« 2019年4月 | トップページ | 2019年6月 »

2019年5月

2019年5月30日 (木)

ガーデンツーリズム(庭園めぐり観光)登録制度は訪日外国人客数のさらなる増加に寄与するのか

内需拡大策の一環として国土交通省は2003年から外国人誘客のキャンペーン【ビジット・ジャパン】を開始した。2008年の【リーマンショック】と2011年の【東日本大震災】の勃発によって【訪日外国人客数】はその翌年には減少したがそれを乗り越えてきた。【訪日外客数】が初めて1000万にを超えたのは2013年でそれ以降、2015年は【非日外客数】は1341万3400人、15年が1973万7400人、16年が2400万9700人、17年が2869万1000人、18年が3119万1900人と伸び率は下降しているが【訪日外客数】は拡大の一途を辿っている。今年の1~4月までの累計の【外客数】は1051万9380人であるから昨年を上回る可能性はかなり高い。

【外客数】の大幅増に伴い【【訪日外客】の日本国内での旅行消費額は2014年は2兆0305億円であったが2018年は2倍以上の4兆5189億円となった。日本人の国内旅行消費額は18年が20兆5000億であるから18年の旅行消費額は21兆円となり、GDPの約4割近くを占めることとなった。【ビジット・ジャパン】は成功したということになる。

第二次安倍内閣の【訪日外客数】の当初の目標は2000万人にであったが4年でその目標を達成している。【国土交通省】は2000万人達成のプランの一つとして【ガーデンツーリズム】を検討していたが今年4月に【ガーデンツーリズム登録制度】(正式名称【庭園間交流連携促進計画登録制度】)を創設して、5月に開催した【第1回有識者審査会】において6つの地域の公園や庭園を巡る【ガーデンツーリズム】の取り組みを登録することを決定した。

登録された地域は①【北海道ガーデン街道】、②横浜市の【ガーデンネックレス横浜】、③静岡県の【富士・箱根・伊豆『皇室ゆかりの庭園』】ツーリズム、④新潟県の【にいがた庭園街道】、⑤静岡県西部浜松市の【アメイジングガーデン・浜名湖】、⑥宮崎県宮崎市の【宮崎花旅365】の6地域である。

筆者の独断であるがこの6つの地域で欧米人の間で人気が沸騰しそうなのが①の【北海道ガーデン街道】と④の【にいがた庭園街道】である。【北海道ガーデン街道】は大雪―富良野―十勝を結ぶ全長約250kmの街道で、街道沿いに8つの周囲の自然と一体化した素晴らしい庭園が存在する。8つの庭園は、【大雪森のガーデン】(上川町)、【上野ファーム】(旭川市)、【風のガーデン】(富良野市)、【千年の森ガーデン】(清水町)、【真鍋ガーデン】(帯広市)、十勝ヒルズ【丘の上ガーデン】(幕別町)、紫竹ガーデン(帯広市)、【六花の森】(河西郡中札内村)で、日本庭園があるのは真鍋ガーデンだけで後の庭園はブリテイッシュスタイルで、ガーデンツーリズム発祥地のイギリスではこれらの庭園は高く評価されている。

【にいがた庭園街道】は村上市を起点とする新潟市までの全長約150kmの国道290号線である。この街道周辺は江戸時代~昭和初期にかけて日本有数の大地主(1000町歩以上を所有)であった豪農邸宅と日本庭園、見事な庭園のある寺院が集中している。さらに日本を代表する穀倉地帯なので日本の原風景とも言える里山や水田、棚田、集落や山々が続く潤いのある光景は訪れる欧米人を魅了すると思われる。

この登録制度によってこれからも【訪日外客数】は増え続ける可能性が高まったと言えるであろう。   (おわり)

 

| | コメント (0)

2019年5月28日 (火)

トランプ大統領の日米貿易協議関する発言はアメリカ選挙民に対する発言にしか過ぎない

【令和時代】の初の国賓として来日したドナルド・トランプ大統領は4日間の日程を終えて5月28日午後1時過ぎに大統領専用機で帰国の途に就いた。

トランプ大統領は5月27日の日米首脳会談後の共同記者会見で【日米貿易協議】に関して「日本とアメリカは公正と互恵を原則として、経済関係の改善に向けて努力している。現在、われわれは双方にとって利益のある貿易協定の合意に向け、交渉を進めている。アメリカの目標は日本との間の貿易赤字を削減すること、アメリカからの輸出を促進するために貿易障壁を取り除くことだ。貿易交渉についてはまもなく何らかの発表ができるだろう」と述べた。

貿易協議の課題の一つ米国産の農産物に対して日本市場を開放することについて「TPPで合意した上限か」という共同記者会見に出席した一人の記者の質問に対してトランプ大統領は「TPPは私とは全く関係がない。アメリカはTPPに拘束されない。」と応えた。トランプ大統領はTPP離脱を決断したのであるから当然と言えば当然の発言である。

