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2018年7月

2018年7月31日 (火)

日本は移民を受け入れる国家になるのか

100年に1度と言われた世界的な金融危機である【リーマンショック】が起こる前年の2007年の日本の【失業率】は3.83であった。【リーマンショック】が起こったのは2008年の9月であったことから2008年の失業率は3.98%とさほど悪化していない。【リーマンショック】の影響が顕著になったのは2009年からで失業率は一気に1%以上上昇した。
【失業率】が【リーマンショック】以前の3%台に戻ったのは第2次安倍内閣が大胆な金融緩和に舵を切った1年後の2014年であった。【金融緩和】によって2012年11月16日の衆議院解散当日のドル/円相場は1ドル=80円台が2014年12月31日には1ドル=120円55銭と2年間で40円の円安となった。
その大幅な円安により自動車をはじめとして輸出主導型の産業は国際競争力を取り戻して業績が大幅に改善され、失業率も低下した。2015年の失業率は3.38%、16年が3.12%、17年には2%台に突入して2..88%2018年の3月は2.5%、4月2.5%5月2.2%、6月は2..4%である。失業率が2%台前半というの若年労働者(15~35歳)の失業者は皆無に等しいことを意味する。日本経済が一番拡大していた【バブル期】の失業率が1%台であるからそれに準じる。バブル期と違うのは正規雇用の従業員数が圧倒的に少ないことだ。
若年労働者の不足は介護事業や建設業、輸送業、サービス業においては【人手不足】となり、日常業務に支障をきたし、【人手不足】が原因の倒産が今年の上半期で70件と昨年同期比で42%増という数字となって表れている。
【若年労働者不足】を補う手っ取り早い方法は外国人労働者を雇用することである。【【リーマンショック】が起こった2008年の日本の【外国人労働者数】は47万4300人であったが6年後の2014年には31万人増えて78万7588人、2015年は89万7860人、2016年は118万3720人、昨年は127万8600人と規制が厳しいにもかかわらず増え続けている。
この4~5年の外国人労働者への依存度が高まっている現況を踏まえて安倍内閣は6月15日に【経済財政運営とと改革の基本方針】(骨太の方針)を閣議決定した。【骨太の方針】では外国人労働者に関して新たな在留資格を設けて、単純労働者について流入拡大方針を打ち出した。骨太の方針では新たに流入する外国人の単純労働者を移民扱いをしないと規定している。
移民として受け入れないのであれば日本では安定した生活を送ることができないので優秀な人材が日本を目指すことは考え難い。日本に在留している【外国人労働者】の国籍は①中國、②ベトナム、③フィリピンである。5年後には日本との給与格差が縮小し、身分が不安定な日本に職を求めなくなる可能性が高まる。
5年後には本格的な人口減少時代に日本は突入する。日本に【移民】を受け入れることを真剣に検討する時期が訪れたのである。   (おわり)

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2018年7月30日 (月)

