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2019年4月

2019年4月24日 (水)

設置企業の真剣度が問われる企業主導型保育所

東京都の23の特別区をはじめとして人口が増え続けている大都市圏では【待機児童】問題は行政が解決すべき喫緊の課題であった。その【待機児童問題】の解決の切り札として政策化されたのが【企業主導型保育所】の設置である。この【企業主導型保育所】は地方自治体にとっては【待機児童】の解消に寄与するし、設置する企業にとっては従業員の確保を容易にし、定着率を高め、従業員の福利厚生の充実に役立つ。さらに保育児童を抱える保護者にとっても深夜時間や短時間の託児が可能などという利点があった。この制度がうまく機能すればであったが。

【企業主導型保育所】の事業費は2016~18年度の3年間で約3800億円が【施設整備費】や【運営費】名目の助成金として【企業主導型保育所】に支払われている。2018年1月31日の時点で新設された施設は2190施設で定員は50万0091人分であったが11月30日の時点では407施設増えて2597施設となった。助成金の支払額の一例を挙げれば東京都の23区内で新設する場合、定員12人、保育士比率50%以上で【施設整備費】が8000万円、【運営費】が2600万円である。

【企業主導型保育所】が3年間で約2600も新設された原因は都道府県の監督を受けることなく、申請すれば施設の設置を認められたこと、認可保育園より人員(保育士)の配置基準が緩和されたこと、助成金を支給する権限を与えられた内閣府管轄の公益財団法人【児童育成協会】が施設数を増やすことと事業費を消化することを優先させたためチェックが厳しくなかったことなどが挙げられる。

施設の【質】より【量】を追求した結果、【企業主導型保育所】は多くの問題が噴出し、国会でも取り上げられることとなった。国の税金の使途を精査する【会計検査院】が【全国200の企業主導型保育所】を調査した結果、開所から1年以上経過しても定員の半数以下の施設が72カ所と3割を超え、定員が20%未満という施設は27施設で国の助成金などの効果が表れていないことが判明した。この調査結果を受けて会計検査院は内閣府に改善を要請した。

企業側は施設を作りはしたがその運営を【パソナ】などの保育施設運営業者に運営を委託したために、委託業者は利用者の要望を優先することなく利益を優先したために、保育士の待遇は悪く、保育士不足に陥り、利用者からはそっぽを向かれたのである。設置企業自らが運営に携わることなくして定員の充足率の向上はない。   (おわり)

 

 

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2019年4月23日 (火)

ルノー・日産統合に向け本性を現したルノーのスナール会長

フランス自動車メーカー大手のルノーの会長兼CEO(経営最高責任者)の退任を受けてルノー会長に就任したフランスのタイヤメーカー大手のミシュランのCEOのジャンドミニク・スナール氏は交渉のプロという評価を得ている。ルノーのスナール会長は就任以来、ルノー・日産の統合文団には極力触れず、ルノー、日産、三菱自動車の三者協議を優先してきた.だがそうした協調路線をスナール会長はかなぐり捨てて【ルノー・日産の統合】を今年度中に実現する方針に切り替え、そうした提案を4月中旬に日産に申し入れたとマスコミは報じた。

日産傘下の三菱自動車を含めた【ルノー・日産・三菱連合】の世界販売台数は2017年が前年の996万台から1060万8366台と約65万台増えてVWグループに次いで世界2位に躍り出た。2018年はさらに販売台数を15万台伸ばし、1075万6875台で2年連続でVWに次いで世界2位となった。しかし、数を追及する戦略はかつてトヨタが陥ったような弊害を伴う。販売台数を意識するあまり他のメーカーとの値引き合戦に巻き込まれ、利益率を落とすのである。昨年(2018年4月1日~2019年3月31日)の決算内容がまだ公表されていないので2018年3月期(2017年4月~2018年3月)の決算内容を利用するとトヨタの純利益は2兆4000億円で純利益率は8,3%、それに対して【日産】純利益は7462億円で純益率は4.8%である。マスコミが話題にする自動車メーカーグループの世界販売台数はあまり意味がない。

