« 国内半導体大手ルネサス在庫調整のため一時操業停止 | トップページ | EU離脱を巡り混迷を深めるイギリス議会 »

2019年3月12日 (火)

世界経済に影を落とすドイツの経済減速

ドイツ連邦統計庁は昨年11月23日に2018年第3四半期(7~9月)のGDP(国内総生産)の伸び率の速報値を公表した。
ドイツのGDPは前期比(2018年第2四半期)で0.2%減少したが前年比1.1%増で2015年以来の低い成長率であった。GDPの低い伸びの原因は輸出が前期比で0.9%減少し、輸入が1.2%増加した結果輸出入は正味でGDP成長率を1.0%押し下げられたことによる。
連邦統計庁は「ドイツの経済成長は止まった。GDPの前期比での小幅減少は対外貿易が主因である」と述べた。
さらにドイツ連邦統計庁が19年2月14日に発表した18年第4四半期(10~12月)のGDPの伸び率は前期比0%であった。伸び率がマイナスではなかったことでドイツ経済は【リセッション(景気後退)】入りをかろうじて免れた。
2018年のドイツのGDPは前年比1.5%増で5年ぶりの低い伸び率となり、前年からの経済減速が浮き彫りとなったことになる。
ドイツ連邦の中央銀行である【ドイツ連邦銀行】は2018年12月14日に2019年のドイツ連邦の実質GDP成長率を1..6%と発表した。6月に発表した前回予測から0..3ポイント下方修正をした。下方修正の要因として、2018年第3四半)における想定外のマイナス成長を挙げた。
ドイツの2018年のGDP成長率は1.5%で前年より1.0ポイント低下したがその原因は内需が大きく減速したことによる。内需減速の要因としては、2018年第3四半期からドイツの既存モデル車に対しても新たな計測方法「乗用車などの国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)」に基づく排出ガス基準値順守を求められたが、ドイツの自動車メーカーの対応の遅れから、新車販売量が減少したことが挙げられる。
ドイツはEU加盟国28カ国中最多の人口8266万人を擁しているが内需だけで経済成長を維持することは難しい。経済成長継続するには海外貿易に軸足を置かざるを得ないのである。
ドイツの2017年の【貿易輸出額】は4481億7000万ドルに対してGDPは3兆7006億1000万ドル。米国の【貿易輸出額】は1兆5462億7000万ドルに対してGDPは19兆4854億ドル。日本の【貿易輸出額】は6981億3000万ドルに対してGDPは4兆8732億ドルである。これらの数値からドイツの輸出額がGDPに占める比率が米国や日本を圧倒している。
ドイツが輸出に強みを発揮しているのはEU域内では工業製品製造技術力では他のEU参加国27カ国の追従を許さないことである。
ドイツの経済力を支えているのは【自動車産業】のVWグループであるがVW単体の2017年の世界販売台数は623万台でそのうち約400万台は中国で販売したものである。中国では現地企業と合弁事業で外資系企業の出資比率は50%と制限されている。つまりVWが中国得た利益はその50%しか本国に持ち帰れないということである。言葉を換えれば200万台の利益しか得られないことを意味する。
トヨタは単体で2017年には世界で938万台販売し、そのうち中国での販売量は129万台で本国に持ち帰れる利益はその半分であるから64.5万台の利益しか持ち帰れないことになる。
トヨタの2017年の純益は2兆4000億円であったがVWの2017年の純益はトヨタの60%程度なのである。日本のマスメディアはVWが世界一と騒ぎ立てるがトヨタが単独の自動車メーカーとしては販売台数と純益の面で群を抜く世界ナンバーワンの自動車メーカーである。
中国の経済減速が鮮明になり、ドイツもとなれば2019年の世界経済には暗雲が垂れ込めたことになる。   (おわり)


|

« 国内半導体大手ルネサス在庫調整のため一時操業停止 | トップページ | EU離脱を巡り混迷を深めるイギリス議会 »

13国際経済」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 世界経済に影を落とすドイツの経済減速:

« 国内半導体大手ルネサス在庫調整のため一時操業停止 | トップページ | EU離脱を巡り混迷を深めるイギリス議会 »