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2019年3月

2019年3月31日 (日)

英国下院議会EU離脱を巡る混乱をどう収束させるのか

英国下院議会は3月27日、EU(欧州連合)からの離脱に関する条件を規定した【協定案】に関して3回目の採決したが反対344票、賛成286票で【協定案】は否決された。これまで2回の【協定案】の採決が行われたが、第1回目の1月15日の採決では賛成202票、反対432票で否決、第2回の3月12日の採決でも賛成242票対反対391票で否決された。この事実は【EU離脱】支持派の議員の中から大量の造反議員が現れたたことを意味する。                                                     【協定案】の詳細を記した【協定書】が585ページの大冊であるが要約すれば「①EU離脱に際して英国がEUに支払う370億ポンド(やく兆7000億円)の清算金の支払いとその方法、②アイルランドと英国・北アイルランドの国境の扱い、③英国とEUの市民権利に関する取扱い」である。                                                               その中でも離脱支持派の怒りを買っているのが②である。【移行期間】の期限である2020年12月31日までにアイルランドと英国・北アイルランドの国境に通商管理体制が敷かれず、長期的な通商協定がまとまらずに【移行期間】が延長(1度だけ移行期間の延長が認められている)されなかった場合英国とEU間の単一関税区域を設置する【バックストップ】(防御策)が発動することが【協定案】では決められている。ところがEU側の承認がなければ英国が【バックスストップ】からの離脱の手段が保証されていない。この点に離脱派は強く反発している。        当初の予定では下院議会で【協定案】が可決されれば英国は3月29日にEUを離脱することになっていたが3回目の【協定案】の否決によって離脱の延期は4月12日までしか認めらない。EUは英国に4月12日までに打開策を提示するよう求めているが約10日間でテリーザ・メイ首相がの離脱方針に代わる代替庵を提示しなくてはならない。ところが英国政界の混乱ぶりでは代替案を提示できる可能性は低いと思われる。代替案に関して8つの選択肢が提示され、採決が3月27日に行われたがどの代替案も過半数の賛成を得られていない。最も多くの支持を得たのは以下に記された③と⑦の代替案であった。                               8つの選択肢は①【単一市場】(EU市場)に残る、②単一市場に残り、新しい貿易ルールを交渉】、③【関税同盟に残る】、④【関税同盟に残り、EUと密接な関係を維持】、⑤【分担金を支払い、移行期間へ】、⑥【合意なき離脱】、⑦【2回目の国民投票を実施】、⑧【離脱の撤回】。代替案の⑦の【2回目の国民投票を実施】の支持が多かったのは短期間で【離脱の撤回】を求める有権者の署名が580万人分も集まったことに起因している。580万人もの英国の有権者を署名に駆り立てたのは日本の自動車メーカーのビッグスリー(トヨタ、日産、ホンダ)の英国からの撤退あるいは生産拠点の規模縮小の発表であろう。                                   英国の有権者は日本の自動車メーカーの英国離れは【EU離脱】が原因と感じているらしいが日本の自動車メーカーの本音は別のところにあると思われる。2月1日に【日欧EPA(経済連携協定)】が発効した。これによってEUの日本からの輸入車に対する現行の輸入関税10%が8年後には0%となる。日本に生産拠点を回帰させ、日本国内に投資をすることが得策と日本の自動車メーカーは判断したに過ぎない。   英国の【EU離脱】問題の行方は現時点では予測不能であるが筆者の独断と偏見によれば【2回目の国民投票の実施】で英国は時間稼ぎをするのではなかろうか。   (おわり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019年3月29日 (金)

日本の現状を反映した2019年度予算成立

2018年度予算が3月27日に成立した。【一般会計予算】の総額は初の100兆円を超える101兆4564億円である。                    【歳入】の内訳は【税収】が前年比5.8%増の62兆5000億円、【税外収入】が前年比27.5%増の6兆3000億円、【国債発行額】が前年比3.0%減の32兆7000億円。                                          税収増の要因は法人税増と10月1日から始まる消費税率の2%アップである。【税外収入】は日本銀行や中央競馬会の国庫納付金や【特別会計】の積立金や剰余金と【独立行政法人】の基金返納のいわゆる【霞が関埋蔵金】である。今年度の税外収入の増加の原因は【預金保険機構】からの繰入金(埋蔵金)1兆3601億円。                                           【国債発行額】の減少は日銀が購入した国債のうち満期を迎えた国債は日銀が廃棄処分にして元金を国から回収しないので返済のために確保した国債費が余って毎年繰り越されているからである。繰り越された国債費は補正予算の財源などに転用されている。            【歳出】の内訳は金額が多い順から【社会保障費】前年比3.2%増の34兆1000億円、【国債費】が前年比0.9%増の23兆5082億円、【地方交付金】が前年比3.0%増の15兆9895億円、【その他】が前年比6.6%増の15.7兆円、【公共事業費】が前年比15.6%増の6兆9099億円、【防衛費】が前年比1.3%増えて5兆2574億円。

