カテゴリー「6国政を斬る」の記事

2019年9月11日 (水)

アベノミクスは日本経済の活力を取り戻したのか

当初の予定では9月10には第5次安倍内閣の閣僚名簿を発表する予定であったが諸般の事情により閣僚名簿の発表は11日にずれ込んだようである。前回の内閣改造(2018年8月2日)での初入閣者は12人であったが今回の内閣改造での初入閣者は5人増えて17人となる予定である。ところで、「政界は一寸先は闇」という表現がまかり通っているが新入閣者が13人という大盤振る舞いは政界の一部に燻っている「安倍首相の4選はない」ことを意味する。

2009年9月~2012年12月までの約3年3カ月間の短命に終わった民主党政権時代、日本は【円高】と【株安】に悩まされていた。民主党の野田佳彦首相が退陣を表明した12年11月16日の円/ドル相場は1ドル=81円44銭で同日の【日経平均株価】の終値は9024円16銭であった。ところが12月に実施された衆院選で自民党が圧勝して政権復帰し、第2次安倍内閣が誕生した12月26日の円/ドル相場は1ドル=85円35銭と4円91銭の円安となり、【日経平均株価】も自民党の政権復帰を市場は歓迎して12月26日の株価の終値は40日間で約1026円値上がりした10230円36銭となった。

第2次安倍倍内閣の経済政策は【アベノミクス】と呼ばれているがその特徴は大幅な【金融緩和】である。具体的には市中の金融機関が保有している10年物の【長期国債】を日本銀行が年間約80兆円規模で買い取ったのである。この結果、市中に貨幣が溢れ、円安となり、余剰の資金が株式投資に向かい、株価は上昇し、【円安】・【株高】の民主党政権時代とは真逆な状況が生まれたのである。

日本経済は2008年秋に発生した【リーマンショック】と2011年の【東日本大震災】の勃発によって2007年~2012年の6年間の経済成長率の変動幅は大きかった。2007年の経済成長率は+1.65%、08年が-1.08%、09年が―5.42%,2010年が+4.19%、11年が-0.12%、2015年が1.50%である。

安倍内閣が本格的に始動した2013年の成長率は合格点の2.0%であったが14年は消費税率の3%引き上げが要因となって成長率は0.3%と低迷し、15年には少し回復したものの成長率は1.22%、16年は0.61%、17年が1.98%と合格ラインに近付いたが18年は米中貿易戦争の余波でまた経済は失速し、成長率は0.81%、19年は【IMF】の予測によれば0.98%である。

この成長率の数字から判断する限り【アベノミクス】が日本経済の成長に寄与したとは言い難い。【米中貿易戦争】が終焉(短期的には解決不能の可能性が高い)しない限り日本経済の復活も望み薄である。このまま成長率の低迷が持続すれば日本経済は【失われた30年】と言われかねない。  (おわり)

 

 

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2019年8月29日 (木)

内閣府企業主導型保育施設の助成金不正受給防止に乗り出す

2016年から始まった企業が主として従業員のために保育所を整備・運営する企業主導型保育事業で助成金の不正受給が後を絶たないことからこの事業を推進している【内閣府】は、【助成金の不正受給】を防止する対策として内閣府が委託した助成金の審査機関を現在の内閣府管轄の公益財団法人【児童育成協会】から他の機関に移行させることを決定した。新た委託する審査機関は公募する。

【助成金不正受給】の悪質な例は、福岡市の経営コンサルタント会社【WINカンパニー】社長・川崎大資容疑者(51)が【助成金】の申請代行をした12施設が約12億円の【助成金】を【不正受給】していた例である。【不正受給】を発見した【児童育成協会】は合計約12億円の返還を川崎容疑者らに命じていた。

