« 運用が難しいIR(統合型リゾート)整備法 | トップページ | 米EU貿易摩擦緩和の方向へ »

2018年7月25日 (水)

米中貿易戦争の影響米国大豆農家、綿花農家を直撃

米国は7月6日、340億ドル(約3兆8000億円)相当の中国製の航空機用タイヤや食器洗浄機などの製品に25%の関税を導入した。一方、中国は同日、340億ドル相当の農産品(大豆、綿花)や自動車などの米国製品に25%の報復関税を課し、【米中の貿易戦争】の火蓋は切って落とされた。
その結果、米中貿易戦争の影響が早くも米国の大豆やトウモロコシ、綿花の農家を直撃している。中国が対米報復関税で大豆や綿花など農産物を標的にしているからだ。農産物市場では中国向け輸出が減るとの見方が広がり、大豆先物は直近の高値から20%近く価格が下がった。今後、9月からの収穫期までの約2か月間、大豆価格の価格低迷が続けば生産者の収入が減り、トランプ大統領への支持が揺るぐことになりかねない。
米国の大豆の主産地はかつて米国製造業の繁栄の象徴であったが1970年代以降荒廃して【ラストベルト地帯】(錆び付いた工業地帯)と呼ばれている地域の一角を形成している【イリノイ州】である。【イリノイ産の大豆】の3分の1は中国に輸出される。
中国は世界最大の大豆輸入国で2015~16年度の輸入量は8050万トンで世界の輸入量の63.5%に該当する。輸入大豆の使途は【搾油用】である。米国産の大豆は報復関税のために価格が高騰して中国では輸入業者から敬遠されている。そのため米国の輸出業者は中国に次ぐ大豆輸入量の多いEUに転売しようとしているが運送費がかさみEUでの販売にも苦戦している。
大豆農家に比べれば【トウモロコシ農家】の被害は少ない。【トウモロコシ】の輸入量が一番多いのが日本で2016年の年間輸入量は1147万トン、金額にして2458億4500万円であった。次に輸入量が多いのはメキシコで日本の輸入量と拮抗している。日本は米国に対して現時点で報復関税は課していない。
メキシコの米国産【トウモロコシ】輸入は食用としてであることから報復関税を【トウモロコシ】に課せば国民の日常生活への影響が大きい。そのためにメキシコは米国産トウモロコシを報復関税から除外している。
今後、被害が拡大する可能性が高いのが米国の豚肉生産農家である。中国は米国産輸入豚肉には20~25%の報復関税を課す予定であるし、メキシコも豚肉には報復関税の対象とすると明言している。日本はTPP11が発効すればオーストリア産豚肉が米国産より廉価となる。米国からの輸入量は激減することになる。
【米中貿易戦争】は農業大国でもある米国の農家に損害を与え始めている。米国政府は中間選挙対策として7月24日、最大120億ドル(約1兆3千億円)の救済策を実施すると発表した。米国農務省によれば「農務省が大豆やトウモロコシなどの価格下落の影響を受ける農家に資金支援するほか、果物や豚肉などの余剰在庫を買い取り、米農産品の輸出拡大策を支援する」という。
トランプ政権の見通しのなさが早速顕在化したようである。   (おわり)

|

« 運用が難しいIR(統合型リゾート)整備法 | トップページ | 米EU貿易摩擦緩和の方向へ »

16アメリカ問題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 米中貿易戦争の影響米国大豆農家、綿花農家を直撃:

« 運用が難しいIR(統合型リゾート)整備法 | トップページ | 米EU貿易摩擦緩和の方向へ »