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2019年12月

2019年12月27日 (金)

水面下で進行している【IR誘致】を巡る菅官房長官外し

日本では禁止されていた【カジノ】を含む【統合型リゾート】(IR)施設の整備を解禁する【特定複合観光施設整備法】(IR実施法)は2018年7月20日に成立した。

【IR実施法】では、【IR施設】は「【カジノ施設】に加えて●国際会議場●展示施設等●日本の伝統や文化、芸術などを生かした公演などによる観光の魅力増進施設●送客施設と宿泊を一体化した施設」と定義した上で、【IR施設】を整備できる区域数は全国で3カ所と限定しているが整備認定区域の上限数の見直しは、国による最初の区域認定から7年後となっている。

さらに、【IR実施法】では47都道府県か20の政令都市が【IR施設】の整備を実際行うには民間事業者と共同で整備計画を作成することが義務付けられ、最終的には整備計画に対する国土交通相(国交相)からの認定を取得する必要がある。さらに国交相への認定を申請する際には立地市町村や議会の同意が条件とされている。

ところで、【IR実施法】では【IR】の施設整備区域の明確な基準が示されていない。このことはこの法律では官僚の裁量権が大幅に認められていることを意味する。しかしながら、安倍内閣においては行政の実行組織である各省庁は、内閣府内に人事局が創設された結果、各省庁はこれまで保有していた幹部職員の人事権を内閣人事局に奪われたため、裁量権は官僚機構から内閣府のトップである官房長官に移行されている。つまり極論すれば【IR施設整備区域】の認定は官房長官の専権事項となっている。【IR実施法】の成立に主導的な役割を果たしたのは国交省ではなく内閣府であるからだ。

国交省が47都道府県20政令市に対して実施した【IR意向調査】の結果が今年の9月24日に発表された。その結果、IR誘致に関心を示したのは東京都、神奈川県(横浜市)、千葉県、愛知県、大阪府・大阪市、和歌山県、長崎県7都府県である。

12月25日に逮捕された秋元司っ衆院議員はIR担当の内閣府の副大臣で、カジノ事業への進出を企てていた中国系企業【500ドットコム】(広東省深圳市)と【IR誘致】に関心を示した沖縄県や北海道との橋渡し役を務めていた。しかし、沖縄県も北海道も最終的には【IR誘致】を断念している。

【IR誘致】に先行していた沖縄県、北海道、横浜市は菅官房長官案件として【IR整備区域】の認定を取得する可能性が高いと言われていたが沖縄と北海道は国交省への申請取りやめる意向で、残るのは菅官房長官の地元の横浜市だけである。横浜市では反対運動が起こっているので誘致は微妙な情勢になっている。

菅官房長官は、は厚労省が管轄すべき【企業主導型保育園】と国交省の管轄とすべき【IR施設整備】事業の主導権を内閣府が掌握した結果、ポスト安倍の有力な候補者に躍り出た。だがその反動で安倍首相側近から警戒心を持たれ、菅氏に近い議員や官僚が次々にその地位を追われている。今回の秋元議員の逮捕も菅氏の力を殺ぐためと言われている。いずれにしても権力の中枢部で異変が起こり、安倍首相の退陣に発展しかねない状況が生まれているのである。   (おわり)

 

 

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2019年12月24日 (火)

次期自民党総裁の最有力候補に浮上した石破茂元自民党幹事長

2019年12月に実施されたマスメディアの【世論調査】によれば【読売・日本テレビ合同調査】(12月13~15日)の内閣支持率は前月から横ばいの48%、不支持率も同様の40%、【日本経済・テレビ東京合同調査】(12月20~22日)の内閣支持率は前月から横ばいの50%、不支持率も同様の41%であった。     (   )内の月日は世論調査実施日

前月より内閣支持率が小幅に下落したのが【NHK】と【産経・フジテレビ合同調査】で、【NHK】(12月9日)の内閣支持率は前月より2%下落して45%、不支持率は2%上昇して37%、【産経・フジテレビ】の内閣支持率は前月より1.9ポイント下がって43.2%、不支持率は2.6ポイント上がって40.3%であった。