トランプ大統領にとって農産物の生産者は大切な支持母体である。昨年7月に始まった米中貿易戦争によって中国は報復措置として米国産大豆に25%の報復関税を課した。米国の大豆輸出量の3分の一を輸入する中国は例年の米国産大豆の輸入量を半減させた。約1600万トンの米国産大豆は輸出先を失い、在庫が積み上がり、その結果、米国産大豆価格は年初の1ブッシェル=10ドルから8ドルに値下がりして大豆生産農家は大きな被害を被り、倒産したり、廃業したりという農家が続出した。2016年の大統領選でトランプ大統領に投票した中西部のコーンベルト(穀倉地帯)の農家の間には「このままトランプ大統領支持を続けてもいいのか」という動揺が走っていると言われている。

こうした農家の支持を繋ぎ止めるためにはトランプ大統領はすでに発効している【TPP11】加盟国の関税率よりも低い関税率を日本から獲得したいのである。しかしながら米国を特別待遇することになる【TPP11】の税率よりも低い税率を米国に適用することには日本は簡単には応じられない。日本が主導的な役割を演じて【TPP11]を発足させたので国際信義に反するからだ。

トランプ大統領は「8月には(貿易協議に関して)何らかの発表ができる」と発言しているが日本側はこの発言に関しては何の反応も示していない。発言できるようなことは何もないからだ。換言すれば現時点では何も決まっていないということであろう、来年の大統領選のために選挙運動開始期間に突入する10月までにトランプ大統領は日米貿易協議の成果が欲しいので焦っているのであろう。   (おわり)

| | コメント (0)

2019年5月27日 (月)

ルノーは欧米連合【FCA(フィアット・クライスラー・オートモビールズ)】の統合の提案を受け入れるのか

【日本経済新聞】が2015年7月に買収した英国の日刊有力経済紙【FT(フィナンシャル・タイムズ)】は5月25日、欧米連合の自動車グループ【FCA】(フィアット・クライスラー・オートモビールズ)がフランスの大手自動車メーカーで販売台数世界2位の自動車グループ【ルノー・日産・三菱連合】の盟主【ルノー】に統合を提案したと報じた。

【FCA】は、2014年に設立された登記上の本社をオランダのアムステルダムに置く持ち株会社で、傘下にイタリアの自動車メーカー【フィアット】、米国の【クライスラー】、イタリアの高級車メーカー【アルファロメオ】や【マセラッティ】を持つ。2014年通期の世界販売台数は461万台、設立当時の5年計画で2018年には世界販売台数700万台を目標に掲げていたが2018年の販売台数は484万台,で目標を大幅に下回った。目標未達の要因の一つは中国での販売不振である。中国市場での2018年の販売台数の目標は85万台であったが実際には販売台数は前年比で17.4%減の22万台にしか過ぎなかった。

【FCA】の2018年通期の売上高は14兆3640億円、純利益は約4500億円であった。これでは研究開発費や投資の資金が不足することになる。【FCA】は生き残るためには規模の拡大が必要不可欠と判断して【ルノー・日産・三菱連合】に統合を提案したのであろう。

統合を持ち掛けられた【ルノー・日産・三菱連合】の2018年の世界販売台数は、【ルノー】が前年比3.2%増の388万台、【日産】が2.8%減の565万台、【三菱】が18.4%増の122万台で1075万台で【VW】とは8万台の差で世界販売台数2位となった。【日産】は販売台数の目標必達のため米国市場では系列のディーラーに【販売奨励金】という名目で値引きの原資を提供していた。18年には【販売奨励金】の額を減らしたために販売台数が減ったのである。

【日産】の2018年通期の販売台数の減少は純利益の減少と直結し、2018年通期の【純利益】は前年比57.3%減の3182億円となった。【日産】の大幅な減益は【日産】の株式の43%を保有する【ルノー】にも伝播し、【ルノー】の2018年通期の純地益は前年比36.6%減の4312億円となった。

【日産】の今年1~4月の米国販売台数は前年比で4万2000台減少し、中国の同期の販売台数は昨年比で0.9%という微増で通年では減少に転じる可能性を否定できない。【日産】の販売台数が2年連続で減少すれば【ルノー・日産・三菱連合】の世界販売台数第2位の地位も危うくなる。

【ルノー】が【FCA】の提案を受け入れても米国市場で昨年253万台を販売した【FCA】と149万台を販売した【日産】は競合することになる。競合の結果社とも販売台数を減らすリスクさえある。統合が成功した2つの例と言われる【FCA】と【ルノー・日産連合】の統合が成功するという保証はどこにもない。【ルノー】と【日産】の関係が微妙な時期であるから提案の受け入れは先送りすべきではなかろうか。   (おわり)

 

 

| | コメント (0)

2019年5月26日 (日)

日米物品貿易協定交渉で日本車の輸入関税引き上げを取引材料に使えなくなったトランプ大統領

【令和時代の幕開け】の最初の国賓としてトランプ大統領が7月25日来日した。来日の主たる目的は新天皇のご即位に関して祝辞を述べるためであり、【日米物品貿易協定交渉】を促進するためではなさそうである。トランプ大統領に随行して来日したライトハイザー米通商代表部代表と茂木敏充経済再生担当相の【閣僚級会合】が25日開かれたが貿易交渉が進展したわけではない。

政治家としての経験が絶無のトランプ大統領は、【政治は妥協の産物】という政治の原則を理解していない。自らの主張を圧倒的な米国の軍事力と経済力を背景に交渉相手国の意向を無視して押し通すという傾向が強い。あらゆる可能性に配慮した上で交渉をするわけではなく、場当たり的な対応で交渉を成功させようとしているとしかはた目には見えない。