自動車メーカーの単体の販売台数で比較すると2017年の世界販売台数のトップ8は①【トヨタ】934万台、②【GM】797万台、③【VW】623万台、④【日産】581万台、⑤【ホンダ】522万台、⑥【フォード】491万台、⑦【現代】451万台、⑧【ルノー】376万台である。2018年のトヨタの販売台数は過去最高の954万台で中国での販売台数が前年比で19万台増えたことが販売増の原因である。日産は米国での販売減の影響で前年比4.5%減の548万6900台であった。

ルノーの手のひら返しの提案は筆頭株主のフランス政府の意向が色濃く反映されていると考えるべきであろう。フランスは2019年3月時点での【失業率】は8.82%で日本の2月の失業率2.3%に比べればかなり高い。さらにフランスで問題なのは若年労働者層(15~24歳)の失業率が20%を超えているということである。それを解消する一助としてマクロン大統領はルノー・日産の統合を強く望んでいるのである。マクロン大統領はEU首脳の中ではEU離脱を模索する英国に対して最も強硬な姿勢を示し、英国の合意なき離脱を望んでいるフシがある。

英国が合意なき離脱に踏み切れば英国に進出している日産とトヨタは生産拠点をEU域内に移さざるを得ない。その際、日産がルノーの支配下に入れば日産はフランス国内に生産拠点を移すことになるであろう。それに伴い部品メーカーもフランスに移転し、数万単位の雇用が新たに生まれることになる。マクロン大統領の目論見通りにいくかどうかは【G20サミット首脳会議】に出席のため6月下旬に来日するマクロン大統領と安倍首相との日仏首脳会談の結果次第となる可能性が浮上してきた。   (おわり)

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2019年4月22日 (月)

宇都宮市議会自民党単独過半数獲得は今後の選挙では微妙な情勢

地方統一選挙前の宇都宮市議会定数45のうち2議席が欠員でであったことから43議会の勢力分布図は、2つの自民党系議員の会派のうち【自民党議員会】の所属議員数は16人、【自民クラブ】が7人の合計23人でかろうじて過半数を超えていた。与党公明党は6人であったので連立与党としては29議席なので安定多数を確保していた。

2019年の宇都宮市議会議員選挙前に市議会会派【自民党議員会】所属16人の議員の中で3人が引退を表明、【自民クラブ】では1人が引退、1人が県議選立候補のため辞職を表明した。その結果、自民党系議員の現職は22人が再選を目指して立候補した。自民党系の新人の立候補者は6人で合計で28人が立候補したが、現職では3人が新人では1人が落選して24人が当選してこれも過半数を1議席上回っている状態である。政党色ががはっきりしない無所属の新人議員が3人当選したのでその議員が全員自民党会派に参加すれば27議席となり、6人の公明党と連立与党を組めば33議席となり、市議会は盤石の体制になる。

今回の選挙結果の特徴は野党陣営が4人の女性の新人候補を擁立して4人全員を当選させたことである。現職の女性議員は自民党2人、公明党2人、野党会派の【市民連合】1人、共産党1人の6人であったがこれで10人となり、全議員数の2割を超えたことになる。さらに自民党で目立ち出したのが世襲議員が徐々に増えていることである。今回は新人で福田富一現栃木県知事の次男福田陽(あきら)氏(35)が5729票を獲得して2位当選を果たした。福田氏の実父も政治家の出発点は宇都宮市議であった。4064票を得て6位当選した熊本和夫氏(44)と4015票の7位当選の篠崎圭一氏(53)、それに塚田典功(のりかつ)氏(60)も世襲議員である。落選した増渕一基氏(50)も父親は栃木県議であった。世襲議員は自民党の専売特許ではない。【市民連合】の4363票を獲得して5位当選した福田智恵氏(54)は【機械・金属産業労組】の組織内議員であるがこの労組を父親から受け継ぎ世襲議員である。

