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2019年10月

2019年10月30日 (水)

信憑性に欠ける中国国家統計局発表の2019年第1四半期~第三四半期のGDP成長率

2019年3月5日、中国の国会と言われる【全人代】(全国人民代表大会)における【政治活動報告】で李克強首相は今年度の経済成長率の目標を「GDP成長率6.5%~6.0%とする」と発表した。因みに昨年のGDP成長率の目標は6.5%であった。

ところで、今年の中国のGDP成長率は第1四半期(1~3月)が6.4%増、第2四半期(4~6月)は6.2%増、第3四半期(7’~9月)は6.0%増、1~9月の成長率は6.2%であった。第3四半期の6.0%は1992年の四半期統計開始以来最低であった。

しかしながら中国国家統計局が公表する「GDP成長率は信憑性に欠ける」というのが欧米の経済専門家の間では定説となっている。李克強首相でさえ、遼寧省共産党委員会書記(遼寧省のトップ)時代に中国駐在の米国大使に国家統計局が発表する数値には信頼を置いていないという主旨の発言をしているのである。

米国の経済紙【WSJ】(ウオール・ストリート・ジャーナル)は偵察衛星が撮影した中国本土の画像を解析した専門家の意見として2019年1~9月の中国のGDP成長率は3%程度という見解を記事として掲載している。

ここ数年の中国経済の牽引役の御三家は【最終消費支出】(消費)、【総固定資本形成】(投資)、【外需】(輸出)である。これらのGDPへの寄与率は【消費】が60.5%,【投資】が19.8%、【輸出】が19.6%であるから中国は輸出主導国家からは脱却しつつある。

年間売上高が2000万元(約3億円)超える工業系企業(鉱業、製造業、エネルギー関連)が2019年1~8月の期間に稼ぎ出した利益は総額4兆0164億元で、前年同期比で全国平均で1.7%減少した。深刻なのはGDPの多い中国東部の10の市・省の減少率が全国平均よりも大きいのである。GDP全国一の【上海市】は19.6%減、【北京市】が14.4%、【天津市】5.8%減、【山東省】13.0%、【江蘇省】3.5%などである。これらの市や省から労働集約型企業(衣料品製造業)などが生産拠点をベトナムなどに移転した結果、工業系企業の利益が減少したのであろうが利益の減少額は公表された金額よりも多い可能性が高い。

【GDP成長率】の鈍化を下支えするために中央政府は大規模な減税を実施したり、地方政府は【地方債】発行してインフラ投資を増やしている。こうした景気対策の効果が第4四半期に表れるか否かが中国経済の復活の鍵を握っている。   (おわり)

 

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2019年10月26日 (土)

トランプ大統領によって破壊される民主主義と法治国家としての米国

米国のドナルド・トランプ大統領は2017年1月21日に大統領就任以来、確認されただけで1万2000回の【虚偽発言】を行ったという。重大な「虚偽発言】の一つとされるのがオバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデン氏とその子息に関する発言である。トランプ大統領は繰り返し、「バイデンは腐敗している。ウクライナがバイデンの圧力に応じて2016年の大統領選挙に介入して【ヒラリー・クリントン】のために動いた。2014年にウクライナのガス会社の役員に就いた息子は「正真正銘のインチキだ】と発言していた。

ジョー・バイデン氏は来年の(2020年)の大統領選挙でトランプ大統領の対立候補になることが有力視されている。そのためにトランプ大統領はバイデン氏のスキャンダル探しに血道を上げ、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に見返りを仄めかしてバイデン氏に関する調査を実施させるために同大統領を恫喝したという疑惑が浮かび上がっている。米国史上、大統領が自己の利益のために外国の最高権力者を脅かしたのはトランプ大統領唯一人だ。

この恫喝疑惑を受けて民主党のナンシー・ペロシ米下院議長は9月24日、ドナルド・トランプ大統領の「重大な犯罪と不品行」に関して【弾劾調査】を開始すると発表した。この【弾劾調査】発言の余波を受けてバイデン氏の民主党の大統領選の候補者としての支持率が下落する一方で支持率でバイデン氏の後塵を拝していたマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員とバーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員の支持率が上昇し、民主党大統領選の指名争いは混沌としてきた。

ところで、トランプ大統領の【虚偽発言】が米国民に明確に【虚偽発言】と認識されないように米国内法違反を犯しても防波堤の役割を果たしたのがトランプ政権の閣僚たちである。トランプ大統領の脱税疑惑に関して、米国内法の規定によれば野党議員などから要求があった場合には財務省は下院にトランプ大統領の納税申告書を提出する義務がある。民主党はトランプ大統領の納税申告書の提出を要求しているがスティーブン・ムニューシン財務長官はひたすら申告書の提出を拒否し続けている。