東京地検特捜部は今月(8月)13日、12施設のうち5施設への【助成金】約4億8000万円に関して川崎容疑者などを詐欺罪などの罪で追起訴した。このような詐欺事件が起こった原因は【助成金】審査業務を委託された【児童育成協会】が保育所に関する業務は未経験で人手不足を認識していながら業務を受託したことに尽きる。

【助成金】は、2016~2018年の3年間で予算は3800億円であり、保育所開設時の工事費用の【整備費】と毎月支給される【運営費】に分かれる。【運営費】は施設利用者数に応じた【基本額】と家賃や延長保育などの実績に対して支払われる【加算額】の2種類。年間で1200億円にも及ぶ巨額予算を消化するために審査を担当する職員の不足もあって【助成金】審査が厳格ではなかったのであろう。

国の新規の事業はどうしても想定外の事態が発生するリスクが高く、悪徳事業者に制度の弱点を突かれ、【補助金】や【助成金】がだまし取られる事件が多発する事例が多い。民主党政権時代に始まった事業用太陽光発電の買取価格制度の時も実際に太陽光発電事業を開業する意思はないのに、資産価値の低い未利用地に太陽光発電パネルを設置する計画の下に電力会社の系統接続許可を得て系統接続権付で2足3文の土地を転売して数千万の利益を得た不動産業者が続出した。

政府は新規事業を開始するに際して2~3年は計画を練り上げる時間を確保し、税金をだまし取られない措置を講じるべきであろう。   (おわり)

 

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2019年8月21日 (水)

企業主導型保育所の助成金不正受給を根絶せよ

2016年の通常国会の【予算委員会】で当時の民進党所属の山尾志桜里議員が、我が子が保育園に入園できず職を失った埼玉県在住の主婦の「保育園落ちた。日本死ね。』という衝撃的なブログの一節を取り上げ、政府に【待機児童問題】への真剣な対応を求めた。このブログに同じ悩みを抱える全国の主婦が共感を示し、政府としても【待機児童】解消に本格的に動き出さざるを得なくなった。

【待機児童数】が増加している原因は、大都市圏では保育園を新規に開設するための土地の確保が困難なことと保育士の給与水準が他の職種に比べて低いため保育士の確保が難しいことである。土地の確保に関しては自治体は保有している公有地や公園の活用に踏み切った。保育士の待遇改善には政府は補助金を出すという処置を実施した。一部の自治体もこれに呼応して補助金を決定している。さらに保育所の認可基準を緩和して保育所の新設のハードルを下げている。

そうした施策の実施によって全国の【保育所等の定員】は、2015年が250万6879人、2016年が260万4210人、2017年が270万3355人、2018年が280万0579人と年々約10万人づつ増加している。それに対して【保育所等施設】の利用者数は2015年が237万3614人、2016年が245万8607人、2017年が254万6669人、2018年が261万4406人とこれまた増え続けている。

ところで、問題となっている【待機児童数】は、毎年4月1日の時点では2015年が2万3167人、2016年が2万3553人、2017年が2万6081人,2018年が前年より6186人減って1万9895人となった。

【待機児童数】が最も多いのが東京都であるが東京都の【待機児童数】は、2015年が8466人、2016年が8586人、2017年が5414人、2018年が3690人と小池知事誕生2年後から【待機児童対策】に積極的に取り組んできた効果が表れ、【待機児童数】は半減した。東京都の豊かな財政力によって東京都は国以上の補助金を保育士に支給することによって保育士の確保が容易になったためであろう。

政府は2016年から【待機児童数削減】のために【企業主導型保育所】新設推進事業を開始した。この事業を担当するのは内閣府の外郭団体の公益財団法人【児童育成協会】で、その業務は新設施設の助成の決定とその後の監査を行う。3年間で1420カ所の【企業主導型保育所】が開設されたがその入所率は60%程度で、しかも【待機児童】がいない地域の施設にも助成を決定している。