宇都宮市は昭和と平成の市町村合併によって人口と市域を拡大してきたが宇都宮市に編入された旧村には地域の縁故関係を基にした地域の組織が色濃く残っている。そうした宇都宮周辺地域の共同体の代表として選挙を戦う自民党の議員は選挙地盤が強固で上位当選する可能性が高い。今回3位当選した岡本芳明氏(70)は旧清原村、9位当選の小林紀夫氏(57)は旧豊郷村を地番にしている。さらに市議の登竜門と言えるのが公立小・中学校のPTA会長職を経験することである。今回の新人の当選者のうち4人はPTA会長経験者であった。地域の人たちとの繋がりが強固なるからである。

都市化が進めば進むほど地域社会が崩壊し、自民党議員が当選する可能性が低くなるのが全国的な傾向であろう。今回の市議選は宇都宮市では自民党が市議会で単独過半数を獲得することが困難になる時代に突入したことを示しているのかもしれない。政党や労働組合などの堅固な組織を後ろ盾にしない限り連続当選は難しいからである。   (おわり)

 

 

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2019年4月19日 (金)

安倍首相の側近萩生田自民党幹事長代行が消費税率引き上げ延期を示唆する発言を個人的見解と弁明

安倍晋三首相の側近中の側近の一人というマスメディアからの評価を得ている萩生田(はぎゅうだ)光一自民党幹事長代行は4月18日の【DHCテレビ】のネット番組で「6月の数字(7月1日に発表される日銀短観=企業短期経済観測調査)をよく見て『この先危ないぞ』と見えてきたら、崖に向かって皆を連れていくわけにはいかない。違う展開はあると思う。」と述べ、【日銀短観】を含め各種の指数に景気悪化の兆しが見えた場合には【消費税率の引き上げ】延期もありうるとの見解を示唆した。

この【萩生田発言】に対して麻生財務大臣、菅義偉官房長官や経済3団体の一つの【日本商工会議所】の三村明夫会頭などから批判的な見解が続出して萩生田氏は19日に釈明会見を開き、「安倍総理大臣と意思の疎通をしたわけではなく、政治家的として私個人の見解だ。政府の方針に異議を唱えたつもりはない】と弁明した。政府与党の幹部は時折、世論の反応をみるためにアドバルーン発言を行うのが常套手段で、当然のことながら安倍総理の了解は得ているのであろう。

2014年4月1日から消費税率が5%から8%に引き上げられたがその際に財務省は消費税対策は十分に行ったので税率引き上げ後に景気が悪化する可能性は極めて低いと安倍首相を説得して消費税率引き上げに成功した。しかし、景気はその後減速してた。前例があるので安倍内閣は消費税率引き上げには慎重なのである。そのために安倍首相は2回消費税率10%への引き上げを延期してきた。

10月1日に予定通り消費税を10%に引き上げた結果、経済状況が悪化すれば安倍内閣は任期を2年を残して【レイムダック(死に体)】化する可能性がある。古今東西の歴史を紐解けば解るように権力者が引退を明言した時から求心力が急激に衰えるのである。歴史に名を残したい安倍首相は引退寸前まで求心力を維持したいのであろう。あるいはロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席のように長期政権を夢見て自民党総裁4選を視野に入れているのであろうか。

ともかく、萩生田発言は政界に波紋を広げたことになる。消費税率引き上げ延期の際には国民の信を問う必要があるとも萩生田氏は言及している。衆参同日選を示唆する発言で野党にブラフをかけているとも考えられる。   (おわり)

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2019年4月18日 (木)

日米貿易協定・FGAの締結を急ぐ米国

米国主導で【TPP】(環太平洋経済連携協定)の協議は終了し、米国は議会の同意を得て協定書に署名するだけであったがトランプ大統領は就任早々【TPP】からの離脱を表明し、2国間のFTA交渉を行う道を選択した。日本は米国の離脱を受けて残った11カ国で【TPP11】の結成に向けて主導的な役割を果たし、昨年12月30日の6カ国(日本、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、メキシコ、シンガポール)での【TPP11】の発効にまで漕ぎつけた。日本はさらに年が明けた2019年の2月1日には【日欧EPA】(日欧経済連携協定)を発効させた。米国は日本と間で【TAG】(物品貿易協定)の締結を目指している。