今年度予算が100兆円の大台を超えた原因は10月からの導入される消費増税への対策のための臨時の特別の措置の費用2兆0280億円である。その内訳は、キャッシュレス決裁をする人のためのポイント還元費用としての2798億円と2歳以下の子どもがいる家庭と低所層向けの【プレミアム付き商品券】発行費用の1723億円さらに消費税対策とは言い難い防災・減殺対策の1兆3475億円。         予算額の3分の1を超える【社会保障費】は自然増分の費用が4768億円と幼児教育無償化や子育て支援のための7157億円の合計1兆1925億円が前年より増えた。                                                 【公共事業費】は昨年の西日本の豪雨や北海道胆振地震の復旧のための費用などで昨年より9310億円増えた。この結果、公共事業費は07年当時の高い水準となっている。                                                 【防衛費】は陸上配備型ミサイル防衛システム【イージス・アショア】や最新鋭スティルス戦闘機【F35A】の米国の高額武器の購入費用で前年より663億円増えた。高額武器の購入は日米貿易摩擦の解消対策という側面がある。                      【その他】の予算の中で比重が高いのが前年比4.7%増の【文教・科学振興費】の5兆6025億円。日本の経済を支えているのはGDPの約20%を占めている【製造業】であるが製造業の発展を支えるのは科学技術である。【文教・科学振興費】は未来への投資であり、惜しんではならないのである。                                                      今年度予算は日本の現状の課題に対応した予算という意味で評価されるべきであろう。   (おわり)

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2019年3月27日 (水)

東南アジアの賃金上昇、訪日外国人の旺盛な購買意欲、円安が日本企業の国内回帰や国内の生産力増強を招いた

2012年11月16日に衆議院が解散された時点の円相場は1ドル=80円であったが約2年9カ月後の2015年8月12日の円相場は1ドル=125円で、45円の円安の状況が生まれた。この大幅な円安の時期に日本の家電メーカーの最大手の【パナソニック】(大阪府門真市)は家庭用【LED照明】を日本向けに輸出していた【パナソニック】のインドネシアの西ジャワ州の工場を閉鎖して三重県伊賀市の伊賀工場に全面移転した。円安の状況下では自社製品を輸入すれば利益が減るからである。【パナソニック】はインドネシアの東ジャワ州でも工場を稼働させているが西ジャワ州は首都ジャカルタの都市圏で物価が高く生産コストが東ジャワ工場より高いために閉鎖を決断したということになる。

その後、中国の労働者の人件費が高騰したことにより中国に進出していた日本企業はより人件費が廉価な東南アジア諸国に生産拠点を新たに設ける動きを加速させてきた。その動きと同時並行的に【訪日外国人客数】が急増して日本国内で日本の家電製品や日用雑貨品、化粧品などの売り上げ高が急増している。

【訪日外国人客数】は円安に方向転換した2013年が初の1000万人超えの1036.4万人、14年が1341.3万人、2015年が1973.7万人、2016年が2403.9万人、2017年が2869.1万人、2018年が3119.2万人と推移してきた。16年以降、【訪日外国人客数】の増加数に陰りが出てきているが訪日外国人の買い物金額は増え続けている。【訪日外国人】の購買意欲に対応するために関連する企業は日本国内の生産力増強のために工場の新設や既存の工場での生産力の増強がが相次いでいる、

【コーセー】(化粧品)は群馬県伊勢崎市の既存の工場内に新生産棟を稼働させ、中国の生産子会社を売却した。新生産棟ではスキンケア製品(化粧水や乳液)とコーセーの催告救貧ブランドの【コスメタリー】の製品を生産する。伊勢崎工場は本社機能を持ち、製品開発の拠点となるマザー工場となる。                                                      【ネスレ日本】(食品)は兵庫県姫路市の既存工場内にヒット商品のチョコレート菓子【キットカット】の新工場を17年8月に稼働させた。【東レ】は滋賀県大津市に紙おむつ用の不織布を開発する拠点17年10月に新設している。【ホンダ】は17年10月に二輪車の【スーパーカブ】を熊本県の大津町の工場で生産を再開させた。2016年4月の熊本地震で大津工場の一部が被害を受けたために一時的に中国で生産していたがそれを移管したのである。

【キャノン】は宮崎県高鍋町にデジタルカメラ用の新工場を建設し、19年中に稼働させる予定である。【資生堂】は栃木県大田原市と福岡県久留米市に新工場を建設し、19年と21年に稼働させる予定。

昨年の第3四半期から中国経済の減速が顕著になってきた。その影響で訪日中国人の増加率が鈍化してきたのが目立つ。さらに悪材料として中国政府は昨年末から中国人の海外での商品の代理購入を禁止する措置を講じ出した。今年から中国人の日本での買い物金額は減少することになることは確実であろう。もっともインターネット―通販が普及しているので売上高は減らないかもしれない。但し、企業の積極策が裏目に出る可能性はなきにしもあらずである。   (おわり)

 

 

 

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2019年3月26日 (火)