保育所の運営に通暁していない数少ない職員が【企業主導型保育所】の助成を担当しているために【助成金不正受給】のうわさが後を絶たない状況が生まれている。担当者を増強して【助成金不正受給】を根絶しなければならない。

 

 

 

 

 

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2019年6月26日 (水)

昨年度の税収バブル最盛期の税収60兆1000億円を3000億円上回るが景気の本格的な回復を意味しない

政府は2018年の一般会計の税収を当初59兆9000億円台と見込んでいたが精査した結果60兆4000億円台であることが判明した。この税収額はバブル最盛期の1990年の一般会計の税収60兆1000億円を約3000億円上回り、史上最高となった。これは所得税の税収が増えたことに起因すると思われる。

バブル最盛期の1990年の税収は60兆1000億円であったがその税収の3本柱の【所得税】が約26兆円で前年比で4兆6000億円増え、【法人税】は18兆3800億円で前年の19兆円から4000億円減り、消費税は4兆6200億円で前年より1兆3500億円増えていた。昨年の税収の内訳は公表されていないので2017年の税収と比較すると、2017年の【所得税】は18兆8800億円、【法人税】は12兆円、【消費税】は17兆5100億円で、【所得税】は1990年に比べると7兆1200億円の減収、【法人税】は6兆3800億円の減収、【消費税】は12兆8900億円増収である。つまり所得税と法人税の減収分13t兆5000億円をほぼ【消費税】の増収分で補ったということになる。

【所得税】と【法人税】の大幅な減収には明白な理由がある。バブル期の所得税の最高税率は70%であったが現在では45%に引き下げられている。【所得税】の課税対象となる日本の所得はほぼ250兆円であるが各種の控除額を差し引くと課税対象となる所得は約110兆円である。【法人税】の税率はバブル期は約40%であったが現行の税率は23.2%にまで引き下げられている。高率の法人税率では日本の企業は国際競争力を失うために税率を引き下げたのである。【消費税】の増収もまた税率が深く関係している。バブル最盛期の消費税率は3%であったが2014年以降は税率は8%に引き上げられている。税率5%の差は大きいのである。

景気の回復のバロメーターは個人の消費の伸びでそれを反映するのは【消費税収】の伸びである。【消費税率】が8%になった翌年の2015年の【消費税収】は17兆4263億円、16年が17兆2282億円、17年が17兆5139億円と3年間で876億円しか増えていないのである。個人の消費が伸びない以上景気が回復したとは言い難いであろう。

個人消費が伸びない原因は日本は【非正規労働者】の比率が37%台と国際的に高いのである。日本は終身雇用制度にメスを入れる時期が来たのであろう。   (おわり)

 

 

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2019年6月17日 (月)

金融機関の金融商品販売にお墨付きを与えた金融庁金融審議会の報告書

金融庁の諮問機関である【金融審議会】は6月3日、【高齢社会における資産形成・管理】と題する「金融審議会市場ワーキング・報告書』を発表した。この報告書で問題視されたのは「高齢者夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は5万円となっている」と「30年で約2000万円の取り崩しとなる」である。

【高齢者夫婦無職世帯】の家計の支出が毎月約5万円赤字になるという根拠になる資料は2017年の総務省の【家計調査】だ。【収入】は19万1880円の社会保障給与(厚生年金)とその他収入9041円の合計20万9198円、実支出は26万3718円で赤字額は厳密には5万4520円である。【高齢者夫婦無職世帯】の平均総貯蓄額は2484万円であるから現在の生活水準を落とさずに30年間生活をできることに数字の上ではなっている。但し物価の上昇率を無視しているので疑問は残るが。その上、現時点で95歳まで生きる高齢者はそれほど多いとは思えないので報告書はあくまで参考程度と考えるべきであろう、

この報告書の受け取りを麻生財務相兼金融担当相は拒否した。何とも腑に落ちないので調べてみると内閣総理大臣や金融庁長官、財務相の諮問を受け、【金融審議会】が開かれたわけではないので【高齢社会における資産形成・管理】と題する報告書は正規な報告書とは言えず麻生財務相がこの報告書を受け取るいわれはないということが判明した。

