カテゴリー「9政局」の記事

2020年8月31日 (月)

首相連続在職日数の記録を樹立しながら政治的遺産を残せなかった安倍首相

安倍晋三首相は、【首相連続在職日数】2799日という日本の憲政史上最長の記録を打ち立てた2020年8月28日に持病の【潰瘍性大腸炎】の悪化を理由に辞意を表明した。

日本の国土防衛の根幹をなす【日米安全保障条約締結】という政治的遺産を残した故岸信介首相を母方の祖父に持つ安倍首相にとって誇るべき政治的遺産を残せなかったことは痛恨の極みであったであろう。

福岡市に本社を置くブロック紙【西日本新聞】の【あなたの特命取材班】は8月28日、安倍首相の辞任表明に関するアンケート調査を全国の西日本新聞の購読者(あな特通信員)に対して実施し、約2040人から回答があった。

【安倍首相の実績】に関して、評価が高かったのは①【トランプ大統領との関係】622人、②【アベノミクス】516人、③【働き方改革】512人、④【新型コロナウイルス対応】386人、⑤【東京五輪・パラリンピック対応】375人、⑥【災害復興】363人、⑦日韓・日中問題】357人。

それに対して評価が低かったのが①【森友・加計学園問題】1470人、②【桜を見る会問題】1427人、③【新型コロナウイルス対応】1224人、④【拉致問題】932人、⑤普天間飛行場移転問題】884人、⑥【消費税増税】870人、⑦【日韓・日中問題】837人、⑧アベノミクス】832人。

安倍首相の経済政策【アベノミクス】は、評価する人より評価しない人のほうが上回っている。その理由は、中央銀行である日本銀行が償還期限が10年の長期国債を大量に金融機関から買い入れる金融緩和によって市場には資金が溢れ、その資金の一部が株式市場に流れたことによってバブル崩壊後の低迷していた日本の株価は上昇して、一部の投資家は資産を増やしたからである。。株式投資によって利益を得た人は【アベノミクス】を評価したが株式購入には無縁の大半の一般国民はさほど【アベノミクス】を評価していない。

さらに国債の買い入れによって市場に円が大量に出回ったことにより、【円安】の状況が生まれ、輸出主導型の自動車や電機産業は業績を回復し、【円安】によって【訪日外国人客数】は2013年からの7年間で2000万人以上増え、宿泊業や飲食業は潤った。そうした観光関連業に従事している人たちは当然のことながら【アベノミクス】を評価している。

現在、日本全土を悩ましている【新型コロナウイルス対応】は評価をしない人が約3倍評価をする人を上回っている。さらに安倍首相にとって痛恨事は【森友・加計学園問題】や【桜を見る会の問題】では7割強のアンケート回答者が【評価】をしていないことだ。たとえ【憲法改正】を発議しても国民投票では現時点では過半数の国民の支持は得られないであろう。それを理解しているからこそ自民党内でも【憲法改正】の議論は深まらないのである。

安倍首相が心血を注いでいた【拉致問題】は、今後、誰が担当しても解決することは困難であると思われる。拉致被害者のご家族の方々には惨いようであるが北朝鮮が核開発に成功した以上日本との拉致問題での交渉に応じる必要性が北朝鮮にはないからである。

【消費税増税】は、安倍首相に責任はない。旧民主党政権の負の遺産であるからだ。民主党は政権交代を実現するために第45回衆議院選挙では【消費税増税】を選挙公約に掲げていなかった。ところが民主党は政権の座に就くと消費税の増税を唐突に決定した。安倍首相が消費税増税(消費税率の%引き上げ)に関して非難されているのは増税の時期を先送りしないで昨年の10月1日に強行したためだ。

増税を先送りできなかったのは森友学園問題で安倍首相は財務省に大きな借りを作ったために増税の時期を先送りできない状況に追い込まれていたからである。

日本の首相が【政治的な遺産】を残すことは議院内閣制という制度上の制約もあってかなり難しいことは間違いない。   (おわり)