内閣支持率が大幅に下落したのが【時事通信】で、前月比で7.9ポイント下落して内閣支持率は40.6%、不支持率は5.9ポイント上昇して35.3%。自民党支持層にとって衝撃であったのは自民党支持率が7.1ポイントの大幅下落で23.0%となったことである。【JNN(TBSテレビ)】の世論調査では内閣支持率は5.2ポイント下がって49.1%、不支持率は5.3ポイント上昇して47.2%であった。

【内閣支持率】と不支持率】が拮抗したのが【テレビ朝日】で、内閣支持率は40.9%、不支持率が40.6%。

内閣不支持率が支持率を上回ったのが【朝日新聞】、【共同通信】それに【東京新聞】である。【朝日新聞】(12月21~22日)の内閣支持率は前月より6.0ポイント下がって38%、不支持率は6.0ポイント上がって42%、【共同通信】(12月14~15日)は内閣支持率が6.0ポイント下落して42.7%,、不支持率は4.9ポイント上昇して43.0%であった。【東京新聞】(12月14~15日)の内閣支持率は前月より6ポイントと下がって42.7%、不支持率は4.9ポイント上がって43.0%であった、

内閣支持率が下落しても【朝日】以外は内閣支持率は40%台を維持しているのでさほど問題にならない。安倍首相にとってダメージが大きかったのは【次期自民党総裁に相応しいのは?】という設問に対する回答であったであろう。【TBS】では1位が石破茂元自民党元幹事長の24%、2位が小泉進次郎環境相の19%、3位の安倍首相は12%、4位の河野太郎外相が8%、5位の岸田政調会長と菅義偉官房長官が5%、

【テレビ朝日】は石破氏25%、小泉氏18%、安倍首相14%、河野氏7%、岸田氏6%、菅氏4%の順。【フジテレビ】1位石破氏が18.5%、2位安倍首相は18.2%、3位小泉氏が14.5%。【日本テレビ】は石破氏22%、小泉氏20%、安倍首相16%、河野氏6%、菅氏5%、岸田氏4%。【朝日新聞】(安倍首相は自民党党則で4選は禁止されていることから対象外)は石破氏が23%で1位、小泉氏が20%で2位、菅氏が6%で3位、岸田氏が5%で4位、

安倍首相は全ての調査で石破氏の後塵を拝している。安倍首相にとってこれ以上の屈辱はないであろう。国民は在任期間が史上1位となった安倍首相に飽きたのである。

安倍首相が今後、自民党内で求心力を維持できるか否かは秋元司前国交省副大臣を東京地検が立件できるにかかっている。秋元議員が中国系カジノ運営業者からの収賄容疑で起訴されれば安倍首相の退陣という状況が生まれるかもしれない。   (おわり)

 

 

 

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2019年12月23日 (月)

整備新幹線の2路線工事佳境に入る

政府は12月20日、総額102兆6580億円の2020年度の予算案を閣議決定した。【歳入】(収入)は、【所得税】が19兆5290億円(19.0%)、【法人税】12兆0650億円(11.5%),、【消費税】21兆7190億円(21、2%)、【その他】10兆2000億円(9.9%)。【租税及び印紙収入】の合計が63兆5130億円(61.9%)。【2019年度予算】の【租税及び印紙収入】の予定額が62.5兆円であったから約1兆円の増加分は10月から導入された【消費税】の引き上げによる増収である。これまで日本の税収の主役は【所得税】であったが、日本も2020年からは欧米と同じように【消費税】(欧米では付加価値税)が税収の主役となる。   (   )内の数字は歳入全体に占める割合示す)

【歳出】の主役は今年も歳出の34.9%を占める【社会保障費】(35兆8608億円)(で、この傾向は今後も継続するであろう。これから【歳出】の比率が高まる分野が防災、減災のための支出が増加するであろう【公共事業費】である。【公共事業費】には【整備新幹線】の建設費も含まれている。【整備新幹線】の建設にはこれまで懐疑的な見解が多かったがここ数年は国民の理解も進んでいるようだ。

