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2018年8月11日 (土)

日本は日米新通商協議で拙速に合意すべきでない

茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表という日米の閣僚級による日米間の新たな【通商協議(FFR)】の初日の協議は、ワシントンで日本時間の8月10日朝6時ごろまで、およそ2時間半にわたって行われたが事務レネベルでの事前調整はほとんど行われていないので今回の協議は日本側の閣僚級交渉担当者の茂木敏充経済再生担当相と米国側の閣僚級交渉担当者の米通商代表部「UTSR)のライトハイザー代表の顔見世という様相を帯びていた。
日本では9月の自民党総裁選挙後にならない限り、新たな閣僚級交渉協議担当者が決まらないので現時点の通商協議では具体的内容に踏み込めないのである。
ところで、トランプ大統領が最も気にしている【貿易赤字】であるが2017年の米国の【貿易赤字額】は前年比12.1%増の5660億ドル(約62兆円)で9年ぶりに高い水準であった。【対日赤字額】は688億ドル(約7..6兆円)で日本はメキシコに次いで3番目の対米貿易黒字国である。その黒字の8割強は自動車関連だ。
2017年の自動車の対米輸出台数は174万台、現地生産台数は377万台。日本メーカの米国での雇用人数は150万人である。2017年のドイツの対米輸出台数が49万台であるからいかに日本車が米国で売れているかの証にもなる。米国車の日本での販売台数は約1万5000台であるから米国政府は本音では日本での米国車の販売台数が伸びることは期待していないであろう。
米国は輸入自動車に対して25%の関税を課することを日米通商協議での恫喝の材料として日本の輸入量が多い【牛肉】、【豚肉】、【トウモロコシ】の関税引き下げを日本政府に迫ると思われる。
7月6日に中国は米国の輸出品に対して報復関税の25%を課したことによって【米中貿易戦争】が勃発した。その影響は米国の大豆が中国で売れなくなった。25%の関税が上乗せされてはブラジル産やアルゼンチン産大豆に価格の面で太刀打ちできないからだ。中国で売れなくなった大豆の一部を【EU】が買い取る提案をしたことによって【米・EU】の貿易摩擦は一次的に回避された。
米国産豚肉の最大の輸入国の【メキシコ】は6月に米国産豚肉に20%の報復関税をかけると宣言した。このため【メキシコ】では米国産豚肉輸入量が激減して米国産豚肉の価格は下落している。世界最大の牛肉輸出国の米国産牛肉も中国では輸入量が減っている。
2017年の米国の牛肉輸出量は125万3000トンで、そのうちの24%の30万1559トンは日本が輸入、メキシコは19%の23万7972トン輸入した。現時点で米国との貿易量が多い国の中で米国に対して報復措置を実施していないのは日本だけである。
米国は日本との2国間交渉によってFTA(自由貿易協定)を締結することを目論んでいる。FTAは米国の理不尽な要求を日本に押し付け易いからだ。それに対して日本は年内発効を視野に入れて米国をTPP11に参加させることを目論んでいる。アメリカに理不尽や要求をさせないためだ。
トランプ政権は中間選挙前に【FFR】の成果を上げるために日本側に強硬に譲歩を迫ることになるであろう。日本側は時間稼ぎをすることである。中間選挙の結果によってはFFRは中断するかもしれないからだ。   (おわり)


米国では米中貿易戦争の勃発によって自動車産業にも農業生産者の間にも不安感が広がっている。現時点で米国産の大豆は最大の輸出相手国の中国への輸出量が激減している。
ライトハイザー通商代表はこれまで、日本とのFTA=自由貿易協定に意欲を示していて、今回の協議の中でも2国間の交渉を重視する立場を改めて強調している。
これに対して茂木経済再生担当相は、アメリカに多くの国が参加するTPPに復帰することを求め、双方の意見の違いが浮かび上がる結果となった。

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