日本の中道勢力はどこへ向かうのか

【NHK放送文化研究所】が3月8~10日に実施した【政治意識調査】によれば【内閣支持率】は42%、【不支持率】は36%、【政党支持率】は「【自民党】36.7%、【公明党】3.4%、【日本維新の会】1.0%、【立憲民主党】5.5%、【共産党】2.8%、【社民党】1.1%、【国民民主党】1.0%、【自由党】0.2%、【希望の党】0.1%、【支持政党なし】40.6%」であった。安倍内閣の【支持率】は改憲推進派の政党【自民党】、【公明党】】、【日本維新の会】の支持率の合計(41.1%)にほぼ匹敵する。                      【朝日新聞】が3月16~17日に実施した【世論調査】によれば安倍内閣の【支持率】は41%に対して【不支持率】は37%である。政党支持率は改憲推進派の3党のうち【自民党】35%、【公明党】4%、【日本維新の会】2%で、3党の支持率の合計は41%で【内閣支持率】と一致している。【野党6党】の支持率は【立憲民主党】5%、【共産党】3%、【国民民主党】1%、【社民党】0%、【自由党】0%、【希望の党】0%で野党の支持率の合計は9%である。【支持政党なし】は41%で内閣支持率と等しい。現時点で【保守】でも【革新】でもない中道勢力は【支持政党なし】というカテゴリーに緊急避難しているという状況なのであろう。【NHK】の調査でも【朝日新聞】の調査でも【支持政党なし】40%を超えているという状況は既存の政党に対して有権者の4割が失望しているということを意味する。          【支持政党なし】が40%を超えている現状を招来した元凶は国民の期待に応えることなく政権運営に失敗し、現在は消滅している【民主党】と都民の圧倒的な支持を集めながら都政に集中することなく、国政に色気を出して東京都民と国民の期待を裏切った小池百合子東京都知事であろう。                                                              小池百合子都知事は2016年7月31日投開票の東京都知事選に有力な支持団体もないままに立候補し、自民党の推薦を受けた元岩手県知事、総務相の経歴を持つ増田寛也氏と著名なジャーナリストで革新勢力の推薦を受けた鳥越俊太郎氏に110万票以上の大差をつけて圧勝した。小池知事は都知事就任後に都政運営を円滑にするために自らが代表となって地域政党【都民ファーストの会】を立ち上げた。           【都民ファーストの会】は2017年6月に行われた東京都会議員選挙では東京都議会127議席のうち55議席を獲得して都議会第一党に躍り出た。東京都民は既成政党の支援を表面的には受けずに都議会の刷新を訴えた小池知事の行動に共鳴したのである。東京都民は小池知事に都政の刷新を託したのであるが小池知事は都民の付託を無視して首相の座を獲得する欲望に取りつかれ国政政党・【希望の党】の代表に就任した。だが、17年10月に実施された第48回衆院選において【希望の党】は惨敗した。【希望の党】に参加した民主党の後継政党の民進党の中道派の多くは落選の憂き目にあった。                                                     第48回衆院選を契機に3分裂した民進党の議員のうち中道派の議員は政界での居場所がなくなり、自らの政治生命をかけて自民党入りする議員が現れ出した。民主党政権時代の環境相を務めた細野豪志衆院議員(静岡5区)と現在は無所属の鷲尾英一郎衆院議員(新潟2区)である。2人の元民主党議員の転身が実を結ぶかどうかは神のみぞ知るである。   (おわり)

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2019年3月18日 (月)

大阪維新の会党の命運をかけて大阪ダブル選挙を決断

統一地方選選挙は、1947に年実施された第1回統一地方選挙以来、前半と後半に分けて行われ、前半は4月の第2日曜日の【都道府県知事】、【政令都市市長選】、【都道府県議会議員選挙】、【政令都市議会議員選挙】が行われてきた。ところが今年は5月に天皇の譲位が行われるので今年の統一地方選挙は1週間前倒しをして4月の第1日曜日に実施されることとなった。
今年で19回目を迎える【統一地方選挙】で最も注目を集めているのは【大阪府知事選挙】と【大阪市長選挙】のダブル選挙であろう。しかも大阪のダブル選は現職の松井一郎大阪府知事が任期満了前に辞任して大阪市長選に立候補し、吉村洋文大阪市長が同じく辞職し、府知事に立候補するという立候補する役職を交代する【クロス選挙】とも呼ばれている。
何故このような奇策を採り入れることになったのかと言えば松井知事が知事選に立候補し、吉村市長が市長選に立候補して当選したとしても在職期間はそれぞれの任期の残りの期間となり、大阪府知事選は今年の11月に、大阪市長選は12月に行わなければならなくなり、1年以内に2回の選挙を実施するのは税金の無駄遣いなるのでそれを避けるためである。、
この【ダブル選挙】の真の狙いは4年前に大阪市の住民投票の結果、反対が70万5585票、賛成が69万4844票の1万0741票という僅差で潰えた【大阪維新の会】の一丁目一番地の政策【大阪都構想】の実現に再度挑戦することである。
大阪府は積年の府政の怠慢で累積赤字が増える一歩であった。その財政赤字にメスを入れようとしたのが2008年2月に大阪府知事に就任した【行列ができる法律事務所】というテレビ番組のレギュラーで全国的に知名度が高かった橋下徹氏であった。橋下氏が不運であったのは知事就任の年の9月に世界を震撼させた【リーマンショック】が発生したことである。
【リーマンショック】は日本の主要産業で輸出主導型産業の自動車、電機業界を直撃した、大阪府には【パナソニック】、【シャープ】、【サンヨ―】など大手電機メーカーの部品を製造する中小零細企業が多い。その救済策を含め大阪府の負債は増加の一途を辿り、2015年には一時的に負債額は6.,4兆円に達した。2014年には【実質公債費比率】が国の基準の18%を上回る19.4%となり、【起債許可団体】に転落した。【起債許可団体】は地方自治体が地方債を発行する(借金をする)際に国の許可必要となる地方自治体のことである。19年には【起債許可団体】を脱することになるらしいが。
ところで、地域政党【大阪維新の会】を母体とする国政政党【日本維新の会】の政党支持率は、直近の3月のNHKの世論調査によれば1.0%である。これでは国政選挙での国会議員の大量当選は望むべくもない。この現状を打破する起死回生策は【大阪ダブル選挙】しかないと松井一郎知事は【ダブル選挙】を決断したのであろう。
自民党が府知事選の候補者を決定する以前に行った大阪府民への某通信社の世論調査によれば政党支持率は【大阪維新の会】が37.9%、【自民党】13.8%%、【共産党】6.5%、【公明党】6.2%、【立憲民主党】5.0%であった。
今回の【ダブル選】ではこれまで公明党は【大阪維新の会】との密約を堅持して自民党の公認候補者の支援を明確にしてこなかったが今回は自民党が擁立する元大阪府元副知事の小西禎一氏を推薦することを決定した。
【共産党】と【立憲民主党】も小西氏を支援する。【大阪都構想】に反対の立場をとる大阪市職員労組のメンババーは【共産党】や【立憲民主党】支持者が多いからである。国政政党4党の大阪府民の支持率の合計は31.5%となり【大阪維新の会】と拮抗する支持率となった。
今回の【ダブル選挙】の帰趨を決するのは29.3%の支持政党なしの無党派層である。熾烈な戦いに発展する可能性が高まってきた。もし、【大阪維新の会】が2勝できなければ大阪府内での【大阪維新の会】の影響力は大きく損なわれることになる。   (おわり)

