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2019年2月

2019年2月27日 (水)

英国の合意なきEU離脱は日本自動車メーカー英国撤退をもたらす

英国は2016年6月23日、英国の欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を実施したが、離脱賛成の投票率は51.89%、離脱反対の投票率は48.11%で、その結果、3.78%という僅差で英国のEU離脱が決定した。
その後、英国とEUの間で離脱の条件に関する協議が重ねられて離脱の合意案が作成され、2018年11月25日に開催されたEU加盟27カ国の首脳会議で離脱合意案が承認された。英国のEU離脱には英国下院議会の承認が必要で2019年1月16日、英国下院議会でEU離脱合意案は否決された。英国下院で離脱合意案が可決されれば3月29日から離脱の移行期間に入る予定であったが下院で否決されたことにより英国のEU離脱は不透明になった。
英国のEU離脱にとって重要な事項は移行期間の期限(2019年3月29日~2020年12月31日)と離脱のための清算金であるが清算金の金額の詳細は不明であるが390億ポンド(約5兆7000億円)とみられ、これを英国が数年間で支払うことになっていた。
移行期間に突入する3月29日まで残り30日であるがその期間内に新たな離脱合意案が提示され、英国下院で可決される可能性は極めて低い。そうなれば離脱の先送りか合意なき離脱という二つの選択肢に限定される。
合意なき離脱となれば、、英国は3月29日から【EU単一市場】から緩和措置なしに締め出されることになり、英国は関税や物流の分野で大きな混乱に巻き込まれる可能性が高い。
英国は現在、EUの一員として他の加盟国との間で、商品や物品などモノを自由に移動させることができる。しかし、英国がEUから離脱した後は、EU域内とのモノの移動に際して、通関手続きが必要となる。
その結果、年間150万台超えると想定されるトラックなどが通行する英仏の海底トンネルでは、通関手続きによって数十キロに及ぶ大渋滞が発生することになるであろう。
合意なき離脱になった場合、英国にEU向けの営業拠点や工場などを置いている企業は、その製品を輸出する際に関税を課されることになる。日本の自動車の3大メーカーの【トヨタ】、【日産】、【ホンダ】は英国内で工場を稼働させてEU向けの4輪車を製造している。EU域内にこれらの生産車を輸出しても現在は関税は0%である。だが合意なき離脱となれば10%の関税を課される。これでは日本車はEU市場では競争力が大きく損なわれることになる。
[トヨタ】は1992年9月に英国中央部のダービーシャー州ダービー市バーナストンにバーナストン工場を稼働させた。【ダ―ビー市】はイギリス産業革命の中心の工業都市として発展してきたが、現在は航空機エンジンの【ロールスロイス】と【トヨタ】がダービーの経済を支えている。バーナストン工場の従業員は約3000人(期間従業員を除く)、生産台数は約18万台である。2017年に約3億ドルの新規の投資を【トヨタ】は発表したが合意なき離脱となればEUへの輸出車には10%の関税が課されるので【トヨタ】はバーナストン工場の操業を停止することになるであろう。
【日産】は1986年にイングランド地方北東部の北海に面した港湾都市【サンダーランド市】に工場を新設した。英国最大の自動車工場でイギリスの年間自動車生産台数の3分の1を生産している。2018年の生産台数は44万8000台であった。同工場の従業員数は約6000人であったがディ―ゼル車の生産縮小に伴い昨年には従業員の約1割の削減を発表した。
【日産】はサンダーランド市の経済を支えている存在であるから日産が撤退すれば同市の財政に大きな影響を与えることになる。合意なき離脱となれば【日産】も英国から撤退を決断することになるであろう。
【ホンダ】は英国南部のウイルシャー州スウィントン工場の2021年の閉鎖を2月19日に発表したばかりである。工場閉鎖の最大の原因は【ホンダ車】がEU市場では売れないことである。昨年の販売台数は13万台で利益が出ないのである。
英国が合意なきEU離脱に突き進めば日本の3大自動車メーカーは英国を撤退することになり、英国経済に少なからぬ影響を及ぼすことになるであろう。   (おわり)


 

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2019年2月26日 (火)

辺野古への移設の沖縄県民投票の結果で何かが変わるのか

沖縄県宜野湾市に存在する米海兵隊【普天間基地】を沖縄県北部の名護市辺野古地区への移設に関する沖縄県民投票が2月24日(日)に実施された。
投票結果は、投票率が過半数をようやく超えた52.58%、【移設賛成票】が投票全体に占める割合は19.1%の11万4932票。【反対票】が占める割合は72.2%の43万4273票。【どちらでもない】が5万2682票であった。
【反対票】が有権者全体に占める割合は、有権者数が115万3591人であるから37.6%で、住民投票条例の規定により反対票が4分の1を超えたことから玉城沖縄県知事は安倍晋三首相とトランプ米大統領に県民投票の結果を通知することとなった。
そもそも【普天間基地】の移設問題の契機となったのが1995年の沖縄駐留の米海兵隊の2人の米兵を含む3人の米軍兵士による小学生少女暴行事件である。この事件によって沖縄の米軍基地に反対する運動や普天間基地の返還要求、基地の整理縮小や日米地位協定の見直しを要求する運動が起こった。
米軍基地移設問題は安全保障上や軍事戦略上の観点から議論すべき問題であるが基地返還や日米地位協定の見直しなどの政治課題が含まれたことが問題を複雑にしている。
日本側は普天間基地を移設するための論拠に「普天間基地は世界で一番危険な基地」という住民感情に訴える作戦を採用した。沖縄駐留の米海兵隊の幹部の見解は「普天間基地で一度も事故が起こっていない以上、世界一危険という日本側の見解は間違っている」ということになる。
1960年に締結された【日米安全保障条約】によれば日本は米軍に基地を提供する義務を負っている。1991年にベルリンの壁が崩壊して東西冷戦構造も崩壊した。その結果、日本にとっての安全保障上の脅威は韓半島や中国に移ったのである。つまり地政学的に日本にある米軍基地の75%が集中している沖縄の重要性が一段と増したのである。
さらに不都合なことは【安全保障音痴】のトランプ大統領と朝鮮戦争の際の北朝鮮からの難民という出自を持つ文在寅韓国大統領の誕生によって日本は現在、安全保障上最も危機的な状況下にあるのである。
トランプ大統領は米軍の韓国駐留経費は無駄であると明言している。トランプ大統領は人気取りと米軍の韓国駐留経費を削減するために北朝鮮の金正恩労働党委員長との首脳会談を行うということになる。米国内では政府関係者ばかりかマスメディアも会談は失敗すると予測している。北朝鮮が核兵器を放棄することはあり得ないと理解しているからである。
ところで、沖縄の重要性が増した以上、政府が沖縄県民投票の結果に影響を受けることなないであろうし沖縄の現状は何も変わらないであろう。   (おわり)