金融庁の諮問機関である【金融審議会】は金融庁設置法に基づいて設置され、その役割は【内閣総理大臣、長官又は財務大臣の諮問に応じ、国内金融に関する制度等の改善に関する事項その他の国内金融等に関する重要事項を調査審議し」と規定されている。

それにしてもこの時期に唐突に正規な手続きを踏んでいない【金融審議会】を開催して【年金問題】に関する報告者を作成して公表したのであろうか。筆者の独断であるが消費税率引き上げ問題と密接に絡んでいると思われるのである。現時点では10月1日からの消費税率の10%への引き上げは9月中旬まで様子見をすべきだと筆者は考えている。米中貿易戦争の行方が判然としないからだ。米中貿易戦争が長引けば中国と表裏一体の関係にある日本の自動車以外の製造業は大打撃を受け、日本の経済成長率をマイナスにする可能性すら浮上する。

そのことを理解している財務省は金融庁と結託して年金問題で国民の不安を煽り年金問題の解決には消費増税が不可欠という国民世論を醸成したいのであろう。さらに金融機関の監督官庁の【金融庁】は年金の不安を煽って金融機関の金融商品の販売拡大を支援しようとしているのである。   (おわり)

 

 

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2019年5月30日 (木)

ガーデンツーリズム(庭園めぐり観光)登録制度は訪日外国人客数のさらなる増加に寄与するのか

内需拡大策の一環として国土交通省は2003年から外国人誘客のキャンペーン【ビジット・ジャパン】を開始した。2008年の【リーマンショック】と2011年の【東日本大震災】の勃発によって【訪日外国人客数】はその翌年には減少したがそれを乗り越えてきた。【訪日外客数】が初めて1000万にを超えたのは2013年でそれ以降、2015年は【非日外客数】は1341万3400人、15年が1973万7400人、16年が2400万9700人、17年が2869万1000人、18年が3119万1900人と伸び率は下降しているが【訪日外客数】は拡大の一途を辿っている。今年の1~4月までの累計の【外客数】は1051万9380人であるから昨年を上回る可能性はかなり高い。

【外客数】の大幅増に伴い【【訪日外客】の日本国内での旅行消費額は2014年は2兆0305億円であったが2018年は2倍以上の4兆5189億円となった。日本人の国内旅行消費額は18年が20兆5000億であるから18年の旅行消費額は21兆円となり、GDPの約4割近くを占めることとなった。【ビジット・ジャパン】は成功したということになる。

第二次安倍内閣の【訪日外客数】の当初の目標は2000万人にであったが4年でその目標を達成している。【国土交通省】は2000万人達成のプランの一つとして【ガーデンツーリズム】を検討していたが今年4月に【ガーデンツーリズム登録制度】(正式名称【庭園間交流連携促進計画登録制度】)を創設して、5月に開催した【第1回有識者審査会】において6つの地域の公園や庭園を巡る【ガーデンツーリズム】の取り組みを登録することを決定した。

登録された地域は①【北海道ガーデン街道】、②横浜市の【ガーデンネックレス横浜】、③静岡県の【富士・箱根・伊豆『皇室ゆかりの庭園』】ツーリズム、④新潟県の【にいがた庭園街道】、⑤静岡県西部浜松市の【アメイジングガーデン・浜名湖】、⑥宮崎県宮崎市の【宮崎花旅365】の6地域である。