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2019年3月14日 (木)

EU離脱を巡り混迷を深めるイギリス議会

イギリス議会は、3月12日(日本時間13日未明)、EU(ヨーロッパ連合)からの離脱の条件を定めた【離脱協定案】を賛成242、反対391で1月に続いて再び否決した。これを受けメイ首相は、何の条件も付けずに離脱する【合意なき離脱】に踏み切るかどうか、13日(日本時間14日の朝)に議会に諮ることを決断した。、13日の議会では何の条件も付けないないまま離脱する【合意なき離脱】に突き進むのかどうかを問う採決を行う。
イギリス下院議会内部の離脱強硬派の中には【合意なき離脱】を推進すべきだとの強硬論が一部には存在するものの日本の自動車メーカのホンダの2022年でイギリス南部のスウィンドン工場の閉鎖の発表や北部サンダーランドでイギリス最大の工場を稼働させている【日産】が2月にSUV【エクストレイル】の次期モデルの製造拠点を日本回帰させると発表したことに加えて【離脱協定案】の採決当日に高級車【インフィニティ】の製造中止を発表したことによって下院議員の中にイギリス経済に関する危機感が醸成されてきた。
日本の自動車メーカーの英国離れはイギリスの【ブレグジット】が主たる要因ではない。最大の要因は2月1に発効した【日欧EPA】(日欧経済連携協定)である。日本の自動車メーカーは日本車をEU圏内に輸出する際に現在10%の関税を支払っている。しかし2026年には10%の関税が撤廃されるのでEU内で工場を稼働させる意義が薄れてきたのである。
そうした日本の自動車メーカーの状況の変化を理解するようになったイギリス下院議員たちは経済の混乱への懸念から「合意なき離脱」には否定的な議員が大多数を占め、採決では否決される可能性が高いとみられている。
しかしながら【合意なき離脱】が否決されたにしても2度にわたる【離脱協定案】の否決はイギリス国内ばかりでなく、国際的にもメイ首相の求心力のなさを露呈したことになり、イギリスに進出している日本企業は欧州戦略の見直しを迫られている。
現在欧米の主要国では賃金格差が拡大し、低所得者層の間では【不満】というマグマが噴出寸前の状態になっている。その起爆剤となりうるのが【移民】である。低所得者層の雇用を奪う存在であるからだ。この起爆剤の排除を選挙公約に掲げて当選したのが米国のトランプ大統領である。だがイギリスの既存の政治家にはそこまで移民に対して攻撃的にはなれなかった。イギリスのEU加盟に加担して、EU域内からの移民の受け入れを容認した責任があるからだ。
移民問題の解決策は現時点では早急には見つからないであろう。ただ言えることは【移民】への対応で国論が分裂した米英両国は国富の源泉を【製造業】から【金融業】に移動させたという共通項がある。国民に雇用の機会を一番与えられる業種は製造業であるということを世界各国の政治に携わる人たちは肝に銘じるべきであろう。   (おわり)

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2019年3月12日 (火)

