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2019年9月

2019年9月26日 (木)

中国市場で明暗が分かれた外資系自動車メーカー

中国汽車工業協会の発表によれば、2019年8月の中国新車販売台数は前年同月比6.9%減の196万台であった。1~8月の累計販売台数は前年同期比11%減の1610万台。台数にして201万台の減少である。これで米中貿易戦争の影響が出始めた昨年9月から14カ月連続で前年実績を下回った。販売減少の要因は米中貿易戦争に端を発した中国経済の減速と自動車需要の減少である。その結果、中国国内に生産拠点を持つ米国、ドイツ、フランス、韓国の自動車メーカーは販売減少に見舞われ、中国国内の工場の稼働率は大幅に低下しているという。昨年比で販売率の低下が大きいのは国別に列挙すれば、①フランス(ルノーと【PSA(プジョーグループ)】で、2019年上半期(1~6月)の【【ルノー】の販売台数は前年同期比24.5%減の8万9700台、【プジョーグループ】が60.6%減の6万4100台。②米国(GMとフォード)、GMの上半期の販売台数は157万台で前年同期比で14.6%、台数にして27万台の減少,【フォード】は、2019年上半期の販売台数は前年同期比で39.8%、台数にして15万9400台の減少。③【韓国】は、【現代】が29万4700台、前年同期比で21.0%の減少。【起亜】は14万4947台で、前年同期比17.2%減.④【ドイツ】の【VWグループ】(VW,アウデイ、ショコダなど)は191万6600台で、前年同期比で3.9%の減少、【メルセデス・ベンツ】は、29万7914台で、前年同期比11.2%の増加、【BMW】は27万4562台で、32.4%増。

2019年上半期にドイツの高級車メーカー2社以外で中国市場で販売量が前年同期比で伸びたのは日本のビッグ3の【トヨタ】、【ホンダ】、【日産】である。【トヨタ】(レクサスを含む)は前年同期比12.2%増の76万9800台、【ホンダ】が22.4%増の74万5409台、【日産】が0.6%増の71万8268台であった。日本車の販売が伸びた要因は【燃費の良さ】と【ブランド名】が中国で浸透したことであろう。ブランド名浸透に貢献したのは【訪日中国人】で、【訪日中国人】が増え続けていることである。今年の1~8月の【訪日中国人数】は前年同期比13.6%増の658万人でそのうちリピーターは6割を超えているという。最終的には年間900万人を超えると思われる。日本ほど自国車が国内を走っている国はないのである。来日して中国人は日本製の自動車のブランド名を覚えることになる。

ところで、中国では富裕層が増え、低価格車が売れる時代は終わり、高価格でも性能の良さを求める顧客が増えたのである。韓国車の低迷はそうした中国市場の変化を反映しているのであろう。さらに中国市場では高級車が売れる時代に突入したようである。ベンツやBMWの販売台数が増え、さらにトヨタの【レクサス】の今年上半期の販売台数は約9万5000台で、前年同期比で136%の増加である。GMの高級車キャデラックも販売台数を伸ばしている。

このような販売台数の結果、中国に進出したメーカの稼働率が100を超えているのは日本の3社と【メルセデス・ベンツ】と【BMW】だけである。他のメーカーの工場稼働率は70%を下回り、採算割れを起こしている。特にひどいのが【フォード】で20%台前半、【現代】は26%である。

現時点では日本のビッグ3の業績は好調であるがいつ風向きが変化するのか一寸先は闇である。   (おわり)

 

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2019年9月23日 (月)

反日日本製品不買運動は韓国経済を疲弊させる

日本製品の韓国への輸出手続き強化が発端となって【日韓関係】は7月4日から拗れに拗れ、解決の目途が立たない。日本政府が韓国に対して妥協する意思が微塵もないからである。

日韓関係に問題が生じると韓国国内では必ず【日本製品不買運動】が起こっている。1995年以降の25年間に【竹島問題】や【慰安婦問題】などを契機に4回【不買運動】が発生し、いつも尻切れトンボに終わってきた。ところが7月4日以降始まった今回の【日本製品不買運動】は80日を経過しても勢いが衰えることがない。今回の【不買運動】の背後には韓国政府の影がちらついているからだ。

【日本製品不買運動】のターゲットにされた企業はトヨタ、ソニー、アサヒビール、ユニクロを運営するファースト・リテイリング(FR)などである。トヨタの車は【トヨタ】と【レクサス】ブランドの2種類であるが7月の【トヨタ】ブランド車は前年同月比31.9%減の865台。ところが【レクサスブランド車は32.5%増の982台であった。8月に入って不買運動が本格すると【トヨタ】ブランド車は前年同月比で59.1%減少して542台、【レクサス】ブランド車は増加率は下がったがそれでも前年同月比7.7%増の603台であった。