その例の一つがTPPからの離脱である。TTPから離脱して米国は日本と二国間のFTA(自由貿易協定 現在は日本側は物品貿易協定という名称を使用している)によって農産物の関税を引き下げる戦略を立てていた。ところが日本は米国抜きのTPP11を結成して関税自由化への道筋を付けた。その結果、日本にはTPP11加盟国でFTAを締結しているオーストラリア以外のカナダやニュージーランド、今年の2月1日から発効した日欧EPA(経済連携協定)によって欧州からも安い牛肉が輸入されるようになった。米国の食肉業者は日本市場でシェア(市場占有率)を落としている。

ところで、トランプ大統領が誕生した2016年の米国の対日貿易赤字額は689億ドル、大統領に就任した17年の貿易赤字額が微減の688億ドル、昨年が前年比10.4%減の676億3000万ドル(約7兆6000億円)であった。米国の貿易赤字の最大の要因は日本からの自動車と自動車部品輸入である。18年の自動車の輸入台数は174万6408台(乗用車172万1225台、バス・トラック2万2193台)。それに2輪車と自動車部品が加わるとその金額の総計は5兆9959億9900万円、米国からの輸入車は2万台程度でその金額は887億2800万円、それに自動車部品代を加えると輸入代金の総額は1563億2700万円、米国の自動車関連の赤字は5兆4261億3500万円である。米国の貿易赤字の71.4%が自動車関連の赤字となる。トランプ大統領が日本からの乗用車の輸入に歯止めをかけたくなるのもむべなるかななのである。

そこでトランプ大統領は日本の自動車関税を現行の2.5%から10倍の25%に引き上げると日本にブラフをかけたのである。この大幅な関税引き上げに対して消費者のである米国民が反発した。米国では日本車の評価は米国車よりも高い。2017年の米国市場での日本車の販売台数は671万台で全販売台数の38.9%を占めていた。2018年の販売台数は662万台で市場占有率は38.3%である。トランプ大統領はポピュリスト(大衆迎合主義者)であるから米国の日本車ファンの意向を無視できない。そのためにトランプ大統領は日本車の大幅関税引き上げを諦めざるを得ないという憶測が米国内では流れている。

参院選後にならないと【日米物品貿易協定交渉】の進展は見えてこないであろう。   (おわり)

 

 

 

| | コメント (0)

2019年5月23日 (木)

財務省貿易統計から読み取れる日本の対中貿易赤字の拡大と微妙になった対米貿易黒字の減少

2019年4月の財務省の【貿易統計】によれば、日本の輸出額は前年同月比2.4%減の6兆6500億円で、5カ月連続の減少であった。一方、【輸入】は6.4%増の6兆5983億円で、2カ月連続の増加であった。その結果、【貿易黒字額】は604億円と前月(5285億円の黒字)より4681億円減少した。黒字激減の最大の要因は中国への輸出が前年同月比で6.3%減少し、中国からの輸入が5.9%増加したことである。

日本の貿易収支は、1981年に【輸出】が33兆4689億円、【輸入】が31兆4641億円となり、2兆0048億円の黒字に転じて以降、2010年まで30年間貿易黒字が続いていた。2011年3月の東日本大震災の勃発により、日本の貿易収支は【輸出】が65兆5464億円、【輸入】が68兆1111億円と2兆4547億円の赤字に転落し、貿易赤字は2015年まで継続した。赤字を脱したのは2016年で、【輸出】が77兆0357億円、【輸入】が66兆0419億円となり、約11兆円の黒字となった。17年も黒字であったが、18年には原油価格の高騰で1兆2246億円の赤字に転落した。

トランプ大統領の非難の対象となっている日本の対米貿易黒字は、16年が約6兆7000億円、17年が微減の約6兆6900億円、18年は6兆4548億円と減少している。2016年5月から日本の電力会社(東京電力と関西電力)は米国のシェールガス由来のLNG(液化天然ガス)の輸入を開始した。今後、米国産のLNGの輸入が拡大する見通しなので米国の対日貿易赤字は減少を続けることになる見通しである。

2019年1月の日本の対米貿易収支は、前月比8.1%減の約5700億円、2月は米国の輸出が前月で16.5%減少し、日本からの輸出が1.6%増加したために【貿易黒字】は前月比24.7%増の約7500億円、3月の貿易黒字額は6836億円であった。

今年に入って中国への輸出が減少し、3月の輸出額は前月比9.4%減の1兆3046億円。輸出の落ち込みの原因は中国経済の減速で、それを反映して建設機械などの一般機械や電子機器製造に欠かせない半導体製造装置の輸出が激減している。米中の貿易協議が難航していることから日本経済にも悪影響が及び始めている。   (おわり)

 

 

| | コメント (0)

2019年5月22日 (水)

日米物品貿易協定交渉において日本政府は日本車の米国への輸出台数制限を受け入れるのか

2019年4月15~16日の両日にわたり【日米物品貿易協定交渉】の第1回の閣僚級会合が米国の首都ワシントンで開催された。出席者は日本側が茂木敏充経済再生大臣、米国側がハードなネゴシエイターとして知られるロバート・ライトハイザー米通商代表部代表であった。会談は双方の立場を主張しあっただけで終わった。米国が重要視している品目は【農産物】と【自動車】である。この2つの生産の中心地は、中西部から東海岸にかけての米国の穀倉地帯とラストベルト(寂れた工業地帯)が重なっている地域で、トランプ大統領誕生に大きく貢献した地域である。