ところで、2つの経済連携協定の効果は3月28日に公表された財務省の2019年2月の【貿易統計】に色濃く反映されている。2つの経済連携協定の発効によって食肉の分野で輸入国別のシェアで変化が表れている。【豚肉】は2018年度の国別シェアのトップは米国で28%であったが19年2月には米国産豚肉の輸入量は前年同月比で14%減ったことにより米国のシェアは23%に下落した。それに対して欧州産の豚肉は54%増、【TPP11】域内のカナダとメキシコ産は20%近く増えた。この原因は高価格品の豚肉の関税率が【日欧EPA】と【TPP11】で4.3%から2.2%に下がったことである。

【牛肉】に関しても同様な傾向が反映されている。【冷凍牛肉】の関税率は【TPP11】発効前の38.5%から27.5%に下がった。牛肉の日本国内の需要が増えたことによって2月の米国産牛肉の輸入量は前年同月比で17%増えた。しかしながら関税の11%引き下げによってカナダ産の牛肉輸入量は前年同月比で3.6倍、ニュージーランド産は63%の急増である。2018年の米国産の牛肉のシェアは41%であったが2019年1~2月シェアは39%に下がった。

【TPP11】は4月1日から2年目に入った。冷凍牛肉の関税は0.9%下がり26.6%、高価格品の豚肉も0.3%下がって1.9%となった。米国は【TAG】を早急に発行させなければ米国産の牛肉と豚肉は日本での販売量を大きく減らすことになる。米国食肉業界の試算によれば関税率が現状のまま(38.5%)であれば米国産牛肉は年間約600億円の販売減となるという。

トランプ大統領は来年の大統領選のためにも早急に食肉業界の要望・【TAG】の早期締結を実現しなければならない。   (おわり)

 

 

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2019年4月17日 (水)

中国の景気減速に歯止めがかかる

中国国家統計局は4月17日、2019年第1四半期(1~3月)のGDP(国民総生産)統計を公表した。GDP成長率は前期比(2018年第4四半期)の6.4%と同じであった。ということは中国の経済成長率は前期と横ばい状態で3月に設定した2019年の経済成長率の目標値6.0%~6.5%の範囲に収まっているということである。中国経済の減速が目立ち始めたのは米中貿易戦争が勃発した7月以降である。

2017年の中国の新車販売台数は史上最高の2887万8900台であったが2018年は上半期は、長期休暇となる【春節】が2月であったために2月の新車販売台数は前年同月比でマイナスとなったがそれ以外の月はいずれも前年同月比を上回っていた。ところが7月以降は全て前年同月比で販売台数が前年を下回り、通年では前年比で2.8%減の2808万1000台となった。台数としては79万7900台減少したことになる。

新車販売台数の減少の傾向は2019年に入っても継続し、1月が前年同月比で15.76%減、2月が13.77%減、3月が5.18%減と減少は続いているが減少幅は縮小している。2019年の1~3月の第1四半期の販売台数の累計は前年同期比11.32%減少の637万2400台で前年同期の販売台数の累計数よりも81万0300台減っている。

中国政府は顕在化した景気の減速に歯止めをかけるために3月に入ると景気対策を打ち出した。一つ目は2兆元(約33兆円)の減税である。大幅減税には落ち込んでいる個人消費を回復させる狙いがある。しかし財源の手当ては容易ではないであろう。今日発表されたGDP統計では個人消費が回復している兆候はない。減税の効果が表面化するには多少の時間が必要であろう。

中国は08~09年のリーマンショックに端を発する世界金融危機を乗り切るために4兆元(約57兆円)の公共投資を実行して世界経済を救ったと言われている。中国の李克強(リー・クオーチャン)首相は世界金融危機の際のように洪水のような景気刺激策に頼ることはないと明言しているが3月に入って中国の地方政府の債権発行と中央政府のインフラ投資は急増して、中国政府が従来型の景気対策に回帰したことが見て取れる。

中国の銀行による融資は1~3月に5兆8000億元に達し、四半期としては過去最高を記録した。融資した資金の大半は投機用の住宅建設に注ぎこまれることになるであろう。住宅バブルを起こさない限り、中国経済は減速から脱出できないからである。

