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2019年5月26日 (日)

日米物品貿易協定交渉で日本車の輸入関税引き上げを取引材料に使えなくなったトランプ大統領

【令和時代の幕開け】の最初の国賓としてトランプ大統領が7月25日来日した。来日の主たる目的は新天皇のご即位に関して祝辞を述べるためであり、【日米物品貿易協定交渉】を促進するためではなさそうである。トランプ大統領に随行して来日したライトハイザー米通商代表部代表と茂木敏充経済再生担当相の【閣僚級会合】が25日開かれたが貿易交渉が進展したわけではない。

政治家としての経験が絶無のトランプ大統領は、【政治は妥協の産物】という政治の原則を理解していない。自らの主張を圧倒的な米国の軍事力と経済力を背景に交渉相手国の意向を無視して押し通すという傾向が強い。あらゆる可能性に配慮した上で交渉をするわけではなく、場当たり的な対応で交渉を成功させようとしているとしかはた目には見えない。

その例の一つがTPPからの離脱である。TTPから離脱して米国は日本と二国間のFTA(自由貿易協定 現在は日本側は物品貿易協定という名称を使用している)によって農産物の関税を引き下げる戦略を立てていた。ところが日本は米国抜きのTPP11を結成して関税自由化への道筋を付けた。その結果、日本にはTPP11加盟国でFTAを締結しているオーストラリア以外のカナダやニュージーランド、今年の2月1日から発効した日欧EPA(経済連携協定)によって欧州からも安い牛肉が輸入されるようになった。米国の食肉業者は日本市場でシェア(市場占有率)を落としている。

ところで、トランプ大統領が誕生した2016年の米国の対日貿易赤字額は689億ドル、大統領に就任した17年の貿易赤字額が微減の688億ドル、昨年が前年比10.4%減の676億3000万ドル(約7兆6000億円)であった。米国の貿易赤字の最大の要因は日本からの自動車と自動車部品輸入である。18年の自動車の輸入台数は174万6408台(乗用車172万1225台、バス・トラック2万2193台)。それに2輪車と自動車部品が加わるとその金額の総計は5兆9959億9900万円、米国からの輸入車は2万台程度でその金額は887億2800万円、それに自動車部品代を加えると輸入代金の総額は1563億2700万円、米国の自動車関連の赤字は5兆4261億3500万円である。米国の貿易赤字の71.4%が自動車関連の赤字となる。トランプ大統領が日本からの乗用車の輸入に歯止めをかけたくなるのもむべなるかななのである。

そこでトランプ大統領は日本の自動車関税を現行の2.5%から10倍の25%に引き上げると日本にブラフをかけたのである。この大幅な関税引き上げに対して消費者のである米国民が反発した。米国では日本車の評価は米国車よりも高い。2017年の米国市場での日本車の販売台数は671万台で全販売台数の38.9%を占めていた。2018年の販売台数は662万台で市場占有率は38.3%である。トランプ大統領はポピュリスト(大衆迎合主義者)であるから米国の日本車ファンの意向を無視できない。そのためにトランプ大統領は日本車の大幅関税引き上げを諦めざるを得ないという憶測が米国内では流れている。

参院選後にならないと【日米物品貿易協定交渉】の進展は見えてこないであろう。   (おわり)

 

 

 

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