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2019年3月 7日 (木)

経済の減速を公式に認めた全人代で発表された経済成長率目標

日本の国会に相当する中国の第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が3月5日北京で開幕した。この大会は例年全国から約3000人(中国の憲法で3000人以下と規定されている)の代表が集まり、ほとんど決定事項を追認するだけの約10日間の大会である。
今年の【全人代】の最重要議題は、新しい【外商投資法】を可決すること。これは外資合弁会社(外資系企業の出資の上限は50%)や100%外資系企業を規制する既存法に代わるもので、中国の投資環境を巡る海外の懸念を払拭しようという目論みがある。中国は現時点で米国と貿易摩擦の解消を目指して協議中だ。
事前に公表された草案によると、新法では、中国に進出している外国企業の技術を中国に強制的に移転させることと、外資系企業の慣行に政府が違法に「干渉」することを禁じている。
海外のマスコミや経済専門家が注目したのが李克強首相の大会初日の演説で、今年の主要な経済目標を発表したことだ。その中でも最も注目が集まったのが、今年の経済成長率の目標を昨年の6.5%前後から今年は6.0─6.5%に引き下げたことである。経済成長率に0.5%の幅を持たせたことは初めてである。それだけ中国政府は経済の著しい減速を認識し、中国発の金融危機を回避するために大規模な景気浮揚策を打ち出さざるを得なかったということなのであろう。
李克強首相は5日開幕した全人代の政治活動報告で中国が経済減速を視野に入れた大規模な景気対策を打ち出した。その内容は、2019年に2兆元(約33兆円)規模の減税と社会保険料引下げを実施することと経済成長率の6%割れを避ける方針を明確にしたことである。中国政府は米中貿易戦争の影響が顕在化するなか、企業や地方政府の債務膨張を防ぎながら景気のてこ入れを図る「背水の陣」の経済運営を強いられる。
景気対策の柱は企業向け減税である。税収の柱である増値税(付加価値税 日本の消費税に該当)を製造業で116%から13%に引き下げるほか、公的年金保険料の企業負担分をいまの18~20%から16%まで下げる。各種の税率の軽減規模は18年当初より8割も拡大し、国内総生産(GDP)の2%超に相当する。税収が減り、支出が増えるのであるから中国政府の財政運営は厳しくなる。
中国政府首脳が真に恐れているのは実体経済の減速ではなく、中国発の金融危機が起こることである。【全人代】開催前の2月1日に中国の民営最大手の投資会社【中国民生投資集団】(中民投)の社債の一部が【債務不履行(デフォオルト)】となった。このことは中国で過去最大級の【デフォルト】に発展するリスクが高まったことを意味する。民間企業59社の共同出資で2014年に事業を開始した【中民投】の昨年6月末の時点での債務残高は2320億人民元(約3兆8000億円)あり、これが連鎖反応が起こせば収拾がつかない大混乱が中国金融市場に生まれることになる。
【中民投】がデフォルトを起こした原因は、中国経済に詳しい評論家宮崎正弘氏によれば中国政府は太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー事業に補助金を給付して後押ししていたが昨年の第1四半期に補助金を打ち切ったという。その結果、【中民投】は投資資金の回収が困難になり、高利の社債を発行して凌いでいたのであるが高利の負担に耐えられなくなったということである。
このデフォルトが引き金となって中国発の金融危機に発展しないことを願うばかりである。   (おわり)

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