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2018年9月

2018年9月29日 (土)

安倍首相10月の組閣で石破元幹事長を起用せず

【日本経済新聞】は9月28日未明、「安倍晋三首相は28日、10月2日の内閣改造・自民党役員人事で、世耕弘成経済産業相を留任させる意向を固めた。」という記事を配信した。
マスメディアの一部には安倍首相は10月2日に予定されている内閣改造で総裁選で善戦した石破元幹事長と石破氏を支持した議員を人事で干し上げると報じているが石破氏や石破氏を支持した議員は安倍内閣の新しい組閣で起用されたいとは思っていないというのが本音である。ポストが欲しいのであれば総裁選での勝利が絶望的であった石破元幹事長を支持していないからだ。
安倍首相が石破氏の起用を諦めたのは首相が石破氏に入閣を要請しても石破氏が首相の要請を受け入れる可能性は限りなくゼロ%に近いと踏んだからであろう。石破氏には前例がある。石破氏は第3次安倍第1次改造内閣の【地方創生担当相】であったが2016年8月3日に発足した第3次安倍第2次改造内閣では安倍首相の要請を拒絶して閣外に去って2018年の総裁選のために地方行脚を続けた。石破氏は、今回も次期総裁選に向けて地方行脚を続けるに違いない。地方票を大量に獲得することしか石破氏には自民党総裁に上り詰める方策が現時点ではないからだ。
9月20日に施行された総裁選で石破氏は国会議員票では73票を獲得し、地方票では地方の党員・党友の投票数の44.7%、票数にして181票を与えられた。自民党の党員・党友は約104万2000人である。今回の総裁選の投票率は61.7%なので投票した党員・党友の数は約64万2920人である。そのうち安倍首相に投票した党員・党友は55.3%であるから約35万5600人となる。つまり安倍首相に投票した党員・党友は善党員・党友の34.1%弐しかすぎないのであるから【安倍一強】という表現は自民党国会議員の中でのみ通用する表現なのである。
石破氏は総裁選中、200票に届くかどうかがマスメディアの論議の対象であったが終わってみれば石破氏の票は254票と54票も200票を上回った。石破氏が善戦したというのがメスメディアの評価であったが、2009年8月31日の衆院選まで首相であった麻生太郎現財務大臣は閣僚でありながら麻生首相下ろしに加担した石破氏に今でも恨みを抱いているせいで前回の総裁選より決選投票で国会議員票数を減らしていることを根拠に【善戦ではない】と主張している。
麻生財務大臣は戦後の総理大臣の中では日本の復興に貢献したということで評価が高く、人気がある故吉田茂首相の外孫である。麻生氏の服装は祖父譲りであり、安倍首相と同じくグランドファーザー・コンプレックスである。ただ惜しむらくは麻生財務大臣は責任感に欠如している。
麻生氏が首相の座に拘り続けたために2009年の第45回衆院選で自民党は選挙前の300議席から189議席を失うという歴史的大敗を喫したが、筆者の記憶が正しければ麻生氏からは落選した議員仲間に対する謝罪の言葉は聞かれなかった。
しかし、比較とは同一の条件や環境下でなくては意味をなさない。2012年に実施された前回の自民党総裁選挙当時は安倍首相は野党の一議員(元首相という肩書が付いてはいたが)であったために石破氏に一票を投じた国会議員は198人(衆議院116人、参議院82人)中、今回よりも16人多い89人いたのである。
最後の任期となる安倍首相は今後の3年間で結果を出さなければならない。【アベノミクス】も成果が上がったとは言い難いし、外交問題でも具体的な成果は上がっていない。そのために安倍首相は今回の内閣改造では重要閣僚のポストは気心の知れた現閣僚を留任させるという決断をしたのであろう。   (おわり)

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2018年9月28日 (金)

日米首脳会談で自動車関税協議を先送りに成功した安倍首相

国連総会出席のためニューヨークを訪れていた安倍晋三首相は米国東部時間9月26日午後、ドナルド・トランプ米大統領との日米首脳会談を行い、共同声明を発表した。
日米両首脳は【日米共同声明】の中で、「日米間の貿易・投資をさらに拡大し、世界経済の自由で公正かつ開かれた発展を実現することの決意を再確認した」と述べている。。
上述の内容を踏まえた上で、日米両国は、国内で必要な調整を終えたのちに、「日米物品貿易協定」=TAG(Trade Agreement on Goods)の締結に向けて、農産品などの関税を含む2国間交渉を開始することで合意したとしている。
また「日米両国は信頼関係に基づき議論を行い、協議が行われている間、共同声明の精神に反する行動を取らない」などとしていて、これを踏まえて、会談で両首脳は、交渉の継続中に、アメリカが検討する自動車などの関税引き上げ措置は発動しないことを確認した。」とした。
その上、「交渉にあたってはお互いの立場を尊重する」としたうえで「日本としては、農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許(じょうきょ)内容が最大限である」とされ、日本側は、農林水産品をめぐって、TPP協定など過去に締結した経済連携協定の水準を上回る関税の引き下げには応じないことも盛り込まれている。
【TAG】は複数国の間でモノの輸出入にかかる関税の引き下げや撤廃について定める協定で、農産品や工業用品など幅広い貿易品目が交渉対象になる。
9月26日の日米首脳会談で決定した事項は交渉の枠組みだけで閣僚級の【TAG】の交渉の協議が始まるのは米国の中間選挙(11月6日施行)の後になるであろう。米国が首脳会談で自動車関税に触れずに農産品の関税を優先したのは中間選挙対策という側面がある。
米国の穀倉地帯はウイスコンシン、オハイオ、インディアナ、アイオワ、ネブラスカ、カンザスなど米国中央部北側の12の州を集合的に呼ぶ【中西部】地域である。この12の州のうち5大湖周辺のインディアナs、オハイオ,ミシガン、ウイスコンシン、、イリノイの5州は製造業(鉄鋼業や自動車産業)が衰退した地域・【ラストベルト】にも含まれている。
今回の【米中貿易戦争】の影響はまず大豆、トウモロコシ、豚肉、牛肉などの生産地の【中西部】を直撃している。中西部は伝統的に共和党を支持してきた。2016年の大統領選挙でもトランプ大統領の票田であった。ところが【貿易戦争】で世界の食糧消費国の中国の米国農産品の輸入が減って農業従事者は損害を被って【トランプ離れ】の動きか顕在化し、その結果、中間選挙で共和党下院議員の支持率が低迷している。
日本はトウモロコシ、牛肉、豚肉などの米国農産品輸入大国である。来年からTPP11が発効の見通しなのでTPP11が発効すれば米国産の牛肉はオーストラリア産の牛肉に価格の面で太刀打ちできなくなる。そこで米国としては日本と2国間の【TAG】交渉でTPP11の関税率よりも低い関税率を日本に認めさせたいのである。
中間選挙で共和党が勝利すれば米国は自動車関税をちらつかせて日本に米国農産品の税率の引き下げを強要してくると思われる。今回の日米首脳会談の成果は自動車関税を先送りしただけで具体的には何もないのである。   (おわり)


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2018年9月27日 (木)

