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2018年11月26日 (月)

ゴーン氏の会長職解任を巡り日産とルノー真逆の対応

東京地検特捜部は11月19日、【金融商品取締法違反】(有価証券報告書虚偽記載)の容疑で【日産】の代表取締役兼【ルノー】会長兼CEO(最高経営責任者)逮捕した。
この逮捕を受けて【日産】は22日午後開催した臨時取締役会でゴーン会長を解任したが、一方、【ルノー】は20日の臨時取締役会でゴーン氏の解任を見送っている。【日産】と【ルノー】のゴーン氏に対する対応の差が【日産】と【ルノー】の微妙な関係を象徴している。
IMF(国際通貨基金)の【World Economic Outlook】2018年版によれば【先進、国首脳会議】参加国の2017年の【失業率】は、日本が2..88%、ドイツ3.%、米国4.35%、英国4.43%、カナダ6.33%、フランス9.44%、イタリア11.26%とフランスの失業率はイタリアに次いで高い。さらに衝撃的なのはフランスの若年層労働者の失業率が20..4%という高率なことである。
フランスで失業率が跳ね上がったのは2008年秋の【リーマンショック】の影響である。2008年の失業率は7..4%であったが09年には9..08%に急上昇し、それ以降、失業率は上がり続け、2014年には10.28%と10%を超えた。2011年5月に就任したオラント大統領の最優先の内政の課題は【失業率】を下げることであった。失業率と雇用の増加は表裏一体の関係にあり雇用が増えれば失業率は下がるのである。
オラント大統領が就任以降、フランス政府は雇用を増やす施策を行ってきた。その代表例が収益性の高い事業所の閉鎖を回避し、雇用を確保することを目的とする2014年3月に成立した【フロランジュ法】である。
2013年にフランス北東部の町フロランジュで起きたルクセンブルグに本社を置く世界最大の鉄鋼メーカー【アルセロール・ミッタル】の製鉄所の閉鎖による従業員の大量解雇が法制定の契機となったことからこの名称が付けられた。この法律の主旨は雇用の安定と国内産業の保護を図るため、大企業に対して事業所を閉鎖する際に事前に売却先を探すことを義務付けたことと、その後、株式を2年以上保有する株主に2倍の議決権を与えるという規定を付け加えたことである。
だがフランス政府はこの法律を悪用した。先進国で最も雇用が多い産業は【自動車産業】】である。部品の数が数万点以上に及ぶからだ。フランス政府はフランス自動車メーカー大手の【ルノー】の株式を15%保有していたが、雇用者の多い【ルノー】への影響力を強めるために【フロランジュ法】の「2年以上株式を保有した株主に2倍の議決権を与える」という規定を付け加えるためにフランス政府は2015年にルノー株を新たに4..74%買い増しした。
フランス政府は2017年11月3日に買い増した4.74%の株式を1600億円で【ルノー】に売却している。フランス政府は保有する【ルノー】の株式の議決権が2倍の30%になったことによって【ルノー】への影響力を強めたのである。
フランス政府の行動に危機感を強めたのが【日産】である。【日産】はルノーの格式の15%を保有しているが議決権はない。それに対して【ルノー】は日産の株式の43..4%を保有し、【日産】はルノーの連結子会社になっているからだ。
【ルノー】の2017年の純益は51億1400万ユーロ(約6644億円)であるがこのうちの46%に該当する約3053億円は日産の利益を吸い上げたものである。【ルノー】は日産に対して弱みがある。
【日産】は今年に入って【日産】へのフランス政府の間接的な影響力を排除するために【ルノー】との提携契約の見直しを行った。見直しの内容は【出資比率引き上げの際の手続き】。日本の会社法では日産が【ルノー株】をさらに10%買い増しして既に保有している15%の株との合計で25%以上の出資比率にすれば【ルノー】の【日産】に対する議決権は喪失する。これまでの提携契約から【日産】が【ルノー】への出資比率を高める際には【ルノー取締役会】の承認を必要としていたが見直しによってこの条項を削除することで両者の間で合意が成立し、【日産取締役会】の決定のみで【ルノー株】の買い増しができるようになった。
【日産】にとって連携契約の見直しはゴーン氏を排除することが容易になったということを意味する。【日産】にとってはゴーン氏の歴史的使命は終焉したということなのであろう。   (おわり)


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