世界経済に影を落とすドイツの経済減速

ドイツ連邦統計庁は昨年11月23日に2018年第3四半期(7~9月)のGDP(国内総生産)の伸び率の速報値を公表した。
ドイツのGDPは前期比(2018年第2四半期)で0.2%減少したが前年比1.1%増で2015年以来の低い成長率であった。GDPの低い伸びの原因は輸出が前期比で0.9%減少し、輸入が1.2%増加した結果輸出入は正味でGDP成長率を1.0%押し下げられたことによる。
連邦統計庁は「ドイツの経済成長は止まった。GDPの前期比での小幅減少は対外貿易が主因である」と述べた。
さらにドイツ連邦統計庁が19年2月14日に発表した18年第4四半期(10~12月)のGDPの伸び率は前期比0%であった。伸び率がマイナスではなかったことでドイツ経済は【リセッション(景気後退)】入りをかろうじて免れた。
2018年のドイツのGDPは前年比1.5%増で5年ぶりの低い伸び率となり、前年からの経済減速が浮き彫りとなったことになる。
ドイツ連邦の中央銀行である【ドイツ連邦銀行】は2018年12月14日に2019年のドイツ連邦の実質GDP成長率を1..6%と発表した。6月に発表した前回予測から0..3ポイント下方修正をした。下方修正の要因として、2018年第3四半)における想定外のマイナス成長を挙げた。
ドイツの2018年のGDP成長率は1.5%で前年より1.0ポイント低下したがその原因は内需が大きく減速したことによる。内需減速の要因としては、2018年第3四半期からドイツの既存モデル車に対しても新たな計測方法「乗用車などの国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)」に基づく排出ガス基準値順守を求められたが、ドイツの自動車メーカーの対応の遅れから、新車販売量が減少したことが挙げられる。
ドイツはEU加盟国28カ国中最多の人口8266万人を擁しているが内需だけで経済成長を維持することは難しい。経済成長継続するには海外貿易に軸足を置かざるを得ないのである。
ドイツの2017年の【貿易輸出額】は4481億7000万ドルに対してGDPは3兆7006億1000万ドル。米国の【貿易輸出額】は1兆5462億7000万ドルに対してGDPは19兆4854億ドル。日本の【貿易輸出額】は6981億3000万ドルに対してGDPは4兆8732億ドルである。これらの数値からドイツの輸出額がGDPに占める比率が米国や日本を圧倒している。
ドイツが輸出に強みを発揮しているのはEU域内では工業製品製造技術力では他のEU参加国27カ国の追従を許さないことである。
ドイツの経済力を支えているのは【自動車産業】のVWグループであるがVW単体の2017年の世界販売台数は623万台でそのうち約400万台は中国で販売したものである。中国では現地企業と合弁事業で外資系企業の出資比率は50%と制限されている。つまりVWが中国得た利益はその50%しか本国に持ち帰れないということである。言葉を換えれば200万台の利益しか得られないことを意味する。
トヨタは単体で2017年には世界で938万台販売し、そのうち中国での販売量は129万台で本国に持ち帰れる利益はその半分であるから64.5万台の利益しか持ち帰れないことになる。
トヨタの2017年の純益は2兆4000億円であったがVWの2017年の純益はトヨタの60%程度なのである。日本のマスメディアはVWが世界一と騒ぎ立てるがトヨタが単独の自動車メーカーとしては販売台数と純益の面で群を抜く世界ナンバーワンの自動車メーカーである。
中国の経済減速が鮮明になり、ドイツもとなれば2019年の世界経済には暗雲が垂れ込めたことになる。   (おわり)


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2019年3月10日 (日)

国内半導体大手ルネサス在庫調整のため一時操業停止

日用品の家電から大型輸送機の航空機まで現代の機器類は半導体が組み込まれていない機器は存在しないと言っても過言ではない。。それ故、【半導体】は産業の【コメ】とも呼ばれている。
【半導体】は1990年代に入ってから飛躍的な進化を遂げているがその主導的な役割を果たしたのが1968年に米国カリフォルニアでベンチャー企業として創業した【インテル】である。i【インテル】はコンピューターの中枢であるCPU(中央演算装置)製造に拘り続け、世界のCPU市場の80%のシェアを誇り、1992年から2016年までの25年間の売上高は世界No1であった。
しかしながら、半導体の用途はコンピューター以外の分野で拡大し、低価格の汎用半導体に活路を見出した【サムスン電子】が売上高を伸ばし、2017年の売上高は【サムスン】が612億1500万ドル(約6兆9050億円)に対して【インテル】の売上高は577億1200万ドルと【インテル】は25年ぶりに首位の座を明け渡した。2018年の売上高で【サムスン】と【インテル】の差は拡大している。
ところで、2018年後半から中国市場で自動車の販売台数が減少に転じ、2018年の販売台数は前年比2.7%減の2808.06万台で、台数にして79万8600台減った。
スマホの出荷台数も前年比15.5%減の3億9600台であった。中国の消費の低迷で日本からの半導体の輸出は減少し、その傾向は2019年に入っても続いている。
中国の半導体輸入の減少により日本の半導体メーカーの業績は悪化している。日本の半導体の大手メーカーの【ルネサスエレクトロニクス】は2019年3月5日、日本国内の6工場の最大で2カ月の稼働停止を発表した。半導体の在庫が積み上がっていることが理由である。
【ルネサス】は【日立製作所】と【三菱電機】から分社化した【ルネサステクノロジー】とNECから分社化していた【NECエレクトロニクス】が経営統合して2010年4月に設立された企業であるが日本の大企業の病弊というべきなのか管理部門の余剰人員を削減することなしに新会社をスタートさせてしまった。
その後、2013年初頭から始まった円安の恩恵で業績が回復基調にあったが政府の要請と人手不足が原因で【半導体】各社は従業員の賃上げを受け入れざるを得ない状況となった。【ルネサス】も例外でなかったが発足して間もない同社にとって人件費の増大は経営を圧迫する大きな要因となった。その打開策として【ルネサス】は昨年従業員20000万人の5%に該当する1000人の希望退職者を募った。対象者は非生産部門の従業員である。
それに加えて、在庫調整のために顧客の生産に悪影響が及ばない連休の多い5月と8月に工場を一時停止する。
停止の対象となる工場は半導体㋨前工程を手掛けている【那珂工場】(茨城県ひたちなか市)、【高崎工場】(群馬県高崎市)、【滋賀工場】(滋賀県大津市)、【西条工場】(愛媛県西条市)、【山口工場】(山口県宇部市)、【川尻工場】(熊本市南区)の6工場である。ここでも人件費の削減を図る。
現在の半導体業界は【質】(特定分野に特化した高付加価値の半導体)と【量】(価格の安い用途の広い汎用半導体)の戦いであると言われている。人件費の高い日欧米の企業は【質】に販路を求めざるを得ないので厳しい状況下にある。日本の半導体トップの東芝と日立製作所の売上高はサムスンの6分の1程度である。日本の半導体業界は厳しい状況に追い込まれているがその中でも【ルネサス】は一段と厳しい状況下にある。   (おわり)

