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2019年5月14日 (火)

中国の対米輸出品に第四弾の関税引き上げが実施されれば米国経済に想定以上の打撃を与える可能性

トラン大統領が5月5日に中国の対米輸出品5745品目(2000億ドル相当)の関税を現行の10%から25%に引き上げると発言したことから5月6日から日・米・中の株価の暴落が始まった。

米国の主要株価指数の【ダウ工業30種平均株価】は5月3日は2万66504ドルであったが5月8日には前日比475ドル安の2万5965ドル、米中貿易協議閣僚級会合が物別れに終わった後の週明けの5月13日には10日比617ドル安の2万5324ドルと急落した。6営業日で1180ドル下落したことになる。

中国を代表する株価指数【上海総合指数】も4月30日には3078ポイントであったが5月6日には2906ポイントと172ポイントも下がり、目安となる3000ポイントを割り込んだ。1週間で中国の株式資産は2.5兆円が消失してしまった。

日本の【日経平均株価】も大型連休前の4月26日は2万2258円であったが連休明けの5月7日には333円円下げて2万1923円、13日には2万1191円と5営業日で1067円と大幅に値を下げた。米中貿易協議の交渉決裂の衝撃がそれだけ大きかったという証である。

ところで、昨年7月6日に始まった【米中貿易戦争】は3回にわたる米国による中国からの輸入品に対する【制裁関税】と中国の米国からの輸入品対する【報復関税】の発動合戦である。第一弾は7月6日、米国が自動車や産業ロボットなど340億ドル分の輸入品に25%の【制裁関税】の発動である。同日、中国は自動車、大豆、牛肉など340億ドル分の輸入品に25%の【報復関税】を発動してそれに応じた。

【第2弾】は米国が8月23日に半導体、化学品、鉄道車両など160億ドル分の輸入品に25%の【制裁関税】を発動。同日、中国は自動車、鉄鋼、銅など同額の輸入品に25%の【報復関税】を発動。【第3弾】は米国が2000億ドル分の輸入品(食料品、家具、家電など)に5~10%の【制裁関税】を発動。中国は同日、600億ドル分の輸入品【液化天然ガス、航空機、レーザー機器)に5~10%の【報復関税】を発動した。

米国は今回の貿易協議で中国がトランプ大統領のブラフ(恫喝)に屈しなかったために5月10に2000億ドル分の制裁関税を25%に引き上げる追加関税を発動した。中国は第3弾の【報復関税】を25%に引き上げる措置を6月1日に講じる予定である。

さらに、米国は、今後も続く貿易協議を有利に進めるためにこれまでほとんど関税を課されていなかった3805品目、金額にして3250億ドル分の中国からの輸入品への【制裁関税】の発動の検討に入った。中国は報復関税の対象商品がないのでその対抗策として米国製品の不買運動で対抗する可能性が高い。

【IMF(国際通貨基金)】が4月に明らかにした試算によれば【第3弾】の制裁関税の発動の米国の経済成長に対する負の影響は最大で0.6%、中国の負の影響は最大で1.5%である。米国と中国のGDPの規模の差が中国経済のダメージの大きさに関係しているのである。しかしながら第3弾】の【制裁関税】引き上げの対象商品は日用品なのでは関税は米国の一般国民が負担することになる。米国民の消費意欲が急激に衰えることになりかねないので米国経済への負の影響はさらに拡大すると思われる。

米国の某調査会社は、【第3弾】の制裁関税引き上げにより93万人の、第4弾の制裁関税の発動で216万人の米国の雇用が喪失すると予測している。【制裁関税】の発動による米国経済への影響は決して軽微ではすまないのである。  (おわり)

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