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2018年8月 6日 (月)

EUとの貿易摩擦でトランプ大統領方向転換

米国のトランプ大統領は7月25日、米国の要請によって訪米した【EU】(欧州連合)のジャン・クロード・ユンケル欧州委員長(ルクセンブルグの首相経験者)と会談し、EUが米国の大豆、シェールガス由来の天然ガスの輸入を増やすと明言したことを評価し、予定外の共同声明発表を行い、「関税・貿易障壁・補助金の3つのゼロを目指すことに向けて協力する」ことで合意したと発表した。
【EU】が米国に手を差し伸べた大豆と天然ガス輸入の拡大は【EUとの貿易摩擦】㋨落としどころを探っていたトランプ政権にとって渡りに船であった。米国は世界最大の大豆生産国であり、ブラジルに次ぐ世界第2位の大豆輸出国で昨年の大豆輸出量は5620万トンで世界の大豆輸出量に占める割合は37.8%である。
米国の大豆輸出の最大の相手国は中国で中国の大豆輸入量の34.8%を占めている。7月6日に中国の米国産大豆への報復関税が25%上乗せされたことによって7月6日以降、米国産大豆は中国の税関を通らなくなって、転売先を探すような状況に陥っていたのである。最大の輸出先中国が輸入を拒否するような状況であるから米国産大豆は値下げして輸出する事態に追い込まれるのは必定であろう。
そこに【EU】は注目したことになる。これまで【EU】㋨大豆輸入先はブラジルとアルゼンチンが主力であった。中国は米国産大豆の輸入量を激減させてその不足分をブラジル産で補うことになるであろう。EUへのブラジル産大豆の輸出量は8月以降は減少すると思われる。【EU】は不足分を値下がりした米国産大豆で補うことになる。トランプ大統領は中間選挙前に米国の大豆農家の反発を回避する必要性から【EU】との貿易摩擦の一次的な先送りに応じたことになる。
ところで、自動車製品以外の工業製品の追加関税(鉄鋼製品25%とアルミ製品10%)は3つのゼロ協議中は凍結されることになる。【自動車】が例外扱いになったのは米国側の事情である。現行の米国の輸入乗用車への関税は2.5%であるが米国の自動車メーカーが得意とするピックアップトラック(SUVを含む小型トラック)の輸入関税は25%という高率の関税を課して米国メーカーを保護している。小型トラックの関税が乗用車並みの2.5%あるいはそれ以下となれば米国自動車メーカーは日本とドイツメーカーに蹂躙されて消滅してしまうかもしれないのである。
【補助金ゼロ】は現実的に難しい。各国とも自国の産業を保護するため補助金を交付している。日本では【農業】への補助金が特に知られているが米国でも農業への補助金は膨大な金額に達している。米国の与党共和党の強力な支持基盤は中西部の農業従事者である。中間選挙前に補助金ゼロにトランプ大統領は動けけないというのが現実である。今回の米・EUの共同声明は【貿易摩擦】を先送りしたことにすぎない。。   (おわり)

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