【弾劾調査】開始の一つの原因となった今回の【ウクライナ疑惑】でもマイク・ポンぺオ国務長官は【ウクライナ疑惑】に関する文書の提出を要求する【召喚状】に応じていない。召喚状で証言を求められた者はそれに従うことが法律では定められているがポンぺオ長官はそれに従ってはいない・

トランプ政権下では遵法精神に溢れる各省の幹部官僚は次々に解任され、トランプ大統領の意向に唯々諾々と従う者だけが生き延びているのである。独裁者を目指すトランプ大統領によって米国の民主主義は色褪せ、米国は法治国家から逸脱し始めている。   (おわり)

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2019年10月15日 (火)

韓国文政権に赤信号灯る

韓国文在寅大統領の懐刀と言われる曺国(チョ・グク)法相が10月14日に辞任した。辞任の理由に関してはいろいろ取り沙汰されているが表面的な理由として挙げられているのは15日に同法相が出席予定であった国会での【国政監査】で親族の不正疑惑に関しての野党の厳しい追及を逃れるためであるとされる。

韓国の政権運営は【世論に著しく影響を受ける】と言われ、、最高権力者の大統領の支持率が下降気味になると政権浮揚策として反日姿勢を鮮明にするという戦略を歴代の大統領は採ってきた。文大統領は就任当初から【反日】の姿勢を取り続け、その結果、支持率も異常に高かった。しかしながら、最低賃金の高率の引き上げが裏目に出て韓国経済は内需が減少して失速した。これに追い打ちをかけたのが昨年7月に始まった【米中貿易戦争】である。追加関税の発動合戦によって中国の対米輸出が徐々に減少し、今年に入ると中国経済の減速が顕在化してきた。中国への輸出によって膨大な【貿易黒字】を続けていた韓国は、中国経済の減速の影響を最も強く受け出した。

中国経済の鈍化の最大の被害者は韓国が世界に誇る【サムスン電子】であろう。サムスン電子の【営業利益】の激減が明白になったのが2018年第4四半期(10~12月)以降である。18年第4四半期の営業利益は、前年同期比28.7%減の10兆8000億ウォン。減益の原因は、スマートフォン市場の成長鈍化である。そのうちスマートフォンを含む【IM部門】(IT&モバイルコミュニケーションズ)の営業利益は前年同期比37.6%の減少。半導体を含む【DS部門】(デバイスソリューション)の営業利益は30.3%の減少。

2019年第1四半期(1~3月)の営業利益は、前年同期比60.2%減の6兆2300億ウォン。【IT部門】の営業利益は前年同期比39.8%減の2兆2700億ウォン、【DM部門】の営業利益は39.8%減の3兆5400億円、そのうち【半導体】は64.3%の減少。第2四半期の営業利益は55.6%減の6兆6000億ウォン、そのうち【IT部門】の営業利益は41.6%減の5600億円、【DM部門】は64.5%減の4兆1500億ウォン。第3四半期(7~9月)の営業利益は前年同期比56%減の7兆7000億ウォンであった。詳細は未だ発表されていない。

韓国の内需と外需の不振から韓国の経済の成長鈍化は顕著になり、文大統領の支持率は第3四半期に入ると40%台で推移していた。ところが曺法相が就任後、同法相の親族の不正疑惑が浮上し、連日マスメディアが不正疑惑が報じ出すと文大統領の強固な支持基盤である革新勢力内でも大統領支持者離れが起こり、革新系新聞の世論調査の10月第1週の大統領支持率は32%にまで大幅に下落した。この支持率低下に危機感を抱いた与党は法相解任を決断せざるを得なくなったのであろう。

韓国の調査会社【リアルメーター】が10月14日に発表した政党支持率では保守系・【自由韓国党】の支持率は34%に上昇し、与党【共に民主党】の支持率に1ポイント差にまで肉薄した。与党【共に民主党】が独自に実施した調査では現時点で総選挙を行えば与党は強力な支持地盤である地域でも議席をかなり失い、敗北の可能性が高まっているという結果が出たという。

文大統領の政権運営には赤信号が灯りだしたのである。   (おわり)

 

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2019年10月11日 (金)

関西電力金品授受問題の遠因は東京電力福島第一原発事故

2011年3月11日に発生した【東日本大震災】によって東京電力福島第一原発は壊滅的な被害に遭った。これが契機となって稼働中の他の電力会社の原発は定期検査入りするとそのまま稼働停止となり、北海道電力泊原発(北海道泊村)3号機が2012年5月5日深夜に定期検査入りすると日本の54基の原子炉は全て稼働停止となった。