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2019年2月22日 (金)

ホンダ欧州市場の販売不振のため英国工場を2021年に閉鎖

【ホンダ】は2月19日、2021年に英国イングランド地方南部のウィルトシャー州スウィンドンの生産工場を閉鎖すると発表した。
【ホンダ】は英国工場の閉鎖に関して世界の自動車産業を取り巻く急激な環境変化と、急激なEV(電気自動車)生産の加速に対応するために生産体制の再構築の必要があると説明している。
【ホンダ】のスウィンドン工場は、1985年2月に設立以来30年間で計300万台以上の車(主としてシビック)を生産してきた。現在は3500人の従業員が勤務する。中型車シビックを年間約15万台生産し、70カ国以上に輸出している。ホンダが欧州連合(EU)圏内に持つ唯一の生産拠点である。
EU圏内の唯一の生産拠点の閉鎖を【ホンダ】が決断したのはEU市場でホンダ車が売れないからである。2016年のホンダの販売台数は15万9126台、2017年は前年比13%減の13万8323台であった。それに対してトヨタは2017年が67万7796台(レクサスを含まず)、2018年が76万0069台(レクサスを含む)である。【ホンダ】はEU市場で【トヨタ】に大きな差をつけられてしまった。
欧州市場で日本車が苦戦している原因は日本の外国車に対する輸入関税が0%であるのに対してEUの日本車に対する輸入関税は10%と関税率が高い。日欧EPA(経済連携協定)が2月1日から発効したが日本車に対する輸入関税が0%になるのは9年後である。
【ホンダ】のシビックは英国工場からEUに出荷してもこれまでは関税は0%であったが英国がEUから離脱すれば関税が課される可能性が高まる。それでは英国工場を稼働させる利点は亡くなる。ところが英国にとってホンダの英国からの撤退は英国経済に深刻な影響を与えることになる。英国政府は日本の自動車メーカーを何とか英国内に繋ぎ止めておきたいのである。
【ホンダ】の工場閉鎖発表に先立つこと16日前の2月3日、【日産】は英政府と合意していた日産の英国中部のサンダーランド工場で計画していた、スポーツタイプ多目的車(SUV)【エクストレイル】の次期モデル生産を取りやめると発表した。欧州向けの【エクストレイル】は日産の国内工場の福岡県苅田(かんだ)町の工場で製造するとみられる。
【日産】の英工場での【エクストレイル】の次期モデルの生産取り止めを受けて、英国政府は2月4日、日産自動車が英工場での主力車種の生産計画を取りやめたことを受け、英政府は4日、2016年に【エクストレイル】の英国生産と引き換えに日産への支援を提案していた同社宛ての文書を公開した。英国政府はEU離脱の対策を講じていたという英国国民へのアリバイ作りの一環であろう。
クラーク英ビジネス・エネルギー・産業戦略相は4日、「日産が政府の資金支援を受けるためには再申請が必要になる」と指摘。支援策を事実上撤回する意向を示した。
2月4日に英国政府が公表した文書には、英国政府が欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票の約4カ月後の2016年10月21日付が入っていた。英国内での主力車種となるスポーツ用多目的車(SUV)【エクストレイル」】の次期モデルなどの現地生産を条件に最大で約8千万ポンド(約115億円)の支援を英国政府は提案していた。支援策はその後、6100万ポンド(87億円)に決定していた。
英国に進出している外資系企業にとって英国がEUを離脱すれば英国に留まるメリットは消失してしまうのである。EU離脱を選択した誇り高い英国民にはバラ色の未来が約束されているのであろうか。   (おわり)

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2019年2月21日 (木)

中国経済の減速を反映している日本の2019年1月の貿易統計

財務省は2月20日、2019年1月の【貿易統計】を発表した。
【輸出】は船舶(前年同月比37.4%減)、【半導体等製造装置】(27.8%減と鉄鋼(13.7%減))が大幅に減少したことにより【輸出金額】は前年同期比8.4%減の5兆5247億円となり、2カ月連続のマイナスとなった。
一方、【輸入】は天然ガスが前年同月比15.3%増と大きく増えたものの【原油】(前年同月比10.3%減)、【石油製品】(17.9%)、【非鉄金属鉱】(18.3%)の減少により、【輸入金額】は前年同月比0.6%減の6兆9895億円で2019年1月の【貿易収支】は差し引き1兆4152億円の赤字となり、昨年12月の567億円の赤字から約1兆3500億円の増加となり、2カ月連続の赤字であった。
貿易収支の赤字拡大の最大の原因は中国貿易である。中国経済の減速により対中国輸出品目では【電気回路等の機器(前年同月比38.9%の減少)、【プラスチック】(27.5%の減少)、【半導体等製造装置】(24.8%の減少)が大幅に減り、輸出額は前年同月比17.4%減の9581億円、で2カ月連続の減少。輸入額は前年同月比5.56%増の1兆8378億円で2カ月ぶりの増加であった。輸入増の原因は【電算機類】(前年同月比15.0%増)、音響映像機器(18.1%増)、【衣類・同付属品】(4.1%増)である。
対中国貿易の赤字は前年同月比51.8%増の8797億円で10カ月連続となった。2019年1月の貿易赤字の62%は対中国貿易赤字が占めている。このことは換言すれば中国経済が減速した結果、日本からの原材料品の輸入が減ったことを意味する。中国は基本的には原材料を輸入してそれを組み立てたり、加工して製品を輸出する加工貿易の国である。
ところで、中国経済の減速を象徴する数値がいくつか存在する。まず、世界最大の自動車市場と化した中国の2018年の新車販売台数は、2017年の販売台数の2887万9000台から約80万台減って2808万0600台であった。販売減の傾向は2019年に入っても続き、1月の販売台数は前年同月比15.8%減の236.7万台であった。中国最大の自動車メーカー【吉利(ジーリー)汽車】の1月の販売台数は前年比5.3%減の150万台である。
スマホの販売台数も2017年から減少している。17年は前年比4%減、18年のスマホ出荷台数は中国工業情報省傘下ののシンクタンク【中国信息通信研究院】によれば前年比で15.5%減の3億9000万台である。米市場調査会社【カリナス】によれば2018年のスマホ出荷数は前年同月比12%減であった。
中国4大ポータルサイトの一つ【網易(ネットイージー】は2018年10月18日に「今期の上半期(2018年1~6月)の国内の504万社が倒産し、失業者は200万人を超えた。中国電商の最大手アリババ集団、通信大手【ファーウェイ】など大企業は人員削減を検討している」という記事を配信したが、すぐに削除された。影響の大きさを考慮して国家当局が介入したのであろう。
2019年1月の貿易統計の貿易赤字の拡大は、米中貿易摩擦と中国経済の減速が日本の貿易収支に悪影響を及ぼし始めた結果であろう。   (おわり)