 

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2020年7月23日 (木)

日本経済新聞の7月の世論調査の結果に首相官邸内に衝撃走る

7月17~19日に実施された【日本経済新聞】の世論調査の結果に首相官邸内には衝撃が走っているという。

【日本経済新聞】の7月の世論調査の設問は「次の首相にふさわしい人」や「安倍内閣を支持しますか」といった毎月の恒例の設問の他に7月には「衆議院の解散」や【緊急事態再宣言」、「GO TOトラベル」に関する設問が加わっていた。

首相官邸サイドが衝撃を受けたとされる設問の結果は「次の首相にふさわしい人」に関するものである。昨年の12月以降の世論調査では安倍首相を抑えて石破茂元自民党幹事長がトップであった。ところがこの設問の回答を自民党支持者に限定すると安倍首相が30%に近い20%台後半の支持伊率で石破元幹事長に10%近い差をつけてリードしていた。

今回の調査結果によれば国民全体の支持率でトップに立ったのは石破元幹事長で26%(6月の調査より3ポイントプラス)、2位は小泉進次郎環境相で15%(前月と変わらず)、3位が安倍首相で12%(2ポイント減)、4位は河野太郎防衛相で9%(1ポイント増)、5位は岸田文雄自民党政調会長で5%(1ポイント増)、枝野幸男立憲民主党代表は5%で(1ポイント増)、7位は菅義偉官房長官で4%(1ポイント増)であった。

自民党支持者に限定すると1位は石破元幹事長で22%、2位は安倍首相で21%、3位小泉環境相で15%、4位は河野防衛相で14%、5位は岸田政調会長で7%、6位は菅官房長官で4%であった。僅差の1%とはいえ安倍首相が石破氏の後塵を拝したという事実は変わらない。このことに首相官邸の関係者は衝撃を受けたのである。8月の【日経】の世論調査でも石破元幹事長が1位となれば安倍首相は任期1年を残して一気に【レイムダック】(死に体)状態に陥る可能性が高まってきたのである。

国会終了後に取り沙汰され出した今秋の【衆院解散】に関して57%の回答者は「急ぐ必要はない」と回答している。【緊急事態再宣言】に関しては62%が「慎重に」と回答。【GO TOトラベル】に関しては80%が「早すぎる」と回答した。

今後の政局は全て「コロナウイルス感染拡大」次第であるが4連休初日の23日の全国の【新規感染者数】920人、東京都が366人とこれまでで最高を記録している。大阪府は22日と23日連続で100人超え、埼玉県は64人、愛知県は97人といずれもこれまでの最高の【新規感染者数】である。感染第2波が到来したことはもはや否定しようがないであろう。早すぎた【緊急事態宣言解除】は政府の判断ミスである。

安倍首相が自民党の選挙の顔にならなくなった以上安倍首が選挙に打って出る可能性はほぼなくなったと考えるべきであろう。今後、首相の支持率がV字回復しない限りは。   (おわり)

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2020年7月 9日 (木)

年内に衆院解散はあるのか

昨年末からの大手メディアの世論調査で「次の首相にふさわしい政治家は」という設問で1位の座を占めているのは元自民党幹事長の石破茂氏である。それ以前は安倍首相か小泉進次郎環境大臣であった。

日本は議院内閣制の国家なので与党第1党の代表者が内閣総理大臣に就任する慣例が出来上がっている。それ故に自民党が与党第一党である時期は自民党総裁が内閣総理大臣(首相)の座に就く。安倍首相が2度目の自民党総裁に就任する前までは自民党の総裁の任期は2期6年であったが、2018年9月の自民党総裁選前に自民党の総裁の任期の規定を2期6年から3期9年、4選禁止という規定に変更した。