筆者の独断であるがこの6つの地域で欧米人の間で人気が沸騰しそうなのが①の【北海道ガーデン街道】と④の【にいがた庭園街道】である。【北海道ガーデン街道】は大雪―富良野―十勝を結ぶ全長約250kmの街道で、街道沿いに8つの周囲の自然と一体化した素晴らしい庭園が存在する。8つの庭園は、【大雪森のガーデン】(上川町)、【上野ファーム】(旭川市)、【風のガーデン】(富良野市)、【千年の森ガーデン】(清水町)、【真鍋ガーデン】(帯広市)、十勝ヒルズ【丘の上ガーデン】(幕別町)、紫竹ガーデン(帯広市)、【六花の森】(河西郡中札内村)で、日本庭園があるのは真鍋ガーデンだけで後の庭園はブリテイッシュスタイルで、ガーデンツーリズム発祥地のイギリスではこれらの庭園は高く評価されている。

【にいがた庭園街道】は村上市を起点とする新潟市までの全長約150kmの国道290号線である。この街道周辺は江戸時代~昭和初期にかけて日本有数の大地主(1000町歩以上を所有)であった豪農邸宅と日本庭園、見事な庭園のある寺院が集中している。さらに日本を代表する穀倉地帯なので日本の原風景とも言える里山や水田、棚田、集落や山々が続く潤いのある光景は訪れる欧米人を魅了すると思われる。

この登録制度によってこれからも【訪日外客数】は増え続ける可能性が高まったと言えるであろう。   (おわり)

 

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2019年5月22日 (水)

日米物品貿易協定交渉において日本政府は日本車の米国への輸出台数制限を受け入れるのか

2019年4月15~16日の両日にわたり【日米物品貿易協定交渉】の第1回の閣僚級会合が米国の首都ワシントンで開催された。出席者は日本側が茂木敏充経済再生大臣、米国側がハードなネゴシエイターとして知られるロバート・ライトハイザー米通商代表部代表であった。会談は双方の立場を主張しあっただけで終わった。米国が重要視している品目は【農産物】と【自動車】である。この2つの生産の中心地は、中西部から東海岸にかけての米国の穀倉地帯とラストベルト(寂れた工業地帯)が重なっている地域で、トランプ大統領誕生に大きく貢献した地域である。

2000年代前半までは世界の【自動車産業】をリードしていたのは米国で米国の【GM】(ゼネラルモーター)、【フォード】、【クライスラー】はビッグ3と呼ばれ他国のメーカーの追従を許さななかった。米国民の誇りであったビッグ3の凋落の契機となったのは2008年秋に起こった【リーマンショック】である。37年間、販売台数世界一の座に君臨してきた【GH】は破綻して、一時国有化され、【クライスラー】はイタリアメーカーの【フィアット】の傘下に入った。

昨年、【GM】は世界の7つの工場を閉鎖すると発表し、【フォード】は1昨日、世界の従業員の約10%に該当する7000人を解雇すると発表した。【クライスラー】も今年に入って主要市場の米国と中国で販売台数を減らしている。

今や世界の自動車産業をリードしているのは日本の乗用車メーカー8社(トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、マツダ、スバル、三菱、ダイハツ)である。日本8社の2017年の世界生産台数は2847万0284台、2018年が2850万7298台で、国内生産が約1000万台、海外生産が約1900万台である。今後、海外生産は中国、東南アジア、インドを中心さらに増えるであろう。

トランプ大統領は日本やEUに対して25%の関税を上乗せする意向を示していたが米国市場が縮小傾向に陥っている現況から日本メーカーの米国への投資は多くを望めないと判断したと思われる。ここ数日の米国メディアはトランプ大統領は日本車の輸出台数制限を【日米物品貿易協定交渉】で要求するであろうと報じている。

日本メーカーは幾度となく米国政府の干渉に妨害されてきたがその都度企業努力によって日本車の販売台数の拡大を図ってきた。2018年の米国の新車販売台数は1772万台であったが、日本車は日本メーカー6社で663万台販売した。新車販売台数の37.1%が日本車であった。日本からの輸出台数を制限されてもメキシコやカナダなどから輸出して補えば販売台数は確保できるがトヨタは従業員や傘下の部品メーカーのために国内生産台数の下限を300万台に設定している。2017年のトヨタの北米向けの輸出台数は71万5000台であった。

