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2019年3月14日 (木)

EU離脱を巡り混迷を深めるイギリス議会

イギリス議会は、3月12日(日本時間13日未明)、EU(ヨーロッパ連合)からの離脱の条件を定めた【離脱協定案】を賛成242、反対391で1月に続いて再び否決した。これを受けメイ首相は、何の条件も付けずに離脱する【合意なき離脱】に踏み切るかどうか、13日(日本時間14日の朝)に議会に諮ることを決断した。、13日の議会では何の条件も付けないないまま離脱する【合意なき離脱】に突き進むのかどうかを問う採決を行う。
イギリス下院議会内部の離脱強硬派の中には【合意なき離脱】を推進すべきだとの強硬論が一部には存在するものの日本の自動車メーカのホンダの2022年でイギリス南部のスウィンドン工場の閉鎖の発表や北部サンダーランドでイギリス最大の工場を稼働させている【日産】が2月にSUV【エクストレイル】の次期モデルの製造拠点を日本回帰させると発表したことに加えて【離脱協定案】の採決当日に高級車【インフィニティ】の製造中止を発表したことによって下院議員の中にイギリス経済に関する危機感が醸成されてきた。
日本の自動車メーカーの英国離れはイギリスの【ブレグジット】が主たる要因ではない。最大の要因は2月1に発効した【日欧EPA】(日欧経済連携協定)である。日本の自動車メーカーは日本車をEU圏内に輸出する際に現在10%の関税を支払っている。しかし2026年には10%の関税が撤廃されるのでEU内で工場を稼働させる意義が薄れてきたのである。
そうした日本の自動車メーカーの状況の変化を理解するようになったイギリス下院議員たちは経済の混乱への懸念から「合意なき離脱」には否定的な議員が大多数を占め、採決では否決される可能性が高いとみられている。
しかしながら【合意なき離脱】が否決されたにしても2度にわたる【離脱協定案】の否決はイギリス国内ばかりでなく、国際的にもメイ首相の求心力のなさを露呈したことになり、イギリスに進出している日本企業は欧州戦略の見直しを迫られている。
現在欧米の主要国では賃金格差が拡大し、低所得者層の間では【不満】というマグマが噴出寸前の状態になっている。その起爆剤となりうるのが【移民】である。低所得者層の雇用を奪う存在であるからだ。この起爆剤の排除を選挙公約に掲げて当選したのが米国のトランプ大統領である。だがイギリスの既存の政治家にはそこまで移民に対して攻撃的にはなれなかった。イギリスのEU加盟に加担して、EU域内からの移民の受け入れを容認した責任があるからだ。
移民問題の解決策は現時点では早急には見つからないであろう。ただ言えることは【移民】への対応で国論が分裂した米英両国は国富の源泉を【製造業】から【金融業】に移動させたという共通項がある。国民に雇用の機会を一番与えられる業種は製造業であるということを世界各国の政治に携わる人たちは肝に銘じるべきであろう。   (おわり)

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