トヨタより被害が大きかったのが【日産】で7月は前年同比で35.0%の減少、8月は87.4%減の58台であった。【日産】は韓国では苦戦していて撤退を検討していたと【FT】(フィナンシャル・タイムズ 日本経済新聞が買収した英国の世界的な日刊経済紙)は報じているが、【日産】は9月に入って【サムスン電子】の本社のあるサムスン電子の企業城下町である京畿道竜仁市の【ショールーム】を閉鎖した。【ホンダ】も7月は前年比33.5%減の468台、8月は80.9%減の138台であった。この傾向が続けば【日産】も【ホンダ】も韓国から撤退する可能性が高まる。

【日産】の昨年の韓国での販売台数は前年比19.6%減の5053台で,昨年の世界販売台数548万6900台の0.09%にしかすぎない。不採算の販売市場の韓国を切り捨てたほうが日産にとっては経済合理性の観点から合理的な選択になる。昨年の韓国販売台数が前年比で22.7%の減少で7956台の【ホンダ】にとっても同様なことが言える。【ホンダ】の昨年お世界販売台数は538万7000台で韓国の販売台数は0.15%である。韓国の不買運動によって両社は韓国撤退の踏ん切りがついたということになるかもしれない。【日産】や【ホンダ】の撤退は韓国人の雇用が減ることを意味する。

ところで、昨年の日本のビールメーカーの輸出額は初めて100億円を超えて128億円となったがその68%は韓国向けであった。韓国への輸出額は約80億円で、その60%は【アサヒビール】の【スーパードライ】や【クリアアサヒ】であった。不買運動の影響で【アサヒビール】は韓国市場でトップの座から13位に今年は後退した。昨年の売上高が9072億円の【アサヒビール】にとって30億程度の売り上げ減はさほど気にすることではない。アサヒビールを販売している韓国のコンビニの売り上げ減が韓国の雇用にとっては影響が大きい。

韓国で人気の高い【製造・流通一括型衣類】の【ユニクロ】の運営会社【FRLコリア】の売上高の減少も顕著で、既にソウルの中心部の明洞店など数店舗は閉鎖に追い込まれた。【FRLコリア】は日本の【FR】が51%、韓国企業の【ロッテ】が49%出資ししている企業である。ユニクロの店舗は韓国内に190、韓国人の従業員数は5403人、不買運動が長期化し、【FRLコリア】が倒産するような状況に追い込まれれば若年労働者の失業率が高まり、その批判の矛先は韓国政府、ひいては文在寅大統領に向かい、来年の総選挙で与党が敗北するという事態が起こりかねない。文大統領は日韓関係の修復のために重い腰を上げるべきであろう。   (おわり)

 

 

 

 

 

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2019年9月17日 (火)

日米貿易交渉の合意内容の大筋が判明

今月末に行われる予定の日米首脳会談で【日米物品貿易】の協定書の署名が行われる。それに先立ち【日米貿易交渉】の閣僚級会談で【日米物品貿易】の内容が確定する関

【日米物品貿易】の米国側の関心の焦点は【米国産農産品】の関税を日本側がどこまで引き下げるかであり、日本側の関心の焦点は米国が日本車に課している輸入関税の撤廃を受け入れるかであった。9月15日に【共同通信】が配信した記事によれば、米国産農産品の関税は昨年12月30日に発効した【TPP11】の水準で合意したとされる。新たに報じられた内容は「日本が米国に設定した最大7万トンの【コメ無関税枠】を大幅に縮小する」ということである。日本への米国のささやかな譲歩ということであろう。

日本人にとっての最大の関心事は現行の日本車に課されている2.5%の輸入関税の撤廃であるがこれは現状維持ということで日本の要求は受け入れられなかった。トランプ大統領は日本車に25%関税を課す可能性を示唆して日本に対して脅しをかけていた。だが25%の関税は単なる脅しであり、実行される可能性は限りなくゼロ%に近かったのである。

膠着状態に入っている【米中貿易戦争】の現況を視れば簡単に理解できる。米国の大手自動車メーカー【フォード】の2017年の中國販売台数は156万6000台であったが、米中貿易戦争が勃発した2018年には【フォード】の中国販売台数は105万5000台と51万1000台激減した。この流れは今年に入っても継続していて2019年上半期(1~6月)の【フォード】の中国販売台数は前年同期の40万0443台から24万1000台とこれまた大幅に減少している。