総裁選は株価が上昇する契機

最新の経済・金融ニュース解説を中心に、株式・為替・債券・先物・不動産など投資家に役立つ情報を配信する【Money Voice]】という綜合経済メディアがある。
その【Money Voice】が2015年9月9日夕刻に【日経平均が1343円の大幅高!キッカケは9月8日の15時、市場で何が起きたのか?】と題する記事を配信した。
「9日の東京株式市場は全面高。前日まで軟調に推移していた日経平均株価も大幅反発し、大引けの終値は前日比1343.43円高の18770.51円となりました。この上昇は、前日8日の東京市場大引け後に先物主導で始まっています。そのとき市場で何が起きていたのでしょうか?金融アナリストの久保田博幸氏が解説します。
9月8日の日経平均は上海総合指数が上昇していたにも関わらず、下げ幅を拡大させ日経平均の引けは433円安となり、7ヶ月ぶりの安値をつけた。昨年末の引け値を下回り、年初からの上昇分を打ち消した格好となった。外為市場ではドル円も一時119円を割り込むなど円高も進行していた。
ところがこの日の東京市場の引け後に相場は急変する。CMEの日経平均先物は17400円割れから急反発し、あっさりと18000円台を回復したのである。ドル円も同様に上昇し、120円台を回復していた。まさにV字回復となった。また、同じタイミングで米株の先物も上昇していた。(中略)
しかし、8日の15時過ぎに地合は急変する。その要因が実は見当たらない。通常はこれほどの相場変化が生じるには、何かしらのヘッドラインニュースが影響する場合が多い。ところが相場にインパクトを与えるようなニュースはこのタイミングでは流れていなかった。」
この記事が配信された2015年9月8日は20日に投開票される【自民党総裁選】の告示日であった。ところが総裁選立候補者は安倍晋三首相以外現れず無投票で安倍首相の再選が確定した。9月9日の1万8770.51円という日経平均株価の終値は安倍首相再選のご祝儀であったということであろう。8営業日後の9月24日の【日経平均株価」は1万7571.83円と約1300円値下がりしている。
ところで、今回の総裁選の告示日前日(9月6日)から昨日(9月26日)までの【日経平均株価】の値動きを辿ってみると次のようになる。
【9月6日】2万2487.94円、【9月7日】2万2307.06円、【9月10日】2万2373.09円、【9月11日】2万2664.69円・【9月12日】2万2604.61円、【9月13日】2万2821.32円、【9月14日】2万3094.67円、【9月15日】2万3420.54円、【9月19日】2万3672.52円、【9月20日】2万3582.15円、【9月21日】2万3869.93円。【9月25日】2万3940.26円、【9月26日】2万4033.19円。
昨日は1月23日以来8か月ぶりに【日経平均株価】は24000円台に回復した。米中貿易戦争で日本経済の前途は必ずしも明るくない。【株価】は3カ月先の経済状況を先取りすると言われるが3カ月先の日本経済は楽観視できないであろう。12営業日で株価が約1646円上昇したというのは異常と言える。
日本の株式市場の規模は509兆円であるがその株式の6%弱を所有しているのが厚労省管轄下の【GPIF](年金積立管理運用独立行政法人)であり、その運用資産は132兆751億円で世界最大の年金運用機関で【世界最大の機関投資家】と呼ばれている。株価を操作しようと思えば資産運用を委託している大手金融機関を通じて簡単にできる。
経済に意を注いでいる安倍内閣としては総裁選前に株価を下げることは絶対に避けなければならないのである。
  (おわり)

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2018年9月25日 (火)

沖縄県知事選保守系佐喜真候補肉薄

翁長雄志前沖縄県知事の死去に伴う9月30日投開票の【沖縄県知事選】は最終盤を迎えた、翁長前知事から後継者に指名された自由党幹事長で衆院議員の玉城デニー氏が告示前から優勢と報じられていたが自民党、公明党、日本維新の会の推薦を受けた佐喜真淳前宜野湾市長が終盤戦に入って激しく追い上げているという状況である。
前回の知事選ではもともとは自民党沖縄県連の重鎮であった翁長那覇市長が自民党に反旗を翻す形で立候補し、沖縄県内の革新勢力と政策協定を結んで沖縄のアイデンティティを標榜する【オール沖縄】を合言葉に選挙戦を闘い現職の仲井真弘多知事に10万票の大差をつけて知事の座を手に入れた。
翁長氏は知事就任後、沖縄駐留の米国海兵隊の普天間基地(宜野湾市)を名護市辺野古地区に移設する国の方針を阻止するためにあらゆる方法を繰り出して国との対立を激化させていた。沖縄の歴史や沖縄県民の米軍基地に対する反感などに鈍感な我々本土に住む国民からすればあえて誤解を恐れずに言わしてもらえば翁長知事は不毛な戦いを繰り返していたようにしか思えないのである。
地方自治体の首長が心がけるべきことは当該自治体の住民の生活向上に腐心することであろう。国家の安全保障に関する国の方針に異を唱えることは明らかに地方自治体の首長としては越権行為であろう。移設先の名護市民も知事も市長も本来の業務に傾注していないと不満を抱いていたからこそ基地移設反対派の急先鋒の稲嶺進名護市長を市長の座から引きづり下ろしたのである。
ところで、読売新聞は9月21~23日に沖縄知事選に関する世論調査を実施たが、世論調査の結果と取材を基にした選挙戦に関する以下の分析記事を読売新聞電子版【ヨミウリオンライン】が9月24日午前に配信した。
「読売新聞社は30日投開票の沖縄県知事選について、世論調査と取材を基に情勢を分析した。自由党幹事長で前衆院議員の玉城デニー氏(58)と、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)が激しく競り合っている。ただ、有権者の約2割が態度を明らかにしていない。
玉城氏は、支援を受ける立憲民主、共産、社民支持層の9割以上を固め、無党派層の約5割からも支持を得ている。
佐喜真氏は推薦を受ける自民支持層の8割弱、前回選(2014年)は自主投票で今回、佐喜真氏を推薦した公明党の支持層も8割弱を固めた。
選挙戦の主な争点となっている政府の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設の方針については「評価しない」が63%に上り、「評価する」は25%。県が今年8月、移設先の埋め立て承認を撤回したことに関しては、「評価する」が60%、「評価しない」は28%だった。」。
玉城候補は翁長前知事の後継者であっても前回の選挙で【オール沖縄】を唱えた翁長知事に投票した有権者のうち今回は3割が玉城陣営から離脱している。筆者の想像であるが3割のうち1割は今回は佐喜真候補に投票し、2割は棄権という道を選択すると思われる。
佐喜真氏陣営には前回は自主投票であった公明党が加わった。終盤になって勢いがある佐喜真氏が逆転する可能性が出てきたということである。   (おわり)

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2018年9月24日 (月)

日米貿易協議日本はどこまで米国に譲歩するのか

米国は日本時間24日午後1時1分、知的財産の侵害などを理由として約2000億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入製品に年内は10%の追加関税を課す対中制裁関税の第3弾を発動した。それに対して中国も600億ドル(約6兆6000億円)相当の米国からの輸入製品に5~10%の関税を上乗せする報復措置を直ちに取り、両国の貿易戦争は互いの輸入品の5~7割に高関税を課す着地点の見えない紛争に突入した。
年内の10%関税は中間選挙を意識した11月中旬から始まる【クリスマス商戦】対策である。25%などという高関税を課せば物価が高騰して11月6日の中間選挙で下院の共和党の議席が過半数割れを起こしかねないからだ。
ところで7月6日に開始された【米中貿易戦争】で輸入自動車に25%の関税が上乗せされたことによって中国から米国に輸入される中国産の米国のGMの高級車や、中国産の【ホンダ】や【日産】の高級車には2.5%+25%=27.5%の輸入関税が課されることになった。一方、米国産のドイツの【BMW】や【ダイムラー】の【メルセデスベンツ】の高級車には15%+25%=40%の輸入関税が課される。
この25%輸入関税合戦によって一番得をしたのはトヨタの【レクサス】である。中国向けの【レクサス】は全車日本国内で製造している。そのために【レクサス】に課される輸入関税は15%である。【レクサス】の17年の中国販売台数は約13万400台であった。関税の25%の差によって高級車の中でドイツのBMWやメルセデスベンツ、米国の中国産のキャデラックよりも【レクサス】は優位に立っている。
【ロイター通信】は9月22日、「24日にニューヨークで開かれる日米通商協議(FFR)と26日の日米首脳会談では、貿易不均衡是正が大きなテーマになりそうだ。複数の関係筋によると、米側は非公式に日本側に対し、自動車の米現地生産拡大と輸出削減を求めてきている。自動車輸出削減は自由貿易の原則に反するだけでなく、国内の生産体制や雇用問題に直結し、日本経済全体にも大きな影響を与えかねず、日本側がどこまで自国の主張を貫けるのか注目される。」と配信した。
日本の自動車メーカー6社の2017年の米国販売台数は【トヨタ】が243万4518台、【ホンダ】が164万1429台、【日産】が159万3464台、【スバル】が64万7956台、【マツダ】が28万9470台、【三菱】が10万3686台の合計669万0523台で昨年の米国新車販売台数の40%を超えている。
日本メーカーの米国内での生産台数は約400万台、日本からの輸出台数が174万台、残りの約100万台は関税ゼロのメキシコやカナダ産の日本車を米国に輸出していた。【トヨタ】の日本から米国への輸出台数は約130万台である。【スバル】が31万台。
米国としては日本からの輸出の174万台を米国内で生産するように要求しているのである。しかしながら【トヨタ】は国内の雇用を死守するにはグループの国内生産300万台維持する必要がある。
経産省は自動車関連の税金を減らすことによって国内の自動車販売台数を伸ばし、米国の要望に応じようと検討中である。
しかしながら、米国の要求は理不尽なものであり、某マスメディアの世論調査では80%の日本国民が米国の要求に応じいるべきではないと回答しているという。日本としては中間選挙の結果が判明するまで静観することが正解であろう。共和党が下院で過半数を失えば米国の理不尽な要求が沈静化する可能性があるからだ。   (おわり)