小泉内閣の時に始まった【ビジットジャパン】キャンペーンの効果が安倍内閣の時になって顕在化し、【訪日外国人客数】は安倍内閣になって2000万人以上増えた。この結果、地方経済にも波及効果が表れている。【整備新幹線】は経済発展が遅れている北海道、北陸、九州にとっては必要不可欠な社会【インフラ】なのである。

【整備新幹線】とは、新幹線計画路線のうちのうち「全国新幹線鉄道整備法第7条」に基づいた日本政府が1973年11月13日に決定した以下の5つの路線である:①北海道新幹線(青森市―札幌市)、②東北新幹線(盛岡市―八戸市)、③北陸新幹線(長野市―大阪市)、④九州新幹線鹿児島ルート(福岡市―鹿児島市)、⑤九州新幹線長崎ルート(福岡市―長崎市)。このうち既に開業しているのは②と④で、工事が続行しているのが①の新函館北斗―長万部―新小樽ー札幌間、③の金沢―福井市ー敦賀間、⑤の佐賀県武生温泉―長崎間である。

上記のつの路線の建設の主体は国土交通大臣から指名された独立行政法人【鉄道建設・運輸施設支援機構】である。【整備新幹線】の財源構成は、JRからの施設貸付料など+(総建設費―JR貸付料)の3分の2を国が負担(国の公共事業費【補助金】)+残りの3分の一を地方公共団体が負担(負担金)。

2020年度予算の【整備新幹線事業費】は804億円(前年より467億円増加)。事業費の総額は4430億円で、2022年開業予定の北陸新幹線の事業費は前年より112億円増えて2750億円。2022年暫定開業予定の九州新幹線長崎ルートの事業費は前年より8億円減少の750億円。2030年開業予定の北海道新幹線は前年より443億円増えて930億円。国からの整備新幹線建設の補助金は国の公共事業費から支出される。

【北陸新幹線】と【九州新幹線】長崎ルートの建設工事は今年佳境に入る。   (おわり)

 

 

 

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2019年12月20日 (金)

不祥事が頻発する安倍内閣

東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)は12月19日、秋元司衆議院議員(東京15区)(48)の東京都江東区の地元事務所と衆議院議員会館(千代田区永田町)の事務所を家宅捜査した。東京地検は、この家宅捜査以前に中国広東省深圳市に本社があるネットカジノ企業が海外から無届で日本に約数百万円の現金を持ち込んだとする外為法(外国為替法)違反事件に関して秋元議員に事情聴取を実施している。

秋元議員は当選3回で2017年8月~2019年9月まで内閣府副大臣、衆議院内閣委員会委員長としてIR担当であった。【IR】とは「Integrated Resort」(統合型リゾート)の略称で、カジノを中心にホテル、国際会議場、ショッピンモールなどを併設する施設である。2016年12月に【IR推進法】が、2018年7月には【IR実施法】が成立し、【IR】誘致運動が激化している。現在【IR誘致】に名乗りを上げているのは東京都、千葉県、神奈川県(横浜市)、愛知県、大阪府、和歌山県、長崎県の7自治体である。

秋元議員は【IR誘致】に熱心で、中国系の企業と組んで沖縄県と北海道での【IR】建設計画に深く関わっていた。幸か不幸か秋元議員が参画したと思われるIR誘致計画はとん挫した。その計画推進の過程で秋元議員側に中国系企業から現金が渡ったと東京地検特捜部は推測していると思われるのである。【外為法違反】を突破口として【東京地検特捜部】は職務権限のあった秋元議員を贈収賄容疑で立件しようとしているのであろう。もし、秋元議員が逮捕されるような事態となれば安倍内閣には大きなダメージとなり安倍首相の退陣の引き金になりかねない。

マスメディアの12月に実施された世論調査では【次期首相に相応しいのは誰か?】という設問の回答で、トップに浮上したのは安倍首相の天敵とマスメディアから見做されていると言われている石破茂元自民党幹事長である。経済界に対するロイター通信のアンケート調査でも石破氏が17%の支持を集め、安倍首相は16%の僅差ではあるが2位に後退している。自民党内でも安倍首相の4選の芽は摘まれたという空気が蔓延し始めているという。

万が一、秋元議員の逮捕という不測の状況が生まれれば、来年の1月に開会される通常国会で【桜を見る会】の問題が再燃し、安倍首相はレイムダック(死に体)化するのは必定であろう。

