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2019年2月18日 (月)

国家非常事態宣言という暴挙に出たトランプ大統領

2018年7月の米中貿易戦争の勃発によって米国の中国向けの大豆の輸出は激減した。中国の米国製品への25の報復関税によって米国産の大豆の価格は高騰して売れなくなることが明白になったからだ。
中国は2014/2015年作物年度(2014年10月~2015年9月)と2015/2016年の作物年度には米国から約3000万トンの大豆を輸入した。2016/2017年の作物年度には米国のライバルのブラジルでは大豆が不作であったことから約3600万トンの大豆を中国は米国から輸入した。
ところが2018年の7~11月の5が月間で米国の中国向けの大豆輸出量の約1500万トン前後がブラジルやアルゼンチンなどのライバル国に奪われたことになる。この影響から米国の大豆農家の破産が2017年比で約2倍にまで増えた。
米国農務省は破産が相次いだ【大豆生産農家】を支援するために2018年9月には約20億ドルの支援金を【大豆生産農家】に支払ったが20億ドルの支援金は【大豆生産農家】にとって根本的な解決にはならなかった。
増加の一途を辿る大豆生産農家の倒産件数に危機感を抱いた米国農務省はその後、12月17日に中国をはじめとする報復関税措置によって損害を被った農家や酪農家に総額95億7000万ドルの支援金を支払うと発表した。そのうちの7割にあたる72億6000万ドルは大豆農家に支払われる。大豆農家の損害が群を抜いているという証である。
結局、トランプ大統領の農家や製造業の利益を守るという触れ込みの中国に対する高率関税は米国の【大豆生産農家】に壊滅的な打撃を与えたという皮肉な結果を齎したことになる。
米国内で大豆農家が多い地域は米国北部のノースダコタから南部のアーカンソーの中央諸州と五大湖周辺の諸州である。2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利を収めた州が多く含まれている。大豆農家の不満が限界に近付いているので今後、これらの諸州では2016年当時よりも反トランプの勢力が拡大することは確実でトランプ大統領の再選にマイナス要素が増えたことは間違いない。
【大豆生産農家】の破産の急増の主たる原因は中国への大豆輸出が激減して米国内に大豆の在庫が積み上がり、穀物価格が下落したことと、米中両国が相互に課した関税のせいで、中国が米国産大豆を買わなくなったことにある。
トランプ大統領は内政の不手際が顕著になり、トランプ大統領は焦燥感に駆られているに違いがない。トランプ大統領に残された内政打開策は選挙公約の一つの【メキシコ国境に壁を建設する】ことだけである。だがこれも議会下院の過半数を制している民主党の頑強な抵抗にあって壁の建設費は国境沿いの55マイルにわたって新たなフェンスを設けるための約14億ドルに減った。「57億ドルを手当てして234マイルの壁」を造るというトランプ大統領の要求とは大きな隔たりがある。その隔たりを埋めるためにトランプ大統領は国家非常事態を宣言して軍事費から約88億ドル壁建設費を捻出しようという憲法違反の可能性が否定できない暴挙に出た。
米国の憲法では【国家の非常事態】に関する明確な規定がない。トランプ大統領は国家非常事態に関してテロリストが侵入する可能性があるとか麻薬が運び込まれるとか主張しているが国家非常事態というには説得力に欠ける。
野党民主党は法廷闘争に持ち込む意向である。この問題の決着は2020年の大統領選にまで持ち込まれる可能性が出てきた。   (おわり)

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