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2019年2月18日 (月)

国家非常事態宣言という暴挙に出たトランプ大統領

2018年7月の米中貿易戦争の勃発によって米国の中国向けの大豆の輸出は激減した。中国の米国製品への25の報復関税によって米国産の大豆の価格は高騰して売れなくなることが明白になったからだ。
中国は2014/2015年作物年度(2014年10月~2015年9月)と2015/2016年の作物年度には米国から約3000万トンの大豆を輸入した。2016/2017年の作物年度には米国のライバルのブラジルでは大豆が不作であったことから約3600万トンの大豆を中国は米国から輸入した。
ところが2018年の7~11月の5が月間で米国の中国向けの大豆輸出量の約1500万トン前後がブラジルやアルゼンチンなどのライバル国に奪われたことになる。この影響から米国の大豆農家の破産が2017年比で約2倍にまで増えた。
米国農務省は破産が相次いだ【大豆生産農家】を支援するために2018年9月には約20億ドルの支援金を【大豆生産農家】に支払ったが20億ドルの支援金は【大豆生産農家】にとって根本的な解決にはならなかった。
増加の一途を辿る大豆生産農家の倒産件数に危機感を抱いた米国農務省はその後、12月17日に中国をはじめとする報復関税措置によって損害を被った農家や酪農家に総額95億7000万ドルの支援金を支払うと発表した。そのうちの7割にあたる72億6000万ドルは大豆農家に支払われる。大豆農家の損害が群を抜いているという証である。
結局、トランプ大統領の農家や製造業の利益を守るという触れ込みの中国に対する高率関税は米国の【大豆生産農家】に壊滅的な打撃を与えたという皮肉な結果を齎したことになる。
米国内で大豆農家が多い地域は米国北部のノースダコタから南部のアーカンソーの中央諸州と五大湖周辺の諸州である。2016年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利を収めた州が多く含まれている。大豆農家の不満が限界に近付いているので今後、これらの諸州では2016年当時よりも反トランプの勢力が拡大することは確実でトランプ大統領の再選にマイナス要素が増えたことは間違いない。
【大豆生産農家】の破産の急増の主たる原因は中国への大豆輸出が激減して米国内に大豆の在庫が積み上がり、穀物価格が下落したことと、米中両国が相互に課した関税のせいで、中国が米国産大豆を買わなくなったことにある。
トランプ大統領は内政の不手際が顕著になり、トランプ大統領は焦燥感に駆られているに違いがない。トランプ大統領に残された内政打開策は選挙公約の一つの【メキシコ国境に壁を建設する】ことだけである。だがこれも議会下院の過半数を制している民主党の頑強な抵抗にあって壁の建設費は国境沿いの55マイルにわたって新たなフェンスを設けるための約14億ドルに減った。「57億ドルを手当てして234マイルの壁」を造るというトランプ大統領の要求とは大きな隔たりがある。その隔たりを埋めるためにトランプ大統領は国家非常事態を宣言して軍事費から約88億ドル壁建設費を捻出しようという憲法違反の可能性が否定できない暴挙に出た。
米国の憲法では【国家の非常事態】に関する明確な規定がない。トランプ大統領は国家非常事態に関してテロリストが侵入する可能性があるとか麻薬が運び込まれるとか主張しているが国家非常事態というには説得力に欠ける。
野党民主党は法廷闘争に持ち込む意向である。この問題の決着は2020年の大統領選にまで持ち込まれる可能性が出てきた。   (おわり)

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2019年2月16日 (土)

早くもレイムダック(死に体)化した韓国文在寅大統領(2)

韓国の大統領の任期が5年で再選なしと定められた制度の下で,選挙によって誕生した大統領は、第14代大統領の金泳三(キム・ヨンサム)(1993~98年)、第15代の金大中(キム・デジュン)(1998~2003年)、16代の盧武鉉(ノ・ムヒョン)(2003~2008年)、17代の李明博(イ・ミョンバク)(2008~2013年)、18代の朴槿恵(パク・クネ)(2013~2017年)と現大統領の文在寅氏の7人である。
韓国の国民性は肉親の結びつきが異常に強いことで知られている。その結果、大統領の兄弟や子弟が大統領の職権を不正利用して不正蓄財に励む事例が多い。大統領は高い支持率を維持することと自らのクリーンさをアピールために前任者の不正を暴くことに血道を上げることになる。
金泳三氏は自らは逮捕されなかったが次男が収賄と脱税の容疑で逮捕された。後任の金大中大統領は同じ左翼政権ということもあって金泳三氏の追求には手加減を加えたのであろう。
金大中氏も3人の息子が全員職権乱用の不正蓄財容疑で逮捕されたが、金氏自身はノーベル平和賞を受賞したこともあって後任の盧大統領が手加減した結果、逮捕されることはなかった。盧氏自身前任者の金氏を追及する資格がなかったこともあるが。
第16代盧武鉉大統領は兄が斡旋収賄罪で逮捕され、自らは弾劾訴追を受けて職務停止処分を受けた後に弾劾が無効となり、職務に復帰した。その後、自身と妻の不正蓄財が発覚し、大統領退任後に自殺するという非業の死を遂げた。
17代大統領の李明博は退任後、収賄、背任横領、脱税容疑で逮捕され、2018年に有罪判決を受けた。18代朴槿恵は永年の知人崔順実という人物に国政介入させたとして弾劾され、大統領職務停止後、韓国大統領としては初めて罷免された。
韓国大統領は、韓国行政の長(第66条第4項)として警察(行政安全部警察庁)や検察(法務部検察庁)、直属の情報機関(国家情報院)を管轄し、かつ韓国司法の長である大法院院長の任命権(第104条第1項)、並びに国会が議決した法案に対する再議要求権(第53条第2項)を有する。その為、韓国大統領は行政権全般だけでなく立法権や司法権の一部にも影響を与える程の権限を与えられており、そのことが大統領周辺で賄賂の授受を起こしやすい一因になっていると考えられている。
権利には義務を伴う。韓国大統領は絶対的な権力を与えられる代わりに、その権力を国民に返した時つまり大統領としての5年の任期を終えた暁にはその5年間をきっちり清算しなければならない。任期中に不正を働いていたならば自身を含めて家族や側近まで不正を追及されることを甘んじて受け入れなければならない。
ところで任期が1年8カ月を経過した時点で、文大統領周辺のスキャンダルが発覚している。1月29日に保守系野党【自由韓国党】の郭尚道(クァク・サンド)議員は党内会合で「文大統領の娘ダへ氏が家族と東南アジアへ移住したとコメントしている。
ダへ氏は夫からソウル市内の低層の高級マンションを譲渡されたがその3カ月後に売却している。問題なのはその高級マンションの購入代金がダへ氏の夫が勤務していた企業に政府が200億ウォン(約20億円)を支援したがその支援金の一部がマンション購入代金に使用された疑いがあることだ。
さらに与党【共に民主党】の1回生議員の孫恵園(ソン・へウォン議員が大統領夫人の【同級生】であることを声高に語り、「全羅南道の【木浦旧市街地】をエーゲ海の島のように」をキャッチフレーズに国の資金500億ウォン(約50億円)を不動産購入に注ぎこんでいることが発覚し、1月24日に離党した。
17年の大統領選挙で重要な役割を演じた文大統領の側近で、慶尚南道知事だった金慶洙(キム・ギョンス)被告が実刑判決を受けた。
早くもスキャンダルが噴出し、求心力が衰え、反日カードを切ってしまった文大統領には任期を全うできるかという懸念が浮上している。   (おわり)