【東電福島第一原発事故】前年の2010年の【関西電力】(関電)の【販売電力量】は1511億kwh,そのうちの44.3%の669.5億kwhは原発が生産した電力であった。【関電】が日本一原発依存度が高い電力会社という所以はここにある。福島第一原発事故以後の【関電】の原発発電量は2011年が322.5億kwh,12年が151.5憶kwh,13年が93.0kwh、14年は0kwhとなった。

9つの地域電力会社は原発の生産電力量の減少分をLNG(液化天然ガス)を燃料とする【火力発電所】の発電量の増加で補う以外の方策はなくその結果、消費者が負担した【燃料調整費】という名目の追加燃料費は12年が3.1兆円、13年が3.6兆円、14年が3.4兆円と3兆円台が3年続いた。1世帯平均の【燃料調整費】の負担増は年約4万円であった。【関電】は原発依存度が高いために、追加燃料費の関電の消費者の負担額は他の電力会社の消費者の負担額を上回った。こうした事態に陥ることを予測していた【関電】の役員たちは2011年の福島原発事故以降、役員報酬の削減を実行した。関電の消費者向けのゼスチャーである。

【関電】の経営陣の本音は、東電の原発事故のとばっちりで役員報酬を減額するのは不合理ではないかという思いであったと思われる。今回の【関電】の【金品授受事件】発覚の発端になった金沢国税局の調査によれば【関電】の経営幹部6人の個人口座に森山栄治元高浜町助役・関電プラント顧問から2011年~17年までの7年間に振り込まれた金額と直接手渡された金額の合計は1億8000万円であったという。森山氏が支払った1億8000万円は森山氏が死の直前まで顧問を30年以上勤めていた関電の100%子会社【関電プラント】が金主であったと思われる。役員報酬の減額を実行したかのように装い、【関電】経営幹部は減額分を子会社から受け取っていたのであろう。

関電幹部はこの1億8000万円の受領で森山氏に大きな借りを作り、森山氏の要求を拒むことができなくなっていたのである。森山氏が顧問として肩入れしすぎた建設会社【吉田開発】の吉田彪社長は1984年に京都府舞鶴市から高浜町に移転して建設会社【吉田開発】を立ち上げた。吉田彪社長は在日韓国人で、その後、日本国籍を取得したという。高浜町の新参者で原発関連事業に新たに食い込むためには森山氏に高額の仲介料を支払い、関電幹部に金品をばら撒く以外に【関電プラント】から原発関連の仕事を受注できなかったのである。

森山氏は【吉田開発】を強引に【関電プラント】の受注業者に押し込んだことによって墓穴を掘ったことになった。事件の真相はまだ解明されてはいないが【関電】の福井県内の3つの原発の今後の稼働はかなり困難になったと思われる。原発に関連する住民以外の住民反発が強まる可能性が高まったためだ。 【関電】の経営も一層厳しくなるのは必定である。   (おわり)

 

 

 

 

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2019年10月 8日 (火)

2020年の米国大統領選挙まで米中貿易戦争を終結させる気のない中国政府

ドナルド・トランプ米大統領は2016年の大統領選挙期間中から米国の巨額な対中貿易赤字額を問題視していた。2017年1月12日、【中国税関総署】は2017年の【対米貿易黒字額】を発表したが、黒字額は2758億1000万ドル(約30兆3400億円)で、過去最高であった。

この巨額な【対中貿易赤字】の原因は,、米国製造業の大手企業が生産拠点の一部を中国に移転させ、中国で生産した製品を逆輸出していることであった。問題の本質は米国内の雇用が減少したことにある。国内の雇用を増やすには海外移転した企業を国内回帰させることであるとトランプ大統領は考え、中国からの輸入品に高い関税を課すことになった。2018年3月23日に鉄鋼・アルミ製品への25%と10%の追加関税措置が発動され、中国との貿易摩擦が生じたのである。

5月3日には貿易摩擦解消のため第1回米中貿易協議閣僚級会議が北京で開催され、17日にはワシントンで閣僚会議が開催された。だが貿易協議では話し合いは物別れに終わり、7月6日、米国は中国からの輸入製品818品目に対して340億ドル規模の25%の追加関税を発表したが中国も対抗措置として同率の報復関税を発動。さらに8月23日には米中が第2弾の関税措置を発動、9月16日には米中が第3弾の関税措置を発動した。激化する米中貿易戦争の余波で10月には世界同時株安が発生している。