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2018年9月22日 (土)

韓国の特殊鋼管メーカー追加鉄鋼関税免除の利点生かせず

米国の2017年の鉄鋼輸入額は480億ドルであるがその約4割(230億ドル)を占めるのは【EU】、【カナダ】、【メキシコ】である。鉄鋼の貿易赤字是正を名目に米国は6月1日、輸入鉄鋼に対して25%の追加関税措置を発動した。この措置は明らかに米国の鉄鋼業の保護策である。
トランプ大統領が鉄鋼業の保護に拘るのは、2016年の大統領選でトランプ大統領誕生に多大の貢献をしたのが【ラストベルト】(錆び付いた工業地帯)と呼ばれる米国中西部から北東部に位置する、鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退した工業地帯で、ミシガン州・オハイオ州・ウィスコンシン州・インディアナ州・ペンシルベニア州、などが含まれる。
ペンシルベニア州ピッツバ―グ市(人口約30万人)には米国最大の製鉄企業【USスチール】の本社があり、最盛期の1953年には従業員を34万人抱えていたが近年では5万人程度である。まさに米国の製造業の衰退の象徴が【USスチール】でこの企業を復活させればトランプ人気は沸騰するのである。
ところで、2017年の粗鋼生産量国別ランキングでは①【中国】8億3200万トン、②【日本】1億0501万9000トン、③【インド】1億0137万1000トン、④【米国】9810万トン、⑤【ロシア】7134万トン、⑥【韓国】7108万1000トン、⑦【ドイツ】4356万トン,⑧【トルコ】3752万4000トン、⑨【ブラジル】3486万5000トン、⑩【イタリア】2404万1000トン。
粗鋼メーカーのランキングは①【アルセロール・ミタル】(ルクセンブルグ)9700万トン、②【宝武鋼鉄集団】6539万トン、③【新日鉄住金】4730万トン。4位~7位は中国メーカ-、8位が日本の【JFEスチール】3029万トンである。
米国と韓国は【米韓FTA(自由貿易協定)】を締結していることと、韓国の鉄鋼輸出量が少ないこともあって【追加関税措置】を免除された。
韓国で大きな外交的成果として当初歓迎された米国による鉄鋼輸入関税免除は、今ではその代わりに導入された輸入数量を制限するクオータ制がネックとなり、一部の鉄鋼メーカーの生産能力が半減するまでに追い込まれている。
さらに追い打ちをかけるように米国政府は韓国の油井用の特殊鋼管メーカーの【ネクスチール】、【ヒュースチール】。【世亜製鋼】に【反ダンピング関税】を課した。
【反ダンピング関税】とは「貿易取引の中で輸入国の国内産業に輸入品が損害を与えている場合に、正常な価格に是正する目的で賦課される特殊な関税措置」である。この関税の対象となるのは輸出国の国内価格より低い価格の輸出品である。
【ネクスチール】には反ダンピング関税が78%、【ヒュースチール】と【世亜製鋼】には6.7%が課された。【ネクスチール】の鋼管は日本産の鋼管よりよほど品質が劣るのであろう。日本の鋼管は25%の追加関税が課されて高価であるが米国製品では代替できないので高価であっても前年比で輸出量が50%増えている。
経済力のある先進国相手の取引であれば価格よりの品質が重視されるという一例であろう。韓国は低価格路線から脱却しなければ韓国企業には未来はない。   (おわり)


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2018年9月21日 (金)

消費税率10%への引き上げは約束通り来年実現するのか

予想通り昨日(9月20日)行われた自民党総裁選で安倍首相が数字の上ではダブルスコアの圧勝であった。しかしながら【安倍一強】とは言い難い状況が選挙戦の終盤戦では生まれた。選挙戦中の読売新聞の世論調査では地方票は安倍首相が51%、石破元幹事長は36%獲得という結果であったが最終的には安倍首相の獲得票の比率は55.3%、石破元幹事長は44.7%と最終盤で石破元幹事長が8.7ポイント追い上げたのである。石破氏の地方票の上積みは安倍首相の今後の政局運営に影響を及ぼすことになるであろう。
ところで、民主党政権が短命に終わった要因の一つが選挙公約には掲げていなかった【消費税率】を引き上げたことである。民主党政権の最後の首相となった野田佳彦首相は12年6月に【消費税】を2014年4月1日から8%に引き上げ、15年10月1日から10%に再引き上げをするという法案を提出し、8月10日に参院本会議で可決成立した。野田首相の退陣と引き換えに【消費税率引き上げ法案】を成立させたのである。
首相の座に返り咲いた安倍首相は2014年4月1日からの【消費税率8%】に同意したが、安倍首相が懸念した通り消費税率の3%アップは日本経済の成長率を引き下げるとともにデフレ脱却の足枷となった。その結果、安倍首相は、【消費税率再引き上げ】(税率10%)の時期を当初の予定であった15年10月1日から1年半後の17年4月1日に延期した。
ところが、2016年4月に舛添要一東京都知事が辞任に追い込まれ、自民党に反旗を翻す形で小池百合子元環境相が立候補して、旋風を起こし、初の女性東京都知事に就任した。2017年の都議選では小池東京都知事が立ち上げた地域政党【都民ファーストの会】が都議選でも旋風を起こし都議会第一党の座を占めた。小池東京都知事が作り出した政治環境に対応するために安倍首相は【消費税率再引き上げ】の時期を2019年10月1日に再延期を余儀なくされた。
19年10月の消費税率引き上げは【標準税率10%】と【軽減税率8%】に分かれる。【軽減税率8%】の対象の品目となるのは酒・外食サービス以外の【飲食料品】と週2回以上発行の【新聞】である。日本の消費税率(外国では付加価値税)は諸外国の中では低い部類に分類されるが食料品の税率が高いので低所得層には負担が重いと言えるであろう。
総裁選での善戦で安倍首相に物申せる立場を確保した石破氏は消費税率引き上げには理解を示しているし、憲法改正案では安倍首相とは一線を画している。安倍首相が【消費税利引き上げ】の3度目の延期を決断すれば石破氏と一悶着あることになるし、憲法改正問題でも党内議論が喧しくなるであろう。
安倍首相としては来年7月の参院選前には【消費税率引き上げ】には言及できない。参院選で自民党が不利になるからだ。筆者の妄想にすぎないが安倍首相は11月の【中間選挙】で共和党の敗北を願っているのではなかろうか。共和党が下院で過半数を失えばトランプ大統領は【対中国強硬策】を軟化させ、日本やEUに対する自動車関税発動を断念する可能性が高まる。
【トランプリスク】が日本経済にとって脅威とならなければ安倍首相も【消費税率引き上げ】の予定通りの実施に踏み切るであろう。三回目の【消費税率引き上げ】延期はアベノミクスの失敗という評価を国民から下されかねないからだ。   (おわり)

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2018年9月20日 (木)