日本政府は国内の農業を保護するために再度日本の自動車メーカーを犠牲にするのであろうか。輸出台数の制限を受け入れれば最も影響を受けるのは【トヨタ】と【スバル】である。   (おわり)

 

 

 

 

 

 

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2019年5月20日 (月)

世界標準から外れている日本の最低賃金

5月14日に開かれた政府の【経済財政諮問会議】で民間議員の一人サントリーホールディングスの新浪剛志社長が最低賃金の5%程度の引き上げを求めたことが議事録から判明し、注目を集めている。【最低賃金】とは雇用主が支払うことができる賃金の下限を定め、その限度額以上の支払いを法的強制力を以て義務付ける制度である。

パリに本部を置き、加盟国の経済発展や開発途上国への経済援助などを目的とする国際機関【OECD(経済協力開発機構】の資料によれば、オランダを100とする【購買力平価】に対する最低賃金の国際比較は【フランス】が96.3%、【英国】が90.1,【カナダ】が89.9、【米国】が79.5、それに対して【日本】は65.2と最も低い。中間賃金に対する最低賃金の比率でも、【フランス】が60.0%、【オランダ】が47.1%、【英国】46.1%、【カナダ】が45.0%、【米国】が38.8%に対して【日本】は37.0%とここでも日本は最低である。つまり日本の最低賃金は先進国の中ではイタリアを除けば一番低い。但し日本の物価は先進国の中では低い部類に入るので一概に非難はできない。

【最低賃金】の決定の仕方は以下のように3通りある:①ドイツに代表される【労使間の労働協約】、②米国の法定最低賃金、連邦政府の公正労働基準法と9割の州が定めた州別【最低賃金】を加味して決定する。③公労使三者構成の審議会で決定する。

日本では厚労省の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)の審議によって決まる。日本の【最低賃金】が国際的に異常なのは地域によって最低賃金が異なることだ。因みに2018年10月1日から導入された【最低賃金】の全国平均は874円であるが1位の東京は最低賃金は985円、2位の神奈川県が983円、3位の大阪府が936円、筆者の住む栃木県は13位で826円、最低の31位の鹿児島県の最低賃金は761円と東京都とは時給で224円もの差がある。地域別の【最低賃金】決定は東京、神奈川への一極集中を促進するという皮肉な結果に終わっている。この地域格差を是正しようという動きが当然のことながら国会議員の間で広がっている。

最低賃金の引き上げは内需の拡大を意図しているのであるが地域別最低賃金の引き上げではさしたる効果は望めないと思われる。痛みを伴うが全国均一の【最低賃金】を目指すべきであろう。さらにその先には日本は終身雇用制度に決別して非正規雇用の比率を引き下げることを視野に入れるべきであろう。約4割の非正規雇用はあまりにも異常である。   (おわり)

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2019年4月24日 (水)

設置企業の真剣度が問われる企業主導型保育所

東京都の23の特別区をはじめとして人口が増え続けている大都市圏では【待機児童】問題は行政が解決すべき喫緊の課題であった。その【待機児童問題】の解決の切り札として政策化されたのが【企業主導型保育所】の設置である。この【企業主導型保育所】は地方自治体にとっては【待機児童】の解消に寄与するし、設置する企業にとっては従業員の確保を容易にし、定着率を高め、従業員の福利厚生の充実に役立つ。さらに保育児童を抱える保護者にとっても深夜時間や短時間の託児が可能などという利点があった。この制度がうまく機能すればであったが。

【企業主導型保育所】の事業費は2016~18年度の3年間で約3800億円が【施設整備費】や【運営費】名目の助成金として【企業主導型保育所】に支払われている。2018年1月31日の時点で新設された施設は2190施設で定員は50万0091人分であったが11月30日の時点では407施設増えて2597施設となった。助成金の支払額の一例を挙げれば東京都の23区内で新設する場合、定員12人、保育士比率50%以上で【施設整備費】が8000万円、【運営費】が2600万円である。