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2019年2月14日 (木)

早くもレイムダック(死に体)化した韓国文在寅大統領(1)

2017年5月に誕生した韓国文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は就任以来1年間は80%台の高率をj維持していた。
しかし、大統領の選挙公約の一つ【2020年までに最低賃金を10000ウォンに引き上げる】を受けて2018年の時間当たり最低賃金は17年の6470ウォン(約647円)から16.4%増の7530ウォン(約753円)に引き上げられた。時給が一気に103円上がったのであるが最低賃金で働く人々は中小零細業のアルバイトが大半である。雇用主は賃金の負担に耐えられずに廃業するか雇用者の数を減らして対応する処置をとった。しかもこれまで支給していた食事代の支給を廃止したためにアルバイトの従業員の生活は苦しくなるという皮肉な結果になった。
18年の7月には19年の最低賃金は18年比で10.9増の8350ウォン(約835円)に決定している。政府も財政出動によって中小零細企業の救済を講じたがさほどの効果はなかった。
その上、韓国経済の牽引役の一つ【現代自動車】が米国と中国市場で大幅な販売減に見舞われ、その影響で現代自動車の第一次下請けの企業数社が倒産した。さらに韓国のGDPの40%を稼ぎ出すと言われている【サムスン電子】の2018年第4四半期の営業利益が29%も減った。その原因はスマホの販売台数の急激な落ち込みである。スマホの販売台数減はスマホに使用されている半導体の減少に直結し、収益の柱の半導体事業の先行きが不透明になったことから【サムスン電子】にも2019年は黄色の信号が点滅し出した。
経済状況の悪化によって文大統領の支持率も8月からは60%台を下回るようになってきたので、支持率回復のために文大統領は北朝鮮の金正恩労働党委員長との南北会談を9月10日に行い、10月第1週には支持率を64%にまで戻した。
韓国では1週間ごとに大統領支持率の世論調査を行っているので当然、大統領やその側近たちも支持率の動向には神経を尖らせている。
外交の成果は抽象的なものが多いのでその効果は長続きしない。南北首脳会談の効果は2週間で薄れ、10月第3の支持率は62%、以後、支持率は下落のスパイラルに突入し始めた。10月第4週の支持率は58%、11月の第1週が55%、第2週が54%、第3週52%、第4週53%、12月第1週が49%、第2週が45%、第3も45%。
支持率と不支持率はセットになっているので支持率が下がれば当然のことながら不支持率は上がる。不支持率は10月第1週が26%、第2週は1%下がったが第3週からは上昇スパイラルに入り12月第2週には44%と支持率と不支持率の差は1%にまで接近した。12月第3週の世論調査の発表日は21日であったがその結果を大統領官邸のメンバーは事前に入手したと思われる。21日に発表された支持率は45%、不支持率は46%と初めて不支持率が支持率を上回った。
韓国海軍の駆逐艦【広開土王】(クァンゲドデワン)が能登半島沖の日本海で海上自衛隊のP-1哨戒機に対して火器管制レーダー(射撃用管制レーダー)を照射したのが12月20日15時頃であった。支持率回復のために文大統領は射撃用管制レーダーの照射を韓国海軍上層部に命じたのである。
韓国の歴代大統領は5年の任期切れが迫って政権が【死に体】状態(求心力の低下)に入ると人気回復のために【反日】の旗色を鮮明にしてきたが在任1年半で【反日政策】に転じたことは文大統領が追い込まれていることの証である。   (つづく)

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2019年2月13日 (水)

