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2018年9月 7日 (金)

落としどころが早急には見つからない新日米通商協議

アメリ保守系カの有力紙、【ウォール・ストリート・ジャーナル】(WSJ)は9月6日、トランプ大統領と電話で話をした編集者の記事を掲載しました。
この中でトランプ大統領は日本に対する貿易赤字を非常に憂慮していると述べたうえで「日本がアメリカに対してどれだけ払わなければならないか伝えれば、すぐに安倍総理大臣との良好な関係は終わるだろう」と述べ、日本に対する貿易赤字の大幅削減に強い意欲を示していると【WSJ]の記者に伝えた。トランプ大統領の【安倍総理大臣との良好な関係は終わるだろう】という発言は日本政府にとってかなりハードルが高い要求をトランプ大統領が突き付けることを意味する。
2017年の米国の対日貿易赤字額は円換算では6兆9999億円でそのうちの76.7%の5兆3657億円は自動車と自動車部品である。日米貿易においては日本は自動車産業に依存した【一本足経済】を続けているという状況である。米国が【日米通商協議】(FFR)で【米国通商法301条】を根拠に日本に対して25%の自動車の追加関税を課すことをEUとの交渉と同様に【FFR】の切り札として使用することは間違いない。
ところで、2017年の日本メーカーの米国での新車販売台数は【トヨタ】が243万518台、【ホンダ】が164万1429台、【日産】が159万台3464台、【スバル】が64万7956台、【マツダ】が28万9470台、【三菱】が10万3686台の合計671万0523台で米国の新車販売台数の38.9%を占めている。
昨年の日本車の輸出台数は174万台でトヨタは70万台、スバルは32万台を輸出したがトヨタは日本と輸入税が0%のメキシコやカナダから輸出している。スバルは日本からと輸入税がかからないシンガポールから輸出している。米国による日本車に対する25%の自動車追加関税が発動されてもされなくても米中貿易戦争の影響を受けているのはホンダである。中国で生産したホンダ車を現在も米国に輸出しているからだ。
日本メーカーは北米の米国、メキシコ、カナダには生産拠点を設けている。トヨタは米国に11の工場、ホンダは3工場(オハイオ州、インディアナ州、ジョージア州)、日産は2工場(テネシー州、ミシシッピー州)、スバルはインディアナ州に1工場、マツダと三菱は現在は米国には工場を保有していない。
メキシコには日産が3工場、ホンダ、トヨタ、マツダが各々1工場、カナダにはトヨタが2工場を稼働させている。日本メーカは三菱以外は北米に生産拠点があるので北米工場の生産能力を増強すれば25%の追加関税に2~3年後には対応できる。
アメリカの【FFR】の真の狙いは日本に米国産の牛肉や豚肉の関税を大幅に引き下げさせることにある。しかし、TPP11でオーストラリアなどと関税の引き下げ幅は合意に達しているので米国政府がどのような強硬な圧力をかけても日本政府が応じる可能性は極めて低い。
国内的にも来年7月には参院選があることから農業団体の支持を繋ぎ止めるためにも安倍首相は米国の要求を丸呑みするわけにはいかない。ましてトランプ大統領が望むような中間選挙前の決着はありえないであろう。   (おわり)


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