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2018年10月 6日 (土)

日本は米国農畜産品の関税をEUとのEPAやTPP以下にするのか

米国農務省(USDA)の資料によれば2017年会計年度(2016年10~2017年9月)における米国の農畜産物の輸出額は前年比8.4%増の1405億ドル(15兆4550億円)で213億ドル(2兆3430億円)の黒字であった。
輸出額のトップは中国で220億ドル(2兆4200億円)、2位がカナダで204億ドル(2兆2440億円)、3位がメキシコで186億ドル(2兆0460億円)、4位が日本で118億ドル(1兆2980億円)、5位がEUで116億ドル(1兆2760億円)である。米国にとって日本は米国産の農畜産物の輸出国として重要な国なのである。
米国は大豆、トウモロコシの世界一の輸出国であり、小麦は世界3位の輸出国である。米国にとって大豆の最大の輸入国は中国で米国産大豆輸出額の60%に当たる147億ドル(1兆6170億円)を2017年会計年度中に中国が輸入していた。2番目の輸入国がメキシコで、日本は3番目の輸入国である。大豆は搾油用とその【搾りかす】は家畜の飼料となる。
米国産【トウモロコシ】の輸入量のトップは永年日本であったが2016年からメキシコが日本に取って代わった。【輸入トウモロコシ】は日本では牛などの飼料である。2017年の米国産【小麦】の日本の輸入量は200万5000トンで、日本の小麦輸入量の46.3%は米国産である。
【畜産品】のうち日本は【牛肉】を米国から2017年には30万7559トン輸入したが米国にとっては日本は最大の輸出国である。米国産豚肉の日本の輸入量は39万3648トンであったが日本はメキシコ、香港に次いで3番目の輸入国である。
米国が日本に農畜産物の関税引き下げを強く要求する背景には日本市場で牛肉と小麦に関してオーストラリアとシェアで熾烈な争いを繰り広げているからである。オーストラリアを含む11カ国の【TPP】(環太平洋経済連携協定)は2019年中には発効する。米国が19年内にTPPあるいはEUと日本との間で締結した【EPA】(経済連携協定)並みかそれ以下の関税率の協定を日本との間で締結できなければ牛肉と小麦でオーストラリアに日本市場で後れを取りかねないから米国の農畜産業者は焦燥感に駆られて、トランプ政権に圧力をかけているのである。
農業団体と畜産業団体の強い要請を意識してパーデュー米農務長官は10月4日、日本との農産品を巡る通商交渉で、日本がEUと結んだEPAやTPPを上回る水準の関税率の引き下げを求める考えを示した。
日本とEUが今年の7月に署名したEPAは日本側がワインの関税をゼロにするほか、チーズも低関税の輸入枠をつくるなど農産品で一定の市場開放を約束した。日・EUのEPAとTPPは牛肉の関税を最終的に9%まで下げる。
日本がEUに農産品の関税削減で譲歩した要因は自動車関税でEUからの譲歩を引き出すためであった。日本車に課せられているEUの現行の輸入関税は10%であるがEUは段階的に関税を引き下げる。2019年から日本車の販売量はEU市場で大幅に増えることになる。
米国が米国産の農畜産品の市場開放を強く求め、米国の要求が実現するか否かは中間選挙の結果次第であろう。共和党が米国両院で現在と同じように過半数を掌握すれば日本車への25%の輸入関税の追加を恫喝の材料に米国は要求を強引に通すことになる。   (おわり)

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