次期首相の最有力候補に急浮上してきた石破茂氏は故田中角栄首相の【最後の高弟】と呼ばれ、現在の日本の政界では有数の政策通である。そのために自民党地方支部からの講演の依頼が多く、地方議員の間では安倍首相を凌ぐ人気であると言われている。安倍首相が【桜を見る会】の私物化へ傾斜していったのは石破氏への敵愾心からという穿った見解がある。安倍首相の【後援会】は石破氏に対抗することを目的に総裁選で地方党員票の獲得のために地方党員の招待客数を急増させていったのであろう。   (おわり)

 

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2019年12月19日 (木)

仮初の米中貿易合意

2018年3月、米国は、米国通商法第301条に基づき、中国の知的財産権侵害を理由に【制裁関税】を課すと表明した。その後、7月6日に自動車、情報通信機、ロボット、農産品(大豆、牛肉など)など340億ドル相当の818品目の中国からの輸入品に25%の第1弾の【制裁関税】を発動した。中国は対抗措置として自動車、農産品(大豆、牛肉,鶏肉など)など340億ドル相当の米国からの輸入品545品目に25%の【報復関税】を発動した。この【関税発動合戦】によって【米中貿易戦争】が始まった。

中国が第1弾の【報復関税】のターゲットにした米国製品の【自動車】と【農産品】の主たる生産地は中西部地域で、この地域は伝統的に与党共和党の支持基盤となっており、トランプ大統領誕生の原動力となった地域でもある。この地域はラストベルト(錆び付いた工場地帯】と【コーンベルト地帯】(穀倉地帯)が混在している地域でもあり、製造業では自動車産業の製造工場が多い。【農産品】では生産量と輸出量が世界一の大豆と牛肉の生産農家が多い。【第1弾】の中国の【報復関税】によって競争力を失った【大豆農家】の中国向けの輸出が激減して壊滅的な打撃を受けた。米国政府は【大豆農家】救済のため1.7兆円の補助金を支給せざるを得なくなった。

第2弾の【制裁関税】が発動されたのは8月24日で、【160億ドル】相当の【半導体】、【鉄道車両・部品】、【トラクター】、プラスチックなどの【化学製品】の279品目に25%の【制裁関税】が課された。中国は対抗措置として160億ドル相当の【エネルギー】(原油や天然ガス)や【化学製品】などの114品目に25%の【報復関税】を課した。

2019年に入ると6月15日に米国は2000億ドル(葯2兆円)相当の【家電】や【家具】などの消費財に【制裁関税】を発動。それに対して中国は600億ドル(約6兆6000億円)相当の米国製品5140品目への【報復関税率】を最大25%引き上げた。中国の米国からの輸入品の品数は米国の中国からの輸入品の品数より少ないため中国は【関税率】を引き上げる以外の報復措置がないからである。

9月1日には米国1100億ドル分の中国製品に15%の第4弾の【制裁関税】を発動した。中国の対抗策は合計750億ドル分の米国製品に2回に分けて5~10%【報復関税率】を引き上げることを計画し、それを実行に移すことであった。9月1日、中国は米国産の原油や大豆など1717品目の【追加(報復)関税率】を引き上げた。

【関税発動合戦】を継続すれば両国産の製品の関税率は上昇する一方で両国製品は国際競争力を失い、製品は売れなくなくなる。それを回避するには【米中貿易協議】で合意する必要に両国首脳は迫られたのである。【貿易協議】の合意によって米国の第4弾の【制裁関税率】は15%から7.5%に引き下げられた。その結果、世界の金融市場にはひとまず安堵感が漂った。

しかしながら、今回の【米中貿易協議】の合意は【仮初の合意にすぎない】と台湾のメディアは報じている。トランプ大統領の再選を阻止したい中国は来年の大統領選の直前にトランプ大統領に大きなダメージをを与えるために今回の合意を反故にすると台湾メディアは予測しているのである。   (おわり)

 

 

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2019年12月15日 (日)