それ故に【次の首相にふさわしい政治家は」という設問に対して安倍首相の名前が挙がること自体が問題なのであるがこれも安倍一強を喧伝してきたマスメディアの影響を国民の多くが受けている結果なのか判然としない。現時点での判断では安倍首相が4選出馬を決断する好材料はない。自民党の最高実力者と言われている二階俊博幹事長は安倍首相の総裁選4選出馬について「安倍内閣総理大臣から積極的表明(4選出馬)があって支援すべきであって私から伺いを立てるものではない。」突き放した表現をしている。

今年6月に実施された大手メディアの世論調査では、【次の首相に相応しい政治家】という設問で1位の支持を得たのが石破茂元自民党幹事長である。各メディアの調査結果は以下の通り。

【読売・日テレ合同調査】では①石破茂氏 26%、②安倍首相 15%、②小泉環境相 15%、④河野太郎防衛相 8%、⑤岸田文雄政調会長 3%。 【朝日】①石破氏31%、②小泉氏 15%、③河野氏9%、④岸田氏4%、⑤菅義偉官房長官 3%。(安倍首相は自民党総裁選出馬のハードルが高いので調査対象から除外)

【毎日】①石破氏 15%、②安倍氏 10%、③河野氏 7%、④小泉氏 5%、⑤岸田氏 2%、⑥菅氏1%。【産経・FNN】①石破氏 18.2%、②安倍氏 12.2%、③小泉氏8.8%、④河野氏 5.0%、⑤菅氏3.0%、⑥岸田氏 1.9%。

現在、永田町では【解散風】が吹いていると言われているが国民の人気が大きく下落している安倍首相の下での解散・総選挙では自民党は議席を大幅に減らす可能性が高いであろう。自民党が極秘裏に調査を依頼した次期衆院選の選挙予測では自民党は現有の284議席から66議席を失うという噂が駆け巡っていると一部のメディアが報じている。

法治国家を標榜してきた日本政府は安倍首相の再登場以降、次々と違法行為や脱法行為を繰り返してきた。その結果、自民党の現職の国会議員が1年間に3人逮捕されるという前代未聞の不祥事が発生している。さらに【コロナ禍】への対応の遅れが国民の怒りを増幅している。そうした国民の怒りを肌で感じる地方選挙区出身の自民党の現職の衆院議員は危機感を募らせ、安倍首相離れを起こしている。

【解散風】も震源地は首相側近たちであり、求心力を失いつつある安倍首相の求心力を高めようとする無駄な努力なのかもしれない。  (おわり)

 

 

 

 

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2020年6月28日 (日)

9月衆院解散説に信憑性はあるのか

【新型コロナウイルス】の感染拡大という状況下で国のコロナ対策は前例のない分野に踏み込んだために後手後手に回り、4月下旬以降、国民のフラストレーションは爆発寸前にまで達していた。そうした最悪の時期であった5月に実施された各種世論調査の結果安倍内閣の支持率は大幅に下落した。

【内閣支持率】の低い順から調査結果を並べると電話による回答とネットによる回答を併用している【選挙ドットコム】の調査では「安倍内閣支持は24.9%、不支持が48.8%、【毎日新聞】は支持が27%、不支持が64%、【朝日新聞】は支持が29%、不支持が52%、【テレビ朝日】は支持が32.8%、不支持が48.9%、【NHK】は支持が37%、不支持が45%、【共同通信】は支持が39.4%、不支持が45.5%、【読売新聞】は支持が42%、不支持が48%。【日本経済新聞】は支持が49%。

ところが中央紙やテレビのキー局などの調査は全国平均なので支持率は高くなる傾向にあるが地方紙の世論調査の結果はさらに厳しい。沖縄県の【琉球新報】の安倍内閣の支持率は18.7%,長野県の【信濃毎日】では支持率は18.6%である。沖縄県は自民党の支持基盤が弱いために内閣支持率は当然のことながら低い。

6月に入ると【特別定額給付金】の振り込みが日ごとに増加したために一般国民の政府に対する不信感は低下していたが6月18日に前法務大臣の河井克行氏夫妻が公職選挙法違反(買収容疑)で逮捕されたために再び安倍内閣に向ける国民の眼は厳しくなり【特別定額給付金】の効果は薄れた。