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2019年3月 7日 (木)

経済の減速を公式に認めた全人代で発表された経済成長率目標

日本の国会に相当する中国の第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が3月5日北京で開幕した。この大会は例年全国から約3000人(中国の憲法で3000人以下と規定されている)の代表が集まり、ほとんど決定事項を追認するだけの約10日間の大会である。
今年の【全人代】の最重要議題は、新しい【外商投資法】を可決すること。これは外資合弁会社(外資系企業の出資の上限は50%)や100%外資系企業を規制する既存法に代わるもので、中国の投資環境を巡る海外の懸念を払拭しようという目論みがある。中国は現時点で米国と貿易摩擦の解消を目指して協議中だ。
事前に公表された草案によると、新法では、中国に進出している外国企業の技術を中国に強制的に移転させることと、外資系企業の慣行に政府が違法に「干渉」することを禁じている。
海外のマスコミや経済専門家が注目したのが李克強首相の大会初日の演説で、今年の主要な経済目標を発表したことだ。その中でも最も注目が集まったのが、今年の経済成長率の目標を昨年の6.5%前後から今年は6.0─6.5%に引き下げたことである。経済成長率に0.5%の幅を持たせたことは初めてである。それだけ中国政府は経済の著しい減速を認識し、中国発の金融危機を回避するために大規模な景気浮揚策を打ち出さざるを得なかったということなのであろう。
李克強首相は5日開幕した全人代の政治活動報告で中国が経済減速を視野に入れた大規模な景気対策を打ち出した。その内容は、2019年に2兆元(約33兆円)規模の減税と社会保険料引下げを実施することと経済成長率の6%割れを避ける方針を明確にしたことである。中国政府は米中貿易戦争の影響が顕在化するなか、企業や地方政府の債務膨張を防ぎながら景気のてこ入れを図る「背水の陣」の経済運営を強いられる。
景気対策の柱は企業向け減税である。税収の柱である増値税(付加価値税 日本の消費税に該当)を製造業で116%から13%に引き下げるほか、公的年金保険料の企業負担分をいまの18~20%から16%まで下げる。各種の税率の軽減規模は18年当初より8割も拡大し、国内総生産(GDP)の2%超に相当する。税収が減り、支出が増えるのであるから中国政府の財政運営は厳しくなる。
中国政府首脳が真に恐れているのは実体経済の減速ではなく、中国発の金融危機が起こることである。【全人代】開催前の2月1日に中国の民営最大手の投資会社【中国民生投資集団】(中民投)の社債の一部が【債務不履行(デフォオルト)】となった。このことは中国で過去最大級の【デフォルト】に発展するリスクが高まったことを意味する。民間企業59社の共同出資で2014年に事業を開始した【中民投】の昨年6月末の時点での債務残高は2320億人民元(約3兆8000億円)あり、これが連鎖反応が起こせば収拾がつかない大混乱が中国金融市場に生まれることになる。
【中民投】がデフォルトを起こした原因は、中国経済に詳しい評論家宮崎正弘氏によれば中国政府は太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー事業に補助金を給付して後押ししていたが昨年の第1四半期に補助金を打ち切ったという。その結果、【中民投】は投資資金の回収が困難になり、高利の社債を発行して凌いでいたのであるが高利の負担に耐えられなくなったということである。
このデフォルトが引き金となって中国発の金融危機に発展しないことを願うばかりである。   (おわり)

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2019年3月 5日 (火)

内政失敗隠しの米朝首脳会談強行し墓穴を掘ったトランプ大統領

2月27~28日にベトナムのハノイで開かれた【米朝首脳会談】は合意文書に米韓の両首脳が署名することなく物別れに終わった。米国政府の高官は「不利な合意を拒絶したことは成功であった」という主旨のコメントを八ぴゅして体裁を取り繕ったが米国内外のマスコミの多くは【会談の失敗】を報じている。
米国内では北朝鮮問題は有権者の興味をそそる問題ではなく、例えば、地上波のテレビ局NBCは米国の東部時間夕方6時半の看板番組「ナイトリー・ニュース」では【米朝首脳会談】と【コーエン元トランプ大統領の個人弁護士の議会証言】の2つの話題を取り上げた。
しかし、最初に取り上げられたニュースはマイケル・コーエン氏が米国連邦下院議会の監視委員会に召喚されて宣誓証言したことである。監視委員会は2月26~28日の3日間開かれ、27日の証人喚問だけが公開された。
米国の議会制度は日本とは大きく異なり、下院の議事進行や運営などを主宰する権限は米国連邦下院議会多数党の議員から選出された議長に付与されている。現在の下院議長は野党民主党のベテラン女性議員ナンシー・ペロシ―氏である。
2月27日に公開の宣誓証言をする公聴会を開催したのは下院多数党の民主党の作戦である。トランプ大統領が外交で点数を稼ぎそうな案件の【米朝首脳会談】の初日にテレビ放映がされる公聴会でのトランプ大統領の元個人弁護士のコーエン氏の証言をぶつけてきたのである。
下院民主党の作戦は図に当たり、ケーブル・ニュース局の【CNN】ばかりでなく、【NBC】を含む地上波3大ネットワークも【コーエン証言】を中継した。
上述の【ナイトリ―・ニュース】は、最初の14分間はコーエン証言を取り上げ、ハノイの首脳会談はその後の約5分間で報じられただけである。
2回目の米朝首脳会談の成果について米国政府高官の間でも悲観論が大勢を占めていた。これまでの米朝外交交渉の経緯から北朝鮮が核兵器の放棄や核施設の廃棄などの非核化に応じる可能性は極めて低いというのが米国の外交や安全保障の専門家の見解であった。さらに今回はチャイナリスクが加わったことにより米朝首脳会談での合意は極めて難しくなったのである。
トランプ大統領は就任2年目に突入した2018年から選挙公約の実現に精力を傾けだした。まず貿易赤字の解消で、米中貿易の不均衡の是正のため、トランプ大統領は高率の関税を中国からの輸入品に課した。それに対して中国も米国産の農産品を中心に25%の報復関税で対抗した。
その影響を一番受けたのが米国中西部の大豆生産農家であった。25%の報復関税によって米国産大豆は価格競争力を失い、中国の輸入業者は輸入相手先をブラジルやアルゼンチンの大豆輸出業者に変更した。その結果、在庫が積みあがった米国産大豆の価格は大幅に下落し、破産したり、大きな損害を被った大豆農家を中心に米国の農家はトランプ離れを起こし始めている。
中国は米中貿易交渉を有利に進めるためにトランプ大統領の権力基盤が脆弱になるよう北朝鮮に米朝首脳会談の決裂を働きかけたのであろう。米国の政府高官からは米中貿易交渉は成功するというリーク情報が流されている。
株価の下落を防ぐための一時的な措置と思われる。
米朝首脳会談決裂を受けてトランプ大統領の政治手腕に疑問を抱き始めた与党共和党の上院議員の中で大統領のメキシコ国境での壁の建設に関する【非常事態宣言】を無効にする議案に賛成票を投じる造反議員が増えて上院でも議案が可決される見通しが確実になった。トランプ大統領はさらに苦境に立たされ出した。   (おわり)