2000年代前半までは世界の【自動車産業】をリードしていたのは米国で米国の【GM】(ゼネラルモーター)、【フォード】、【クライスラー】はビッグ3と呼ばれ他国のメーカーの追従を許さななかった。米国民の誇りであったビッグ3の凋落の契機となったのは2008年秋に起こった【リーマンショック】である。37年間、販売台数世界一の座に君臨してきた【GH】は破綻して、一時国有化され、【クライスラー】はイタリアメーカーの【フィアット】の傘下に入った。

昨年、【GM】は世界の7つの工場を閉鎖すると発表し、【フォード】は1昨日、世界の従業員の約10%に該当する7000人を解雇すると発表した。【クライスラー】も今年に入って主要市場の米国と中国で販売台数を減らしている。

今や世界の自動車産業をリードしているのは日本の乗用車メーカー8社(トヨタ、日産、ホンダ、スズキ、マツダ、スバル、三菱、ダイハツ)である。日本8社の2017年の世界生産台数は2847万0284台、2018年が2850万7298台で、国内生産が約1000万台、海外生産が約1900万台である。今後、海外生産は中国、東南アジア、インドを中心さらに増えるであろう。

トランプ大統領は日本やEUに対して25%の関税を上乗せする意向を示していたが米国市場が縮小傾向に陥っている現況から日本メーカーの米国への投資は多くを望めないと判断したと思われる。ここ数日の米国メディアはトランプ大統領は日本車の輸出台数制限を【日米物品貿易協定交渉】で要求するであろうと報じている。

日本メーカーは幾度となく米国政府の干渉に妨害されてきたがその都度企業努力によって日本車の販売台数の拡大を図ってきた。2018年の米国の新車販売台数は1772万台であったが、日本車は日本メーカー6社で663万台販売した。新車販売台数の37.1%が日本車であった。日本からの輸出台数を制限されてもメキシコやカナダなどから輸出して補えば販売台数は確保できるがトヨタは従業員や傘下の部品メーカーのために国内生産台数の下限を300万台に設定している。2017年のトヨタの北米向けの輸出台数は71万5000台であった。

日本政府は国内の農業を保護するために再度日本の自動車メーカーを犠牲にするのであろうか。輸出台数の制限を受け入れれば最も影響を受けるのは【トヨタ】と【スバル】である。   (おわり)

 

 

 

 

 

 

| | コメント (0)

2019年5月21日 (火)

内需の低迷から脱出できない日本経済

内閣府は5月20日、2019年第1四半期(1~3月)のGDP速報値を発表した。物価の変動を除外した実質GDPの伸び率は直前の3カ月(2018年10~12月 2018年第4四半期)に比べて05%増となり、2018年第4四半期に続き、2期連続のプラスとなった。

実質GDPが0.5%増(年率換算で2.1%増)となった最大の要因は、【財貨・サービスの純輸出】(輸出―輸入)が前期比で0.4%増えたことによる。【輸出】は中国へのIT関連製品の輸出の大幅減少によって前期比で2.4%の減少となったが【輸入】が原油価格の暴落によって大幅に減少し、前期比で4.6%減となったために【純輸出】は前期比で0.4%増に転じたのである。【輸入】の減少によって【純輸出】がプラスになったという状況は歓迎すべき事態ではない。

【実質GDP】の0.5%増加の寄与度は個人消費(-0.3%)や民間の設備投資(ー0.1%)が減ったことにより【実質国内需要】(内需)は0.1%、【財貨・サービスの純輸出】は0・4%であった。GDPの5割を占める【個人消費】が低迷していることが日本の経済成長率の伸びが緩やかな原因なのである。

2012年12月の衆院選で自民党が政権復帰し、第2次安倍内閣が本格的に始動し始めたのが2013年4月からであった。3月に黒田東彦アジア開発銀行総裁が日本銀行総裁に就任して、日本は先進国と歩調を合わせるように金融緩和政策を採用し、円安・株高の状況が生まれ、【アベノミクス】と安倍内閣の経済政策は持て囃された。金融緩和政策により円安状況が生まれ、円高で業績が低迷していた日本の自動車産業を中心とする輸出主導型産業は息を吹き返した。

2013年以降の実質GDP成長率は13年が+2.6%、14年が消費税率3%引き上げの影響で成長率はー0.4%、15年が+1.3%、16年が0.9%、17年が1.9%、18年が+1.2%と推移している。円換算のGDPは、13年が507.3兆円、14年が518.2兆円、15年が533.0兆円、16年が536.8兆円、17年が547.4兆円、18年が549.0兆円である。円換算のGDPは円安になれば金額は大きくなり、円高になれば金額は減る。15年にGDOが15兆円も増えたのは円安によるものであり、18年が1.6兆円しか増えていないのは円高に振れたからである。

