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2019年7月 9日 (火)

米中貿易戦争は米国の製造業界に富と雇用を齎(もたら)したのか

6月28~29日に大阪で行われ行われた【G20首脳会談】を利用して米中首脳会談が開かれ、注目を集めていた米国の第4弾の約3000億ドル(約33兆円)分の中国からの輸入品に対する25%(現行10%)への関税引き上げが期限限定なしで先送りされた。

トランプ大統領が習近平国家主席に譲歩した形となったがことはそれほど単純ではないであろう。第4弾の関税引き上げ品目の中にはスマートフォンなどの輸入額の大きい代表的な消費財の関税率が引き上げられれば米国の経済を支えている個人消費が冷え込み、米国の好調な経済にダメージを与えることを回避したというのが真実だと思われる。第4弾の関税引き上げに関しては米財界はこぞって反対を表明していたし、アップル社も引き上げの中止を要請していた。

トランプ大統領は、関税の引き上げ分は中国が負担するなどとツイッターで投稿していたが関税を負担するのは最終的には消費者であり、トランプ大統領は意図的にフェイクニュースを垂れ流していたことになる。トランプ大統領の側近として知られる経済評論家出身の米国の経済政策の諮問機関【国家経済会議】のラリー・クドロー委員長ですらトランプ大統領のツイッター投稿の内容を明確に否定していた。

ところで、米中貿易戦争は1年を経過したが、トランプ大統領が主張していたように米国の製造業は活気を取り戻し、雇用は増大してのであろうか。米中貿易戦争(関税引き上げ)の恩恵を受けたのは鉄鋼業やアルミ業界であろう。それに対して被害を受けたのはハイテク産業や自動車産業であり、製造業ではないが農業である。

米国を代表するハイテク産業の【アップル】は、貿易戦争の影響で景気が後退した中国市場でアイフォンの販売量が減少し、2019年の売り上げ高の見通しを引き下げたし、半導体業界のトップの座を永年維持してきた【インテル】も中国での需要低下を受けて売上高を下方修正した。

被害の大きい自動車産業では、【GM】は今年の製造コストの上昇を関税引き上げと素材関連で10億ドルと見込み、【クライスラー・フィアット】は関税引き上げの影響でコモディティ(汎用品)関連のコスト上昇を7億5000万ユーロと見込んでいる。

【GM】の2019年第1四半期(1~3月)の米国での販売台数は前年より5万台減って81万台、中国では前年の98万6000台から前年比で17万200台減って81万4000台、【フォード】は米国では前年比で9900台減の59万6800台、中国では前年より台数にして10万7000台減の11万5000台。【クライスラー・フィアット】は米国では前年比極ではで1満5300台減の49万8400台、中国では前年比30%減の3万9000台。自動車メーカーは惨憺たる状況である。最大の雇用を生み出す自動車産業の業績がこの体たらくでは米国の製造業の雇用は減ることはあっても増えることはない。

【米中貿易戦争】の先行きは不透明である。単なる経済闘争から米国を中心とする民主主義に裏打ちされた【自由主義社会】と中国共産党独裁型管理型社会】の争いという政治闘争に発展している。それ故に米国と中国の政治指導者の心の中に国家の存亡をかけた闘いに突入した意識が芽生えているために解決策は存在しないかもしれない。唯一被害の最小化を図れる解決策は米国民がトランプ大統領の再選を阻止することかもしれない。   (おわり)

 

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