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2019年5月16日 (木)

日本の新幹線技術が世界を席巻する試金石となる英国高速鉄道HS2の車両入札問題

英国の鉄道は日本とは異なり上下分離方式で運営されている。【上下分離方式】とは【上】は列車運営会社と【下】は線路などの鉄道インフラ管理会社を切り離す方式である。英国では現在、【下】は国が保有する【ネットワーク・レール】が鉄道インフラの保有・管理をしていて、【上】は2017年2月の時点で25社ある旅客鉄道運送業者(TOC)が列車の運行を行っている。さらに英国の鉄道運営が複雑なのは【鉄道車両】を保有する業者が別に存在していることである。その結果、【TOC】は【ネットワーク・レール社】と車両保有会社にリース料を支払っている。その上、ことを複雑にしているのは鉄道車両の発注権は特例で英国運輸省が掌握していることだ。

日本を代表する総合電機メーカー【日立】は鉄道車両製造事業で海外進出を果たすための橋頭保を確保しようと英国に照準を合わせて営業活動を展開し、その努力の集大成として老朽化した英国【都市間高速鉄道】の車両の切り替え時に888両の車両を受注した。【日立】の受注の決め手となったのが英国内に鉄道車両工場を建設すという提案である。工場は英国北東部のニュートンエイクリフに建設され、2015年1月から稼働を開始した。現地採用の英国人の労働者は当初900人であったが現在は1000人に増えているという。

【日立】の高速車両の納入車両数はロンドン・パディントン駅とウェールズ南部地方を結ぶグレートウェスタン本線を運営しているグレートウェスタン鉄道に369両、英国の主要鉄道幹線の一つイーストコースト本線(東海岸本線)を運営するヴァージン鉄道イーストコースト社に497両である。【グレートウェストン鉄道】に納入された車両が営業運転を開始したのは2017年10月16日で、初日にエアコンからの水漏れ事故などで列車の到着時間が40分遅れて先行きが心配されたがその後問題は一つも起こっていない。【ヴァージン鉄道】に納入された車両の営業運転の開始日は昨日(5月15日)であったが問題は発生していない。

【日立】の次のターゲットは今年中に入札が行われる英国の本格的な高速鉄道に投入される最高時速400kmの高速車両である、新規の【ハイスピード2】(HS2)の路線はロンドン―バーミンガム(英国第2の都市)を結ぶ。現在の在来線のウェストコースト本線を利用するればロンドンーバーミンガム間の所要時間は1時間24分であるが【HS2]では45分である。

この入札に応札すると思われるのは世界一の車両製造メーカーの【中国中車】、フランスのアルストムと合併して世界第2位となったドイツの【シーメンス】それに【日立】などであるが、この3社が落札社の有力候補である。【日立】が落札できれば日本の高速鉄道の技術が評価されたことになり、インドの新幹線建設の受注よりも国際的な影響は大きい。

地球温暖化の防止の観点から鉄道輸送の長所が再評価されている時代である。【日立】が受注できるかどうかは日本の新幹線技術が世界を席巻する試金石となる可能性が高い。

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