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2019年3月 3日 (日)

中国電子商取引法が訪日中国人需要に悪影響

2003年に内需振興策として始まった【ビジットジャパン】のキャンペーンの予想以上の成果が表れ、2018年の【訪日外国人客数】は3119万人と3000万人の大台を突破した。増加のトレンドは2019年に入っても衰えず1月の【訪日外国人客数】は前年同月比7.5%増の268万9000人と前年1月の250万1000人を約18万人上回り、1月としては過去最高となった。
3000万人超えに最も貢献したのは中国人で、2008年の100万人から昨年は838万人と8倍以上増えた。
中国人は日本旅行中の買い物金額でも昨年の第3四半期(10~12月)の1人平均金額は前年同期より1503円減ったがそれでも11万7813円と他国人を圧倒していた。
中国人の昨年の第4四半期の買い物金額が減った最大の原因は今年の1月から施行された【中国電子商取引法】(新EC法)の影響である。日本を訪れる中国人の約2割は転売を目的とする代理購入者と言われている。
【新EC法】はEC出店者などに政府への登録を義務付けて納税を義務化している。その上で脱税者には罰則を科している。
ECへの転売を目的に日本で商品を購入する【代理購入者】も登録の対象者となった。その影響を受けて【新EC法】の施行前の昨年末から転売目的の商品購入が減少し、さらに中国国内での流通在庫処分によって商品価格が下落した。商品の価格が下落すれば転売の旨味が少なくなるので代理購入が減ったのである。
この商品購入減は昨年の第4四半期から日本の大手メーカーの売上高の減少に表れている。【紙おむつ】の大手【花王】の2018年の第3四半期までのベビー用品に含まれる【紙おむつ】の売上高は前年同期比で3%程度増えていたが第4四半期に入って売り上げが激減して最終的に2018年の売上高は9%の減少となった。ベビー用品の【紙おむつ】を含む花王のヒューマンヘルス事業の最終的な売上高は7%の減少となった。
近年、百貨店はインバウンド(訪日外国人)需要の恩恵を受けているが、今年の1月から中国人の代理購入減少により【高島屋】の免税売上高は前年同月比15.1%減少し、高島屋でも外国人の比率が高い大阪店は20.5%減、新宿店は19.5%の減少であるという。
【三越伊勢丹ホールディングス】の新宿、日本橋、銀在の主要3店舗の免税売上高も1月には10.3%減った。今年に入っての売上高の減少は【新EC法】が原因ばかりとは言えないようだ。昨年の日本円/人民元の為替相場は1人民元=17円台で推移していたが今年に入っては1人民元=15円台と円高に振れている。人民元安で商品購入額が減っているのである。
ところで、ここ数年の医薬品、化粧品、日用品の売上高の急増で、化粧品最大手の【資生堂】や同2位の【花王】、、日用品の【ライオン】は国内工場への投資に事業戦略を転換したが暗雲が立ち込め出したようだ。しかし、最終消費者の個人の購買者の日本メーカーの製品に対する信頼は篤く、【資生堂】は商品供給力不足による売り上げ減少を危惧しているので国内の生産設備への投資の中止は全く念頭にないようである。   (おわり)

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2019年3月 1日 (金)

