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2019年6月 9日 (日)

日本は日米物品貿易交渉協議の早期の解決を先送りすべきだ

【日米物品貿易交渉協議】の3回目の閣僚級会合が6月13日にワシントンで開かれる。出席者は日本側は茂木敏充経済再生担当相、米国側はロバート・ライトハイザー米通商代表部代表である。

米国のトランプ大統領は膨大な貿易赤字解消の切り札として昨年、米国への輸出が多い国・地域や商品に追加の輸入関税を課した。【追加関税】の導入の理由としてトランプ大統領は米国の安全保障を脅かすことを理由に挙げ、米国民に対しては関税を負担するのは輸出国であるという【フェイクニュース】流した。関税は輸入品の価格を押し上げるので輸入品を購入する米国民もその一部を負担せざるを得ないのである。

最初に関税を課された商品は鉄鋼とアルミニュウㇺで、追加関税率は10%であった。【追加関税】措置の恩恵を受けたのは鉄鋼価格が上昇した米国の鉄鋼メーカーである。一芳、鉄鋼を大量に使用する自動車は鉄鋼価格の高騰によって製造原価が上昇し、さらに米国の【追加関税】に対して中国は米国からの自動車などの一部の輸入品に報復関税25%を課したために米国産の自動車には中国の現行の輸入関税15%に25%が上乗せされたために40%になった。

ドイツの高級車メーカーの【ダイムラー】(メルセデス・ベンツを製造)と【BMW】は米国内で製造した車を中国に輸出しているために40%の関税と鉄鋼価格の上昇によって製造原価が14%上がったことから中国での販売価格は54%上昇した。それに対してトヨタの高級車【レクサス】は日本国内で製造して中国に輸出したので製造原価は据え置き、輸入関税は15%なので米国産のドイツの高級車とは39%の開きが出た。その結果ドイツの【ダイムラー】や【BMW】は中国向けの車の製造は米国以外での製造に切り替えた。

中国に製造拠点を設ている【GM】や【フォード】、【クライスラー】も米国から送られる部品に関税が25%課されるので製造原価が上昇し、さらに米中貿易戦争の影響で米国車は中国ではボイコットされ販売台数が大幅に減少した。その結果、米国の【GM】や【フォード】は雇用の削減を発表している。トランプ大統領の追加関税策は裏目に出たのである。その上、鉄鋼製品への【追加関税】は米国への輸出が多いカナダ、メキシコ、EUの反発を呼び、米国産の農産品に報復関税が課されることになった。米国産の農産品は競争力を低下させ、輸出が減少して米国の農家は大きな打撃を受けた。

自動車産業と農業の生産が盛んな地域は米国の中西部と呼ばれる地域で【ラストベルト】(錆び付いた工業地帯】と【コーンベルト】(農業地帯)が重複している地域でもある。この地域でトランプ大統領は大統領選で勝利を収めたことによって当選したのである。関税政策をこのまま続行すればトランプ大統領の再選は覚束なくなるのでトランプ大統領は5月17日にカナダとメキシコに対する【鉄鋼・アルミニュウㇺ】の関税引き上げを停止した。さらに翌18日には【EU】と【日本】に対する【自動車関税引き上げ】の判断を180日先送りにした。つまりトランプ大統領は通商政策を転換したのである。

【日米物品貿易交渉協議】で日本の弱点は【自動車関税率の引き上げ】をブラフの材料にされることである。その懸念がなくなった以上米国産の農産品の輸入関税率を【TPP11】と同水準の税率以下に引き下げることを要求する米国に【ノー】を言える立場になった。現在、米国産牛肉の輸入関税は38.5%であり、【TPP11】加盟国のカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、その他【EU]からの輸入牛肉の関税は26.6%であるから10%以上の開きがある。この状態が長引けば米国産牛肉は日本への輸出量は減少することになる。そのためにトランプ大統領は焦っている。交渉の主導権は日本が掌握したのである。日本は安易な妥協をする必要はない。   (おわり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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