中国政府は負債の削減を図ると宣言しながらその一方では債務を拡大させる真逆な政策を実行している。これでは国民は混乱するばかりで景気の回復には時間が必要であろう。   (おわり)

 

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2019年4月15日 (月)

日米の新たな貿易交渉【物品貿易協定】の締結のための閣僚級会合始まる

日本時間の4月16日未明、ワシントンで日本と米国間の新たな貿易交渉【TAG=物品貿易協定】締結に向けた日米閣僚級会合が始まる。日本側の出席者は茂木敏充経済再生相、米国側はロバート・ライトハイザー米通商代表部代表(USTR)である。

日本側は新たな日米通商交渉を【TAG=Trade Agreement on Goods】と呼んでいるが米国側は包括的な【FTA=Free Trade Agreement=自由貿易協定】と呼んで今回の日米貿易交渉に対する日米間の認識の相違を表現している。日本側は物品に関する貿易協定を締結したいのであり、それに対して米国側は【モノ】ばかりでなく、通信や金融などの広範なサービス分野の規制撤廃や投資の【ルール作り】なども対象とする【FTA】の締結を目指している。日本側は、今回の交渉では輸入する【モノ】にかけている関税の削減や撤廃に絞り込んでいる点が特筆される。

トランプ大統領は,【モノの貿易赤字】を外国に雇用を奪われているとして敵視しているが貿易赤字が多い、中国、日本、ドイツ、メキシコを貿易赤字是正の交渉のターゲットにしている。米国のモノの貿易赤字額はトランプ大統領就任前の2016年が7343億ドル、就任1年目の2017年の貿易赤字額が7962億ドルと赤字幅が拡大し、中国に対して高率な関税をかけた2018年は前年比10.4%増の過去10年で最大の8913億ドルとさらに赤字幅が拡大した。トランプ大統領の強引な貿易政策が失敗したということになる。

米国にとって最大のモノの貿易赤字国は中国で、2016年が3470億ドル、17年が3752億ドル、18年が4192億ドルと赤字は増え続けている。米国にとって貿易赤字が大きい国は【日本】、【ドイツ】と【メキシコ】の3カ国で貿易赤字額の順位は毎年3カ国の間で入れ替わっている。2016年の2位は日本で689億ドル、3位が【ドイツ】で649億ドル、4位が【メキシコ】で632億ドル、2017年は2位が【メキシコ】で711億ドル、3位が【日本】で688億ドル、4位が【ドイツで】643億ドル。2018年は2位は【メキシコ】で815億1700万ドル(約9兆1600億円)、3位は【ドイツ】で682億5000万ドル(約7兆6440億円)、4位が【日本】で676億3000万ドル(約7兆6000億円)であった。

トランプ大統領は対日本の貿易赤字の元凶の自動車に関して日本で米国車が売れない原因は日本の非関税障壁であるという見解を持っていると言われている。日本で米国車が売れないのは米国のメーカーが日本人の購買意欲をそそるような車を製造しないことに尽きるであろう。

今回の閣僚級会合で焦点となるのは日本の自動車の輸出(高級車)台数と米国産の農産物の関税率の削減率であろう。米国は農産物に関してTPP以上の関税の削減率を要求すると思われるが。  (おわり)

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2019年4月14日 (日)

混迷を極める英国のEU離脱

欧州理事会(EU首脳会議)のドナルド・トゥスク常任議長(ポーランド元首相)は4月11日未明、4月10日ブリュッセル(ベルギ―)で開かれた特別欧州理事会で英国のEU離脱を条件付きで最長10月31日まで再延長することで合意したと発表した。

【離脱の再延長の条件】は「①離脱日は、英国およびEUが離脱協定を完了した翌月の1日、もしくは11月1日のいずれか早い日とする。②英国で離脱協定が5月22日までに批准されない場合、英国はEU法に従い、欧州議会選挙を実施する義務を負う。英国がこの義務を履行しなかった場合、離脱日の延期は5月31日までとする。」などの4つの条件である。

英国の【EU離脱】が決定したのは2016年6月23日に実施された英国の【EU離脱】の是非を問う【国民投票】の結果であった。【国民投票】は登録有権者4650万1241人、投票率72.21%であったから有効投票数は3357万8016票で、離脱賛成の票は1740万0742票、反対票(EU残量)は1614万1241票で、離脱賛成票が125万9501票反対票を上回った結果EU離脱が決定した。