経済が成長を遂げて円熟期に入った先進国はGDP成長率が2%を超えれば経済状況は良好であると言われている。【アベノミクス】で2%を超えたのは13年だけである。17年は1.9%であるから合格点と見做していいであろう。

内需拡大の鍵を握っているのは【個人消費】であるが可処分所得が増えない限り、個人消費が増えることは望み薄である。【個人消費】拡大には【最低賃金】の地域格差の是正と非正規雇用者を減少させることが必要不可欠であろう。   (おわり)

| | コメント (0)

2019年5月20日 (月)

世界標準から外れている日本の最低賃金

5月14日に開かれた政府の【経済財政諮問会議】で民間議員の一人サントリーホールディングスの新浪剛志社長が最低賃金の5%程度の引き上げを求めたことが議事録から判明し、注目を集めている。【最低賃金】とは雇用主が支払うことができる賃金の下限を定め、その限度額以上の支払いを法的強制力を以て義務付ける制度である。

パリに本部を置き、加盟国の経済発展や開発途上国への経済援助などを目的とする国際機関【OECD(経済協力開発機構】の資料によれば、オランダを100とする【購買力平価】に対する最低賃金の国際比較は【フランス】が96.3%、【英国】が90.1,【カナダ】が89.9、【米国】が79.5、それに対して【日本】は65.2と最も低い。中間賃金に対する最低賃金の比率でも、【フランス】が60.0%、【オランダ】が47.1%、【英国】46.1%、【カナダ】が45.0%、【米国】が38.8%に対して【日本】は37.0%とここでも日本は最低である。つまり日本の最低賃金は先進国の中ではイタリアを除けば一番低い。但し日本の物価は先進国の中では低い部類に入るので一概に非難はできない。

【最低賃金】の決定の仕方は以下のように3通りある:①ドイツに代表される【労使間の労働協約】、②米国の法定最低賃金、連邦政府の公正労働基準法と9割の州が定めた州別【最低賃金】を加味して決定する。③公労使三者構成の審議会で決定する。

日本では厚労省の中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)の審議によって決まる。日本の【最低賃金】が国際的に異常なのは地域によって最低賃金が異なることだ。因みに2018年10月1日から導入された【最低賃金】の全国平均は874円であるが1位の東京は最低賃金は985円、2位の神奈川県が983円、3位の大阪府が936円、筆者の住む栃木県は13位で826円、最低の31位の鹿児島県の最低賃金は761円と東京都とは時給で224円もの差がある。地域別の【最低賃金】決定は東京、神奈川への一極集中を促進するという皮肉な結果に終わっている。この地域格差を是正しようという動きが当然のことながら国会議員の間で広がっている。

最低賃金の引き上げは内需の拡大を意図しているのであるが地域別最低賃金の引き上げではさしたる効果は望めないと思われる。痛みを伴うが全国均一の【最低賃金】を目指すべきであろう。さらにその先には日本は終身雇用制度に決別して非正規雇用の比率を引き下げることを視野に入れるべきであろう。約4割の非正規雇用はあまりにも異常である。   (おわり)

| | コメント (0)

2019年5月19日 (日)

衆参同日選挙の可能性高まる

4月7日に統一地方選挙の一環として41道府県議会議員選挙が実施された。総定数2277人のうち【自民党】が50.9%、【公明党】が7.3%、【立憲民主党】が5.2%、【国民民主党】が3.6%、【共産党】が4.3%、【社民党】が1.0%、【維新】が0.7%、【諸派】(無所属、大地、減税党など)が3.5%を占めた。

2015年の前回選挙での各党の議席占有率は【自民党】が50.5%、【民主党】が11.6%、【公明党】が7.4%、【民主党】が11.6%、【共産党】が4.9%、【社民党】が1.4%、【維新】が1.2%【諸派】が3.5%であった。

つまり19年の41道府県議会選挙において議席数を増やしたのは【自民党】だけであり、野党第一党の【立憲民主党】の議席占有率が5.2%という低率であり、他の政党も微減ではあるが議席数を減らしたのである。国政選挙において集票力が高いのは都道府県議会議員であることから自民党は今年の7月に行われる参院選挙に自信を深めたことになる。

自民党にとっての懸念材料は衆院議員選挙を実施する時期である。【米中貿易戦争】の影響で日本の製造メーカーは中国向けの輸出が減って業績が悪化している。そうした時期に消費税率を引き上げれば2000億円を超える増税対策を実施したとしても景気に悪影響を及ぼすのは必至であろう。そこで自民党首脳は消費税率引き上げ以前に衆議院選挙を行うこと、【衆参同日選挙】を決断したと思われる。

安倍首相の側近の一人・萩生田光一幹事長代行は4月18日に出演したインターネットテレビ番組の中で、10月の消費税率引き上げに関して、「6月の日銀の【企業短期経済観測調査】(日銀短観)が示す景況感次第では消費税率の引き上げの3度目の先送りもあり得る」との見解を示し、「先送りした場合は国民の信を問う」と明言した。この発言はあくまでも個人的な見解と弁明したが衆院選実施の観測気球を上げて与野党の反応をみたのである。