11月の沖縄知事選に向け最後の切り札を切った翁長沖縄県知事

世界一危険な基地と言われている沖縄のアメリカ軍海兵隊【普天間基地】を名護市辺野古へ移設する工事をめぐり、沖縄県の翁長知事が7月27日に記者会見をし、国が環境保全対策などを示さずに工事を実施し事業者の義務に違反しているとして、前任の仲井真弘多(ひろかず)知事が行った【辺野古沖埋め立て承認】の撤回に向け手続きを始めることを表明した。
翁長知事は仲井真前知事の【辺野古沖埋め立て】の承認を取り消したが、埋め立ての承認を取り消した沖縄県の翁長知事を国が訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁は2016年12月20日沖縄県側の上告を退け、県側の敗訴が確定した。
【沖縄県の敗訴】は沖縄県の政治状況の潮目を変えたと言われている。普天間基地の名護市辺野古への移転に強硬に反対する稲嶺進名護市長は2014年1月19日投開票の名護市長選で与党推薦候補に約4200票差の1万9839票で再選されたが今年の2月4日に行われた名護市長選では稲嶺氏は与党推薦の新人候補に3458票差を付けられて1万6931票で敗北した。
その後実施された石垣市長選選挙と沖縄市長選挙でも翁長知事を支援する保守革新を巻き込んだ組織【オール沖縄】の推薦候補が与党の推薦候補に苦杯を舐めた。オール沖縄から自民党を支援してきた2つの有力企業が脱退している。
第14回沖縄知事選は11月1日(木)告示、11月18日(日)投開票の日程で行われる。自民党・公明党の与党が推薦する佐喜真淳宜野湾市長が7月27日立候補を表明した。いずれ翁長知事も立候補表明することになる。翁長知事は今回は健康に不安がある。さらに前回選挙のように翁長知事を支援する組織【オール沖縄】は1枚岩ではなく組織のほころびが目立つ。接戦になるであろう。
翁長知事は知事選対策の切り札として【辺野古沖埋め立て承認】の撤回手続きを開始すると表明したが沖縄県は敗訴しているので手続きを進めたところで【辺野古移設】を阻止できる可能性は限りなくゼロに近いであろう。
翁長知事は自民党党員で沖縄県議、沖縄県都の那覇市長から沖縄県知事に転身している。知事選に勝利するために沖縄県内の革新勢力と共闘せざるを得なくなったのである。沖縄県自民党県連幹事長時代(県議)は普天間基地の辺野古への移転に賛成の立場であった。
日本の安全保障上、現行憲法と日米安保条約の縛りがある以上日本政府は沖縄の米軍基地の存続に協力する義務がある。現時点ではそれが国益に適うのである。地方自治体の首長は国益に反する行為を行うべきではない。
   (おわり)

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2018年7月29日 (日)

財務省最高幹部クラスの人事異動は財務省改革には効果なし

政府は7月27日、例年ならば6月下旬に発表する財務省の局長以上の最高幹部の人事異動を1月遅れで発表した。
今回の人事異動の遅れは社会問題化した大阪市の学校法人【森友学園】への国有地売却の決裁文書を改竄したという前代未聞の国家公務員服務規程違反の責任を最終的には誰に取らせるかという政治課題に結論を出すことに時間がかかったためであろう。
省庁の中の省庁と言われていた財務省の最高幹部がリスクの大きい公式文書の改竄を独断で部下に指示することはあり得ないのである。本来、小学校を開設する財政的な裏付けのない【森友学園】へ国有地が売却されたことは客観的にみて政権中枢部の政治家の指示があったことを意味するであろう。
国有地売却を担当する財務省理財局に支持を出せるとしたら現在の安倍政権の中では麻生太郎財務大臣、菅義偉官房長官、安倍晋三首相の3人に絞られるであろう。マスコミ報道から判断して麻生財務大臣が関与したという可能性は極めて低い。麻生財務相は自分は【森友学園】問題には一切かかわっていないという思いがあるから監督責任をマスコミから追及されても辞任しなかったのである。
安倍首相が直接犯罪と認定されかねない公文書改竄を指示することはあり得ないので改竄問題の黒幕は菅官房長官の可能性が想定される。
【森友学園】への決裁文書の改竄問題は佐川宣寿当時の理財局長を首謀者に仕立てて決着図った。佐川局長に菅官房長官の意思を伝えたのが当時の財務省大臣官房審議官の矢野康治現財務省官房長である。
矢野氏は安倍首相の選挙区山口4区の票田下関市の県立下関西高から一橋大学に進学している。2012年から3年間菅官房長官の秘書官を務め、2017年には【森友学園】問題の後処理の功績を評価され東大出身者以外では2人目(一橋出身者では初)の官房長に就任している。官房長経験者は主計局長に昇進後、財務省の事務方のトップ事務次官に昇進するする。2000年以降の事務次官経験者で官房長就任後主計局長を経験していないのは1人だけである・
ともかく矢野官房長は異例の出世をしたということになる。それを可能にしたのは2014年5月に誕生した【内閣人事局】で、官邸の意向で官僚の人事はいかようにもなるシステムが確立してしまったのだ。権力の行使は抑圧的であるべきであるが安倍政権ではそうした慎み深さが欠落しているようだ。
今回の財務省の人事異動では決裁文書改竄時の文書管理の責任者の官房長であった岡本薫明(しげあき)主計局長が事務次官に昇進し、決裁文書改竄問題で国会審議の矢面に立たされた大田充理財局長が主計局長に横滑り、事務次官級ポストの財務省No2のポスト【財務官】には浅川雅嗣財務官が留任、主税局長と国際局長も留任した。空席だった国税庁長官には国税庁次長の藤井健志氏が昇格した。
動静が注目されていた矢野官房長も留任している。矢野氏は来年の人事異動で主計局長に昇進すれば2年後の事務次官の最有力候補となる。
今回の人事異動は麻生財務大臣が続投となったことから官僚の責任を追及できない事態になった。佐川前国税庁長官をスケープゴートにしたことによって財務省は改革する意思がないことを国民に公表したようなものである。   (おわり)