英国がEU離脱を決定した最大の要因は東欧を中心としたEU域内からの移民の増加であると言われている。その遠因は英国の産業構造にある。英国の2017年の名目GDPは世界5位の2兆8286億4000万ドルで、一人当たりのGDPは44162ドルと日本のそれを9533ドル上回っている。生産性が高い原因は世界有数の金融都市ロンドンを有し、国内、国外への投資で業績を上げているからである。   英国の国土面積は日本の約3分の2の2336万haであるがその70.9%は農用地で農用地(放牧地を含む)は日本の約4倍の1723haで、農場の1経営体当たりの経営面積は92.3ha(2013年)でEU28カ国の中でチェコに次いで2番目に大きく、大規模かつ効率的な農業が行われているために農業就業人口は50万人に満たない。農業のGDPへの貢献度は2%である。               製造業の比率も先進国の中では米国とともに10%を下回っている。その結果、GDPの最大の比率を占めているのが金融や小売業、近年は不動産業や観光業を含むサービス業の第3次産業である。第3次産業の中で小売業の占める割合は22%で、地方都市での雇用への貢献度が高い。

EU域内からの移民は専門技術の取得者は少なく、就職するとすれば小売業や観光業などの専門知識をそれほど必要としない職業で地方住民の雇用を奪う可能性が高いために地方都市ではEU離脱支持票が多かったのである。英国がEU離脱となれば英国の稼ぎ頭の外資系の金融機関が世界の金融センターのロンドンを離れEU域内のドイツやフランス、あるいはオランダやベルギーなどに移転する可能性が高まる。既に移転した金融機関も存在する。製造業も同様である。航空機の【エアバス】や自動車の【BMW】さらに日本の3大メーカーのホンダは英国工場の閉鎖を決定、【日産】と【トヨタ】も英国工場の縮小を発表している。

英国のEU離脱は再延期されたが与えられた約半年間で英国が明確な道筋をつけられるかは甚だ疑問である。   (おわり)

 

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2019年4月11日 (木)

日米通商協議を前に日本に圧力をかける米国農務長官

トランプ大統領の選挙公約の一つは貿易赤字の是正であった。トランプ大統領が貿易赤字の是正に拘るのは米国人の雇用が外国に奪われたと考えているからである。そして貿易是正の標的にされた国は中国、日本、ドイツ、メキシコであった。

2014年以降の【米国の貿易赤字額】は、2014年が7514億ドル、2015年が7618億ドル、2016年が7525億ドル、2017年が7962億ドル、2018年が8913億ドルと推移している。過去最大の貿易赤字となった2018年の米国対中国赤字は4192億ドル(約46兆8600億円)、対メキシコが815億1700万ドル(約9兆1100億円)、対ドイツが682億5000万ドル、対日本が676億3000万ドル(約7兆6000億円)で日本は米国にとって貿易赤字額の多さでは前年の3位から4位と順位を下げた。

皮肉なことにトランプ大統領が大統領に就任した17年以降米国の貿易赤字は増えている。その原因は、米国の好調な経済と減税により国民の可処分所得が増え、購買意欲が増大したことと輸入関税率のアップである。トランプ大統領の対中関税政策は失敗であったというべきであろう。だが、来年の大統領選前に関税政策の失敗を認めたくないトランプ大統領は中国に次いで貿易赤字額が多いEUに対して輸入関税の税率を引き上げようとしている。因みに昨年の対EUの貿易赤字額は1693億ドル(約18兆92億円)であった。