暗雲が立ち込めた日産の拡大路線

昨年の11月19日に東京地検特捜部に逮捕され堕ちた偶像となりつつあるカルロス・ゴーン前日産自動車代表取締役兼最高経営責任者(CEO)の経営スタイルは20年間に及ぶ経営実績から【20世紀最高の経営者】として持て囃されたジャック・ウェルチ【GE】(ゼネラル・エレクトリック)社CEOの2番煎じだと私は思ってきた。
ジャック・ウェルチ氏の経営の2本の柱は①「【リストラ】や【ダウンサイジング】と呼ばれる大規模な整理解雇による資本力の再建と②企業の合併・買収(M&A)と国際化の推進」である。
さらに、ジャック・ウェルチ氏は人材を育成するために部下に敢えて過大なノルマを課してそれを達成させ、業績を伸ばし人材を育てるという手法を駆使した。しかしながら、ウェルチ氏自身は企業を成長させるために従業員を犠牲にする自らの手法に満足していたわけではない。ウェルチ氏が高く評価していた経営者はGEと業務提携をしていた【横河電機】の美川英二元社長であった。美川氏は終身雇用を貫くために企業規模は2000人が限度という信念の下に規模の拡大を追求しなかった。
ゴーン氏は日産の再建請負人としてフランスの【ルノー】から日産に送り込まれ、短期間でその使命を果たし、「コストカッター」という異名を与えられ、カリスマ経営者として国際的な評価も定着し、2009年以降、必達の数値を設定し、規模の拡大を追求し始めた。過大なノルマを課されれば多くの従業員は偽装工作をするようになる。
自動車メーカーの規模の拡大は販売台数を伸ばすことだ。高額商品である自動車の販売台数を拡大させるには販売を委託しているディラー(自動車販売会社)に報奨金という名目で資金を提供する。報奨金はディーラ―の値引きの原資となる。高額の報奨金をディーラ―に提供すれば販売台数は増えるがメーカーの利益は減少する。販売台数の増大路線に突入した日産はこの自己矛盾に陥ったのである。
2月12日、日産自動車は2018年度 第3四半期決算を発表した。第3四半期の直近3か月(2018年10月~12月)の売上高は前年同期(2兆8755億円)比で5.9%増となる3兆457億円、営業利益は同(824億円)25.4%増の1033億円、当期純利益は同(3016億円)比で76.7%減の704億円。また、第3四半期累計3か月のグローバル販売台数は同(137万5000台)2.6%減の134万台とした。
2018年度 第3四半期累計9か月(2018年4月~12月)では、売上高は前年同期(8兆5280億円)比で0.6%増となる8兆5784億円、営業利益は同(3642億円)13.9%減の3137億円、営業利益率は同0.6%減の3.7%、当期純利益は同(5781億円)45.2%減の3167億円。また、第3四半期累計9カ月のグローバル販売台数は同(410万9000台)2.1%減の402万3000台となっている。
日産の減益の最大の要因は昨年まで日産の稼ぎ頭であったアメリカ市場での販売不振である。2017年度の3四半期(2017年4~12月)の累計販売台数は117万6673台に対して2018年の3四半期の累計販売台数は107万7874台で前年同期より販売台数が9万9799台減った。
日産の2017年暦年の世界販売台数は581万6278台であったが2018年は米国とメキシコの販売が不振で前年より16万2695台減らした。それに対してトヨタは単独で17年が938万4000台、18年が954万2000台で前年より15万8000台増えている。中国市場で2018年は前年より18万4500台販売台数が増えたためである。
日産は規模の追求路線から利益率重視の路線に転換すべき時期に来たのである。   (おわり)

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2019年2月12日 (火)

戦後日本の官庁が手を染めた最大の不正は財務省の国民借金説

ここ数年日本の官僚機構の退廃は目を覆いたくなるような惨状を呈している。
2014年5月に各省庁の審議官以上の幹部職員の人事権を握る【内閣人事局】が内閣府の中に新設された。これが官僚機構退廃の最大のげんいんであろう。これまでの各省庁の人事権は各省庁が掌握していて各省庁のトップである大臣にさえ幹部職員の人事に例外はあったが嘴(くちばし)を挟ませなかった。
各省庁は政策を実現させるために政策の基となる資料の数値の水増しなどの不正を日常茶飯事のように実行していた。全ては【省益】のためであったと言われている。
だが14年の6月以降から各省庁の人事権が【内閣人事局】に移譲されたことによって各省庁の個人的なスキャンダル以外の不正行為は【安倍内閣】に迎合するために(【忖度】と呼ばれている。)実行されるようになった。高級官僚は人事権を【内閣人事局】に握られ、内閣に逆らえなくなったためである。
審議官以上の幹部職員が内閣の方針に【異】を唱えれば昇進が停止し、左遷か事務次官争いから脱落し、退職(天下り)を余儀なくされるからだ。一方、【忖度】によって内閣人事局に評価された官僚は出世をすることになる。
これまで一枚岩と思われていた各省庁は一枚岩ではなくなり、上昇志向の異常に強い一部の幹部職員は【内閣】に迎合して省益を無視する行為を平然と行うようになった。その典型的な例が財務省の理財局長であった佐川氏の【森友学園】への国有地売却に関連する文書の改竄の指示である。佐川氏は財務省の財務畑や理財畑出身の官僚の最高位の国税庁長官の座を射止めた。
【森友学園】と【加計学園】の問題が国民の反発を買って2016年と17年には安倍内閣の支持率が下がったこともあり、昨年はさすがに新たな官僚機構の不祥事は発覚しないと思っていたが年末の12月になって【厚労省】の継続して行われている【毎月勤労統計】の不正が火を噴いた。 【毎月勤労統計】とは、賃金の動向等を調査し、景気の分析や労働保険の給付金等の算定に用いられる重要な統計である。
【毎月勤労統計】の不正は、本来ならば東京都の常用労働者数500人以上の事業所を全て調査すべきところを、2004年からサンプル調査で手抜きし、3分の1の事業所しか調査してこなかったのである。
東京都の勤労所得は全国で一番高い。ところが調査では東京都の企業数のが少なかったことにより賃金の水準が実勢賃金を下回ることになり、賃金の統計値は実際より低くなった。
手抜き調査の実態に気付いた【厚労省】は2018年1月に調査方法を改善した。その結果、賃金水準は高くなった。ところが、2017年までの調査の統計数値は改めなかったので2018年になって賃金の上昇率が高くなったのである。賃金の伸びが高く見えるような修正が18年に安倍政権の下で行われた。これは【厚労省】の統計担当部門の安倍内閣に対する【忖度】ということになるのであろう。
ただこの問題は今国会で騒いでいるが真相は解明されることはないであろう。証拠となる文書が存在する可能性は極めて低いからだ。
これまでの最悪の不正というか国民を騙した行為は財務省が発表する日本政府の債務問題である。財務省は2018年5月10日、2018年3月31日時点での日本政府の債務残高は1087兆8130億円で、そのうち国債残高が959兆円1413億円と発表した。この発表を受けて【日本経済新聞】は同日に配信した記事の中で「国民一人当たりの借金は859万円」と記している。
借金をしているのは日本政府であって、日本国民ではない。その証拠に日本政府が発行した国債はメガバンクを中心に金融機関が購入し、金融機関は購入した国債をその金融機関の預金者などに売却している。国債を購入した一般国民は毎年、1%にも満たない国債の利息を得ている。利息を得ている人が借金主であるはずがない。
日本国債は財政赤字を埋め合わせするために発行される赤字国債(普通国債あるいは特例国債)と財政投融資債に分かれていて政府が返済の義務のある国債は厳密に言えば赤字国債分だけで2018年3月末の赤字国債残高は約864兆で残りの約95兆は財政投融資債であるからこれらは特別会計で処理されていて日本政府の借金ではない。
残りの128兆円の国債は90%以上は短期国債で、短期国債は米国債などの外国債の購入に使われているので借金とは言い難い。日本政府の借金は約864兆円というのが正しい。さらに日本政府は650兆円を超える資産を保有している。そのうちすぐに換金できる金融資産(独立行政法人などへの出資金、NTTやJT、日本郵政の株式など)が300兆円を超えている。864兆円から300兆円を差し引くと564兆円程度となる。
日本政府の子会社の日本銀行は2018年3月末の時点で国債445兆9000億円を保有している。国債には財政投融資債が含まれているので日銀保有の普通国債は440兆円程度となる。政府は子会社日本銀行の保有する国債に利息を払っていないし、満期が来ても元金を返済もしない。日銀保有の普通国債約440兆円は実質的には債務とならないので日本政府の実質的な債務残高は124兆円程度となり、日本政府は世界一の健全な財政状況を維持していることになる。
財務省も日本のマスコミも長年、嘘をつき続けたので今さら真実を公表できないのである。   (おわり)