6月の各種世論調査の【安倍内閣支持率】は、【選挙ドットコム】は支持が0.1ポイント上がって25%、不支持が2.4ポイント上がって51.2%、【毎日新聞】は支持率が前月より9ポイント上がって36%、不支持は8ポイント下がって54%、【朝日新聞】は支持が2ポイント上がって31%、不支持が52%で横ばい、【テレビ朝日】は支持が0.9ポイント上がって33.7%、不支持が1ポイント上がって49.8%、【NHK】は支持が1ポイント下がって36%、不支持が4ポイント上がって49%、【共同通信】は支持が2.7ポイント下がって36.7%、不支持が4.2ポイント上がって49.7%、【読売新聞】は支持が2ポイント下がって40%、不支持は2ポイント上がって50%、

2つの調査結果を比較すると5月に低い内閣支持率を発表したメデメディァは6月には政府府に気を使い、一方、5月に高めの支持率を発表したメディァは6月には国民に配慮して支持率を低めにしたという構図が浮かんでくる。

【コロナ禍】によって安倍首相の求心力はかなり低下した。このまま手をこまねいていては安倍首相の求心力は一層衰え、安倍内閣は【レイムダック(死に体)に陥りかねない。それを避けるためか9月の衆院解散説が浮上している。

しかし、衆院解散は難しいであろう。昨年の年末頃から【次の首相にふさわしいのは】という世論調査の設問に対する回答では自民党の元幹事長石破茂氏が安倍首相を押さえていつも1位である。その差は10%程度である。自民党員間では安倍首相が1位であるが国民の間では石破氏が安倍首相をリードしている。つまり安倍首相は次回の衆院選では自民党の顔にはなりえない。安倍首相との2ショットのポスターを張る候補者は票が減りかねないリスクを冒すことになる。

安倍首相との2ショットのポスターよりも石破氏との2ショットのポスターが多くなるなどという屈辱に安倍首相は耐えられないであろう。私は衆院解散の噂は首相周辺の人たちが意図的に流しているフェイクニュースだと思っている。   (おわり)

 

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2020年4月21日 (火)

一律10万円の給付金の決定は安倍内閣支持率下落に歯止めをかけたのか

安倍首相が【改正新型インフルエンザ等特別措置法】に基づき【緊急事態宣言】を発出し、【緊急経済対策】を発表した4月第2週の週末(4月11~12日)に行われたマスメディアの世論調査の結果は少なからず安倍首相及び自民党幹部に衝撃を与えたと思われる。

自民党寄りで知られる【読売新聞】と【産経新聞】の世論調査で【内閣不支持率】が【支持率】を上回る逆転現象が起こり、しかもその差が5ポイント以上であったからだ。日本の政治に関する世論調査では最も信頼度が高いと言われている【共同通信】の4月11~12日の世論調査でも【内閣支持率】が40.4%に対して【内閣不支持率】は43%で2.6ポイント不支持率が上回ったのである。

この逆転現象が起こった原因は、【緊急事態宣言】が遅すぎたという不満と多くの国民が期待していた収入が大幅に減少した世帯には30万円を給付すると発表したが給付条件が厳しすぎて大半の世帯が受給対象から外れることが判明した結果、失望感が国民の間に広がったことである。

安倍首相は当初、国民一人当たり10万円を給付するつもりであったとされるが麻生太郎財務大臣と財務省の強い抵抗にあって財政負担が軽くて済む30万円給付を選択したと言われている。麻生大臣は2009年の首相当時に国民一人当たり1万2000円の【定額給付金】を配布している。ところが麻生大臣は大半の家庭が定額給付金を貯蓄に回したために経済対策にはならなかったという苦い経験の持ち主なので10万円の給付には反対したのである。だが今回は【緊急事態宣言】によって国民は【巣ごもり生活】を余儀なくされるので子育て世代の家庭では子供たちが休園や休校になって在宅となり、食費がかさむので給付金の大半は食料品を中心に消費に回される。麻生大臣の懸念は杞憂に終わる可能性が高い。