急増する退職トラブル

建設関連、医療関連事業を中心に日本の労働市場はここ数年売り手市場となり、企業は深刻な人手不足状態に陥っている。その結果、地方では【人手不足】による企業の倒産が増えている。
21世紀に入ってからの【完全失業率】の推移を見てみると01年が5.0%、02年が5.4%、03年が5.3%、04年が4.7%、05年が4.4%、06年が4.1%、07年が3.9%、08年が4.0%、09年が5.1%、10年が5.1%、11年が4.6%、12年が4.3%、13年が4.0%、14年が3.6%、15年が3.4%、16年が3.1%、17年が2.8%である。直近の2018年7月の【完全失業率】は2.5%であった。
02年の【完全失業率】が前年に比べて0.4%跳ね上がったのは02年から国と地方自治体の財政難のために公共事業の削減期に入ったためである。それに伴い建設関連事業の従事者も減少期に入った。1991年のバブル崩壊後、景気の下支えのために公共事業費は増加傾向にあったことから1998年の建設関連事業の従事者は685万人であったが2009年には517万人にまで減っている。10年間で168万人減ったことになる。
1990年代後半から2000年代後半にかけての10年間に168万人もの人員が建設勧業を離れたことが現在の人手不足の原因の一つである。
【バブル崩壊後】、日本の企業は【雇用】、【債務】、【設備】という3つの過剰に直面し、その措置のために企業はリストラに着手し、人件費抑制に注力して【非正規従業員】を多用した。日本の【完全失業率】の低下の原因の一つは非正規従業員の増加である。【完全失業率】が低下したといっても平均年収186万円の低所得者の【非正規従業員】がそれを支えているのであるから手放しでは喜べないのだ。
2018年第2四半期(4~6月)の雇用者5579万人のうち正規の職員・従業員は前年同期に比べて62万に増えて3484万人、【非正規】は77万人増えて2095万人、雇用者に占める非正規の割合は37.5%である。これでは個人消費は伸びず、デフレ脱却もままならないということになる。
昨年の【有効求人倍率】が高かった職種ベスト5は①【建設躯体工事の職業】有効求人倍率9,62倍、求人数22.7万人、求職者数2.4万人、②保安の仕事(建設現場の警備など)】有効求人倍率6.89倍、求人数57.5万人、求職者数8.3万人、、③【医師、歯科医師、獣医、薬剤師】有効求人倍率6.73倍、求人数13.1万人、求職者数1.9万人④【建築、土木、測量技師】有効求人倍率5.61倍、求人数66.4万人、求職者数8.3万人、⑤【建設の職業】有効求人倍率4.26倍、求人数34.7万人、求職者数8.1万人。
【求人数】と【求職者数】の乖離が現在の人手不足の深刻さを如実に物語っている。
【人手不足】は副産物として入社5年未満の20代の若者の退職を促す。退職しても仕事がすぐに見つかるという社会情勢だからだ、ところが企業側は退職者の穴埋めが容易でないことから退職希望者の慰留に躍起になり退職希望者と企業間のトラブルが発生し、その発生件数が増大傾向にある。
ここにビジネスチャンスが生まれ、退職希望者の意思を代行して企業に伝える業務が生まれているという。代行料は1件当たり5万円が相場である。このビジネスは時代が生んだ徒花であろう。   (おわり)


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2018年9月18日 (火)

トランプ大統領選挙公約実現のために対中追加関税第3弾発動

トランプ米政権は9月17日、中国からの輸入品約2000億ドル(約22兆4000億円)相当への10%の追加関税を来週24日発動させるとともに、来年には同関税率を2倍超に引き上げると発表した。米中貿易摩擦が長期化するリスクが高まった。
この時期に当初の予定の税率25%から10%に引き下げたのは中間選挙前なので米国の消費者への配慮であるがこの時期の【追加関税】の発動は人気が低下傾向にあるトランプ大統領の中間選挙向けの支持率回復策である。共和党の中間選挙の候補者はトランプ大統領の人気に依存している候補者が多いからである。
トランプ大統領は17日の声明で、中国が米国の農家や産業に警告通り報復した場合、米国は直ちに中国製品約2670億ドル相当を対象にする追加関税を目指すと表明した。
7月6日から始まった【米中貿易戦争】によって米国の中西部に属し、ラストベルト地帯にも含まれている【ウイスコンシン州】、【オハイオ州】、【インディアナ州】、【イリノイ州】、【ミシガン州】は農業が盛んであるとともにこれら5州には世界各国の自動車メーカーの完成車工場が多数存在している。
【中国】が米国の輸入関税を発動した報復措置として米国の農産物や完成車に追加関税を課したことにより米国産の大豆や牛肉などは南米産の商品に取って代わられ、米国の中西部の農家は損害を受け、完成車も40%の関税によってアメリカで生産したドイツ、日本、アメリカの高級車は販売台数が減っている。漁夫の利を得たのが日本から出荷するトヨタの高級車【レクサス】である。
日本からの輸出車の関税は15%であるから40%の関税を課される米国産の高級車は価格の面で【レクサス】に対抗できない。
この結果、中西部でのトランプ大統領の支持率は38%(全米の支持率は43%)にまで下がり、共和党の支持率も民主党に14ポイントも9月初頭の世論調査では差を付けられている。
9月17日の声明でトランプ大統領が中国を恫喝したのは中西部での支持率急降下に対する焦りに他ならない。
世界の国家の中で国家の行動原理が経済合理性に基づかない最たる国家が中国であり、恫喝すれば【面子】を潰されたとして強く反発するのが中国である。トランプ大統領が挑発すればするほど反発するのが中国であるからトランプ大統領はけんか相手を間違えたというべきであろう。
ところで、【米中貿易戦争】の仲介者になりうるのは【EU】か【日本】であるが、【EU】も【日本】も米国との間に【自動車関税問題】を抱えているので身動きが取れない。
中間選挙で共和党が議会の過半数割れを起こせば【米中貿易戦争】は収束に向かうことになるであろう。ともかく11月6日の中間選挙の結果待ちである。   (おわり)

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2018年9月17日 (月)

安倍首相は日露領土問題で成果を挙げられるのか

9月11~13日まで開催されたロシアが主催する国際会議【東方経済フォーラム】に出席のため開催地ウラジオストク入りした安倍晋三首相は10日夜、ウラジミール・プーチンロシア大統領と2時間半にわたる日露首脳会談を行った。
【東方経済フォーラム】は2015年から開始された国際会議で毎年9月にロシアの極東地方の中心都市ウラジオストク(人口約60万人)で開催される。この会議の目的はロシア極東部への外国からの投資を促すためである。
首脳会談後、プーチン大統領は「この問題は何十年にもわたって協議されてきており、速やかに解決されると考えるのはナイーブ(訳注 世間知らずの、考えが甘い、といった意味)というものだ」と語ったとフランスの通信社【AFP】は報じた。
安倍首相は日露間に横たわる北方領土問題は自分が責任をもって解決すると述べてきた。しかしながら北方領土返還問題が一向に進展しないので安倍首相が考えている解決の着地点が見えてこない。
【北方領土】は千島列島南端の【歯舞群島】(はぼまいぐんとう)、【色丹島】(しこたんとう)、【国後島】(くなしりとう)、【択捉島】(えとろふとう)の4島を指す。第2次世界大戦が勃発した1940年には【歯舞群島】には5281人、【色丹島】には1499人、【国後島】には7364人。【択捉島】には3608人の日本人が居住していた。しかし、5年後の1945年の第2次世界大戦終了直後にソ連軍が北方4島に進攻して島民を追い出し、その後、現在まで83年間、ロシア人やウクライナ人が定住してロシアが実効支配を続けている。
第2次大戦後、当時のソ連邦、現在のロシア連邦は米国と敵対関係に入り1991年のソ連邦の崩壊まで【東西冷戦時代】が続いた。日本領土の北方4島はソ連邦の日本と米国へ向けた最前線の軍事基地であり、ロシア連邦に衣替えした現在でもその役割は変化していない。
北方4島の海域はロシアの潜水艦のミサイル発射基地であり、軍事的にロシアが北方4島を返還することは現時点ではありえないのである。それを理解していながら安倍首相は大見得を切っている。将来的にロシアが北方4島を日本に返還する時期が来るとしたらそれは米露間の対立が完全に解消し、北方4島の海域が軍事的な価値を失った時である。
プーチン大統領がこれまでに22回にも及ぶ安倍首相との日露首脳会談に応じてきたのは日本からの投資と技術援助を引き出したいからである。ロシア経済は原油や天然ガスなどの資源売却の収入に大きく依存しているために国家の収入が不安定なのだ。原油・天然ガスの生産の大半はロスネフチとガスプロムという国営企業が行っているために原油価格が高騰すれば国庫の歳入は急増し、原油価格が急落すれば国家財政は大幅な歳入不足となる。国家の歳入を安定させるには【脱資源】がロシアには不可欠でそのパートナーが日本海を隔てて隣接する日本ということになる。
ロシアには米国の協力を得ようとする選択肢はない。永年敵対してきた米国に協力を求めればプーチン大統領の支持率は急落することは必定である、そこで日本にお鉢が回ってきたのである。
安倍首相は【北方領土問題】で国民に淡い期待を持たせることを止めるべきであろう。   (おわり)

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2018年9月15日 (土)