【フォード】の2017年の世界販売台数は660万台7000台であったが翌18年には前年比9.5%減の598万2000台でその減少分の約82%は中国での販売減少分である。米国が日本やEUに高率の自動車関税を課せば年間150万台を販売しているEUでもEUの報復関税によって【フォード】の販売台数は100万台を割ることは必至であろう。【フォード】にとってドル箱市場であったEUと中国を失えば【フォード】身売りする事態に追い込まれかねないのである。

任期2年を超えたトランプ大統領の経済政策に対して日本でも著名なノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大教授やポール・クルーグマン・ニューヨーク市立大学教授は批判的な見解を述べている。トランプ政権が実行した【大型企業減税】は、上場企業によって自社株買い取り資金や株主の配当金として支出され、従業員にはさほど還元されず、減税と関税という矛盾する政策によって米国の中間・低所得層の負担を増やしたというのが両教授の見立てである。

【日米物品貿易協定】の締結は安倍首相からトランプ大統領への再選の【前祝】という意味合いが強い。   (おわり)

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2019年9月16日 (月)

韓国に対する経済制裁の大義名分を得た日本政府

輸出依存率が37.86%と先進国の中ではドイツに次ぐ輸出主導型国家である【韓国】に経済の変調が表れ出したのが2018年第4四半期(10~12月)からである。第3四半期の最後の月の9月の韓国の【貿易黒字額】は96億1000万ドル、第4四半期の最初の月の10月の【貿易黒字額】は64億1000万ドル、11月が47億7000万ドル、12月が43億4000万ドルである。2018年の韓国の月別平均の【貿易黒字額】は59億ドルであるから11月から輸出の伸び率が前年同月比で鈍化したことが明白である。

この傾向は2019年に入ると一層鮮明になり、2019年1月の輸出の前年同月比の伸び率はマイナス5.8%で、【貿易額】は463億5000。【輸入額】は前年同月比1.7%減の450億2000万ドルであったことから【貿易黒字】は13億3000万ドルで、【昨年の月額平均の貿易黒字】(59億ドル)の約22%という大幅減少であった。

その結果、2019年上半期(1~6月)の輸出額は前年同期比8.5%減の2713億3600万ドルで、金額にして253億3600万ドル減少した。【輸入額】は2521億3500万ドルであるから19年上半期の【貿易黒字額】は192億0100万ドル。2018年【上半期】の輸出額は2966億7200万ドル、【輸入額】は2655億7800万ドルであるから【貿易黒字】は310億9400万ドルであった。今年の上半期の【貿易黒字額】は昨年同期比で118億9500万ドル減ったことになる。韓国にとって最大の輸出国である中国への同期の輸出額は657億3800万ドルで、前年同期比で17.0%、金額にして133億8000万ドル減った。この傾向は7,8月にも続いている。

【輸出減】と【貿易黒字】の減少という傾向は第3四半期(7~9月)に入っても改善される兆候は見られない。7月の輸出額は前年同月比で11.0%減の461億3600万ドル、輸入は前年同期比で2.7%減って437億4000万ドルであるから【貿易黒字額】は24億4000万ドル、昨年の7月の貿易黒字額は68億6000万ドルであるから前年同月比で44億2000万ドルの減少、8月の輸出は前年同月比13.3%減の442億70000万ドル、輸入が425億ドルであるから8月の【貿易黒字】は17億ドル、昨年同月の【貿易黒字】は68億3000万ドルであるから昨年同月比で51億3000万ドル減少している。7・8月・2カ月の貿易黒字の減少額は昨年比で95億5000万ドルである。

今年度の韓国の輸出額の目標は6000億ドルであったが1~8月までの輸出額の累計は3616億7200万ドルであるから当初の目標達成はかなり難しくなった。2018年の【貿易黒字額】は699億9700万ドルであったが今年1~8月の累計【貿易黒字】が699億9700万ドルであるから今年の【貿易黒字額】は昨年より300億ドルは減るであろう。

ところで、9月10に韓国にとっては真に都合が悪いニュースが世界を駆け巡った。そのニュースというのは「世界貿易機構(WTO)の上級委員会が韓国が日本製の船舶向けの空気圧送伝送用バルブに課していた11~22%の反ダンピング関税をWTO協定違反であるという判定を下した」という内容である。

この判定の結果、WTOは韓国に反ダンピング関税の撤廃を勧告した。30日以内にこの判定は公式に決定し、日本はWTOの手続きに従って韓国政府に【反ダンピング関税】の撤廃を要請することになる。だが韓国は日本の要請を無視して時間稼ぎをする可能性が高い。来年4月の総選挙までは韓国政府は【反ダンピング関税】撤廃に応じることはないであろう。WTOの勧告に従えば韓国政府は日本に対して弱腰であると国民は反発して与党の支持率が急落するリスクに晒されるからである。