英国分裂の危機を生み出した英国総選挙

12月12日投開票の英国下院議員選挙の結果、英国のEUからの離脱を推進している【保守党】が歴史的な大勝利を収めた。【保守党】の選挙前の議席数は298議席で過半数(326議席)を割り込んでいたが選挙の結果、議席数を67議席増やして下院の過半数を39議席上回る365議席を獲得した。

最大野党の【労働党】は掲げた政策が国民に受け入れられず改選前の議席243議席から40議席を減らす203議席となった。【労働党】ののコービン党首は、英国の主要産業の国有化や富裕層への増税など政府が経済に積極的に関与する政策を掲げていたが国民の反発を買って【労働党】が伝統的に強い北イングランドやウェールズで相次いで【保守党】に議席を奪われ、惨敗を喫した。

【保守党』の大勝利によって英国の来年1月末までの【EU離脱】が確実となった。離脱後には離脱に伴うの混乱を回避するために1年間の猶予期間である【移行期間】が設けられる。【EU離脱】が円滑に実施されるか否かは英国と【EU]間の協議によって英国が【EU関税同盟】に残留できるかの一点にかかっている。【英国】の【EU関税同盟残留】を条件を付けずに【EU】が認めれば今後【EU】を離脱する加盟国が続出しかねないので英国とEUの関税協議は難航するであろう。

英国からの独立を目指す【スコットランド民族党】は選挙前の35議席に13議席上積みしてスコットランド地域全体の議席の80%を占める48議席を獲得した。【スコットランド民族党】は英国からの独立後に【EU】に残留する意向を強め、独立に関する【住民投票】の実施を改めて求める動きを激化させることになる。スコットランドの独立に関する住民投票が認められれば、永年、英国からの独立を求めていた【北アイルランド】にも飛び火する。【スコットランド民族党】の躍進は英国の分裂を生み出す新しい火種となる可能性がある。

【英国】は歴史的な経緯によって誕生した【イングランド】、【スコットランド】、【ウェールズ】、【北アイルランド】という4つの【カントリー】(国)の連合体であり、地域の独立性が強い。今年のラグビーワールドカップに参加した英国チームは【イングランド】、【スコットランド】、【ウェールズ】の3チームである。

【英国】は【EU離脱】には成功するがスコットランドと北アイルランドの【英国離脱】のリスクに晒されることになった。   (おわり)

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2019年12月11日 (水)

トランプ大統領弾劾訴追に追い込まれることはほぼ確実

野党【民主党】が過半数を制している米国下院の【司法委員会】は12月10日、トランプ大統領の【弾劾訴追決議】(弾劾訴追状)案を公表した。

【弾劾訴追状】案は、「トランプ大統領が【軍事支援】とウクライナ大統領との【首脳会談】の引き換えを条件に来年の大統領選の民主党の有力候補のバイデン氏関連の調査開始をウクライナ政府に要求した」とされることを【権力乱用】とし、下院情報特別委員会が召喚状で文書の提出や政府高官の証言を妨害したことなどを【議会妨害】と認定し、「トランプ大統領は【弾劾相当】と結論付けている。

下院司法委員会のナドラー委員長は10日の記者会見で「トランプ氏は国家の安全保障を傷付け、次期大統領選の信頼性を損なった」と指摘。それに対してトランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対して「魔女狩りだ。民主党が挙げた2つの弾劾条項は非常に(根拠が)薄弱だ】と反論した。

【権力乱用】は米国では一般的には大統領が個人的な利益のために大統領の巨大な権限を利用すると定義される。アメリカ合衆国憲法では大統領を弾劾する理由としては『権力乱用』には具体的には触れてはいないが、米国の【建国の父】の一人で合衆国憲法の実際の起草者であるアレクサンダー・ハミルトンは合衆国憲法が発効した1788年に【弾劾手続き】の理由として「公人の不品行、つまり大衆の信頼を乱用したり傷付けること」と記している。

【弾劾訴追状】案は今週中に下院で審議され、採決される。野党民主党が下院議会の過半数を掌握していることからトランプ大統領の弾劾訴追は決定する。トランプ大統領の弾劾を決定するのは上院なので上院の過半数を与党共和党が制していることからトランプ大統領の弾劾極めて困難である。