米中間選挙世論調査で民主党支持率共和党を大きく上回る

ワシントンDCに本拠を置く900局が加盟している【公共ラジオNPR】(National Public Radio)とニューヨーク州の州都オーバニイ市の【マリスト大学世論調査研究所】が9月5~9日の5日間、登録有権者777人を対象に11月6日に実施される【中間選挙】に関する合同世論調査を行った。
調査結果によれば全米の回答者の39%がトランプ大統領を支持しているがこれは7月に行った前回調査と同じ支持率であった。【中西部】のトランプ支持率は前回の40%から38%に下落した。
【中西部】とは米国の中央部北側にある12の州を呼ぶ呼称で、所属する州は【ウイスコンシン州】、【オハイオ州】、【インディアナ州】、【イリノイ州】、【ミシガン州】、【ノースダコタ州】、【サウスダコタ州】、【ネブラスカ州】、【アイオワ州】、【ミネソタ州】、【カンザス州】、【ミズーリ州】である。
この地域は五大湖周辺の5つの州と、台地上の大平原(グレイト・プレリー)の7州で形成されている。五大湖周辺の5州には国内外の完成車メーカーの工場が点在している。グレイト・プレリーの7州は農業と畜産が盛んな地域である、
【大統領不支持率】は7月の50%から9月の55%と5%上昇した。【中西部】地域でトランプ大統領の人気が下落した原因はトランプ大統領が仕掛けた【米中貿易戦争】の影響が現時点では米国の輸出の減少という形で表れているからだ。
ドイツ車であっても日本車であっても米国で生産され中国に輸出された車には7月6日からは15%の関税と25%の報復関税が課されたので関税の合計は15%+25%=40%となり、価格的に15%の関税しか課されないEUや日本からの輸入車に太刀打ちできないのである。
大豆、とうもろこし、小麦などの農産物それに牛肉や豚肉などの畜産品も米国製品には高い関税が課せられ、価格が高くなるので米国産の農産品の代わりに米国以外の南米の国々などから輸入するようになり、米国の輸出量が減少した、その結果、農業従事者はトランプ大統領を支持しなくなっている。与党共和党に対しても不満を抱きだした。
11月の【中間選挙】で共和党の候補者に投票すると7月の調査で回答したのは全米で40%であったが9月の調査では共和党の候補者に投票すると回答したのは38%で、2ポイント下落した。それに対して7月には民主党の候補者に投票すると回答したのは47%であったが、9月の調査では民主党候補者に投票するは3ポイント増えて50%となった。共和党候補者と民主党候補者の差は7月には7ポイントであったが9月には12ポイントとその差は拡大した。
【中西部】地域での共和党候補者支持は42%に対して民主党候補者支持は43%と7月の調査では拮抗していたが、今回の調査では共和党候補者支持37%に対して民主党候補者支持は51%とその差は13ポイント拡大した。現時点で投票すれば民主党が勝利を収めるが50日後は支持率はどのように変化しているであろうか。   (おわり)

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2018年9月14日 (金)

沖縄県知事選玉城前衆院議員と佐喜真前宜野湾市長の一騎打ち

9月30日投開票の沖縄県知事選で、県選挙管理委員会は13日午後5時に立候補受け付けを締め切り、いずれも無所属新人で前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)(自民、公明、維新、希望推薦)と前回の知事選の折のような結束力を保てない、【オール沖縄】勢力が推す自由党前衆院議員の玉城デニー氏(58)、元那覇市議で琉球料理研究家の渡口初美氏(83)、元会社員の兼島俊氏(40)の4氏の立候補が確定した。しかしながら実質的には佐喜真氏と玉城氏の一騎打ちとなる。
2014年の前回の知事選では現職の仲井真弘多(ひろかず)知事に反旗を翻す形で自民党沖縄県連の重鎮の翁長雄志那覇市長が立候補した。翁長氏を永年自民党支持であった沖縄財界の一部の有志と自民党を除名され翁長氏を支持する那覇市議会の会派【新風会】所属の市議、社民、共産、生活の3党の県連、地域政党【社大党】、県議会【県民ネット】でつくる支援団体などが支援。さらに【連合沖縄】が推薦した。その結果、保革の枠を超えた【オール沖縄】を合言葉に翁長陣営は選挙戦を戦い、翁長候補は10万票の大差で知事の座を射止めた。
しかし、翁長知事は再選のためには革新勢力の支持が不可欠でそのためには普天間基地の名護市辺野古地区への移設を巡り国に対して徹底抗戦の選択肢しかなかった。一地方自治体が中央政府の政策に異を唱えても国家の枠組みに留まる以上地方自治体に勝利はあり得なかった。
4年間の翁長県政で450億円もの沖縄振興予算を削減されたこともあり、翁長氏を支援した財界有志の大半は翁長知事から離れたし、保守系の地方議員も落選したりして今回の知事選では【オール沖縄】結成は困難な状況下にある。
今回の選挙では自民党ばかりでなく、前回自主投票で大半の票が翁長氏に投ぜられたと思われる公明党が佐喜真候補の推薦に舵を切った。佐喜真候補にとってはプラスの要因が増えたことになる。
但し、佐喜真陣営にとって最大の関心事は9月16日に行われる沖縄が生んだスーパースター【安室奈美恵】の引退公演であると言われている。この公演で安室氏がファンに対してどのようなメッセージを送るかによって知事選に大きな影響を与えかねないのである。
一部の芸能関係者の間では【安室氏引退】は本気ではないという憶測が流れている。2016年のリオデジャネイロ五輪の際、NHKはリオ五輪放送のテーマソングに安室奈美恵氏の【Hero】を採用した。安室氏は東京五輪で柳の下の2匹目のドジョウを狙っているというのである。もしそれが真実であれば安室氏は引退公演でファンに政治的なメッセージを送らない公算が大きい。
今回の沖縄知事選に関して沖縄では情報が錯綜して現時点では選挙戦の予測は困難であろう。   (おわり)

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2018年9月12日 (水)

加計学園は持続可能な教育機関なのか

日本では少子化が急速に進行しており、それに伴い、大学進学適齢年齢の18 歳人口も当然のことながら減少傾向が続いている。1992 年には18歳人口は 204.9 万人で大学進学者数は54.2万人あったが、23年後の 2015 年には18歳人口は 120.8万人にまで減少したが大学進学者は逆に61.8万人と増えた。。これは大学進学率が51.5%と50%を超えたためである。18歳人口は今後も減少を続けると思われるが進学率は地方の所得が向上しない限り大幅には上昇しないことから大学進学者数は今後、減少する可能性すらある。
一方、大学数は1992年の 523 校から2015年には779 校へと、年平均 11校のペースで増加している。その結果、多くの大学が入学者の定員割れを起こしており、604校ある私立大学ではおよそ 4 割が企業の損益決算書に相当する【事業活動収支計算書】がマイナスに陥っている。このことは大学が赤字経営に陥っていることを示している。
この現状を憂慮した大学を監督する立場にある【文部科学省】は7月30日、各私立大学の学長宛に【経営指導強化指標】を送付した。この指標は「①貸借対照表の運用資産(現預金、特定資産、有価証券の合計)が外部負債(長短期の借入金、学校債、手形、未払い金の合計)を下に回ってないか、②【事業活動収支計算書】の経常収支差額が3年連続でマイナスになっていないか」に関して2019年から指導を実施するという内容である。
今回の【経営指導強化指標】は文科省が【加計学園獣医学部新設】問題をうやむやにはしないという文科省の意思の表明と筆者は感じている。文科省は獣医学部新設には否定的な立場を堅持していた。認可を急ぐ官邸サイドは文部省の幹部職員の天下り斡旋の情報をマスメディアにリークして最後まで頑強に抵抗していた前川喜平文科省事務次官を辞任に追い込んだのである。
文科省は省庁再編で旧文部省と旧科学技術庁が合併してできた省で、職員は文部省派とと科学技術庁派に分かれて勢力争いを展開していた。旧文部省の幹部職員の天下り斡旋情報を官邸に流したのは旧科学技術省出身の幹部職員であろう。
【経営指導強化】の標的は愛媛県今治市に岡山理科大学獣医学部を開校した加計学園が経営する【岡山理科大学】、岡山県倉敷市の【倉敷芸術科学大学】、千葉県銚子市の【千葉科学大学】であろう。3つの大学を運営する学校法人【加計学園】の理事長の加計孝太郎氏は安倍首相ばかりでなく、側近No1の下村博文元文科相と側近No2の萩生田光一元内閣官房副長官とは親しい関係にある。萩生田氏は千葉科学大学の名誉教授である。
ところで、加計学園の屋台骨である【岡山理科大学】の今年度予算の経常収支の差額が約10億円のマイナス、【倉敷芸術科学大学】と【千葉科学大学】の経常収支差額も数億円単位の̠マイナスである。
特に経営危機が叫ばれているのが【千葉科学大学】で2018年の薬学部の入学者数は定員155人に対して52%の81人、【危機管理学部】の入学者数は定員300人に対して49%の146人である。これでは経営は成り立たない。大学の経営にとって最も必要なことは募集定員を満杯にすることで募集定員と入学者に大きな乖離のある加計学園傘下の大学は持続可能な教育機関とは言い難い。   (おわり)

