« 英国分裂の危機を生み出した英国総選挙 | トップページ | 不祥事が頻発する安倍内閣 »

2019年12月19日 (木)

仮初の米中貿易合意

2018年3月、米国は、米国通商法第301条に基づき、中国の知的財産権侵害を理由に【制裁関税】を課すと表明した。その後、7月6日に自動車、情報通信機、ロボット、農産品(大豆、牛肉など)など340億ドル相当の818品目の中国からの輸入品に25%の第1弾の【制裁関税】を発動した。中国は対抗措置として自動車、農産品(大豆、牛肉,鶏肉など)など340億ドル相当の米国からの輸入品545品目に25%の【報復関税】を発動した。この【関税発動合戦】によって【米中貿易戦争】が始まった。

中国が第1弾の【報復関税】のターゲットにした米国製品の【自動車】と【農産品】の主たる生産地は中西部地域で、この地域は伝統的に与党共和党の支持基盤となっており、トランプ大統領誕生の原動力となった地域でもある。この地域はラストベルト(錆び付いた工場地帯】と【コーンベルト地帯】(穀倉地帯)が混在している地域でもあり、製造業では自動車産業の製造工場が多い。【農産品】では生産量と輸出量が世界一の大豆と牛肉の生産農家が多い。【第1弾】の中国の【報復関税】によって競争力を失った【大豆農家】の中国向けの輸出が激減して壊滅的な打撃を受けた。米国政府は【大豆農家】救済のため1.7兆円の補助金を支給せざるを得なくなった。

第2弾の【制裁関税】が発動されたのは8月24日で、【160億ドル】相当の【半導体】、【鉄道車両・部品】、【トラクター】、プラスチックなどの【化学製品】の279品目に25%の【制裁関税】が課された。中国は対抗措置として160億ドル相当の【エネルギー】(原油や天然ガス)や【化学製品】などの114品目に25%の【報復関税】を課した。

2019年に入ると6月15日に米国は2000億ドル(葯2兆円)相当の【家電】や【家具】などの消費財に【制裁関税】を発動。それに対して中国は600億ドル(約6兆6000億円)相当の米国製品5140品目への【報復関税率】を最大25%引き上げた。中国の米国からの輸入品の品数は米国の中国からの輸入品の品数より少ないため中国は【関税率】を引き上げる以外の報復措置がないからである。

9月1日には米国1100億ドル分の中国製品に15%の第4弾の【制裁関税】を発動した。中国の対抗策は合計750億ドル分の米国製品に2回に分けて5~10%【報復関税率】を引き上げることを計画し、それを実行に移すことであった。9月1日、中国は米国産の原油や大豆など1717品目の【追加(報復)関税率】を引き上げた。

【関税発動合戦】を継続すれば両国産の製品の関税率は上昇する一方で両国製品は国際競争力を失い、製品は売れなくなくなる。それを回避するには【米中貿易協議】で合意する必要に両国首脳は迫られたのである。【貿易協議】の合意によって米国の第4弾の【制裁関税率】は15%から7.5%に引き下げられた。その結果、世界の金融市場にはひとまず安堵感が漂った。

しかしながら、今回の【米中貿易協議】の合意は【仮初の合意にすぎない】と台湾のメディアは報じている。トランプ大統領の再選を阻止したい中国は来年の大統領選の直前にトランプ大統領に大きなダメージをを与えるために今回の合意を反故にすると台湾メディアは予測しているのである。   (おわり)

 

 

|

« 英国分裂の危機を生み出した英国総選挙 | トップページ | 不祥事が頻発する安倍内閣 »

21米中関係」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 英国分裂の危機を生み出した英国総選挙 | トップページ | 不祥事が頻発する安倍内閣 »