コメント (0)

2019年3月27日 (水)

東南アジアの賃金上昇、訪日外国人の旺盛な購買意欲、円安が日本企業の国内回帰や国内の生産力増強を招いた

2012年11月16日に衆議院が解散された時点の円相場は1ドル=80円であったが約2年9カ月後の2015年8月12日の円相場は1ドル=125円で、45円の円安の状況が生まれた。この大幅な円安の時期に日本の家電メーカーの最大手の【パナソニック】(大阪府門真市)は家庭用【LED照明】を日本向けに輸出していた【パナソニック】のインドネシアの西ジャワ州の工場を閉鎖して三重県伊賀市の伊賀工場に全面移転した。円安の状況下では自社製品を輸入すれば利益が減るからである。【パナソニック】はインドネシアの東ジャワ州でも工場を稼働させているが西ジャワ州は首都ジャカルタの都市圏で物価が高く生産コストが東ジャワ工場より高いために閉鎖を決断したということになる。

その後、中国の労働者の人件費が高騰したことにより中国に進出していた日本企業はより人件費が廉価な東南アジア諸国に生産拠点を新たに設ける動きを加速させてきた。その動きと同時並行的に【訪日外国人客数】が急増して日本国内で日本の家電製品や日用雑貨品、化粧品などの売り上げ高が急増している。

【訪日外国人客数】は円安に方向転換した2013年が初の1000万人超えの1036.4万人、14年が1341.3万人、2015年が1973.7万人、2016年が2403.9万人、2017年が2869.1万人、2018年が3119.2万人と推移してきた。16年以降、【訪日外国人客数】の増加数に陰りが出てきているが訪日外国人の買い物金額は増え続けている。【訪日外国人】の購買意欲に対応するために関連する企業は日本国内の生産力増強のために工場の新設や既存の工場での生産力の増強がが相次いでいる、

【コーセー】(化粧品)は群馬県伊勢崎市の既存の工場内に新生産棟を稼働させ、中国の生産子会社を売却した。新生産棟ではスキンケア製品(化粧水や乳液)とコーセーの催告救貧ブランドの【コスメタリー】の製品を生産する。伊勢崎工場は本社機能を持ち、製品開発の拠点となるマザー工場となる。                                                      【ネスレ日本】(食品)は兵庫県姫路市の既存工場内にヒット商品のチョコレート菓子【キットカット】の新工場を17年8月に稼働させた。【東レ】は滋賀県大津市に紙おむつ用の不織布を開発する拠点17年10月に新設している。【ホンダ】は17年10月に二輪車の【スーパーカブ】を熊本県の大津町の工場で生産を再開させた。2016年4月の熊本地震で大津工場の一部が被害を受けたために一時的に中国で生産していたがそれを移管したのである。

【キャノン】は宮崎県高鍋町にデジタルカメラ用の新工場を建設し、19年中に稼働させる予定である。【資生堂】は栃木県大田原市と福岡県久留米市に新工場を建設し、19年と21年に稼働させる予定。

昨年の第3四半期から中国経済の減速が顕著になってきた。その影響で訪日中国人の増加率が鈍化してきたのが目立つ。さらに悪材料として中国政府は昨年末から中国人の海外での商品の代理購入を禁止する措置を講じ出した。今年から中国人の日本での買い物金額は減少することになることは確実であろう。もっともインターネット―通販が普及しているので売上高は減らないかもしれない。但し、企業の積極策が裏目に出る可能性はなきにしもあらずである。   (おわり)

 

 

 

| | コメント (0)

2019年2月 6日 (水)

国内回帰を始めた日本の化粧品、日用品製造業

経済のグローバル化の波に飲み込まれて生産拠点を海外に移転して日本の製造業界であったが2013年の安倍内閣による【大胆な金融緩和策】により円安が進行し、それに伴い中国、韓国を中心とする【訪日外国人旅行者数】が急増し、日本旅行の土産品として日本製の日用品や化粧品の需要が飛躍的に増大した。
内需拡大策の一環として【ビジット・ジャパン】と銘打った訪日外国人の誘客キャンペーンが始まったのは2003年4月からである。この年の【訪日外国人旅行者数】は521.1万人であったがそれ以降、【訪日外国人旅行者数】は順調に増えている。だが、その間、09年と11年には外国人旅行者数はリーマンショックと東日本大震災の影響で前年より150万人以上減っている。
【訪日外国人旅行者】が初めて1000万人を超えたのが2013年で1036万3000人、2000万人を超えたのが2016年で2403万9000人であった。2018年には3119万1000人と3000万人を突破した。
【訪日外国人旅行者数】を国別にみると2003年には145万9000人で韓国人が1位、中国人は44万8000人で3位にすぎなかったが、18年には中国人の訪日旅行者数は838万人にまで膨れ上がり、韓国人は2位で753万9000人であった
【訪日外国人旅行者数】の急増は当然のことながら旅行消費額の増大という形に反映され、2018年の訪日外国人旅行者の旅行消費額は4.5兆円と日本の名目GDPの0.8%を超えている。旅行消費額が一番多かったのが中国人で1.5兆円で全体の3分の一を占める。
2017年の政府観光庁の【訪日外国人消費動向調査】によれば【旅行消費額】の中で1位は【土産品代】で全体の37%を占めている。日本旅行の土産物として人気が高いのが①医薬品・健康グッズ・トイレタリ―(身嗜みのための製品、ボディケア、スキンケア、ヘアケア商品など)で53%の旅行者が購入、平均購入額は16570円、②【化粧品・香水】46.2%、平均購入金額は28614円、③が菓子類や飲料、酒類などの食品類。
中国人の①の購入率は78.7%と平均を大きく上回り、一人当たりの平均購入額も48153円と平均より19500円多い。②の購入率は73.1%、一人当たりの平均購入額は26495円でこれも約10000万円多い。
こうした調査結果と好調な売上高の増加を踏まえて化粧品大手の【資生堂】や日用品大手の【ライオン】、【花王】などが国内の生産力増強に投資をし始めたのである。
化粧品製造国内最大手の【資生堂】は、栃木県太田原市と福岡県久留米市に土地を購入済みで、大田原工場は2019年、久留米工場は2021年に稼働予定。
紙おむつなどの衛生用品の大手で、ベビーケア、ヘルスケア関連ではアジア首位の【ユニ・チャーム】は福岡県京都(みやこ)郡苅田町に【紙おむつ】製造の新工場を2018年夏に稼働させる予定であったが建築工事が遅れている模様。
歯ブラシや歯磨き粉などの【オーラルケア(口腔の手入れ)】商品に強い日用品大手の【ライオン】は香川県坂出市の100%子会社【ライオン・ケミカル】工場の敷地内に歯磨き粉の新工場を2021年から稼働させる予定。
家庭用品国内最大手、化粧品国内2位の【花王】は既存の神奈川県小田原市の小田原工場の洗顔料の生産能力を倍増させる。
上記の企業が日本国内で数百億円の投資を決断したのは中国や東南アジアの女性には【日本製】(日本国内で製造された製品)に対する信頼度が高く、越境の電子商取引の取引額が経産省の調査では2018年には1.6兆円に達している。スポーツ用品世界トップの【アディダス】がスポーツウェアの縫製をクレームが多発していた中国製からドイツ国内に移転した前例に倣ったと思われる。
不況時にも消費が安定している化粧品や日用品製造業の国内回帰は日本経済にとって歓迎すべき事態であろう。
   (おわり)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