米中貿易戦争の核心は、米国が第1次世界大戦(1914~1918年)後から約1世紀の間、掌握し続けた世界の覇権を1990年代以降急激に【経済大国】成長し、経済的にも軍事的にも米国の覇権を脅かす存在となった【中国】の更なる経済発展を阻止しようする意図が米国にはあるということである。

昨年の11月以降、米中間で貿易戦争を終結させようと水面下でぎりぎりにの交渉が継続されていたが米国側の要求は次の5つの項目であったとされる:①米国企業への技術移転の強要の禁止、②知的財産権の保護、③非関税障壁の撤廃、④サイバー攻撃の即時停止、⑤サービスと農業の市場開放。

中国は5つの項目を受け入れる方向で検討していたとされるが、検討した結果、中国は膨大な新たな投資が必要となり、【中国経済】の最大の推進力であった【国家資本主義】(膨大な産業補助金によって国営企業を育成する)が崩壊しかねないことに気付いて中国は2019年5月10日に90%纏まりかけていた米中貿易協議を反故にしたのである。

中国は米国への対抗策として中国にとって過酷な条件を突きつけるトランプ大統領の再選を阻止する作戦に転換したのであろう。戦略の変更に踏み切った原因は米国連邦議会下院の過半数を掌握しているのが野党【民主党】であることがであろう。民主党はこれに呼応するかのようにこれまで慎重姿勢を崩さなかった【トランプ大統領弾劾】に民主党下院は舵を切った。

10月10~12日に開催される【閣僚級貿易協議】での成果が上がる可能性は極めて低い。   (おわり)

 

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2019年10月 2日 (水)

日米貿易協議において日本は何を得たのか

歴代の米国大統領の中でドナルド・トランプ大統領ほど【再選】を意識して選挙公約を実現しようと苦闘している大統領はいないであろう。トランプ大統領の選挙公約の一丁目一番地は【製造業の雇用増】である。製造業の中でもトランプ大統領が重視しているのが【鉄鋼】と【自動車】だ。

【鉄鋼業】を象徴する都市はペンシルベニア州のピッツバーグ市である。ピッツバーグにはアメリカの鉄鋼業最大手の【USスチール】の本社が置かれている。【USスチール】の最盛期の1960年のピッツバーグ市の市域人口は76万人であったが現在の人口は30万人にしか過ぎない。さらに【自動車産業】を象徴する都市は【ミシガン州】のデトロイト市であるがその全盛期の1950年のデトロイトの人口は185万人であったがトランプ大統領が大統領に就任した年の2017年の人口は67万人で現在は人口は回復傾向にある。【デトロイト市】には米国自動車メーカーのビッグ3の【GM]、【フォード】それに【FCA](フィアット・クライス―・オートモビールズ)の本社が存在する。

ところで、4年に1度、11月の第一月曜日の翌日に実施される米国の大統領選挙の一般選挙は大統領を選ぶ選挙での投票権を持つ【選挙人】(538人)を選ぶ間接選挙である。大統領選挙の本選は12月に選挙人538人の選挙人によって行われる。選挙人の数は人口に応じて米国の50州とワシントン特別区に割り当てられる。

米国は2大政党制なので大統領選の立候補者を共和党と民主党が1人づつ擁立するが1981年に誕生したレーガン大統領以降、共和党の強固な地盤となった州は中西部の農業が盛んな州と南部諸州である。それに対して民主党の地盤となっているのが北東部の諸州とカリフォルニア州などの西部の諸州である。政党の地盤が安定していない11の州は【スウィング・ステイト】(揺れ動く州】と呼ばれ、大統領選挙の激戦区となる。

【スウィング・ステイト】は、フロリダ州(選挙人29人)、ペンシルベニア(20人)、オハイオ州(18人)、ミシガン州(16人)、ノースカロライナ州(15人)、バージニア州(13人)、コロラド州(9人)、アイオワ州(6人)、ネバダ州6人)、ニューハンプシャー州(4人)、ニューメキシコ州(5人)、ウイスコンシン(10人)である。トランプ大統領が25%関税を課して保護しようとした鉄鋼と自動車産業はこの【スウィング・ステイト】に入っている。つまり関税の目的は選挙対策と増税のためであったということにある。中国に対する関税の結果、米国の一般市民が2018年に負担した関税分は一人当たり1000ドルを超えたという調査結果が出ている。

4月から始まった日米貿易協議は9月に決着したが実利を得たのは米国産農産品の関税引き下げに成功した米国で、日本はトランプ大統領の再選に有利になるように協力したということになる。   (おわり)

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