安倍首相は5月6日に行われたトランプ大統領との電話会談で「私(安倍首相)自身が金正恩朝鮮労働党委員長と条件を付けずに向き合わなければならない」明言したとマスメディアは報じた。北朝鮮が首脳会談に応じる可能性は低いがこれも衆参同日選挙のための安倍首相流の布石なのであろう。水面下で2兆円とも言われる経済支援を確約して金正恩朝鮮労働委員長との首脳会談を実現すれば衆参同日選挙の連立与党の圧勝は確実であろうから。ともかく【衆参同日選挙】の確率は高まったと考えるべきであろう。   (おわり)

| | コメント (0)

2019年5月16日 (木)

日本の新幹線技術が世界を席巻する試金石となる英国高速鉄道HS2の車両入札問題

英国の鉄道は日本とは異なり上下分離方式で運営されている。【上下分離方式】とは【上】は列車運営会社と【下】は線路などの鉄道インフラ管理会社を切り離す方式である。英国では現在、【下】は国が保有する【ネットワーク・レール】が鉄道インフラの保有・管理をしていて、【上】は2017年2月の時点で25社ある旅客鉄道運送業者(TOC)が列車の運行を行っている。さらに英国の鉄道運営が複雑なのは【鉄道車両】を保有する業者が別に存在していることである。その結果、【TOC】は【ネットワーク・レール社】と車両保有会社にリース料を支払っている。その上、ことを複雑にしているのは鉄道車両の発注権は特例で英国運輸省が掌握していることだ。

日本を代表する総合電機メーカー【日立】は鉄道車両製造事業で海外進出を果たすための橋頭保を確保しようと英国に照準を合わせて営業活動を展開し、その努力の集大成として老朽化した英国【都市間高速鉄道】の車両の切り替え時に888両の車両を受注した。【日立】の受注の決め手となったのが英国内に鉄道車両工場を建設すという提案である。工場は英国北東部のニュートンエイクリフに建設され、2015年1月から稼働を開始した。現地採用の英国人の労働者は当初900人であったが現在は1000人に増えているという。

【日立】の高速車両の納入車両数はロンドン・パディントン駅とウェールズ南部地方を結ぶグレートウェスタン本線を運営しているグレートウェスタン鉄道に369両、英国の主要鉄道幹線の一つイーストコースト本線(東海岸本線)を運営するヴァージン鉄道イーストコースト社に497両である。【グレートウェストン鉄道】に納入された車両が営業運転を開始したのは2017年10月16日で、初日にエアコンからの水漏れ事故などで列車の到着時間が40分遅れて先行きが心配されたがその後問題は一つも起こっていない。【ヴァージン鉄道】に納入された車両の営業運転の開始日は昨日(5月15日)であったが問題は発生していない。

【日立】の次のターゲットは今年中に入札が行われる英国の本格的な高速鉄道に投入される最高時速400kmの高速車両である、新規の【ハイスピード2】(HS2)の路線はロンドン―バーミンガム(英国第2の都市)を結ぶ。現在の在来線のウェストコースト本線を利用するればロンドンーバーミンガム間の所要時間は1時間24分であるが【HS2]では45分である。

この入札に応札すると思われるのは世界一の車両製造メーカーの【中国中車】、フランスのアルストムと合併して世界第2位となったドイツの【シーメンス】それに【日立】などであるが、この3社が落札社の有力候補である。【日立】が落札できれば日本の高速鉄道の技術が評価されたことになり、インドの新幹線建設の受注よりも国際的な影響は大きい。

地球温暖化の防止の観点から鉄道輸送の長所が再評価されている時代である。【日立】が受注できるかどうかは日本の新幹線技術が世界を席巻する試金石となる可能性が高い。

| | コメント (0)

2019年5月14日 (火)

中国の対米輸出品に第四弾の関税引き上げが実施されれば米国経済に想定以上の打撃を与える可能性

トラン大統領が5月5日に中国の対米輸出品5745品目(2000億ドル相当)の関税を現行の10%から25%に引き上げると発言したことから5月6日から日・米・中の株価の暴落が始まった。

米国の主要株価指数の【ダウ工業30種平均株価】は5月3日は2万66504ドルであったが5月8日には前日比475ドル安の2万5965ドル、米中貿易協議閣僚級会合が物別れに終わった後の週明けの5月13日には10日比617ドル安の2万5324ドルと急落した。6営業日で1180ドル下落したことになる。

中国を代表する株価指数【上海総合指数】も4月30日には3078ポイントであったが5月6日には2906ポイントと172ポイントも下がり、目安となる3000ポイントを割り込んだ。1週間で中国の株式資産は2.5兆円が消失してしまった。

日本の【日経平均株価】も大型連休前の4月26日は2万2258円であったが連休明けの5月7日には333円円下げて2万1923円、13日には2万1191円と5営業日で1067円と大幅に値を下げた。米中貿易協議の交渉決裂の衝撃がそれだけ大きかったという証である。

ところで、昨年7月6日に始まった【米中貿易戦争】は3回にわたる米国による中国からの輸入品に対する【制裁関税】と中国の米国からの輸入品対する【報復関税】の発動合戦である。第一弾は7月6日、米国が自動車や産業ロボットなど340億ドル分の輸入品に25%の【制裁関税】の発動である。同日、中国は自動車、大豆、牛肉など340億ドル分の輸入品に25%の【報復関税】を発動してそれに応じた。