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2019年2月 9日 (土)

米中貿易戦争は短期間では解決しない

経済がグローバル化した現在において【貿易】という概念が20世紀とは変化している。20世紀においては【貿易】とは自国産の材料・素材や部品を使用して製品を仕上げそれを他国に輸出することを意味していた。
ところが21世に入ってからは人件費が高騰した先進国の製造業者は人件費の安価な主として中国に生産拠点を移転させ、本国から材料・素材や部品を中国に輸出(送り)し、製品化した商品を本国に輸出(送り返す)という形態をとり始めた。
中国に送った材料・素材や部品の価格より本国に送り返された製品化された商品の価格が高額であることから米国にしろ日本にしろ対中貿易収支は慢性的に赤字になるのは必然なのである。中国の人件費が高騰すると先進国の製造業者は人件費の安価な東南アジアの諸国(タイ、ベトナムなど)に生産拠点を移転させている。
トランプ大統領は対中貿易赤字が膨大で慢性化していることを理由に中国や日本に貿易赤字の是正を強硬に要求している。だがその要求の真の矛先は中国政府ではなく生産拠点を中国に移転した米国の大手メーカーに生産拠点の本国回帰を要求しているのである。
米国自動車最大手の【GM(ゼネラルモーター)】でさえ中国で製造した乗用車を本国に輸出している。米国内で製造していては人件費が高く価格競争力で他国のメーカーに太刀打ちできない。2020年までには【GM】が国内で製造する車種は高級車のキャデラックや【SUV】だけになるであろう。トランプ大統領が圧力をかけようがGMの乗用車部門の国内回帰は経済合理性からあり得ないのである。
【半導体】の世界最大手の【インテル】も中国政府が半導体製造に本格的に乗り出したので中国メーカーと合弁で【NAND】型半導体メモリ―製造に1900億円を投資する。
スポーツシューズ最大手の【ナイキ】は米国の雇用には貢献しないためにトランプ大統領の攻撃の対象となっているが米国本土に生産拠点を移す可能性は低い。現在、【ナイキ】は【ベトナム】で37%、【インドネシア】と【中国】でそれぞれ19%委託製造している。
トランプ大統領が2月7日に米中首脳会談を通商協議期限の3月1日まで行わない意向を示したことを受けて7日のニューヨーク株式市場の【ダウ平均株価】は220.77ドル(0.87%)値を下げた。東京株式市場もその流れを受けて【日経平均株価】は前日より418.11円値下がりした。
米国政府が最も警戒しているのは米中貿易摩擦ではなく、通信分野での覇権を中国に掌握され、米国の軍事情報が中国に盗用されることである。通信分野の覇権を奪還するために【ファーウェイ(華為技術)】を破滅に追い込むために先進国に圧力をかけ、【ファーウェイ】の営業妨害をしている。
米国が通信分野で中国を凌駕しない限り【米中貿易戦争】の解決はあり得ないということであろう。    (おわり)  


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2019年2月 7日 (木)

韓国経済の崩壊と文大統領支持率の急落

昨年末の12月27日に韓国の調査会社【リアルメーター】は12月第4週の大統領支持率を発表した。
それによれば文在寅大統領の支持率は43.8%、不支持率は51.6%と就任以来初めて不支持率が支持率を上回った。文大統領の支持伊率は一昨年の5月10日の就任以来、昨年の4月までの1年間の支持率は70~80%台で推移していて歴代の大統領としては金泳三大統領に次いで2番目の高さであった。
18年5月第1週の支持率は83%と歴代1位を記録したが10月第3週は60.4%にまで下落していた。支持率急落の原因は【Jノミクス】と呼ばれる経済政策に綻びが目立ち出したことである。
文大統領の選挙公約の一つは「2020年に【最低賃金】を時給10000万ウォン(約1000円)に引き上げる」というものであった。【Jノミクス】の中心概念は「低所得・中産層の所得を増やせば消費が拡大する」という所得主導の経済成長と「新たな成長産業を創出する」という【アベノミクス】のコピーである。
文大統領就任前の2016年の韓国の最低賃金「時給)は6030ウォンであったが2017年には7.3%上げて6470ウォンとなった。17年の最低賃金の決定には就任2か月の文大統領は関与していない。2018年の最低賃金は文大統領の意向が反映されて16.4%という大幅増の7530ウォンに決定した。2019年は11.9%増の8350ウォンである。
【最低賃金】は物価の上昇率を基準に決定すべきであるが韓国の2013~17年の物価上昇率の平均は1.2%であるから10%を超える引き上げは好況期ならともかく不況期では暴挙であろう。最低賃金の対象となる低所得者たちは零細企業か中小企業のアルバイトが多い。零細・中小企業では高騰した人件費の負担に耐えられない。
これまで韓国経済を支えてきたのは財閥である。その中でも【サムスン電子】と【現代自動車】の存在が突出していた。ところが2010年代前半には米国市場で【日本車キラー】と呼ばれていた【韓国車】(現代と起亜)は2016年の販売台数142万2000台をピークに2018年は126万6000台にまで落ち込んだ。
中国市場でも2016年の販売台数は韓国車は179万2000台と日本の大手3社各社の個別の販売台数を上回っていたが2017年のTHAAD配備を契機に韓国車の不買運動が起こり17年は65万台減の114万4600台、昨年は112万台と低迷している。現代グループの販売不振の煽りを受けて現代グルーに部品を供給している韓国の部品メーカーの倒産が頻発している。。
先月の24日に発表された【現代自動車】(起亜自動車を含む)の2018年通期の連結決算では、営業利益は2兆4220億ウォン(約2375億円)で昨年の営業利益4兆5750億ウォンから47%の減益となった。【現代】は6年連続の減益である。
さらに韓国のGDPの40%を叩き出すと言われている【サムソン電子】もスマホの販売台数が2018年第1~第3四半期(1~9月)に前年同期に比べ2244万台減った結果、稼ぎ頭の半導体の事業部門も不振に陥り、2018年通期の営業利益は前年比で29%減少して10兆8000億ウオン(97億ドル)となった。
韓国の歴代大統領は支持率が低下すれば「苦しい時の神頼み】ならぬ【苦しい時の反日活動】を常套手段としてきたが文大統領も常套手段に訴えざるを得ない状況に追い込まれたということになる。
文大統領はこの1年の軍事政策から判断すれば【仮想敵国】を北朝鮮から日本に切り替えたと理解すべきで、【徴用工】問題から推測されるように今後、日本企業が投資しても利益や資産が没収されるリスクが高まってきたので日本企業は韓国への投資を控えるべきであろう。   (おわり)