米政府高官の予測通り物別れに終わった米朝首脳会談

北朝鮮にとって【核兵器の保有】は国家が国際社会で存続するための命綱であり、金正恩朝鮮労働党委員長にとっては自らの生命を担保するものであるが故に北朝鮮が【核兵器の廃棄】に応じるはずはないのである。この事実を知悉している安全保障担当の政府高官の一人は2月27~28日両日にベトナムのハノイで開催予定の2回目の【米朝首脳会談】前から【米朝首脳会談】の決裂を予言していた。
2日間の【米朝首脳会談】で、北朝鮮の【核兵器の廃棄】や【核施設の廃棄】という【非核化】の進め方をめぐり合意文書を作成できなかった理由について、トランプ大統領は2月28日の首脳会談終了後に、北朝鮮が制裁の全面解除を要求したためだと主張した。
2回目の【米朝首脳会談】で、北朝鮮の【非核化】を推進する方法に関して米朝間で合意に至らなかった理由についてアメリカ国務省の高官はトランプ大統領の主張を補足するために、北朝鮮側が首都平壌(ピョンヤン)の北約80kmにある寧辺(ニョンビョン)の核施設の一部の廃棄に応じる代わりに事実上、武器を除くすべての制裁の解除を要求してきたためだと説明した。
寧辺の核施設には北朝鮮最初の原子炉が稼働しており、2006年以降に北朝鮮が行った各十店で使用した核物質を生産していた。施設の一部は老朽化しており、廃棄しても北朝鮮の核開発には影響がないことから施設の廃棄に応じる姿勢を見せているのであろう。
トランプ大統領の主張に対し、、北朝鮮のリ・ヨンホ外相は1日未明に記者会見し、ニョンビョンにあるすべての核施設の廃棄と引き換えに、国民生活に影響が及ぶ一部の制裁の解除だけを求めたと反論している。
現時点では真相は藪の中であるが昨年の中間選挙でトランプ大統領を支える与党共和党が議会下院で過半数を失ったことにより、トランプ大統領は内政では失点を重ねている。こうした状況を打開するためにトランプ大統領は北朝鮮問題で得点を挙げようとして準備不足のまま【米朝首脳会談】に臨んでしまったのである。
トランプ大統領は米国が世界の主導権を握っている理由を理解していないようである。米国の力の源泉は強大な軍事力である。軍事力に裏打ちされた安全保障体制を構築しているために米国は経済的な繁栄を享受していることになる。トランプ大統領はその点に思いが及ばず、安全保障体制の維持にかかる経費は無駄であると思い込んでいるのであろう。
首脳会談に同行した米国政府高官は3月1日、同行記者団に「北朝鮮はいまのところ大量破壊兵器の計画を完全に凍結する気がなく、制裁の解除で多額の資金を与えることは大量破壊兵器の開発を助けることにつながる」と述べて、非核化の前に制裁の解除を要求してくること自体が受け入れられないという認識を示した。
こうした米国の根強い北朝鮮に対する不信感を払しょくしない限り米朝関係に進展はない。北朝鮮はこれまで米国を騙し続けてきた。米国の不信感を取り除く努力をしない限り北朝鮮の国民は救われない。   (おわり)

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TPP発効効果が表れた参加国からの牛肉輸入量の激増

【環太平洋経済連携協定】(TPP)は昨年末の12月30日に発効した。筆者は【TPP】の発効後の経済効果に注目していたが財務省が2月27日に発表した2019年1月の【貿易統計】によれば【牛肉輸入量】は前年同月の3万5631トンを42%上回った5万0574トンであったことが判明し、1月単月では過去10年では最も多い輸入量となった。
19年1月の輸入量だけで判断するのは早計であるるが【TPP】発効の効果は早くも表れたとみるべきであろう。
オーストラリアやカナダ、メキシコ、ニュージーランド(NZ)のTPP参加4カ国からの輸入は前年同月比56%増の3万2953トン。このうち冷蔵肉は18%増の1万0279トン、冷凍肉は82%増の2万2674トンであった。
輸入量増大の原因は関税削減で、冷凍肉・冷蔵肉がともに増えて日本国内では低価格の輸入肉がシェアを拡大している。カナダとNZの輸入関税はTPP発効前の38.5%から27.5%と11%下がった。その影響でカナダからの輸入量は前年同月比で5倍の2715トン、NZからの輸入量は3倍の2319トンと激増した。
既に日本と経済連携協定(EPA)を結んでいたオーストラリアとメキシコの輸入関税削減率は冷蔵品のみ現行の32.5%から30.5%とわずか2%であったがオーストラリア産の牛肉の輸入量は全体で前年同月比40%増の2万6737トン、メキシコ産は44%増の1182トンであった。
現行の輸入関税率が38.5%と一番高い米国産牛肉の輸入も21%増えて1万7547トンである。その内訳は日本国内で在庫が増えている冷蔵肉が5%減って9395トン、冷凍肉は76%増えて8152トンであった。
2月に入ってもTPP参加国からの輸入量は増加幅こそ1月に比較すれば縮小したが増え続けている。財務省は2月28日、TPP参加国からの2月中旬までの牛肉輸入量を発表したが2月1~20日までの20日間で牛肉輸入量は1万6439トンと前年2月分の輸入量の74%に達した。
ところで、【日欧・EPA】(日欧・経済連携協定)が2月1日に発効したが昨年の欧州(EU)からの2月1日から2月20日までの牛肉輸入量は7トンであったが今年は関税率が低下したために94トンと13.3倍に増えた。
海外からの輸入が増えればその影響は日本の枝肉生産量の減少に及ぶがそれとともに米国産の牛肉輸入量も減少すると思われる。商社などの輸入業者はオーストラリア産以外のTPP参加国の牛肉を低価格の牛肉を販売を手掛けるスーパーに売り込みをかけているという。
米国産の牛肉の関税率が下がらなければ米国産牛肉の日本でのシェアは下がり続けることになり、トランプ大統領は米国の牛肉生産農家の恨みを買うことになるであろう。トランプ大統領の再選は前途多難である。   (おわり)

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