ところで、中国に対する関税を課したことにより中国から報復関税を課され、その結果、甚大な被害を受けたのが米国の大豆農家であった。米国産大豆は中国から25%の報復関税を課され中国への輸出量は昨年7月以降はほぼゼロになり、在庫が積みあがったために米国産大豆の価格は暴落し、破産する大豆農家が続出した。さらに、TPPが昨年末に発効したことによりカナダ産やニュージーランド産の牛肉の関税が27.5%に引き下げられ、日本の牛肉輸入量は今年の1月以降30%程度増えている。4月1日からは牛肉の関税が26.6%と0.9%引き下げられるのでカナダ産、ニュージランド産、オーストラリア産牛肉の輸入量はさらに増加すると予想されている。その影響を受けるのは米国産の牛肉である。米国の食肉業者はTPPに復帰するよう米国政府に圧力をかけている。今や日米通商協議は米国にとって喫緊の政治課題となったのである。

そうした情勢を受けて茂木敏充経済再生担当大臣とライトハイザー米国通商代表部代表による日米通商協議の閣僚級会合を4月15日開催で調整に入っているという。閣僚級会合を前にパーデュ―農務長官は4月9日に会見して、日本が米国産の農産物に課している関税などについて「TPPと同じかそれを上回ることを望んでいる。」と述べて日本側に圧力をかけている。日本政府としては7月の参議院選を控え、TPPを上回る関税引き下げに応じるわけにはいかないであろう。結論を先延ばしにするか他の分野で米国の要求を受け入れるかということになるのであろう。

米国の現行の2%の自動車関税の引き上げが一つの落としどころとなるかもしれない。自動車業界にとって迷惑な話ではあるが。あるいは2016年から急増している米国産シェールオイルやシェールガスの輸入量を増やすという妥協策もある。なにしろ日本は天然ガスの世界最大の輸入国であるから。   (おわり)

 

 

 

 

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2019年4月 9日 (火)

中国経済の減速の影響が日本の一部地域の経済に波及

財務省は4月8日、2019年2月の【国際収支統計】を公表した。【国際収支統計】とは日本銀行(日銀)の説明によれば「ある国が外国との間で行った財貨、サービス、証券などの各種取引の決済資金のなどを体系的に把握、記録した統計」である。【国際収支統計】の主な項目は、【経常収支】、【資本収支】及び【外貨増減】があり、【経常収支】は貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支で構成されている。  2019年2月の【国際収支統計】のうち【経常収支】に含まれる【貿易収支】は4892億円の黒字で前月より2893億円黒字幅が拡大した。【輸出】は6兆3070億円前月より1218億円の減少、【輸入】は5兆8178億円で前月より4112億円の減少。【サービス収支】は2366億円で前月より689億円増えて黒字幅が拡大。【第1次所得収支】は2兆9145億円で前月より621億円増えてこれもまた黒字幅が拡大した。【第2次所得収支】は635億円の赤字で赤字幅は縮小した。                                           【輸出】の減少の原因は金額にして【自動車】が前月比5.6%の減少、【鉄鋼】が13.8%のマイナス、【半導体等電子製品】が10.7%の減少したからである。【輸入】は原粗油は金額で前月比で11.2%の減少、石油製品が27.9%マイナス、医薬品が18.9%減少した。2月の輸出額が減少したにも拘らず【貿易収支が黒字】になった要因は、原油価格の下落によって【輸入額】が減少したためである。             今年に入っての対中国貿易収支は1月が輸出が9581億円と1兆円割れで、輸入は1兆8381億円で8799億4100万円の赤字、2月が輸出が1兆1397億6700万円、輸入が1兆2708億6400万円と1310億9700万円と昨年に比べて赤字額が大幅に減少している。ここにも中国経済の減速が浮かび上がっている。                                                     【日銀】は四半期(3カ月)ごとに全国支店長会議を開いている。4月8日に今年2回目の支店長会議が開かれ、その席上で【景気の動向】が議論されて、同日、【地域経済報告】(さくらリポート)が公表された。同リポートでは全国9地域のうち東北と北陸、九州・沖縄の3地域の【景気総括判断】が引き下げられた。景気判断の引き下げの理由は、工作機械や電子関連部品の海外の需要が減り、輸出や生産の減少の原因となっているからだ。                                                          今年1月の第1回目の【全国支店長会議】から海外の経済に対する認識が大きく変化した。1月の【さくらリポート】では米中貿易摩擦などの影響を「現時点では限定的」記していたが今回のリポートでは「輸出や生産に海外経済の減速がみられる」と明記された。中国政府は経済減速を放置するわけにはいかず各種の経済浮揚策を打ち出している。その効果が表れるの今年の下半期であろう。                日本は10月1日から消費税率が2%引き上げられる。それ以前に中国経済の減速が止めばと期待するばかりである。   (おわり)