下院民主党が極めて困難なトランプ大統領弾劾に踏み切ったのはそのような事情を十分に踏まえた上の決断で、今後、民主党は与党共和党の上院議員53人のうち20人を造反させる働きかけを激化させることになる。現時点で【大統領弾劾】に関する世論調査で【弾劾賛成】は47%、【弾劾反対】は44%と拮抗している。大統領訴追決定によって【弾劾賛成】が大幅に増えれば弾劾の可能性が高まることもありうる。

 

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2019年12月 9日 (月)

TBS系ニュース配信会社JNNの12月の世論調査の結果の衝撃

安倍晋三首相の後援会が主催したとされる2015年4月17日の【桜を見る会】の前夜祭(夕食会)を巡る疑惑で弁護士やジャーナリストが加盟する市民団体【税金の私物化を許さない会】は11月20日、安倍首相を公職選挙法違反と政治資金収支報告書不記載で告発した。

【桜を見る会】の夕食会に関する疑惑に対して安倍首相の説明が2転3転したことから国民の安倍首相に対する不信感は増幅され、その影響は11月の世論調査で安倍内閣支持率の大幅な下落となって表れた。

11月に実施された世論調査の中で【日本経済新聞・テレビ東京】の世論調査では【安倍内閣支持率】は前月(10月)比で7.0%下落して50.0%、【読売・日本テレビ】の世論調査では前月比6.0%下がって49.0%、【産経・フジテレビ】ではやはり6.0%低下して45.1%であった。12月7・8両日に実施された【TBS系JNN】の世論調査での安倍内閣の支持率は前月(11月)比でマイナス6.6%の49.1%である。

内閣支持率が50%を割っても行政上問題が発生するわけではないのでさほど気にすることではない。しかしながら、安倍首相に衝撃であったのは【次の自民党総裁に相応しいのは?】という設問に対する回答である。この数年間、同様の設問に対する回答で上位3位を占めていたのは多少順位の移動はあったが①安倍晋三首相、②小泉進次郎環境大臣、③石破茂元自民党幹事長のお三方であった。安倍首相がほぼトップの座を占め、石破氏は3位が定位置であった。

ところが今回の世論調査では①石破茂氏 24%、②小泉進次郎氏 19%、③安倍晋三氏 12%となり、安倍首相は石破氏にダブルスコアで引き離されたのである。【桜を見る会】の夕食会疑惑が来年度予算成立頃まで燻り続ければ安倍首相は【レイムダック(死に体)】になりかねない。

安倍首相の力の源泉は【次の自民党総裁に相応しいのは?】で一位の座を維持していたからである。国政選挙の顔になれなくなれば安倍首相は自民党内で求心力を失い退陣に追い込まれることになる。安倍首相に起死回生の策は存在するのであろうか?       (おわり)

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2019年12月 8日 (日)

民主主義崩壊の危機に晒されている日米両国

12月3日に開催された米国下院の情報特別委員会は、ドナルド・トランプ大統領が自身の2020年の大統領選挙での再選を目指してウクライナに米大統領選への干渉を要請したほか米国の安全保障のリスクを高めたり、米議会の妨害を指示したなどとするトランプ大統領を批判する【弾劾調査報告書】を公表した。同委員会は同報告書を賛成13、反対9で承認した。

翌4日、米下院司法委員会は、トランプ大統領の【ウクライナ疑惑】に関する【弾劾手続き】で4人の法学者(民主党3人、共和党1人)を招き、初めての公聴会を開いた。民主党が招いた憲法学者ハーバード大学のノア・フェルドマン教授は「18世紀に(1886年)憲法が起草された時、創案者(ジェームズ・マディソン 後の第4大米国大統領)は『現職の大統領が職権を乱用して大統領選の結果を自身に有利になるように歪める」ことを懸念した』と指摘し、さらにトランプ大統領の行動はまさにこの懸念を体現している」と述べた。その上で同教授は「個人的な利益のために職権を乱用する大統領を弾劾できなければ、われわれは民主主義の国に住んでいるとは言えない。君主主義、もしくは独裁主義の下で暮らしていることになる」と主張した。共和党が招いた法学者ジョージ・ワシントン大学のジョナサン・ターリー教授は【集められた証拠は民主党の主張を裏付けるものではない」と指摘した。(ロイターの記事より引用)(   )は筆者による注。