10万円の給付金は大半の国民には歓迎されている。18~19日に実施された【朝日新聞】と【毎日新聞】の世論調査では支持率と不支持率が拮抗する結果となった。【朝日】の調査では【内閣支持率】41%に対して【内閣不支持率】も41%、【毎日】では【支持率】41%に対して【不支持率】は42%であった。

もし安倍首相が国民一人当たり10万円の給付を決断しなかったならば反自民の旗色が鮮明な【朝日】と【毎日】の内閣支持率は30%台前半で【不支持率】は40%台半となり、10ポイント程度の差がついたと思われる。

国民一人当たり10万円の給付金は内閣支持率の大幅下落を食い止めたことになる。   (おわり)

 

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2020年4月16日 (木)

マスメディアの世論調査で内閣不支持率が支持率を上回る逆転現象が起こる

安倍首相は4月7日夕刻、【新型コロナウイルス】感染拡大防止対策のために【特措法】の基づく【緊急事態宣言】を行い、その後、政府は【緊急経済対策】を発表した。【緊急経済対策】の項目の中で国民の関心が高かったのが収入が激減した世帯に対する30万円の給付金であった。

【給付金30万円】の受給資格についての説明は、「世帯主の月間収入(本年2月~6月の任意の月)が、①新型コロナウイルス感染症発生前に比べて減少し、かつ年間ペースに引き直すと個人住民税均等割り非課税水準となる低所得世帯や、②新型コロナウイルス感染症発生前に比べて大幅に減少(半減以上)し、かつ年間ベースに引き直すと個人住民税均等非課税水準の2倍以下となる世帯を対象として、一世帯当たり30万円の給付を行う。」というものであり、この説明を読んで住民税に詳しい人以外に理解できる人はほとんどいないであろう。

自民党に好意的な記事を掲載すると言われている【読売新聞】と【産経新聞】(産経新聞・FNN合同)の世論調査が4月11~12日に行われた。【読売】の世論調査では【内閣支持率】は42%、【不支持率】は47%で【不支持率】が【支持率】を5ポイント上回った。

【産経・FNN合同】世論調査でも【支持率39%、【不支持率】44.3%で【不支持率】が【支持率】を5.3ポイント上回った。このような衝撃的な結果が出た原因は、「①【緊急事態宣言】が遅すぎた、②【緊急経済対策】の説明が分かり難い、③マスクの配布が感染拡大にどの程度役立つのかという疑問」という不満が大きかったからであろう。

4月10~12日に実施された【NHK】の月例政治意識調査では【内閣支持率】は39%、【不支持率】が38%で支持率がかろうじて【不支持率】を上回った。

【政党支持率】は【自民党】が安定していて【読売】では34%、【NHK】では33.3%。野党第一党の【立憲民主党】の支持率は、【読売】では5%、【NHK】では4%と低迷している。

日本にとって憂えるべき事態は【支持政党なし】が【読売】では44%、【NHK】では45.3%と政権政党の自民党の支持率を10%も上回っているという事実である。【支持政党なし】が40%を超えていることは日本の政治の現状に絶望している人が多いことを意味する。国会議員諸氏にはこの状況を深刻に受け止めてもらいたいものである。   (おわり)

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2020年2月25日 (火)

安倍首相は退陣に追い込まれるのか

日本の政界には【青木の法則】と呼ばれる内閣支持率と与党第一党の政党支持率に関する有名な法則がある。この法則の提唱者は、故竹下登首相の秘書から参院議員に転身し、現役時代は【参院のドン】と呼ばれ、今も政界に隠然たる影響力を持つと言われている青木幹雄氏である。