日本は【WTO】という国際機関のお墨付きを得たことによって韓国に対する制裁を実施する大義名分を得たことになる。日本は韓国に対して同じ悩みを抱える【EU】と歩調合せて韓国政府に経済制裁の圧力をかけ続ければいいのである。   (おわり)

 

 

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2019年9月11日 (水)

アベノミクスは日本経済の活力を取り戻したのか

当初の予定では9月10には第5次安倍内閣の閣僚名簿を発表する予定であったが諸般の事情により閣僚名簿の発表は11日にずれ込んだようである。前回の内閣改造(2018年8月2日)での初入閣者は12人であったが今回の内閣改造での初入閣者は5人増えて17人となる予定である。ところで、「政界は一寸先は闇」という表現がまかり通っているが新入閣者が13人という大盤振る舞いは政界の一部に燻っている「安倍首相の4選はない」ことを意味する。

2009年9月~2012年12月までの約3年3カ月間の短命に終わった民主党政権時代、日本は【円高】と【株安】に悩まされていた。民主党の野田佳彦首相が退陣を表明した12年11月16日の円/ドル相場は1ドル=81円44銭で同日の【日経平均株価】の終値は9024円16銭であった。ところが12月に実施された衆院選で自民党が圧勝して政権復帰し、第2次安倍内閣が誕生した12月26日の円/ドル相場は1ドル=85円35銭と4円91銭の円安となり、【日経平均株価】も自民党の政権復帰を市場は歓迎して12月26日の株価の終値は40日間で約1026円値上がりした10230円36銭となった。

第2次安倍倍内閣の経済政策は【アベノミクス】と呼ばれているがその特徴は大幅な【金融緩和】である。具体的には市中の金融機関が保有している10年物の【長期国債】を日本銀行が年間約80兆円規模で買い取ったのである。この結果、市中に貨幣が溢れ、円安となり、余剰の資金が株式投資に向かい、株価は上昇し、【円安】・【株高】の民主党政権時代とは真逆な状況が生まれたのである。

日本経済は2008年秋に発生した【リーマンショック】と2011年の【東日本大震災】の勃発によって2007年~2012年の6年間の経済成長率の変動幅は大きかった。2007年の経済成長率は+1.65%、08年が-1.08%、09年が―5.42%,2010年が+4.19%、11年が-0.12%、2015年が1.50%である。

安倍内閣が本格的に始動した2013年の成長率は合格点の2.0%であったが14年は消費税率の3%引き上げが要因となって成長率は0.3%と低迷し、15年には少し回復したものの成長率は1.22%、16年は0.61%、17年が1.98%と合格ラインに近付いたが18年は米中貿易戦争の余波でまた経済は失速し、成長率は0.81%、19年は【IMF】の予測によれば0.98%である。

この成長率の数字から判断する限り【アベノミクス】が日本経済の成長に寄与したとは言い難い。【米中貿易戦争】が終焉(短期的には解決不能の可能性が高い)しない限り日本経済の復活も望み薄である。このまま成長率の低迷が持続すれば日本経済は【失われた30年】と言われかねない。  (おわり)

 

 

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2019年9月 7日 (土)

強引さが墓穴を掘ったボリス・ジョンソン英国首相

強硬な【脱EU論者】で知られるボリス・ジョンソン英国首相の強行策は英国下院議会の反発にあって裏目に出てしまった。【英国のトランプ】とも呼ばれているジョンソン首相はジャーナリスト上がりであるが、目的のためには手段を択ばずといった性癖が強く、ジャーナリスト時代には【脱EU】の論陣を張るために虚偽のニュースを垂れ流していたとされる。

ジョンソン首相は7月にテリーザ・メイ首相の後継者として首相に就任したが就任時から10月31日には合意なき離脱であってもEUを離脱すると明言していた。ジョンソン首相は【初めに離脱ありき】という政治的な立ち位置を変える気はさらさらないのであるから野党との話し合いに応じることを拒否していた。英国議会で主導権を握っているのは完全な小選挙区制で選出される下院議会(定数650)であるが与党(保守党と北アイルランドの地域政党【民主統一党(DUP)】)はかろうじて過半数を維持しているという状況であった。ジョンソン首相は野党勢力の【EU離脱(ブレグジット)】先延ばし論を封じ込めるために8月28日、9月中旬からの約5週間にわたり議会を休会することをエリザベス女王に要請し、女王はこれを承認した。