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2018年7月27日 (金)

米EU貿易摩擦緩和の方向へ

アメリカのトランプ大統領が7月25日、ホワイトハウスで【EU】(ヨーロッパ連合)のジャン=クロード・ユンケル委員長と会談し、EU側がアメリカ産の大豆やシェールガス由来の液化天然ガスなどの輸入を増やすなど歩み寄る姿勢を示したために、焦点だったEUからのアメリカへの輸入車の関税上乗せでは、当面、EU車を対象から除外し、棚上げすることを示唆たことによってし、貿易摩擦の激化はひとまず避けらた。
ブラジルとともに生産量で世界1・2位を争うアメリカ産大豆の主要生産州は共和党と民主党の勢力が拮抗している【スイング州】と呼ばれるアイオワ、イリノイ、オハイオ、ミシガンの各州である。アメリカの大豆生産量は2015~16年が1億0686万トン、2016~17年が1億1692万トンと生産量が増加しているが生産量増大の最大の要因は中国の大豆輸入量が年々増大しているからである。
米国の2015~16年の国内消費量は5447万トンそれに対して輸出量は5286万トンと国内消費量が輸出量を上回っていたが2016~17年には国内消費量が5552万トンに対して輸出量は5916万トンと国内消費量と輸出量が逆転し、2017~18年の予測では国内消費量5664万トンに対し輸出量は6056万トンとその差は拡大する傾向にある。
2016年の米国の対中国輸出量は3417万1000トンで中国の輸入量に占める割合は40.7%、、それに対してブラジルの中国への輸出量は3820万5000トンで45.5%である、2017年はブラジルの輸出量の中国の大豆輸入量に占める割合は53.4%に対してアメリカの大豆のシェアは33.5%であった、中国の報復関税の期間が長引けばアメリカの大豆生産農家は膨大な損害を被ることになり、中間選挙で共和党の勝利に暗雲が垂れ込めることになる。アメリカは世界最大の農産品輸出国であるからだ。
【報復関税】によってアメリカ産大豆は価格競争でブラジルやアルゼンチン、カナダ産大豆に太刀打ちできなくなる。それを見越して【EU】はトランプ大統領に助け舟を出したのである。【EU】の大豆消費量は2015~16年は1532万トンでそのうち1370万トンを輸入に依存している。輸入先はブラジルとアルゼンチンでアメリカからの輸入はごく少量である。そこで【EU】はアメリカ産大豆の輸入量の増量を提案したのだ。
だがEUは国家の連合体で【EU】加盟国の承認を得るには手続きが煩瑣なうえに、輸入業者は民間で経済合理性に基づかなければ【EU】の首脳が口約束してもそれが成果を上げるという保証はない。
【EU】としてはアメリカへのEU車の輸出関税の上乗せを当面回避したいのである。当面の【EU車】への関税上乗せは回避できたということになるが問題が解決したわけではない。   (おわり)

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2018年7月25日 (水)