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2018年9月11日 (火)

日本の経常収支の黒字2018年7月で49カ月連続、

財務省が9月10日に公表した2018年7月の【国際収支状況】(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す【経常収支】は2014年6月以来の49カ月連続の黒字で黒字額は2兆97億円で前年同月比で14.4%縮小した。債券利子など【第1次所得収支】は近年は大幅黒字が恒常化しているが輸出額から輸入額を差し引いた【貿易収支】が昨年同月の5659億円から10億円の赤字に転落した。その要因は原油価格の高騰である。
【国際収支】とは「ブリタニカ国際大百科」によれば「国境を越える財やサービス,資金の流れを体系的に示すもの。財・サービスの輸出入取引を示す経常勘定と,資本の取引を示す資本勘定(資本収支)に大別される。さらに【財・サービス取引】の収支 である【経常収支】 は,(1) 財貨の輸出入の差額を示す【貿易収支】,(2) サービスの輸出入の【サービス収支】に分かれる。
【資本収支】は対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況を示し、利子所得の差額を示す「第一次所得収支」,(3) 対価を伴わない送金,贈与などの差額を示す「第二次所得収支」に分れる。
【朝日新聞出版社】の【知恵蔵】にば「日本の国際収支構造は大きな変遷を遂げてきた。1950〜60年代前半には、景気の上昇のたびに国際収支が赤字となり景気拡大の制約要因となっていた。60年代後半には、貿易収支、経常収支の黒字基調と資本収支の赤字基調が定着したものの、70年代には石油価格の高騰によって経常収支は大幅な赤字に転じた。80年代に入ると、経常収支は大幅な黒字になると同時に、世界最大の資本供給国(資本収支は赤字)として国際経済に登場するようになる。なお、2005年には、初めて所得収支の黒字幅が貿易黒字を上回った。」と記されている。
現在の日本の【国際収支】の黒字を支えているのは2005年以降大幅な黒字を恒常的に生み出している【第一次所得】である。というのは【経常収支】を大きく左右する【貿易収支】において日本は現時点で致命的な欠陥を抱えているからだ。
日本はエネルギー源の一つ化石燃料をほぼ100%輸入に依存している。原油の輸入先はサウジアラビア、UAE,クウェートなどの中東諸国が主流で最近ではオーストラリアからの輸入が増えている。原油価格が安値で安定していれば日本の【貿易収支】は黒字基調の状況が続くが一度(ひとたび)原油価格が高騰すれば日本は輸入額が跳ね上がり、輸出額を上回って【貿易赤字】に転落する。
2018年の1月からの日本の輸入原油の価格は1月が1バレル(159rリットル」=64.54ドル、2月が1バレル=68.24ドル、3月が1バレル=66.75ドル、4月が1バレル=66.14ドル、5月が1バレル=70.62ドル、6月が1バレル=76.34ドル、7月が1バレル=76.8ドルであった。
この7カ月の中で31日ある月が1月、3月、5月、7月、であるが貿易赤字に陥った月は1月,5月,7月。原油価格が2番目に高い6月が貿易赤字に陥らなかった原因の一つは30日で月の日数が5月や7月より1日少ないからだ・
日本の国際収支悪化の要因の一つは原油価格の高騰である。対策としては価格交渉ができるオーストラリアやアメリカからの輸入を増やすことである。   (おわり)

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2018年9月 9日 (日)

2019年度予算の概算要求初めて100兆円を超える

国の2019年度予算案の編成のために各省庁が提出した概算要求がまとまったが、【一般会計】の概算総額は過去最大の102兆7658億円となった。国民の高齢化によって「社会保障費」が膨らんだのがその原因である。【一般会計】とは原則として租税を財源にして、政府の一般的な収入と支出を経理する会計である。
財務省が発表した各省庁からの概算要求の集計結果によれば一般会計のうち「国や地方の政策に充てる経費」は78兆1784億円で、今年度予算に比べて3兆円余り増加した。
これは国民の高齢化によって医療や介護、それに年金などに充当する「社会保障費」が増大して、厚生労働省の要求額が増えたことや、成長戦略などの重点政策について別枠で要求を受け付ける【優先課題推進枠】に各省庁が総額で4兆3000億円余を要求したことなどがその要因になっている。
また国債の償還や利払いに充てる「国債費」は24兆5874億円に上った。
その結果、【一般会計】の総額は、今年度予算に比べおよそ5兆円増えて過去最大の102兆7658億円となった。
ところで、政府の普通国債の発行残高は2018年6月30日の時点で816兆7635億円である。そのうちの416兆4000億円は日本銀行(日銀)が保有している。日銀は日本政府の子会社であるから政府は実際には日銀に対して普通国債の元金と利息は支払わない。それ故に2019年の予算案の【国債費】の24兆5874の約半分は支出されずに2019年の補正予算の原資になる可能性が高い。
財務省は増税の論拠に政府の借金は2018年3月末の時点で国債(普通国債、財投債)、借入金、政府短期証券を合わせて1087兆8130億円と喧伝している。財投債は厳密に言えば政府の借金には該当しない。というのは財投債の利払と償還(元本返済)財源は財政融資の貸付先(財政投融資機関)からの回収金によって賄われ、税金を投入するわけではないからだ。
政府短期証券はこの証券の発行によって調達した資金は金融危機などに備えて大半が米国債の購入に充てられて米国債などに変化しているのでこれを売却すれば借金は消滅するので借金としてカウントする必要はない。財務省は日本政府の負債ばかりを強調しているが日本政府は600兆円を超える世界一の資産を保有している。その資産の中ですぐに換金できる金融資産は株式や政府機関への出資金などで約300兆円ある。普通国債の残高816億7635億円が真の借金の残額である。しかし、日銀保有の普通国債416兆4000億円は返済の必要がないので金融資産と日銀保有の普通国債を816兆7635億円から差し引くと借金の残額は約100兆円にしかすぎない。
財務省は日本政府の負債はGDPの2.09倍と国民の危機感を煽っているが実際には日本は世界一財政が健全な国家なのである。
マスコミは財務省の虚偽の公式発表を臆面もなく記事にしているが国民に真実を知らしめる義務がある。   (おわり)

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2018年9月 7日 (金)

落としどころが早急には見つからない新日米通商協議

アメリ保守系カの有力紙、【ウォール・ストリート・ジャーナル】(WSJ)は9月6日、トランプ大統領と電話で話をした編集者の記事を掲載しました。
この中でトランプ大統領は日本に対する貿易赤字を非常に憂慮していると述べたうえで「日本がアメリカに対してどれだけ払わなければならないか伝えれば、すぐに安倍総理大臣との良好な関係は終わるだろう」と述べ、日本に対する貿易赤字の大幅削減に強い意欲を示していると【WSJ]の記者に伝えた。トランプ大統領の【安倍総理大臣との良好な関係は終わるだろう】という発言は日本政府にとってかなりハードルが高い要求をトランプ大統領が突き付けることを意味する。
2017年の米国の対日貿易赤字額は円換算では6兆9999億円でそのうちの76.7%の5兆3657億円は自動車と自動車部品である。日米貿易においては日本は自動車産業に依存した【一本足経済】を続けているという状況である。米国が【日米通商協議】(FFR)で【米国通商法301条】を根拠に日本に対して25%の自動車の追加関税を課すことをEUとの交渉と同様に【FFR】の切り札として使用することは間違いない。
ところで、2017年の日本メーカーの米国での新車販売台数は【トヨタ】が243万518台、【ホンダ】が164万1429台、【日産】が159万台3464台、【スバル】が64万7956台、【マツダ】が28万9470台、【三菱】が10万3686台の合計671万0523台で米国の新車販売台数の38.9%を占めている。
昨年の日本車の輸出台数は174万台でトヨタは70万台、スバルは32万台を輸出したがトヨタは日本と輸入税が0%のメキシコやカナダから輸出している。スバルは日本からと輸入税がかからないシンガポールから輸出している。米国による日本車に対する25%の自動車追加関税が発動されてもされなくても米中貿易戦争の影響を受けているのはホンダである。中国で生産したホンダ車を現在も米国に輸出しているからだ。
日本メーカーは北米の米国、メキシコ、カナダには生産拠点を設けている。トヨタは米国に11の工場、ホンダは3工場(オハイオ州、インディアナ州、ジョージア州)、日産は2工場(テネシー州、ミシシッピー州)、スバルはインディアナ州に1工場、マツダと三菱は現在は米国には工場を保有していない。
メキシコには日産が3工場、ホンダ、トヨタ、マツダが各々1工場、カナダにはトヨタが2工場を稼働させている。日本メーカは三菱以外は北米に生産拠点があるので北米工場の生産能力を増強すれば25%の追加関税に2~3年後には対応できる。
アメリカの【FFR】の真の狙いは日本に米国産の牛肉や豚肉の関税を大幅に引き下げさせることにある。しかし、TPP11でオーストラリアなどと関税の引き下げ幅は合意に達しているので米国政府がどのような強硬な圧力をかけても日本政府が応じる可能性は極めて低い。
国内的にも来年7月には参院選があることから農業団体の支持を繋ぎ止めるためにも安倍首相は米国の要求を丸呑みするわけにはいかない。ましてトランプ大統領が望むような中間選挙前の決着はありえないであろう。   (おわり)