【企業主導型保育所】が3年間で約2600も新設された原因は都道府県の監督を受けることなく、申請すれば施設の設置を認められたこと、認可保育園より人員(保育士)の配置基準が緩和されたこと、助成金を支給する権限を与えられた内閣府管轄の公益財団法人【児童育成協会】が施設数を増やすことと事業費を消化することを優先させたためチェックが厳しくなかったことなどが挙げられる。

施設の【質】より【量】を追求した結果、【企業主導型保育所】は多くの問題が噴出し、国会でも取り上げられることとなった。国の税金の使途を精査する【会計検査院】が【全国200の企業主導型保育所】を調査した結果、開所から1年以上経過しても定員の半数以下の施設が72カ所と3割を超え、定員が20%未満という施設は27施設で国の助成金などの効果が表れていないことが判明した。この調査結果を受けて会計検査院は内閣府に改善を要請した。

企業側は施設を作りはしたがその運営を【パソナ】などの保育施設運営業者に運営を委託したために、委託業者は利用者の要望を優先することなく利益を優先したために、保育士の待遇は悪く、保育士不足に陥り、利用者からはそっぽを向かれたのである。設置企業自らが運営に携わることなくして定員の充足率の向上はない。   (おわり)

 

 

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2019年4月19日 (金)

安倍首相の側近萩生田自民党幹事長代行が消費税率引き上げ延期を示唆する発言を個人的見解と弁明

安倍晋三首相の側近中の側近の一人というマスメディアからの評価を得ている萩生田(はぎゅうだ)光一自民党幹事長代行は4月18日の【DHCテレビ】のネット番組で「6月の数字(7月1日に発表される日銀短観=企業短期経済観測調査)をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かって皆を連れていくわけにはいかない。違う展開はあると思う。」と述べ、【日銀短観】を含め各種の指数に景気悪化の兆しが見えた場合には【消費税率の引き上げ】延期もありうるとの見解を示唆した。

この【萩生田発言】に対して麻生財務大臣、菅義偉官房長官や経済3団体の一つの【日本商工会議所】の三村明夫会頭などから批判的な見解が続出して萩生田氏は19日に釈明会見を開き、「安倍総理大臣と意思の疎通をしたわけではなく、政治家的として私個人の見解だ。政府の方針に異議を唱えたつもりはない】と弁明した。政府与党の幹部は時折、世論の反応をみるためにアドバルーン発言を行うのが常套手段で、当然のことながら安倍総理の了解は得ているのであろう。

2014年4月1日から消費税率が5%から8%に引き上げられたがその際に財務省は消費税対策は十分に行ったので税率引き上げ後に景気が悪化する可能性は極めて低いと安倍首相を説得して消費税率引き上げに成功した。しかし、景気はその後減速してた。前例があるので安倍内閣は消費税率引き上げには慎重なのである。そのために安倍首相は2回消費税率10%への引き上げを延期してきた。

10月1日に予定通り消費税を10%に引き上げた結果、経済状況が悪化すれば安倍内閣は任期を2年を残して【レイムダック(死に体)】化する可能性がある。古今東西の歴史を紐解けば解るように権力者が引退を明言した時から求心力が急激に衰えるのである。歴史に名を残したい安倍首相は引退寸前まで求心力を維持したいのであろう。あるいはロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席のように長期政権を夢見て自民党総裁4選を視野に入れているのであろうか。

ともかく、萩生田発言は政界に波紋を広げたことになる。消費税率引き上げ延期の際には国民の信を問う必要があるとも萩生田氏は言及している。衆参同日選を示唆する発言で野党にブラフをかけているとも考えられる。   (おわり)

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