【第2弾】は米国が8月23日に半導体、化学品、鉄道車両など160億ドル分の輸入品に25%の【制裁関税】を発動。同日、中国は自動車、鉄鋼、銅など同額の輸入品に25%の【報復関税】を発動。【第3弾】は米国が2000億ドル分の輸入品(食料品、家具、家電など)に5~10%の【制裁関税】を発動。中国は同日、600億ドル分の輸入品【液化天然ガス、航空機、レーザー機器)に5~10%の【報復関税】を発動した。

米国は今回の貿易協議で中国がトランプ大統領のブラフ(恫喝)に屈しなかったために5月10に2000億ドル分の制裁関税を25%に引き上げる追加関税を発動した。中国は第3弾の【報復関税】を25%に引き上げる措置を6月1日に講じる予定である。

さらに、米国は、今後も続く貿易協議を有利に進めるためにこれまでほとんど関税を課されていなかった3805品目、金額にして3250億ドル分の中国からの輸入品への【制裁関税】の発動の検討に入った。中国は報復関税の対象商品がないのでその対抗策として米国製品の不買運動で対抗する可能性が高い。

【IMF(国際通貨基金)】が4月に明らかにした試算によれば【第3弾】の制裁関税の発動の米国の経済成長に対する負の影響は最大で0.6%、中国の負の影響は最大で1.5%である。米国と中国のGDPの規模の差が中国経済のダメージの大きさに関係しているのである。しかしながら第3弾】の【制裁関税】引き上げの対象商品は日用品なのでは関税は米国の一般国民が負担することになる。米国民の消費意欲が急激に衰えることになりかねないので米国経済への負の影響はさらに拡大すると思われる。

米国の某調査会社は、【第3弾】の制裁関税引き上げにより93万人の、第4弾の制裁関税の発動で216万人の米国の雇用が喪失すると予測している。【制裁関税】の発動による米国経済への影響は決して軽微ではすまないのである。  (おわり)

| | コメント (0)

2019年5月13日 (月)

米中貿易協議合意に達せず

5月10~11日にワシントンで開かれた米中貿易協議閣僚級会談は予測されたように物別れに終わり、米国は中国に対して第4次の制裁関税を課す見通しとなった。今回の米国のムニューシン財務長官とライトハイザー米国通商代表と中国の劉副首相の会談は単なる貿易交渉ではなく、米国側が中国政府に対して知的財産権の保護と中国政府の国営企業への高額の補助金の給付という【非関税障壁撤廃】を強く求めたために中国への内政干渉にもなりかねず中国側はこれに強く反発して会談は物別れに終わった。

米国の要求は正当なもので今回の会談決裂の責任は100%中国側にあるが中国が米国の2つの要求を受け入れれば中国製品の国際競争力は一挙に低下し、中国製品の輸出量は激減し、GDP世界第2位の座を失う危機に瀕する結果、中国共産党の崩壊に繋がりかねないことから中国としては米国の要求を拒否する以外の選択肢はなかったのである。中国共産党の一党独裁の正当性は経済発展によって担保されているからである。

中国の工業製品の生産コストが先進国に比べて廉価である最大の要因は、ここ数年人件費が高騰したとはいえ先進国に比べれば格段に廉価な労働力と特許料を支払わないことである。さらに中国の輸出品の価格が他国の輸出品の追従を許さないほど廉価なのは中国政府が輸出品に対して高額な補助金を給付しているからに他ならない。

トランプ大統領は資本主義の経済合理性に基づき中国からの輸入品に高率の関税を課せば中国製品の米国での販売価格は高騰して中国製品は米国市場で販売不振に陥り、中国の輸出は激減し、米中の貿易不均衡は是正されると考えている。交渉相手が自由主義経済に基づく資本主義国であればトランプ大統領の措置は成功するのであろうが資本主義の経済合理性の枠外の中国相手ではトランプ大統領の措置が成功する保証はないのである。中国は対抗策として報復関税で応じるであろうがそれ以上に中国の国営、民営企業を問わず中国の輸出企業に高額な補助金を給付して対抗すると思われる。

今回の米中貿易協議が決裂したことによって世界経済は未踏の分野に足を踏み入れたことになる。この米中の貿易摩擦の到達点は神のみぞ知るということに現時点ではなるのであろう。   (おわり)

| | コメント (0)

2019年5月 8日 (水)

追加関税率引き上げを米中貿易協議の取引材料に使うトランプ大統領

昨年7月6日に米国は、米国が中国から輸入する500億ドル分の製品に対して輸入関税を25%に引き上げ、それに対して中国は米国からの輸入品に関して25%の報復関税を課した。いわゆる【米中貿易戦争】の開始である。米中貿易戦争の勃発によって甚大な被害を被ったのが米国の大豆生産農家であった。中国は米国産大豆の最大の輸入国であるが輸入価格が高騰した米国産大豆の代替品として中国はブラジル産やアルゼンチン産大豆を輸入した。最大の輸出先を失った米国の大豆農家は壊滅的な打撃を受け、破産したり、経営難に陥った大豆農家が続出した。大豆農家は2016年の大統領選挙でトランプ大統領誕生の原動力となった中西部の州(ラストベルトと呼ばれる寂れた工業地帯と重なる)に多く、大豆農家の没落は2020年のトランプ大統領再選に影を落とし始めたのである。