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2018年9月 6日 (木)

加熱するトランプ大統領とマスコミの熾烈な闘い

トランプ大統領は就任以来、マスメディアなどの自らに対する不都合な報道に対して「フェイクニュース」だと一刀両断に切り捨てそれを報じたメディアや個人を口汚く罵り、メディアに圧力をかけてきたために世界のリーダーである米国大統領としての品格や適性に疑問符が付けられてきた。
8月16日、トランプ大統領が【ニューヨーク・タイムズ】(NYT)などの一部報道機関を「米国民の敵」と呼び、攻撃していることに対抗するために【マサチューセッツ州を代表する新聞【ボストン・グローブ紙】が音頭を採って米国全土の350紙を超える新聞が【報道の自由を擁護する】論説を一斉に掲載した。
【ロイター通信】は「ボストン・グローブの論説はトランプ大統領が「報道の自由への攻撃を続けている」と批判。「米国の偉大さは、権力者に対して真実を語る自由な報道の役割によっている」とした上で「メディアを『人々の敵』と決め付けることは危険なことであり、アメリカ的ではない」などと主張した。」と配信している。
トランプ大統領から名指しで【国民の敵】非難されたNYTの論説は「記者や編集者は人間で、間違いもする。そのため誤報を訂正することがわれわれの責務の根幹を成す」とし、「しかし、自分の好まない真実を『フェイクニュース』と主張することは民主主義の源を脅かす」と強調している。
中間選挙を約2か月後に控えた9月11日に【ウォーターゲート事件】で名を馳せた全米を代表するジャーナリストの一人ボブ・ウッド―ワード氏の448ページにも及ぶトランプ政権暴露本【Fear(恐怖):Trump in the White House】が発売される。ウッドワード氏のトランプ政権暴露本は今年の1月初旬に出版されたマイケル・ウォルフ氏の【Fire and Fury】(炎と怒り)に続く2冊目であるが匿名を条件にした複数の政府高官に直接取材をしていることから【恐怖】の内容はウォルフ氏の【炎と怒り】よりも信憑性は高いとされている。
中間選挙を前に【恐怖】がベストセラーになれば中間選挙で共和党に逆風が吹く事態になりかねない。
ところで、9月5日に米商務省が発表した7月の貿易統計によれば中国への輸出額は110億2600万ドル(約1兆2000億円)で前月に比べ8.2%減った7月6日から始まった【米中貿易戦争】の影響で中国が報復関税を課した大豆などの輸出が減り、中国からの輸入額が1.6%増え、対中貿易赤字は341億3500万ドルと5.2%拡大した。
報道関係者との対立が激化し、対中貿易赤字削減のために仕掛けた米中貿易戦争で対中貿易赤字が8月と9月も拡大すれば中間選挙での与党共和党の勝利は遠のいて行くであろう。   (おわり)

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2018年9月 5日 (水)

25%の自動車関税が課されても日本メーカーは生き残れるのか

米国通商法301条に基づく25%の追加関税を米国は検討している。この追加関税は自民党総裁選後に再開される日米通商協議【FFR Free(自由) Fair(公正) Reciprocai(互恵的)】の米国側の切り札でこの切り札を最大限に活用して米国は自動車の非関税障壁の撤廃や米国産の牛肉、豚肉などの関税の自由化を日本側から引き出そうとしているのである。
万が一25%の自動車の追加関税が発動されれば日本政府としても畜産品の関税では米国に妥協しないというような対抗措置を採らざるを得なくなるであろう。【FFR】は中間選挙前には解決しない可能性が極めて高いので中間選挙の結果次第で米国が自動車の追加関税に関する対応は変化するであろう。
米国の2017年の対日貿易赤字は6兆9999億円でその中の76.7%の5兆3657億円は自動車と自動車部品の赤字である。巨額な赤字故に米国は日本の自動車産業をターゲットにしている。
仮定の話になるが日本の自動車に25%の追加関税が課された場合日本メーカーの対応は米国への輸出台数を極力減らして北米での生産を増やすことになるであろう。日本メーカーの戦略は【売れる処で造る】からである。
【トヨタ】を例にとればトヨタの北米(NAFTAによってカナダとメキシコからの輸出品は無税)での生産台数は2016年は212万台を超えていた。昨年は198万台である。
トヨタの2017年の生産台数は日本国内が乗用車286万9600台、商用車が31万09956台の合計318万台9556台であった。一方、海外生産台数は581万7955台。トヨタは国内の雇用維持のために300万台の生産台数を死守してきた。
しかし25%の関税が課されれば高級車レクサス以外は日本からの輸出は価格競争で不利になるので北米工場での生産に切り替えることになる。つまり日本での雇用の減少を容認することになる。
現時点で米中貿易戦争の被害を一番被っているのが日本メーカーの中では【ホンダ】である。【ホンダ】は中国で生産した車を米国に輸出しているので中国で生産した【ホンダ車】は中国製品と見做されて7月からすでに25%の関税を課されている。今後は【ホンダ】は米国内の工場とメキシコ工場の生産能力を引き上げて対応することになるであろう。(【日産】も米国工場とメキシコ工場の生産能力を引き上げることになる。   (おわり)

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2018年9月 4日 (火)

