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2018年8月 1日 (水)

金融政策に有効な手立てのない日銀

日本銀行は7月31日に開かれた金融政策決定会合で、当面、低金利を維持する指針を導入したが現在0%程度に誘導するとしている【長期金利】(10物国債の金利)について一定の上昇を認めるなどの例外措置を講じている。政策金利の指針は黒田体制になって初めてで、日銀は緩和の持続性を強化する措置だと主張している。しかし、上下0.1%という狭い範囲に抑えていた長期金利の変動幅を倍増させる方針が黒田東彦総裁の会見で示されたことで、副作用に配慮した金融正常化への一手との見方も出ている。
【日銀】が【量的・質的金融緩和】に踏み出したのは黒田総裁が就任した直後の2013年4月4日で以後円安が進み、輸出主導の自動車、電機などを中心に日本の製造業は息を吹き返し、日銀が長期国債を年間80兆円買い入れたことにより市場に溢れだした資金は株式市場に向かった。
2012年11月16日の衆院解散の日の【ドル/円為替相場】は1ドル=81円26銭、【日経平均株価】は9024円、安倍首相が就任した2012年12月26日の【ドル/円為替相場】は1ドル=85円38銭、株価は1万0230円、2013年の最後の株式取引の12月28日の為替相場は1ドル=106円06銭、株価は1万6291円で1年で21円の円安、株価は6267円上昇したことになる。【円安と株高】はまさに【量的・質的金融緩和(大胆な金融緩和))の成果であった。
だが【日銀】が目指したデフレ脱却のための【2%の物価上昇】は当初の目標の2年間を過ぎても達成されていない。その後目標達成の時期を先送りしてきたが5年間を過ぎてもいまだに実現していない。結局、金融緩和だけでは物価上昇は日本では実現不可能なのであろう。
【金融緩和】の恩恵を一番被ったのは【証券会社】であり、一番の被害者はゼロ金利を強いられた銀行や信用金庫であった。
【日銀】の努力にも拘わらず物価が2%上がらない原因は給与が上がらないからだ。給与が上がらない最大の要因は日本では欧米諸国のように会社の業績悪化を理由に従業員を簡単に解雇できないからである。日本が「20世紀の奇跡」と言われた経済成長を遂げた要素の一つが終身雇用制度に裏打ちされた雇用された企業への並外れた従業員の忠誠心である。
【終身雇用】への幻想が経営者側にも残っているために経済合理性に基づいた【解雇】を日本の経営者は決断し難い。その結果、非正規雇用という抜け道を日本の企業は多用するようになった。【バブル】が弾けた2年後の1994年の日本の雇用労働者数は3936万でそのうち15.3%の604万人は非正規雇用の労働者であった。
リーマンショックが起こった2008年の雇用労働者数は5175万人で正規労働者は3410万に対して非正規労働者は34.1%の1765万人、それ以降2014年まで正規労働者は減少を続け、2014年の正規労働者は3288万人それに対して非正規労働者は増え続け37.4%の1967万人であった。2015年からは正規労働者数は増加に転じ2017年までの3年間で135万人増えている。しかし非正規労働者の数も増え続け2017年には2036万人に達している。非正規労働者は給与が増える可能性は低く、消費を控えるので物価上昇には寄与しない。
【物価上昇】には金融政策では限界がある。【雇用の規制】に風穴を開けない限り物価上昇は当面望めない。   (おわり)

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