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2018年9月22日 (土)

韓国の特殊鋼管メーカー追加鉄鋼関税免除の利点生かせず

米国の2017年の鉄鋼輸入額は480億ドルであるがその約4割(230億ドル)を占めるのは【EU】、【カナダ】、【メキシコ】である。鉄鋼の貿易赤字是正を名目に米国は6月1日、輸入鉄鋼に対して25%の追加関税措置を発動した。この措置は明らかに米国の鉄鋼業の保護策である。
トランプ大統領が鉄鋼業の保護に拘るのは、2016年の大統領選でトランプ大統領誕生に多大の貢献をしたのが【ラストベルト】(錆び付いた工業地帯)と呼ばれる米国中西部から北東部に位置する、鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退した工業地帯で、ミシガン州・オハイオ州・ウィスコンシン州・インディアナ州・ペンシルベニア州、などが含まれる。
ペンシルベニア州ピッツバ―グ市(人口約30万人)には米国最大の製鉄企業【USスチール】の本社があり、最盛期の1953年には従業員を34万人抱えていたが近年では5万人程度である。まさに米国の製造業の衰退の象徴が【USスチール】でこの企業を復活させればトランプ人気は沸騰するのである。
ところで、2017年の粗鋼生産量国別ランキングでは①【中国】8億3200万トン、②【日本】1億0501万9000トン、③【インド】1億0137万1000トン、④【米国】9810万トン、⑤【ロシア】7134万トン、⑥【韓国】7108万1000トン、⑦【ドイツ】4356万トン,⑧【トルコ】3752万4000トン、⑨【ブラジル】3486万5000トン、⑩【イタリア】2404万1000トン。
粗鋼メーカーのランキングは①【アルセロール・ミタル】(ルクセンブルグ)9700万トン、②【宝武鋼鉄集団】6539万トン、③【新日鉄住金】4730万トン。4位~7位は中国メーカ-、8位が日本の【JFEスチール】3029万トンである。
米国と韓国は【米韓FTA(自由貿易協定)】を締結していることと、韓国の鉄鋼輸出量が少ないこともあって【追加関税措置】を免除された。
韓国で大きな外交的成果として当初歓迎された米国による鉄鋼輸入関税免除は、今ではその代わりに導入された輸入数量を制限するクオータ制がネックとなり、一部の鉄鋼メーカーの生産能力が半減するまでに追い込まれている。
さらに追い打ちをかけるように米国政府は韓国の油井用の特殊鋼管メーカーの【ネクスチール】、【ヒュースチール】。【世亜製鋼】に【反ダンピング関税】を課した。
【反ダンピング関税】とは「貿易取引の中で輸入国の国内産業に輸入品が損害を与えている場合に、正常な価格に是正する目的で賦課される特殊な関税措置」である。この関税の対象となるのは輸出国の国内価格より低い価格の輸出品である。
【ネクスチール】には反ダンピング関税が78%、【ヒュースチール】と【世亜製鋼】には6.7%が課された。【ネクスチール】の鋼管は日本産の鋼管よりよほど品質が劣るのであろう。日本の鋼管は25%の追加関税が課されて高価であるが米国製品では代替できないので高価であっても前年比で輸出量が50%増えている。
経済力のある先進国相手の取引であれば価格よりの品質が重視されるという一例であろう。韓国は低価格路線から脱却しなければ韓国企業には未来はない。   (おわり)


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