2018年12月3日に【G20首脳会議】がアルゼンチンの首都ブェノスアイレスで開かれたがそれに先立つ12月1日にトランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が行われ、貿易摩擦解消に向けた協議を行うことで合意した。その結果、2019年1月1日から実施されるとしていた米国の中国に対する2000億ドル分(5745品目)の制裁関税(2018年9月から課された10%の関税)の税率の25%への引き上げが3月1日まで先送りされた。この米中首脳会談の内容についてホワイトは同日、「強制的な技術移転、知的財産権の保護、非関税障壁(中国の国有企業の優遇措置など)などの5分野の構造改革に関する交渉を直ちに開始する」と発表した。中国側の声明ではこれに触れていない。さらにホワイトハウスの声明はこの5分野の交渉が90日以内に合意に達しなければ制裁関税を25%に引き上げると言及している。

米中貿易協議の閣僚級会合が2月21日からワシントンで始まった。出席者は米国側がムニューシン財務長官とライトハイザー米国通商代表部「USTR」代表、中国側は劉鶴副首相。この会合で交渉は合意に達しなかったがかなり進展したことが窺われる。中国は3月に開かれた年1回の中国の国会とも言われる【全国人民代表大会】(全人代)で外資系企業へ技術移転を強要することを禁じる【外商投資法】を成立させた。これを受けて米国は制裁関税の25%への引き上げの実施を再び先送りした。

その後、4月中の合意を目指して米中閣僚級会合で協議が続いたが制裁関税の撤廃時期と規模で米中間の主張の溝が埋まらず協議が5月9日から再開する。協議再開を前にトランプ大統領は「5月10日に制裁関税を25%に引き上げる」とツイッターに投稿して物議を醸した。

トランプ大統領は最大の懸念材料であった自身のロシア疑惑の決着がついたことで余裕が出て米中貿易協議の合意を急がなくなったのであろう。中国に難題を持ちかけて米国の要求を強要しようとしているのである。来年の6月頃までに米国側の主張が受け入れられる状況が生まれれば合意してもいいとトランプ大統領は考えているのであろう。それが大統領選でトランプ大統領にとって有利に働くからだ。   (おわり)

 

| | コメント (0)

2019年5月 7日 (火)

英国統一地方選で与党保守党惨敗、EU離脱の是非を巡る再度の国民投票となるのか

英国議会は【EU離脱】(ブレグジット)実施に関して与野党の対立が激化し、3月29日のブレグジット実施に踏み切れず、テリーズ・メイ首相はEU首脳との協議でブレグジットの実施を11月1日まで延期するという時間稼ぎに成功した。しかしながら国民の眼から見れば議会の混迷ぶりは目を覆いたくなるような惨状で国民の怒りの矛先は今年に入ってからは英国の2大政党の与党【保守党】と野党第一党の【労働党】に向けられていた。

そうした状況下で4年に一度の英国の統一地方選挙が5月2日に実施された。今回の改選の対象となったのは保守党の牙城の【イングランド】地方の248の地方議会と6自治体の首長、【アイルランド】地方の11の地方議会で、合計259の地方議会の改選議席数は約8900であった。イングランドの地方議会はその誕生の歴史から日本の地方議会とは異なり、強い自治権を保有し、中央政党と直結している。公明党と共産党、立憲民主党以外の日本の地方議員の多くが選挙対策上、政党色を薄めれるために無所属を便宜的に標榜するが、英国の地方議員はそうした姑息な手法は駆使しない。

今回の統一地方選挙では【ブレグジット】に関しては、保守党はブレグジットの実現、労働党は曖昧、野党第二党の【自由民主党】は親EU派であることから再度の国民投票の実施(ブレグジットの見直し)、環境政党の【緑の党】も再度の国民投票を主張していた。労働党が【ブレグジット】に対して曖昧な態度を取り続けているのは、ジェレミー・コービン党首の本音は【ブレグジット】であるが党内の多数派がEU残留を支持しているからだ。

選挙結果は、、保守党が改選前の議席の25%をに該当する1330議席を失うという大惨敗を喫し、獲得議席は3542議席であった。【ブレグジット】に優柔不断の姿勢を変えなかった【労働党】は84議席減の2021議席、EU残留派の【自由民主党】は再度の国民投票を選挙戦で訴え、704議席増の1351議席を獲得し、議席を倍増させた。【緑の党】も選挙戦で再度の国民投票を主張し、議席を194議席増やして、これまた議席を改選前より倍増させた。

英国の世論は2年前とは明らかに変化したのである。2年前には国民の過半数は英国の自治の回復を望んで【ブレグジット】を選択したのであるが、ブレグジットのもたらすデメリットに気付いた有権者の大半は【再度の国民投票】を選択したことになる。

この有権者の選択に対して【保守党】のブレグジット強硬派はどのような対応をするのであろうか。5月23~26日に行われる【欧州議会選挙】の結果が強硬派に影響を与えるに違いない。世論調査では反EU派が議席の3分の一を占める可能性が高いという結果が出ている。世論調査の結果通りとなればブレグジット強硬派は、統一地方選で示された民意を無視して合意なきブレグジットに突き進むかもしれない。

| | コメント (0)

« 2019年4月 | トップページ | 2019年6月 »