米国下院は野党民主党が過半数を制しているので下院がトランプ大統領の弾劾訴追を決定することは間違いない。下院の弾劾訴追の決定に基づき上院で弾劾裁判を開始する。弾劾の決定には上院の3分の2以上の賛成が必要なので現在の上院の勢力図から考えればトランプ大統領の弾劾が決定する可能性は極めて低い。米国上院の勢力図は与党共和党が53、野党民主党が47であり、弾劾が成立するには共和党から20人以上が造反しなければならない。現時点では共和党上院は一枚岩なので大量の造反者は出現しないであろう。但し。世論の風向きが弾劾支持に変わればその限りではない。

しかしながら、トランプ大統領が弾劾を免れても米国の民主主義が崩壊の危機に瀕していることは間違いない。トランプ大統領は、米国大統領は【法を超越する存在】であるかの如く振る舞っているが大統領は法を超える存在ではない。

米国と同じように米国民主主義の流れを汲む【日本の民主主義】も崩壊の危機に瀕している。日本の民主主義の崩壊は日本の官僚機構が内閣人事局の誕生によって人事権を内閣官房に掌握されたことによって始まった。総理大臣や官房長官の意向によって官僚機構は骨抜きにされてしまったからだ。   (おわり)

 

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2019年12月 4日 (水)

トランプ大統領支援と桜を見る会の疑惑隠しのために日米貿易協定国会承認を急いだ安倍内閣

日米物品貿易協定が12月4日午前に開かれた参議院本会議で自民党・公明党と日本維新の会の賛成多数によって承認された。今後、政府は日米貿易協定の2020年1月1日の発効を目指す。

ドナルド・トランプ米大統領は2017年1月の就任早々に【TPP】(環太平洋経済連携協定)からの離脱を表明し、【TPP】参加の11カ国と個別の2国間の【EPA】(経済連携協定)の締結に戦略を方針転換をした。トランプ政権の通商関係者たちは、米国が【TPP】から離脱すれば【TPP】が瓦解すると踏んでいたのである。ところが2国間の【EPA】協議となれば米国の強引な交渉によって国益が損なわれると危惧した日本政府が主導して離脱した米国を除いた11カ国による【TPP11】を発効させた。

米国の主要な輸出品の一つが農産品、その中でも食肉は重要な輸出品であり、米国産牛肉の2018年の世界輸出量は143万1251トンで世界第一位である。米国産牛肉の最大の輸出先は日本で、日本の輸入量は39万9458万トンであった、第2位が【オーストラリア】で30万3000トン。牛肉世界輸出量110万9000トンのオーストラリアにとっても日本は輸出先としては第一位である。

日本の現行の牛肉に対する輸入関税は38.5%であるが2018年12月30日に発効した【TPP11】の加盟国のオーストラリアやカナダ、ニュージーランドの輸入関税は2018年4月から26.6%に引き下げられ、【TPP11】に不参加の米国の輸入関税の38.5%との差が11.9%と開いたことによってカナダ産牛肉の2018年の日本の輸入量は31%前年比で増えた。これを放置できなくなった米国の食肉生産農家の強い要請によって米国政府は日本との貿易協定の締結を急ぐことになったのである。

米国の牛肉生産農家は中西部地域に集中しており、その地域は【ラストベル(錆び付いた工業地帯)】とも重なり、トラン大統領誕生の原動力となった地域でもある。トランプ大統領は再選を果たすためにはこの地域の生産農家の支持を繋ぎ止めなければならない。【日米貿易協定】の発効によって米国産牛肉の輸入関税は27.5%に引き下げられる。4月以降は【TPP11】加盟国並みの26.6%に関税率は下がる。

野党は、【日米貿易協定】は日本が望んでいた自動車関税の引き下げが先送りされたことによって【令和の不平等条約】などと騒いでいるが自動車産業の実情を理解していないからである。世界の3大自動車市場の中で最も自動車の輸入関税率が高いのは中国で、15%、【EU】が10%であるが日本は今年から【日・EU・EPA】を発効させたので段階的に輸入関税は下がっていく。米国の輸入関税率は現行は2.5%で110円台の為替相場が維持されれば輸出に影響が及ぶことはほとんどない。