この法則の概要は、内閣支持率と与党第一党の政党支持率の合計の数値が50を下回ればその内閣の総理大臣は退陣に追い込まれるというものである。

2008年9月24日に誕生した麻生太郎内閣は発足当初から内閣支持率は低かったが、2009年の7月の【内閣支持率】と与党第一党の【自民党】の支持率は【NHK】の月例世論調査では【内閣支持率】は21%、与党第一党の【自民党】の【政党支持率】は24.9%と合計の数値は45.9%と50を下回っていた。【朝日新聞】の世論調査でも【内閣支持率】は18%、【自民党の支持率】は20%で合計で38であるからこれも50を割っていた。その結果、8月30日に実施された第45回衆議院選挙では自民党は歴史的な大敗を喫し、麻生首相は退陣を表明し、自民党は下野した。

ところで、2月22~23日に実施された【産経新聞】と【FNN(フジニュースネットワーク)】の合同世論調査によれば、【安倍内閣の支持率】は前回の世論調査(1月11~12日実施)よりも8.4ポイント減の36.2%、【内閣不支持率】は7.8ポイント増の46.7%となり、1年7カ月ぶりに安倍内閣の【不支持率】が【支持率】を上回った。【政党支持率】は与党第一党の【自民党】が前回調査より7.8%減の31.5%、野党第一党の【立憲民主党】が2.7ポイント増の8.6%でである。

【内閣支持率】と【政党支持率】の合計が67.9であるから【青木の法則】に当てはめれば安倍首相が退陣に追い込まれる可能性は現時点ではまだ低い。今月末から3月1日にかけて実施される見通しの【世論調査】の結果次第によって退陣の可能性がマスメディアによって取り沙汰されるかもしれない。

【産経・FNN合同世論調査】でも【次の首相にふさわしい政治家」とうい設問の回答では石破茂元自民党幹事長が前回より2.7ポイント増えて、21.2%、安倍首相が3.2ポイント減の15.0%、小泉進次郎環境相が5.9ポイント減の8.6%、河野太郎防衛相が4.4%、岸田文雄政調会長が2.4%、菅義偉官房長官も2.4%であった。

安倍首相は昨年12月以降3カ月連続でどのメスメディアの世論調査でも石破元幹事長の後塵を拝して、その差は徐々に広がっている。この状態が続けば次の衆院選では安倍首相は自民党の選挙の顔にはなり難いということになりなりかねない。   (おわり)

 

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2020年2月22日 (土)

激化している自民党内の権力闘争

英国の歴史家、思想家にして政治家であったジョン・アクトン卿は1887年4月5日付の英国国教会のマンダル・クライタン・ロンドン教区司教宛の手紙の中で「権力は腐敗する傾向にある。絶対権力は絶対的に腐敗する。されど民衆はさらに腐敗する。」と記している。

安倍晋三首相が2012年12月下旬に首相に返り咲いて以来7年2カ月の歳月が流れた。戦後に誕生した首相の中で安倍首相は最長の在任期間を誇っているが在任期間が長ければ長いほど権力者は腐敗し、権力者を取り巻く民衆はそれ以上に腐敗するのである。その好例が安倍首相が主催した数回の【桜を見る会】である。民衆は権力者に群がり、その利益の一部を享受する。

【桜を見る会】を巡る安倍首相の公私混同問題を国会で最初に取り上げたのは共産党の宮本徹衆院議員(48)(比例東京)で、昨年の5月13日の衆院【決算行政監視委員会】で【桜を見る会】の予算と決算を追求した。だがその追及をマスメディアは取り上げず不発に終わった。しかしながら11月8日に共産党の田村智子参院議員(54)が参院予算委員会で再び【桜を見る会】の疑惑を追及した。マスメディアも連日この疑惑を報じたため安倍首相は窮地に陥り、内閣支持率も下落することになった。