つまり、ジョンソン首相は、議会を休会して野党の反論を封じるという憲法違反の可能性のある禁じ手を使ったのである。当然、野党勢力はこれに反発したし、与党内部からも反乱者が出た。9月3日、与党保守党の下院議員フィリップ・リ―議員が離党し、野党・自由民主党に鞍替えした。この結果、与党陣営の議席は下院の過半数を割り込んでしまった。

与党が過半数を失った英国下院議会は4日に英国を合意なしでEUから離脱させようとするジョンソン首相の動きを阻止する法案を可決した。上院でもこの法案が可決されれば10月31日までに合意なきブレグジットを主張していたジョンソン首相の目論見は潰えることになる。ジョンソン首相が野党側の反撃に対して10月15日に総選挙を実施する動議を提出したことを受けて下院議会は首相の動議に関する討論が実施された。動議の可決には、下院の3分の2以上の賛成が必要であったが採決の結果、賛成298票、反対56票で否決された。最大野党労働党は採決を棄権し、与党・保守党からは10数人の造反者が出た。

ブレグジットを巡る国民投票から3年が経過したがこの間、英国経済は悪化している。経済の悪化という状況の変化によって【ブレグジット派】の勢いには陰りが見えるようになった。ジョンソン首相の目指す合意なき離脱は微妙な情勢になった。   (おわり)

 

 

 

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2019年9月 2日 (月)

米中、制裁関税合戦を再開

米国は、米国東部時間9月1日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、1100億ドル(約12兆円)分の中国製品を対象に【制裁関税第4弾)を発動した。これによって1日午前0時1分以降、米国政府は税関を通過した中国製品から15%の【追加関税】徴収する。

今回の追加関税は【半導体メモリー】やテレビなどの家電関連製品や衣料、靴など合計3243品目が対象である。米国民の生活に直結する消費財が半分を占めているので米国民ばかりでなくメーカーや小売業などの企業にも影響が及ぶことになる。トランプ大統領は中国製品に対する関税を負担するのは中国であるなどとこれまでフェイクニュースを意図的にツイッターを駆使して流していたが関税を負担するのは企業と米国民であることを米国民は理解すべきである。

中国も9月1日の同時刻にに制裁関税を発動したため【米中制裁関税合戦】はいつ果てるとも知れない泥沼の戦いの様相を呈してきた。米中両政府は9月上旬、ワシントンで閣僚級の貿易協議を再開させる予定であるが具体的な日程は未だ決まっていない。たとえ、貿易協議が再開しても合意に達する可能性は極めて低い。そもそも、トランプ大統領が中国に対して制裁関税合戦を仕掛けた目的は、中国へ生産拠点の一部を移転させた米国の製造業を本国回帰させて米国の製造業を再生させることだからだ。トランプ大統領は製造業の本国回帰と製造業の再生を選挙公約に掲げ、選挙に勝利したので2020年の大統領選での再選を果たすためにはトランプ大統領は製造業の一部でも本国回帰させなければならないのである。

ところで、昨年3回に分けて米国が実施した【制裁関税】がもたらしたものは【大豆農家】の倒産の急増と米国が誇る【ビッグスリー】とかつて呼ばれた自動車メーカーの大幅な販売台数減である。

[大豆農家】は最大の輸出先であった中国が輸入先を米国からブラジルへシフトしたことによって米国の【大豆農家】は経営難に陥り、今年の2~6月の6か月間で農家の破産申請数は535件に急増した。トウモロコシも農家も中国からの輸入がほぼゼロとなり、今後、倒産が増えるかもしれない。

米国の色褪せた名称【ビッグスリー】のうち【GM】(ゼネラルモーター)の2017年の中国での販売台数は404万0789台であったが2018年の中国販売台数は364万5044台であったから報復関税合戦の影響によって【GM]は39万4200台減らしたことになら。減少幅は今年になってさらに拡大傾向にある。2019年上半期の中国販売台数は前年同期比15%減の156万7899台で、昨年が184万14396台であるから27万6500台減少したことになる。2019年通年では300万台前後にまで落ち込む可能性すら現実味を帯びてきた。

【フォード】も2018年の中国販売台数は105万5000台で前年より50万9000台減少した。【FCA】(フィアット・クライスラー・オートモビールズ】は中国販売台数は数万台程度であったことから2018年の販売台数は1万台程度である。

トランプ大統領が自動車メーカーを恫喝して本国回帰させようとしても米国での生産コストが他の地域の生産コストより高いので自動車メーカーの本国回帰は口言うほど簡単ではない。現時点ではトランプ大統領の【制裁関税】政策は米国を景気後退追い込んでいるだけである。   (おわり)

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