米国が誇る製造業種は【自動車産業】と【航空機産業】そして【IT関連業】であるが、【自動車産業】には黄色の信号が点滅している状況である。2017年の米国の自動車の3大メーカー(GM,フォード、FCA)の米国での新車販売台数は、【GM】が299万9605台、【フォード】が257万5200台、【FCA】が205万9376台の合計763万4181台でシェアは44.2%、それに対して日本メーカー(トヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、三菱)の販売台数は670万9473台で、シェアは38.9%、2019年1~11月の米国メーカーの販売台数は677万2287台で、シェアは43.2%、日本メーカーの販売台数は588万9264台でシェァは37.9%でその差は縮まっている。

【フォード】は2~3年以内に乗用車部門から撤退する。米国の自動車メーカーは本国で日本メーカーに販売台数で追い抜かれる危機に瀕している。関税を撤廃すれば米国メーカーは日本メーカーに追い抜かれ、米国は誇りを失うことになる。そのような状況が生まれればそれを回避するために米国は日本に25%の追加関税を課す可能性があるために日本政府は自動車関税の撤廃を強くは求めなかったのであろう。   (おわり)

 

 

 

 

 

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2019年12月 1日 (日)

レイムダック化する安倍晋三首相

11月21日に発売された【週刊文春】11月28日号は安倍晋三首相が代表を務める【自由民主党山口県第4選挙区支部】が提出した2015年の【政治資金収支報告書】に添付されていた領収書に関する記事を掲載した。

【週刊文春】が入手した安倍晋三首相の政治団体の2015年の【政治資金収支報告書】に添付されていた領収書の金額は89万0710円で、領収書の【但し書き】には「但し、2015/04/17~2015/04/18の旅費として」と記されている。2015/04/17は2015年4月17日を表す数字でこの日は安倍首相が主催する公的行事である【桜を見る会】の前日である。この日の夜には東京都千代田区紀尾井町の【ホテルニューオータニ】で安倍首相の後援会主催の前夜祭(夕食会)が行われた。翌18日は【桜を見る会】の当日である。

【桜を見る会】の前夜祭(夕食会)が問題視される発端となったのは11月8日に開かれた参院予算委員会集中審議での共産党議員による追求である。安倍首相の後援会が主催した【夕食会】の会費は5000円で、800人の出席者(安倍首相後援会会員と同伴者)各自が会場と飲食を提供したホテルに直接支払ったとされているが出席者が主催者に支払うのが通例で、ホテルに直接支払うというのはあり得ない。

安倍首相は15日のぶら下がり記者会見で、自身の政治団体の収支報告書に【桜を見る会】の【夕食会】などに関する記載がないことを【政治資金規正法違反(不記載)】とのマスメディアの批判に対して「夕食会を含めて旅費、宿泊費などすべての費用は参加者の自己負担で支払われおり、安倍事務所、安倍後援会の支払いは一切ない」と安倍首相は反論した、

しかしながら、安倍首相が代表を務める【自由民主党山口県第4選挙区支部】が発行した領収書の存在が明確になった以上、安倍首相は15日の記者会での発言と領収書の整合性に関して説明する責任があるであろう。

市民団体【税金私物化を許さない市民の会】は11月20日、安倍晋三首相を被告人とする告発状を東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)に提出した。【桜を見る会】に関する公職選挙法と政治資金規正法違反が告発の理由である。今後、他の市民団体からも告発状が東京地検特捜部に寄せられる可能性がある。東京地検は現時点では告発状を受理してはいない。

数多くの告発状が寄せられれば東京地検特捜部も世論に配慮して告発状を受理する可能性はある。告発状が受理されれば安倍首相には不起訴という結論が出るまで世論の批判に晒され、内閣支持率の低下が止まらずに安倍首相はレイムダック化する可能性が浮上する。

告発状が受理されても安倍首相が罪に問われる可能性は限りなくゼロに近い。   (おわり)

 

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