安倍首相が【桜を見る会】の疑惑で窮地に立たされた背景には安倍首相と菅義偉官房長官との間に【すきま風】が吹き出したしたために官房長官サイドが情報をリークしたという憶測が永田町では広まっている。それに対して菅官房長官が昨年9月の内閣改造で腹心の菅原一秀衆院議員と親密な関係にあると噂されている河井克行衆院議員を経産相と法相に就任させたが2人の閣僚は【公職選挙法】に抵触する疑いをマスメディアから指摘され、2人の閣僚は短期間で辞任を余儀なくされた。2人の閣僚の辞任の背景には首相官邸サイドからのリーク説が囁かれている。菅官房長官の政治的な影響力を殺ぐためである。

その後、【統合型リゾート】(IR)事業を巡る贈収賄容疑で秋元司前【IR担当】副大臣が逮捕されたり自民党には逆風が吹き荒れていた。このIR汚職事件に関する情報を提供したのも官邸サイドであると言われている。

昨年の後半に起きた自民党がダメージを受けた政治的な事件は安倍首相・麻生太郎財務相対二階俊博自民党幹事長・菅官房長官の権力闘争なのである。【桜を見る会】の問題が一向に収束する気配を見せないのは菅官房長官に恩義を感じている一部官僚がリークを続けているからだと噂されている。自民党内の権力争いの終焉は予測困難である。   (おわり)

 

 

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2020年2月17日 (月)

強固な自民党支持基盤に支えられ内閣支持率が危険水域の30%を割らない安倍内閣

【日本経済新聞】、【朝日新聞】、【毎日新聞】を除く大手マスメディアの2020年2月の世論調査の結果が判明した。

2月1~2日に実施された【JNN(TBSテレビ)】の世論調査では安倍内閣の【支持率】は前月より2.3ポイント下がって49.8%【不支持率】は2.0ポイント上がって46.8%であった。【政党支持率】は、【自民党】が前月比で0.4%減の38.2%、【立憲民主党】が1ポイント減の4.8%、【支持政党なし】が2.8ポイント増の41.7%である。反自民の野党の6党の支持率の合計が11%であるからこれでは次期衆院選でも自民党と安倍内閣によほどの異常事態が起こらない限り反自民の野党の勝利は覚束ない。

2月6~7日に行われた【時事通信】の世論調査では【内閣支持率】は前月比で1.8ポイント減って38.6%、【内閣不支持率】は前月比で2.8ポイント増えて39.8%。この世論調査の結果が異色なのは政党支持率で自民党支持率が24.3%(前月比マイナス0.6ポイント)で他の調査よりも14~16ポイント程度低く、その結果、【支持政党なし】が他の調査が40%前後であるのに対して60.3%という異常な高さなのである。2月7~10日の【NHK】の世論調査では【内閣支持率】が45%、【不支持率】は37%、【政党支持率】は【自民党】が37.4%、【立憲民主党】6.0%、【支持政党なし】は38%。

2月14~16日の【読売新聞】の調査結果では【内閣支持率】は47%(前月比で5ポイントの減少)、【内閣不支持率】は41%(前月比で4ポイントの増加)。【政党支持率】は【自民党】が40%(前月比で1%減少)、【立憲民主党】が5%(前月比で1.2ポイント減)、【無党派】が39%であった。

2月15~16日の【ANN(テレビ朝日)】の世論調査では、【内閣支持率】は前月比で5.6ポイントのマイナスの39.8%、【内閣不支持率】は前月比で6.6ポイントプラスの42.2%で不支持率が支持率を上回った。同時期に行われた【共同通信】の調査によれば【内閣支持率】は前月比で8.3ポイント減少して41.0%、【内閣不支持率】9.4ポイント増加して46.1%。【産経新聞・フジテレビ】の調査結果では、【内閣支持率】は前月比で1.9ポイント減って43.2%、【内閣不支持率】は前月比で2.6ポイント増えて40.3%であった。