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2019年2月 6日 (水)

国内回帰を始めた日本の化粧品、日用品製造業

経済のグローバル化の波に飲み込まれて生産拠点を海外に移転して日本の製造業界であったが2013年の安倍内閣による【大胆な金融緩和策】により円安が進行し、それに伴い中国、韓国を中心とする【訪日外国人旅行者数】が急増し、日本旅行の土産品として日本製の日用品や化粧品の需要が飛躍的に増大した。
内需拡大策の一環として【ビジット・ジャパン】と銘打った訪日外国人の誘客キャンペーンが始まったのは2003年4月からである。この年の【訪日外国人旅行者数】は521.1万人であったがそれ以降、【訪日外国人旅行者数】は順調に増えている。だが、その間、09年と11年には外国人旅行者数はリーマンショックと東日本大震災の影響で前年より150万人以上減っている。
【訪日外国人旅行者】が初めて1000万人を超えたのが2013年で1036万3000人、2000万人を超えたのが2016年で2403万9000人であった。2018年には3119万1000人と3000万人を突破した。
【訪日外国人旅行者数】を国別にみると2003年には145万9000人で韓国人が1位、中国人は44万8000人で3位にすぎなかったが、18年には中国人の訪日旅行者数は838万人にまで膨れ上がり、韓国人は2位で753万9000人であった
【訪日外国人旅行者数】の急増は当然のことながら旅行消費額の増大という形に反映され、2018年の訪日外国人旅行者の旅行消費額は4.5兆円と日本の名目GDPの0.8%を超えている。旅行消費額が一番多かったのが中国人で1.5兆円で全体の3分の一を占める。
2017年の政府観光庁の【訪日外国人消費動向調査】によれば【旅行消費額】の中で1位は【土産品代】で全体の37%を占めている。日本旅行の土産物として人気が高いのが①医薬品・健康グッズ・トイレタリ―(身嗜みのための製品、ボディケア、スキンケア、ヘアケア商品など)で53%の旅行者が購入、平均購入額は16570円、②【化粧品・香水】46.2%、平均購入金額は28614円、③が菓子類や飲料、酒類などの食品類。
中国人の①の購入率は78.7%と平均を大きく上回り、一人当たりの平均購入額も48153円と平均より19500円多い。②の購入率は73.1%、一人当たりの平均購入額は26495円でこれも約10000万円多い。
こうした調査結果と好調な売上高の増加を踏まえて化粧品大手の【資生堂】や日用品大手の【ライオン】、【花王】などが国内の生産力増強に投資をし始めたのである。
化粧品製造国内最大手の【資生堂】は、栃木県太田原市と福岡県久留米市に土地を購入済みで、大田原工場は2019年、久留米工場は2021年に稼働予定。
紙おむつなどの衛生用品の大手で、ベビーケア、ヘルスケア関連ではアジア首位の【ユニ・チャーム】は福岡県京都(みやこ)郡苅田町に【紙おむつ】製造の新工場を2018年夏に稼働させる予定であったが建築工事が遅れている模様。
歯ブラシや歯磨き粉などの【オーラルケア(口腔の手入れ)】商品に強い日用品大手の【ライオン】は香川県坂出市の100%子会社【ライオン・ケミカル】工場の敷地内に歯磨き粉の新工場を2021年から稼働させる予定。
家庭用品国内最大手、化粧品国内2位の【花王】は既存の神奈川県小田原市の小田原工場の洗顔料の生産能力を倍増させる。
上記の企業が日本国内で数百億円の投資を決断したのは中国や東南アジアの女性には【日本製】(日本国内で製造された製品)に対する信頼度が高く、越境の電子商取引の取引額が経産省の調査では2018年には1.6兆円に達している。スポーツ用品世界トップの【アディダス】がスポーツウェアの縫製をクレームが多発していた中国製からドイツ国内に移転した前例に倣ったと思われる。
不況時にも消費が安定している化粧品や日用品製造業の国内回帰は日本経済にとって歓迎すべき事態であろう。
   (おわり)


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2019年2月 5日 (火)

