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2019年6月12日 (水)

水面下で継続していたルノーとFCAの統合協議

フランス政府が筆頭株主でフランス自動車メーカー大手【ルノー】と欧米自動車メーカー大手の【FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)】の統合協議は6月7日、【FCA】が協議打ち切りを宣言したことによって統合協議は終了したと思われたいた。だが、これは【ルノー】と【FCA】がそれぞれ統合協議の主導権を握ろうとする駆け引きであることがフランのルメール経済・財政相の発言で判明した。

この統合案が【FCA】から【ルノー】に提案された際に欧米のマスメディアは【弱者連合】と揶揄している。【ルノー】の昨年の世界販売台数は388万台であるが主力市場の欧州市場での販売台数は164万1156台、そのうち【ルノー】ブランドの販売台数は前年比3.9%減の110万5778台、傘下のルーマニアのメーカーの低価格車【ダチア】ブランドの販売台数が52万8249台、残りの7139台は一昨年に買収したばかりのロシアメーカー【ラーダ】ブランドであった。

世界の2大市場である米国と中国市場での販売台数は【ルノー】自体が詳細を発表しないので定かでないが米国では5000台にも満たず、中国はアジア太平洋地区の販売台数に含まれ、推測であるが5万台にも満たないと思われる。

一方、【FCA】の世界販売台数は484万台とルノーを96万台上回っているが乗用車部門では苦戦を強いられている。【フィアット】の本拠地・欧州市場での販売台数は102万102万1311台で【フィアット】ブランドの販売台数は71万1285台、クライスラーの【ジープブランド】が16万台。【クライスラー】の本拠地米国では【フィアット】ブランドはほとんど売れず米国から撤退する計画が持ち上がっている。【クライスラー】の昨年販売台数は前年比8.5%増の223万5204台であったがこれは【ジープ】とSUVの【ラム】の販売が好調であったことによる。今年の1~5月の累計販売では前年同期比で2.5%減の89万台である。【クライスラー】の乗用車は米国以外では売れないので【クライスラー】の乗用車販売は米国に限定することになる。

今後、何らかの大改革をしない限り「ルノー】も【FCA】も単独では生き延びられないのである。そうした状況に追い込まれているからこそ統合を行わざるを得ない。しかし、統合に関しては自社に有利は統合条件を引き出すために駆け引きをしている。

問題は【ルノー】と提携している【日産】である。昨年は米国での販売不振が原因で昨年の純利益は前年比で47%減の1100億円台となった。今年度は1~5月の販売台数は米国と中国でともに前年度割れを起こしている。統合話が持ち上がったのは日産の利益に【FCA】が目を付けたのである。今後、自動車産業は【CASE】と呼ばれている技術革新時代に突入する。【CASE】とは【Connected】(インタートと常時繋がる)、【Autonomous】(自動運転)、【Shared】(シェアリング、共有と共用)、【Electric】(電動化)の頭文字をつないだものである。

この技術革新の費用を捻出できない【ルノー】と【FCA】は言葉は悪いが【日産】に集(たか)ろうとしているのだ。もし【日産】が今年度米中での販売の減少で赤字に転落したらこの統合話はどうなるのであろうか。   (おわり)

 

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