日本の大手マスメディァは世論調査に関しては親自民と反自民に分かれ、親自民は【NHK】、【読売新聞】、【産経新聞】、【日本経済新聞】、【日本テレビ】、【フジテレビ】、【テレビ東京】、反自民は【朝日新聞】【毎日新聞】、【テレビ朝日】、【TBSテレビ】という色分けが定着している。ニュース配信会社の【共同通信】と【時事通信】は中立的立場と言われている。【内閣支持率】が【不支持率】を上回っているのは親自民のメディアであり、【内閣不支持率】が【支持率】を上回ったのが反自民のメディアである。

2月の各メディアの世論教唆の結果は国会論戦が本格化していなかった第1週と第2週の世論調査では安倍内閣の支持率は前月とさほど変化をしていなかった。安倍内閣の支持率が大きく下がったのは国会の論戦が本格化した第3週に入ってからである。月末に実施される【日本経済新聞】の調査結果に筆者は注目している。   (おわり)

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2020年1月30日 (木)

潮目が変わった安倍首相後継争い

盤石と思われた安倍首相の自民党内の基盤に歪(ひずみ)が目立ちだした。その発端となったのが昨年11月8日の日本共産党の田村智子参院議員の参院予算員会での内閣総理大臣主催の【桜を見る会】の私物化疑惑の追及である。【桜を見る会】の安倍首相の私物化疑惑は昨年4月に東京新聞が報じ、5月には同党の宮本徹議員が国会で質問している。だがその時は他のマスメディアは後追い取材をしなかった。

【桜を見る会】の私物化疑惑の火消しに失敗したのは安倍首相のぶら下がり会見での説明が二転三転したからである。後処理を菅義偉官房長官に首相が委ねていれば問題は大きくならなかったかもしれない。だが安倍首相と菅官房長官の間にはこの時期には隙間風が吹いていたのである。NO2は黒子に徹すれば権力を維持できるが表に現れようとすればNO2はその座を失う可能性が極めて高い。

菅官房長官は【令和のおじさん】として国民の人気が高まるとポスト安倍の首相の座を狙いはじめ、無派閥議員を中心に派閥(菅グループ 衆院6、参院3)を結成し、昨年9月の内閣改造では腹心の管原一秀衆院議員(東京9区)を経産相に、無派閥の河井克行衆院議員(広島3区)を法相に入閣させた。しかし、管原経産相と河井法相は辞任に追い込まれた。

昨年9月に実施された日本経済新聞の世論調査での【次期首相にふさわしい人物】という設問に対する回答では小泉進次郎環境相が1位の20%、2位は安倍首相で16%、3位が石破茂元幹事長で15%であった。1位となった小泉環境相は内閣改造前(8月30日~9月1日)の調査の29%から9ポイント減らしている。小泉氏の政治手腕に疑問符を付けた回答者が約3分の1いたということであろう。

【選挙ドットコム】が11月9~10日に実施した世論調査の【次期首相にふさわしい人物】への回答は、電話調査では①石破氏27.40%、②安倍首相26.20%、小泉氏20.60%、④菅氏8.80%。同ネット調査では①安倍首相29.90%、②小泉氏24.40%、③石破氏22.20%、④菅氏10.00%であった。

12月の【日本経済新聞】の世論調査では、1位石破氏20%、2位小泉氏17%、3位安倍首相15%、4位河野太郎防衛相9%、5位菅氏5%、自民党支持層では1位安倍首相25%、2位石破氏17%、3位小泉氏16%、内閣不支持層では1位石破氏31%、小泉氏25%、野党支持層でも1位は石破氏で27%、2位は立憲民主党の枝野幸男代表の22%。

今年の1月25~26日の日本経済新聞の世論調査では1位石破氏25%、2位安倍首相17%、3位小泉氏11%であった。

安倍首相は【桜を見る会】私物化に疑惑とIR汚職問題抱え、小泉環境相は不倫のホテル代金の政治資金流用疑惑で苦境に立たされている。今後、世論の動向に敏感な無派閥議員を中心に自民党内でも石破氏支持が拡大する流れができかねない。   (おわり)

 

 

 

 

 

 

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