日欧経済連携協定の発効は日本の国際的地位を引き上げる

昨年の12月30日のTPP11(環太平洋経済連携協定)の発効に続き、2月1日に【日欧(EU)EPA(経済連携協定】)が発効した。この2つの経済連携協定は日本のGDPを押し上げることに大きく貢献することになる。
政府の試算によれば、【TPP11】のGDP押し上げ効果は約7.8兆円、【雇用創出効果】は約46万人、【日欧EPA】のGDP押し上げ効果は約5.2兆円、【雇用創出効果】は約29万人である。あくまで試算であるから期待しすぎてはいけない。ただ言えることは外国人労働者が急増する可能性が高ったことである。
2017年の世界の名目GDPの総額は米ドル換算で79兆9440億5000万ドル、【TPP11】の参加11か国全体のGDPは10兆4057億ドルで、世界全体に占める経済規模の割合は約13%。
【日欧EPA】は参加国28カ国のGDPの総額は約22兆2000億ドルで世界経済全体に占める割合は【TPP11】の約2倍の28%となる。【日欧EPA】は昨年10月に締結された【USMCA】(アメリカ・メキシコ・カナダ協定】と同じ規模の世界最大級の自由貿易圏となる。
ところで、日欧貿易に関しては、2012年12月の衆院選で自民党が圧勝して政権復帰し、安倍内閣が再び誕生した。安倍内閣が本格的に始動した2013年以降の日欧の貿易額と貿易収支の推移は、2013年が日本の輸出額は米ドル換算で721億7200万ドル、それに対してEUからの輸入額は789億9500万ドルで貿易収支は日本の66億7300万ドルの赤字であった。14年の輸出額は、720億8200万ドル、それに対して輸入額は777億4900万ドルで、差し引き日本の56億6700万ドルの赤字。15年は円安が頂点に達し、輸出額は660億4000万ドル、輸入額は712億6500万ドルで52億6000万ドルの赤字、16年は輸出が円高に転じたために733億9400万ドル、輸入が749億4400万ドルで赤字額は大幅に減って15億5000万ドル、17年は輸出が771億0800万ドル、輸入が779億8400万ドルで8億7500万ドルの赤字で、日本が常に赤字であった。
発効したばかりの【日欧EPA】の物品貿易に関する概要は、【EU】の関税撤廃率は約99%、それに対して日本の関税撤廃率は94%でその内訳は工業製品はEUと同じ100%、【農林水産品等】が約82%である。日本は乗用車の関税即時撤廃を犠牲にしてコメ、牛肉などの主要農産物の関税撤廃を回避したのである。
EUの【工業製品】に関する関税撤廃率は100%であるがその詳細は、日本製【乗用車】(現行の関税率10%)の関税は8年目に撤廃。【自動車部品】は貿易額の9割以上が即時撤廃。一般機械、化学工業製品、電気機器の約9割が即時撤廃である。
【日欧EPA】の発効によって一番影響を受けるのは韓国の製造業であろう。特に自動車メーカーの【現代グループ】と電気機器メーカは大きな打撃を受ける可能性が大である。
さて、中国の2018年の経済成長率は公式発表では6.6%であったがこれを信じる欧米の専門家はほとんどいない。中国の名門大学の一つ【中国人民大学】の某経済学教授は昨年の中国の新車販売台数が前年比で2.8%減ったこと、不動産価格の下落が顕在化したこと、米中貿易摩擦の影響で民間企業の倒産件数が急増したことなどから「2018年の中国の経済成長率は1.67%」という見解を示している。中国経済の減速は深刻ということであろう。
機を見るに敏なドイツのメルケル首相が昨日(2月4日)、4回目の来日を果たした。技術力が欠如している中国の近未来の経済の発展は望み薄という判断なのであろう。中国経済が低迷すれば深刻な影響を受けるのはドイツである。
ドイツは【日欧EPA】発効を機に技術力のある日本との連携を密にしようということであろう。メルケル首相にはドイツの経済人が同行している。メルケル首相の来日は日本の国際的な地位の向上の前触れかもしれない。   (おわり)

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2019年2月 3日 (日)

竹田恒和JOC会長は東京五輪招致の贈賄容疑で逮捕されるのか

夕刊紙【ルモンド紙】などフランスメディアは2019年1月11日、2020年開催の東京五輪招致に関する贈賄疑惑で、フランス司法当局が昨年12月10日、パリで日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長の事情聴取を行ったと報じた。 .
昨年の12月10日は世界的な自動車メーカー【日産】の前代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)であったカルロス・ゴーンゴーン氏が【東京地検特捜部】によって金融証券取引法違反で起訴され、2015~17年分の役員報酬虚偽記載による【金融証券違反】で再逮捕された日であったことから、竹田会長の事情聴取はフランス政府の【意趣返し】と報じた日本の一部のメディアがあったが、竹田会長の事情聴取の日程は6月の時点で確定していたことが判明して【意趣返し説】は論拠を失った。
そもそも、竹田JOC会長の五輪招致贈賄疑惑が浮上した発端は、国際陸上競技連盟前会長のラミン・ディアク氏と息子のパパマッサタ氏が絡んだロシア選手らに対するドーピング隠蔽(いんぺい)工作のスキャンダルである。アフリカ西端の国セネガル出身のデイアク氏は永年、アフリカ陸上連盟の会長として君臨し、アフリカ諸国のIOC委員に強い影響力を持っている。それ故、ドーピング問題でもデイアク氏はロシアなどから依頼されて暗躍したのである。
フランスを拠点としていたディアク親子に汚職と資金洗浄の疑いがかけられ、仏検察が捜査に乗り出した。モナコにある国際陸連の本部を家宅捜索し、資料を押収。その過程でシンガポールのパパマッサタ氏が実質的に経営する【BT社(ブラック・タイデイングス社)】が浮上した。デイアク父子は有罪となり,デイアク氏は国際陸連会長を解任された。【BT社】に現在は解散している日本の五輪招致委員会(会長竹田恒和JOC会長)がコンサルティング料2億3000万円を支払っている。この料金の一部がIOC委員の買収費用に使われた疑惑が持たれているのである。
ディアク父子が絡んだ五輪招致金銭疑惑の前例がブラジルに存在する。「ブラジル連邦検察は2017年、リオデジャネイロ五輪招致を巡り、ブラジル・オリンピック委員会会長だったカルロス・ヌズマン氏らを起訴した。ヌズマン氏がブラジル企業からパパマッサタ氏の関連会社に200万ドル(約2億2千万円)を振り込む仲介をし、そのカネがIOC委員の買収に使われた疑いだった」。(朝日新聞デジタル1月28日配信記事より引用)
ヌズマン氏は有罪となり、BOC会長を辞任した。
フランス検察当局は竹田JOC会長に関する予備捜査を終えて裁判官である判事に捜査を委ねた。昨年の12月10日に竹田会長の事情聴取をしたのは予審判事である。これによって予審判事が捜査を継続し、予審判事が起訴の可否を判断する。フラジルの前例から判断すれば竹田会長が起訴され、有罪となる可能性は高い。
但し、竹田会長のフランス軽罪裁判所の判決が下りるのは、ブラジルの判決が下りたのがリオ五輪後であったように東京五輪終了後になるであろう。2020年の五輪会場を東京以外の都市に移転させるのは時間的に不可能であるからだ。   (おわり)

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