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2018年10月 7日 (日)

米中貿易戦争の影響で18年8月の米国の対中貿易赤字過去最大

米商務省が10月4日に発表した2018年8月の貿易収支統計によると、8月の財とサービスを合わせた【貿易赤字】(国際収支ベース、季節調整済み)は7月から6.4%拡大し532億ドルとなった。7月の【貿易赤字額】は500億ドルである。貿易赤字拡大の原因は大豆の中国向けの輸出量が激減したことによる。7月6日から始まった【米中貿易戦争】の影響が端的に現れたのである。
8月の輸入額は前月比0.6%増の2627億ドル(28兆89979億円)、輸出額は前月比0.8%減の2094億ドル(23兆0340億円)であった。世界最大の輸出量を誇る米国産大豆の中国への輸出額rは前月比で28%減少して25億8000万ドル(2838億円)となった。今年に入り、大豆輸出額は減少しており第1四半期(1~3月)は40億3500万ドル(4438億5000万円)で前年比で5.9%減少していた。7月以降は激減し始めている。
2017~18年の穀物生産年度(17年9月~18年8月)の米国の大豆生産量は世界一の1億1950万トンで、そのうち5620万トンが輸出され、その57.5%は中国に輸出された。輸出額は1兆6170億円である。
米国が世界第1位の輸出国である【トウモロコシ】の中国への輸出量が激増したのが2010年からで10年の輸出量は160万トン、11年は170万トン、12年が500万トン、13年が300万トン、14年が90万トン、15年が30万トン、16年が20万トンである、2014年を境目として中国の米国産トウモロコシ輸入量は減少の一途を辿っている。その理由はウクライナへの経済援助の返済をトウモロコシの現物返済に変えたからである。
2017年、中国は、米国産豚肉(くず肉を含む)にとって輸出量で第3位(30万9284トン)、輸出額で第4位(6億6300米ドル)の輸出先であったが、今年の4月に中国産の鉄鋼に25%の関税をかけたことにより、中国は4月と7月に米国からの輸入商品に対して25%の報復関税を課した。その結果、米国産の豚肉の関税率は78%となり、中国では米国産豚肉は価格競争力を失い輸入量は激減することは間違いない。米国商務省の試算では18年の豚肉輸出の損失額は11億4000万ドル((1254億円)に達する見込みである。
米国にとって打撃となるのは農産物以上に【自動車】である。米国最大の自動車メーカーの【GM】の2017年の中国市場での販売台数は約400万台であった。【GM】は中国国内に生産工場を建設しているので米国からの輸入車数は10万台程度である。
米国からの輸入車に対する中国の輸入関税率は25%の報復関税を加えると40%となる。これでは【GM】を初めとする米国の輸入車は価格競争力が失われる。
輸入車以上に問題なのは【米中貿易戦争】の勃発によって米国車不買運動が起こることである。2010年の尖閣諸島の国有化によって日本車の不買運動が起こったし、昨年の【THAAD】の韓国配備によって韓国車の不買運動が起こっている。米国車不買運動が起こる可能性は極めて高い。
さらに米国で生産された【BMW】や【メルセデスベンツ】にも40%の輸入関税が課されるので【BMW】は高級車の生産拠点を米国から中国に移すことを検討している。【米中貿易戦争】の悪影響が米国にも及んでいる。   (おわり)

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