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2018年9月28日 (金)

日米首脳会談で自動車関税協議を先送りに成功した安倍首相

国連総会出席のためニューヨークを訪れていた安倍晋三首相は米国東部時間9月26日午後、ドナルド・トランプ米大統領との日米首脳会談を行い、共同声明を発表した。
日米両首脳は【日米共同声明】の中で、「日米間の貿易・投資をさらに拡大し、世界経済の自由で公正かつ開かれた発展を実現することの決意を再確認した」と述べている。。
上述の内容を踏まえた上で、日米両国は、国内で必要な調整を終えたのちに、「日米物品貿易協定」=TAG(Trade Agreement on Goods)の締結に向けて、農産品などの関税を含む2国間交渉を開始することで合意したとしている。
また「日米両国は信頼関係に基づき議論を行い、協議が行われている間、共同声明の精神に反する行動を取らない」などとしていて、これを踏まえて、会談で両首脳は、交渉の継続中に、アメリカが検討する自動車などの関税引き上げ措置は発動しないことを確認した。」とした。
その上、「交渉にあたってはお互いの立場を尊重する」としたうえで「日本としては、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許(じょうきょ)内容が最大限である」とされ、日本側は、農林水産品をめぐって、TPP協定など過去に締結した経済連携協定の水準を上回る関税の引き下げには応じないことも盛り込まれている。
【TAG】は複数国の間でモノの輸出入にかかる関税の引き下げや撤廃について定める協定で、農産品や工業用品など幅広い貿易品目が交渉対象になる。
9月26日の日米首脳会談で決定した事項は交渉の枠組みだけで閣僚級の【TAG】の交渉の協議が始まるのは米国の中間選挙(11月6日施行)の後になるであろう。米国が首脳会談で自動車関税に触れずに農産品の関税を優先したのは中間選挙対策という側面がある。
米国の穀倉地帯はウイスコンシン、オハイオ、インディアナ、アイオワ、ネブラスカ、カンザスなど米国中央部北側の12の州を集合的に呼ぶ【中西部】地域である。この12の州のうち5大湖周辺のインディアナs、オハイオ,ミシガン、ウイスコンシン、、イリノイの5州は製造業(鉄鋼業や自動車産業)が衰退した地域・【ラストベルト】にも含まれている。
今回の【米中貿易戦争】の影響はまず大豆、トウモロコシ、豚肉、牛肉などの生産地の【中西部】を直撃している。中西部は伝統的に共和党を支持してきた。2016年の大統領選挙でもトランプ大統領の票田であった。ところが【貿易戦争】で世界の食糧消費国の中国の米国農産品の輸入が減って農業従事者は損害を被って【トランプ離れ】の動きか顕在化し、その結果、中間選挙で共和党下院議員の支持率が低迷している。
日本はトウモロコシ、牛肉、豚肉などの米国農産品輸入大国である。来年からTPP11が発効の見通しなのでTPP11が発効すれば米国産の牛肉はオーストラリア産の牛肉に価格の面で太刀打ちできなくなる。そこで米国としては日本と2国間の【TAG】交渉でTPP11の関税率よりも低い関税率を日本に認めさせたいのである。
中間選挙で共和党が勝利すれば米国は自動車関税をちらつかせて日本に米国農産品の税率の引き下げを強要してくると思われる。今回の日米首脳会談の成果は自動車関税を先送りしただけで具体的には何もないのである。   (おわり)


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