« 販売台数拡大の【つけ】は大きかった日産自動車 | トップページ | 【FCA】(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ルノーとの統合案を白紙に戻す »

2019年6月 5日 (水)

FCAとルノーの統合協議開始をフランス政府は容認するのか

米国の自動車メーカーの【クライスラー】を傘下に持つ【FCA】(フィアット・クライスラー・オートモビールズ)(登記上の本社、オランダ・アムスレルダム)は5月27日、一対一の株式比率による両社の事業統合を提案する、法的拘束力を持たない、意向表明書をルノー取締役会の送付したと発表した。

【FCA】は欧米市場を主力市場とするメーカーで、2017年の世界販売台数は474万台、そのうち北米(カナダとメキシコを含む)では前年比7.2%減の240万1000台、欧州及び中東は136万5000台であった。2018年の世界販売台数は前年比2.2%増の484万台出、北米市場は前年比5.1%増の253万4000台、欧州・中東・アフリカ市場で前年比4%減の142万8000台であった。

一方、統合の提案を受けた【ルノー】(ルーマニアのメーカー・ダチアとロシアのラーダを含む)の2017年の世界販売台数は、前年比8.5%増の376万台であったがロシアメーカーの【ラーダ】を傘下に収めた結果の販売増で【ルノー】の自体の販売が増えたわけではない。2018年の世界販売台数は前年比3.2%増の388万台であったがこれも【ラーダ】の販売台数が前年比で18.5%増えたことが主たる原因である。

【FCA】は【ルノー】に対して具体的には完全な合併によって合計販売台数870万台となる世界第3位の自動車メーカーとなることを提案した。販売台数870万台は【VWグループ】(ドイツ)の1083万台、【トヨタ】(ダイハツと日野を含む)の1059万4000台に次いで3位となる。自動車メーカー単体では【VW】の2017年の世界販売台数は623万台、【トヨタ】は938万台であるから【VW】は【トヨタ】の壁を超えるのはかなり難しい。しかも【VW】は中国で400万台を販売しているが中国メーカーとの合弁会社なのでその利益は折半となり、純益の面でも【トヨタ】超えは難しい。規模を追うメリットは当然存在するがその反面デメリットも大きいのである。

【FCA】の提案は株式の一対一の合併であることから新会社が設立された時点で【ルノー】の株式を15%保有するフランス政府の株式は新会社では株式保有比率は7.5%となり、フランス政府の議決権も半減する。【日産】は15%のルノー株式を保有しているが議決権が付与されていないので【ルノー】の経営に関与できず【日産】にとっては大きな不満の種であった。新会社では【日産】に7.5%の議決権が与えられるという。

フランス政府は新会社では議決権は7.5%しか与えられないので従来のような影響力を行使できないし、配当も半減する。そのような条件をフランス政府が受け入れられるのかは非常に疑問である。【ルノー】は6月4日の取締役会議で【FCA】と協議を開始するか否かの決定をする予定であったとされるが決定を先送りした。フランス政府との協議が難航しているであろうことは容易に推測がつく。民営化された企業に対してフランス政府がいつまでも影響力を行使し続けるのは国際的には非常識であろう。   (おわり)

|

« 販売台数拡大の【つけ】は大きかった日産自動車 | トップページ | 【FCA】(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ルノーとの統合案を白紙に戻す »

13国際経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 販売台数拡大の【つけ】は大きかった日産自動車 | トップページ | 【FCA】(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ルノーとの統合案を白紙に戻す »