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2018年11月 8日 (木)

対日貿易赤字に関して悪意のある主張を繰り返すトランプ大統領

トランプ大統領は11月7日、ホワイトハウスで記者会見を開き、中間選挙の結果、北朝鮮核政策、中国政策、【対日貿易政策】などに関する質疑応答の中で例によってトランプ節をさ炸裂させた。
【対日貿易政策】について、「どのように交渉するのか」という記者の質問に対してトランプ大統領は「安倍晋三首相は最も親しい仲にある一人だ。だが日本は米国を貿易面で不公平に扱っているといつも伝えている。日本に対しては1千億ドル(約11兆3000億円)に近い貿易赤字を抱えている。大量の自動車を低い関税で輸出している。日本は米メーカーの車を輸入せず、仮に輸入する場合でも莫大な関税がかかる。日本を批判するつもりはない。日本にこれを許してきた米政府関係者に責任がある。」と応じた。
トランプ大統領の発言には2つの事実誤飲がある。事実誤認というよりも意図的に事実を歪曲しているというべきかもしれない。一つ目は米国の対日貿易赤字が1000億ドル(11兆3000億円 2018年11月6日のドル/円為替相場換算)近いという指摘である。
日本の【財務省】の貿易統計によれば1988年~2017年の30年間で日本の【対米貿易黒字】(米国の対日貿易赤字)がトランプ大統領が主張するような1000億ドルを超えたことはない。米国経済が住宅バブルの恩恵で活況を呈していた2006年と2007年には米国の対日貿易赤字は8兆円を超えていたが10兆円には達していなかった。
ところが2008年9月に発生した【リーマンショック】の影響で2009年の対日貿易赤字は3兆円台前半にまで急減した。その後、貿易赤字は拡大したが2013年~17年の貿易赤字は6~7兆円台である。
【米国商務省経済分析局】のデーターでも1999年~2017年の19年間で対日貿易赤字が1000億ドルを超えた年はない。トランプ大統領の主張に近いのが2006年の900億ドル超えである、この年のドル/円為替相場は1ドル=116円30銭であるから約11兆円になる。直近の2017年の対日貿易赤字額は688億ドル(7兆5680億円)である。11年前の数字を引用するとは公平ではない。トランプ大統領のこの発言は熱烈なトランプ大統領支持者向けのリップサービスなのであろう。
2つ目は「日本は米国車を輸入する場合でも莫大な関税がかかる」という発言であるが日本の自動車の輸入関税は【ゼロ】であるから偽の情報を大統領自ら【関税には無関心な】トランプの支持者に流したことになる。要するに日本からの輸入自動車に高い関税を課する言い訳を米国民にしているのである。
日米貿易交渉の落としどころは米国製の高価な武器を購入することを条件に日本の輸出自動車の関税を現行の2.5%に止め置くことであろう。付録として日本の自動車メーカーが米国での生産能力を増強するという条件が加わる。   (おわり)

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