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2019年9月 7日 (土)

強引さが墓穴を掘ったボリス・ジョンソン英国首相

強硬な【脱EU論者】で知られるボリス・ジョンソン英国首相の強行策は英国下院議会の反発にあって裏目に出てしまった。【英国のトランプ】とも呼ばれているジョンソン首相はジャーナリスト上がりであるが、目的のためには手段を択ばずといった性癖が強く、ジャーナリスト時代には【脱EU】の論陣を張るために虚偽のニュースを垂れ流していたとされる。

ジョンソン首相は7月にテリーザ・メイ首相の後継者として首相に就任したが就任時から10月31日には合意なき離脱であってもEUを離脱すると明言していた。ジョンソン首相は【初めに離脱ありき】という政治的な立ち位置を変える気はさらさらないのであるから野党との話し合いに応じることを拒否していた。英国議会で主導権を握っているのは完全な小選挙区制で選出される下院議会(定数650)であるが与党(保守党と北アイルランドの地域政党【民主統一党(DUP)】)はかろうじて過半数を維持しているという状況であった。ジョンソン首相は野党勢力の【EU離脱(ブレグジット)】先延ばし論を封じ込めるために8月28日、9月中旬からの約5週間にわたり議会を休会することをエリザベス女王に要請し、女王はこれを承認した。

つまり、ジョンソン首相は、議会を休会して野党の反論を封じるという憲法違反の可能性のある禁じ手を使ったのである。当然、野党勢力はこれに反発したし、与党内部からも反乱者が出た。9月3日、与党保守党の下院議員フィリップ・リ―議員が離党し、野党・自由民主党に鞍替えした。この結果、与党陣営の議席は下院の過半数を割り込んでしまった。

与党が過半数を失った英国下院議会は4日に英国を合意なしでEUから離脱させようとするジョンソン首相の動きを阻止する法案を可決した。上院でもこの法案が可決されれば10月31日までに合意なきブレグジットを主張していたジョンソン首相の目論見は潰えることになる。ジョンソン首相が野党側の反撃に対して10月15日に総選挙を実施する動議を提出したことを受けて下院議会は首相の動議に関する討論が実施された。動議の可決には、下院の3分の2以上の賛成が必要であったが採決の結果、賛成298票、反対56票で否決された。最大野党労働党は採決を棄権し、与党・保守党からは10数人の造反者が出た。

ブレグジットを巡る国民投票から3年が経過したがこの間、英国経済は悪化している。経済の悪化という状況の変化によって【ブレグジット派】の勢いには陰りが見えるようになった。ジョンソン首相の目指す合意なき離脱は微妙な情勢になった。   (おわり)

 

 

 

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