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2019年12月 4日 (水)

トランプ大統領支援と桜を見る会の疑惑隠しのために日米貿易協定国会承認を急いだ安倍内閣

日米物品貿易協定が12月4日午前に開かれた参議院本会議で自民党・公明党と日本維新の会の賛成多数によって承認された。今後、政府は日米貿易協定の2020年1月1日の発効を目指す。

ドナルド・トランプ米大統領は2017年1月の就任早々に【TPP】(環太平洋経済連携協定)からの離脱を表明し、【TPP】参加の11カ国と個別の2国間の【EPA】(経済連携協定)の締結に戦略を方針転換をした。トランプ政権の通商関係者たちは、米国が【TPP】から離脱すれば【TPP】が瓦解すると踏んでいたのである。ところが2国間の【EPA】協議となれば米国の強引な交渉によって国益が損なわれると危惧した日本政府が主導して離脱した米国を除いた11カ国による【TPP11】を発効させた。

米国の主要な輸出品の一つが農産品、その中でも食肉は重要な輸出品であり、米国産牛肉の2018年の世界輸出量は143万1251トンで世界第一位である。米国産牛肉の最大の輸出先は日本で、日本の輸入量は39万9458万トンであった、第2位が【オーストラリア】で30万3000トン。牛肉世界輸出量110万9000トンのオーストラリアにとっても日本は輸出先としては第一位である。

日本の現行の牛肉に対する輸入関税は38.5%であるが2018年12月30日に発効した【TPP11】の加盟国のオーストラリアやカナダ、ニュージーランドの輸入関税は2018年4月から26.6%に引き下げられ、【TPP11】に不参加の米国の輸入関税の38.5%との差が11.9%と開いたことによってカナダ産牛肉の2018年の日本の輸入量は31%前年比で増えた。これを放置できなくなった米国の食肉生産農家の強い要請によって米国政府は日本との貿易協定の締結を急ぐことになったのである。

米国の牛肉生産農家は中西部地域に集中しており、その地域は【ラストベル(錆び付いた工業地帯)】とも重なり、トラン大統領誕生の原動力となった地域でもある。トランプ大統領は再選を果たすためにはこの地域の生産農家の支持を繋ぎ止めなければならない。【日米貿易協定】の発効によって米国産牛肉の輸入関税は27.5%に引き下げられる。4月以降は【TPP11】加盟国並みの26.6%に関税率は下がる。

野党は、【日米貿易協定】は日本が望んでいた自動車関税の引き下げが先送りされたことによって【令和の不平等条約】などと騒いでいるが自動車産業の実情を理解していないからである。世界の3大自動車市場の中で最も自動車の輸入関税率が高いのは中国で、15%、【EU】が10%であるが日本は今年から【日・EU・EPA】を発効させたので段階的に輸入関税は下がっていく。米国の輸入関税率は現行は2.5%で110円台の為替相場が維持されれば輸出に影響が及ぶことはほとんどない。

米国が誇る製造業種は【自動車産業】と【航空機産業】そして【IT関連業】であるが、【自動車産業】には黄色の信号が点滅している状況である。2017年の米国の自動車の3大メーカー(GM,フォード、FCA)の米国での新車販売台数は、【GM】が299万9605台、【フォード】が257万5200台、【FCA】が205万9376台の合計763万4181台でシェアは44.2%、それに対して日本メーカー(トヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、三菱)の販売台数は670万9473台で、シェアは38.9%、2019年1~11月の米国メーカーの販売台数は677万2287台で、シェアは43.2%、日本メーカーの販売台数は588万9264台でシェァは37.9%でその差は縮まっている。

【フォード】は2~3年以内に乗用車部門から撤退する。米国の自動車メーカーは本国で日本メーカーに販売台数で追い抜かれる危機に瀕している。関税を撤廃すれば米国メーカーは日本メーカーに追い抜かれ、米国は誇りを失うことになる。そのような状況が生まれればそれを回避するために米国は日本に25%の追加関税を課す可能性があるために日本政府は自動車関税の撤廃を強くは求めなかったのであろう。   (おわり)

 

 

 

 

 

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