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2018年10月31日 (水)

日中関係が真の協力関係に発展する可能性は低い

安倍首相は第2次安倍政権が2012年12月に発足して以来、初めて訪中し、10月26日に習近平国家主席と日中首脳会談を行った。中国が日中首脳会談に応じたのは米中関係が悪化したからである
アメリカは、本年1月に中国企業などの不当廉売により国内企業が打撃を受けた【太陽光パネル】の関税上乗せを決めたのに続いて、3月には国家の安全保障を理由に、【通商拡大法232条】により、輸入品の鉄鋼製品に25%とアルミニウム製品に10%の追加関税を発動した。中国などの不当な安売りで国内企業の供給力が落ち、兵器製造や防衛技術の維持が難しくなることと兵器に使われる鉄鋼やアルミニウムの供給を海外からの輸入に頼っていては国家安全保障上万全とは言えないとの理由からである。
さらに、アメリカは4月3日、アメリカ企業が保有する【知的財産権】を中国企業が侵害したとして、中国からの輸入品500億ドル相当に25%の関税を課す政策について、対象品目の原案を明らかにした。中国政府が2015年から進めている製造業を高度化する政策【中国製造2025】で中国がターゲットとする航空・宇宙分野、IT(情報技術)、機械などが対象となっている。ただし、発動は6月以降に先送りした。
ところで、日本政府はアメリカが脱退した【TPP】を内容はそのままに参加国11カ国の【TPP11】として生かす方策を模索して【TPP11】の締結に漕ぎつけた。
【TPP11】は2019年1月には発効する可能性か高まっている。【TPP11】が発効すれば【TPP11】加盟国で中国との関係が深い【ベトナム】や【マレーシア】と日本の関係はこれまで以上に深化する。その上、【東南アジア諸国連合「ASEAN」】、の主要メンバーであるタイ、インドネシア、フィリピンが【TPP11】への参加を希望していると言われている。これら3国の参加が実現すれば中国が東南アジアで親密な関係を維持し続けるのはラオスやカンボジアといった経済発展が遅れている諸国だけとなる。その結果、東南アジアにおいて日本の存在感が増大し、中国の存在感が低下する可能性が高まってきた。そこで中国は日中関係の改善に乗り出したのである。
経済発展が遅れている諸国の国民の購買力では中国製品の大量購入は望むべくもない。そのため中国は2013年からアジアの発展途上国へのインフラ輸出を考えて、日本が主導権を握っているアジア・太平洋地域の発展途上国に対する融資と技術援助に特化した国際金融機関の【アジア開発銀行(ADB)】の二番煎じの国際金融機関【アジアインフラ投資銀行(AIIB】)を2016年に立ち上げた。【AIIB】は参加国はADBを上回っているが資金や人材に不足している。
中国は【AIIB】を設立するにあたってアジアの開発途上国のインフラ整備のために【一帯一路】計画を打ち上げた。【AIIB】には融資資金が不足しているので融資金の大半は中国の【国家開発銀行】と【中国輸出入銀行】が中心になって調達している。
インフラ建設に関しては中国の国有資産監督管理委員会の管理下にある【中央企業】と呼ばれる巨大国有企業が施工を担当する事例が多い。その結果【AIIB】の融資によるインフラ建設は融資を受けた国にはメリットはほとんどなく巨額の借金だけが残るという事例が多発して、中国に対する不満が増大しているという。
中国が第三国のインフラ整備に日本の協力を求めたのは日本が関与することによって公平性を演出できるからであろう。日本は{AIIB】に参加しなかったように今回も深く関与することは避けるべきであろう。利益を享受するのは中国の国営企業ばかりだからだ。   (おわり)


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