 

 

 

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2019年4月 7日 (日)

韓国の経常収支の悪化で反日発言がトーンダウンした文在寅大統領

数年前までは韓国経済を支えているのは【サムスン電子】と【現代自動車】と言われていたが【現代自動車】が失速した現在は【サムスン電子】だけが韓国経済を支える一本足経済である。このような変則経済は持続することは難しい。昨年の後半に今や【サムスン電子】の利益の8割を稼ぎ出している【半導体メモリー】と【ディスプレイ】の販売不振よって【サムスン電子】の営業利益も大幅に減少した。        【サムスン電子】の2018年の営業利益は第1四半期(1~3月)が15兆6400億ウォン(1兆5640億円)、第2四半期(4~6月)が14兆8700億ウォン(1兆4870億円)、第3四半期(7~9月)が17兆5700億ウォン(1兆7570億円)、第4四半期(10~12月)が10兆8000億ウォン(1兆0800億円)であった。第4四半期の営業利益は第3四半期と比較すると6兆7700億ウォン(約6770億円)の大幅減少である。     この流れは19年に入っても変わらずむしろ営業利益の減少幅は拡大することになった。今日(4月5日)発表された【サムスン電子】の2019年第1四半期の営業利益は前年同期比で60%の減少の6兆2000億ウォン(約6200億円)で市場の予想より1兆ウォン減少した。営業利益の大幅減少の元凶は半導体メモリーとディスプレイの売り上げ不振である。この傾向は年内は続くと思われる。                 【サムスン電子】の2019年第1四半期の業績不振は韓国の輸出の大幅減少という形となって表れている。2019年1月の輸出額は前年同月比で5.8%減って463億5000万ドル(約5兆1000億円)、2月が輸出額は前年同月比で11.1%マイナスの395億6400万ドル(約4兆4300億円)、3月は前年同月比8.2%減少の471億1000万ドルであった。                                      韓国はドイツと並んで貿易立国であるから輸出の大幅な減少は経常収支の悪化をを招く。韓国は日本と異なり当面は貿易赤字に陥ることは考え難いが4月には経常収支が赤字に陥る可能性は極めて高い。その理由は4月には韓国の株式市場に上場している大手企業が株式の配当金を支払う月であるからである。韓国の上場企業の株主の50%超は外国勢である。つまり韓国の民間企業の利益の配当金の50%以上が外国に流出してしまうので経常収支が赤字に転落することになる。                                           ところで、文大統領の経済政策は所得主導成長政策である。内需拡大策としては妥当な政策であり、この目玉政策の根幹をなすのは時間当たりの【最低賃金】の大幅引き上げである。2017年の韓国の時間当たりの【最低賃金】は6470ウォン(647円)であったが2018年はこれを8350ウォン(835円)に引き上げた。実に1880ウォン(188円)という大幅な引き上げであった。                      韓国の自営業者数は568万人での就業者に占める割合は21.3%と諸外国に比較すると高い。要するに零細業者が多いのである。最低賃金の大幅な引き上げの結果、自営業者は高騰した人件費の負担に耐えられずに、自衛策として雇用者数を減らすようになった。18年1月の【失業率】は前年同月比で0.8ポイント増えて4.5%に上昇した。これは10年の5%に次ぐ【失業率】の高さであった。                文大統領は経済政策の失敗から国民の眼を逸(そら)らそうとして親北朝鮮・反日路線に突き進んだが米朝首脳会談が決裂したことにより文大統領の目論見は外れた。4月5日発表された【韓国ギャラップ社】の世論調査によれば文大統領の【支持率】は2017年5月の政権発足以来最低の41%、不支持率は49%で不支持率が支持率を8%も上回ることとなった。【不支持率】が50%を超える可能性が急速に高まっている。文大統領は経済政策の失敗から剣が峰に立たされたことになる。   (おわり)

 

 

 

 

 

 

 

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