既存の政党に拒否反応を示す一般国民

TBS系のJNN(ジャパン・ニュース・ネットワーク)が先週末(8月25~26日)に実施した世論調査によれば9月20日投開票の【自民党総裁選】に関しては安倍首相の支持率は41%、石破茂元幹事長の支持率は40%で拮抗した結果となった。今後、総裁選中に安倍首相と石破氏の討論会が実施されれば支持率が逆転する可能性は極めて大きい。
石破氏は対外的には庶民的感覚を失わず人気の高かった故田中角栄元首相の薫陶を受けた【最後の高弟】と呼ばれ、現在の日本政界では第一の論客であるという評価を受けている。総裁選では安倍首相の勝利は動かないと思われるが来年の参院選を考えた場合自民党は難しい選択を迫られることになる。安倍首相の支持率は自民党支持層では石破氏を圧倒しているが無党派層では石破氏支持46%、安倍首相支持29%と石破氏が大きく首相を引き離している。
8月中旬に実施されたNHKの月例政治意識調査では自民党の支持率35.6%、野党第一党の【立憲民主党】が5.6%で約1年で立憲民主党の支持率は半減した。問題なのは【支持政党なし】のいわゆる【無党派層】が46.2%と50%に近づき、【わからない、無回答】の3.8%を加えると50%に達したことだ。
JNNの調査での政党支持率では【自民党】30.5%、【立憲民主党】5.5%、【支持政党なし】54.2%となった。来年の参院選で【キャステイングボード】を握るのは過半数を超えた支持政党なしの【無党派層】になる。【無党派層】増大の原因の一つは国民の目から見た場合公平性を欠き、縁故主義政治を招来した安倍首相にある。
来年の参院選を考えた場合来年改選期を迎える参院議員にとっては今回の総裁選は悩ましい総裁選となる。無党派層に不人気な安倍首相で参院選は勝てるのかという懸念が出てきたからだ。自民党第3派閥の竹下派の参院議員21人全員が石破氏支持となった根本原因はここにある。
石破氏は総裁選で勝利できるとは思っていないであろう。石破氏は、総裁選後、新党設立を視野に入れていると言われている。国民の政治に対する絶望感は【無党派層の50%超え】に表れているのである。
【NEWSポストセブン】が8月28日に政治記者、評論家、学者52人による【戦後歴代最低の総理大臣】というテーマの実名アンケート調査結果の記事を配信した。
不名誉な第1位となったのは民主党政権時代の菅直人首相、2位が現職の安倍晋三首相、3位が民主党政権時代の鳩山由紀夫首相であった。この人選は国民が政治に絶望している原因を端的に表している。
野党には政権担当力がないことと現在の自民党政治は公平性が著しく欠落しているということだ。アンケート調査には表れなかったが国民の政治への絶望のもう一つの要因は一向に改善されない大都市と地方の所得格差である。【アベノミクス】で日本の経済は改善したかのように政府は喧伝しているが2013年から2017年の日本のGDPの推移を見れば政府の主張を鵜呑みできないことが理解できる。
【IMF】(国際通貨基金)の資料によれば安倍内閣が政権運営を始めた2013年の日本GOPは508兆7805億円、前年の498兆8031億円より約10兆円増えたがこの大きな要因は円安がもたらしたものである。2014年が510兆6010億円、2015年が517兆6010億円で15年までのGDPの増加も【円安】が大きく貢献している。2016年が522兆4568億円、2017年が531兆4043億円でGDPは数字の上では順調に拡大したことになっている。
ところが16年から日本は諸外国に遅れること6年でGDPの計算方式を国連が改定した新国際基準の計算方式を採り入れたのである。新しい計算方式では【研究開発費】をGDPに加算することになった。
日本の2016年の【研究開発費】は18.4兆円であるから旧来の方式では2016年のGDPは504兆円と前年比で2,5%のマイナスということになる。2017年の【研究開発費】は18.9兆円であるから2017年のGDPは従来の計算方式では約512兆7000億円で2015年のGDPを下回った状態で経済成長が続いたとは言い難い。日本は依然として低成長時代が続いているというべきであろう。    (おわり)


  

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2018年9月 2日 (日)

アベノミクスの5年間で日本の名目GDPはさほど増えてはいない

民主党政権が崩壊した2012年から【アベノミクス】が5年目に入った2017年までの日本の円換算とドル換算の【名目GDP】の推移を見ていくと1ドル=80円台という円高であった12年の【名目GDP】は498兆8031億円、6兆2032億1000万ドル、【アベノミクス】が始まった13年が508兆7805億円、ドル高になったため5兆1557億2000万ドル、14年が消費税率が3%上がったことから消費が低迷し、【名目GDP】は510兆6871億円、ドル高が進んで4兆8504億1000万ドル、15年は円安が進み【名目GDP】は517兆6010億円、さらなるドル高で4兆3040億ドル、16年は国連の【国民経済計算】方式の国際基準を導入したことによって【GDP】は522兆4568億円、ドル安が進み4兆9992億7000億ドル、17年は531兆4043億円、4兆8721億1000万ドルであった。
2009年に国連で合意された【国民経済計算】の国際基準の導入が米国などの先進国では2010年から開始されたが日本では新国際基準の導入は先送りされた。筆者の邪推であるが消費税率の引き上げを検討していた財務省にとって新国際基準の導入は不都合であったからであろう。
【国民経済計算】の新基準は企業の【研究開発費】を名目GDPの計算に加算することを認めたものである。日本で【研究開発費】をGDPの計算に加算し出したのは2016年からである。
日本の【研究開発費】の総額は2012年が17.3兆円、13年が18.1兆円、14年が19.0兆円、15年が18.9兆円、16年が18.4兆円、17年が18.7兆円である。【研究開発費】世界ランキングは①米国、②中国、③日本、④ドイツ、⑤韓国である。
日本の2016年の【名目GDP】は522兆4568億円であるがこれには18.4兆円が含まれているので前年までの計算方式であれば2016年の日本の【名目GDP】は約504兆円であるから2016年の経済成長率は前年比でマイナス2.51%である。17年の【名目GDP】も【研究開発費】を差し引けば512兆7000億円で6年間で14兆9000億円である。年平気で2兆4850億円の増加にしかすぎない。
【アベノミクスは】は13年4月に始まった大胆な金融緩和というカンフル剤によって市場に資金が溢れ、その資金が株式市場に流れ込んで株式投資家や金融業界は潤い、円安によって輸出主導型の産業(自動車や電機など)は業績を回復した。
企業の好調な業績を支えたのは年収が200万に届かない非正規の派遣労働者である。日本には2017年の時点でパートタイマーを含めて非正規労働者が2036万人、そのうち647万人が男性で、女性は1389万人である。非正規の派遣社員は930万人で年収の平均は186万円と言われている。
日本の失業率は2018年7月の時点で2.5%である。だが就業者に占める非正規雇用者の比率が30%を超えている。非正規雇用者の比率が10%台にまで下がらねければ日本国内の消費が増えることはないであろう。
日本の経済政策は金融政策から労働政策への移行期に差し掛かっている。   (おわり)

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2018年9月 1日 (土)

自民党総裁選の国会議員票獲得の水面下の動きが激化

野田聖子総務相が20人の推薦人確保の目途が立たず自民党総裁選への立候補を断念した。これによって9月7日告示、20日投開票の【自民党総裁選】は安倍晋三首相と石破茂元幹事長の一騎打ちとなった。
野田総務相の立候補断念は石破氏の国会議員票が増えることを意味する。野田総務相の推薦人に名を連ねる予定であった議員の多くは野田氏と同じ無派閥議員と女性議員であったが女性議員の多くは派閥の締め付けがあって推薦人を引き受けることができなくなっていた。小此木八郎防災担当大臣や浜田靖一元防衛相など12人の無所属議員で構成されている【無派閥議員の会】は【石破派別動隊】とも呼ばれているので石破氏支持に戻ることになる。但し菅官房長官によって安倍内閣に取り込まれた小此木防災担当相は安倍首相支持である。
野田総務相の立候補断念によって野田支持に傾いていた2人の参院竹下派の参院議員が石破支持となったことによって参院竹下派は一枚岩となった。業界・団体出身議員が多い参院竹下派は党員票獲得に力を発揮する。衆院竹下派34人の大半は安倍首相支持とみられていたが竹下亘会長など約10人が石破氏支持に回る。石破氏支持の議員は当初70人前後とみられていたが100人前後にまで増える可能性が出てきた。
ところで総裁選で安倍首相支持の理由に安倍首相の外交手腕を上げる議員が多い。ところが安倍首相が執念を燃やしていると政界関係者やマスメディアが話題にする北朝鮮の拉致被害者救出問題やロシアとの北方領土返還交渉では交渉を継続しているが具体的な成果が上がってはいない。総裁選を前にせめて日朝首脳会談の開催の決定の日時を公表したかった安倍首相はアメリカ政府に事前の連絡なしに実務者レベルの秘密会談の開催を容認した。この秘密協議の開催が短期間で漏れてしまって面目失ったと感じたトランプ大統領を激怒させてしまった。今後の日米関係に悪影響を及ぼすことは間違いない。
この秘密漏えいに関しては外務省内の反安倍首相派からのリークとみるか日米関係に亀裂を入れようとする北朝鮮側のリークとみるか現時点では判断不能である。ともかく総裁選を前に安倍首相にとっては失点したということになる。外交の安倍首相に傷が付いたのだから。
石破氏は8月10日に総裁選出馬表明を行ったがその際、総裁選のキャッチコピーに【正直、公正な政治】を掲げた。ところがこれに対して自民党親安倍派を中心に【安倍首相に対する個人攻撃だ】という声が自民党内で上がった。一般国民は抽象的な表現の【正直、公正な政治】がなぜ安倍首相への個人攻撃になるのか理解できないであろう。
しかし、自民党内からこうした非難が上がったということは自民党議員自体が安倍首相の政治行動が正直さと公正さに欠いていると感じている証なのである。ネット上では石破氏の【正直、公正な政治】に賛同の声が広がっている。【自民党一強】が残念ながら現在の日本の政治状況である。それは国民の心の中に民主党政権の失敗がトラウマとしていまだに残っているからだ。
安倍首相が3選されて【正直、公正な政治】とは真逆な政治を続ければいずれ民主党政治のトラウマから解放された国民から自民党は見捨てられるであろう。   (おわり)

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