米中貿易戦争の影響米国大豆農家、綿花農家を直撃

米国は7月6日、340億ドル(約3兆8000億円)相当の中国製の航空機用タイヤや食器洗浄機などの製品に25%の関税を導入した。一方、中国は同日、340億ドル相当の農産品(大豆、綿花)や自動車などの米国製品に25%の報復関税を課し、【米中の貿易戦争】の火蓋は切って落とされた。
その結果、米中貿易戦争の影響が早くも米国の大豆やトウモロコシ、綿花の農家を直撃している。中国が対米報復関税で大豆や綿花など農産物を標的にしているからだ。農産物市場では中国向け輸出が減るとの見方が広がり、大豆先物は直近の高値から20%近く価格が下がった。今後、9月からの収穫期までの約2か月間、大豆価格の価格低迷が続けば生産者の収入が減り、トランプ大統領への支持が揺るぐことになりかねない。
米国の大豆の主産地はかつて米国製造業の繁栄の象徴であったが1970年代以降荒廃して【ラストベルト地帯】(錆び付いた工業地帯)と呼ばれている地域の一角を形成している【イリノイ州】である。【イリノイ産の大豆】の3分の1は中国に輸出される。
中国は世界最大の大豆輸入国で2015~16年度の輸入量は8050万トンで世界の輸入量の63.5%に該当する。輸入大豆の使途は【搾油用】である。米国産の大豆は報復関税のために価格が高騰して中国では輸入業者から敬遠されている。そのため米国の輸出業者は中国に次ぐ大豆輸入量の多いEUに転売しようとしているが運送費がかさみEUでの販売にも苦戦している。
大豆農家に比べれば【トウモロコシ農家】の被害は少ない。【トウモロコシ】の輸入量が一番多いのが日本で2016年の年間輸入量は1147万トン、金額にして2458億4500万円であった。次に輸入量が多いのはメキシコで日本の輸入量と拮抗している。日本は米国に対して現時点で報復関税は課していない。
メキシコの米国産【トウモロコシ】輸入は食用としてであることから報復関税を【トウモロコシ】に課せば国民の日常生活への影響が大きい。そのためにメキシコは米国産トウモロコシを報復関税から除外している。
今後、被害が拡大する可能性が高いのが米国の豚肉生産農家である。中国は米国産輸入豚肉には20~25%の報復関税を課す予定であるし、メキシコも豚肉には報復関税の対象とすると明言している。日本はTPP11が発効すればオーストリア産豚肉が米国産より廉価となる。米国からの輸入量は激減することになる。
【米中貿易戦争】は農業大国でもある米国の農家に損害を与え始めている。米国政府は中間選挙対策として7月24日、最大120億ドル(約1兆3千億円)の救済策を実施すると発表した。米国農務省によれば「農務省が大豆やトウモロコシなどの価格下落の影響を受ける農家に資金支援するほか、果物や豚肉などの余剰在庫を買い取り、米農産品の輸出拡大策を支援する」という。
トランプ政権の見通しのなさが早速顕在化したようである。   (おわり)

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2018年7月23日 (月)

運用が難しいIR(統合型リゾート)整備法

カジノ(賭博を主目的とした遊技場)を含むIR(Integrated Resort 統合型リゾート)施設整備法は、7月20日夜、参議院本会議で、自民・公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決・成立した。
整備法では、施設の整備区域は当面、全国で3か所までとし、最初の区域認定から7年後に見直すとしているほか、事業者に対してカジノの収益の30%を国に納付することを義務づけている。
【IR整備法】の真の目的は、収益力の高いカジノ事業の利益を活用して国際競争力のある魅力溢れる滞在型観光を実現し、地方の観光業及び地域経済の活性化を図り、地方自治体の財政の改善に貢献することである。なにしろ【カジノの利益】の15%は地方自治体に還元されるからだ。
ところで、日本には競馬、競輪、競艇、オートレース、宝くじ、サッカーくじなどの官製ギャンブルがあり、それぞれ監督官庁の官僚の天下り先となっている。競馬は農林水産省、競輪は経済産業省、競艇は国土交通省、オートレースは経済産業省、宝くじは総務省、サッカーくじは文部科学省の官僚の天下り先だ。今回のカジノに関しては内閣府の外局に【カジノ委員会】が設置される。カジノは新たに内閣府の官僚の天下り先となる。
ところが実質的にはギャンブルある【パチンコ】は民間業者の運営に委ねられて【風俗営業適正化法】の適用を受けているために娯楽として扱われ、警察官僚の天下り先となっている。【パチンコ依存症】は社会問題化しているが7月26日に成立した【ギャンブル等依存症対策基本法】によって【パチンコ依存症】も他のギャンブル依存症と同じ扱いを受けることになった。将来的にはパチンコも【ギャンブル】と認定されパチンコ事業の利益に課税することになるであろう。
【IR整備法】では【ギャンブル依存症対策】として日本人などのカジノ利用上限を週3回、月10回とし、入場管理をマイナンバーカードで行うとしているがカジノ経営者は抜け道を考え出す可能性が高い。さらにカジノ経営の表面には出てこないが出資者ととして反社会的な集団が関与する可能性も否定できない。
現時点で【IR施設】施設誘致に熱心なのは【北海道】、【大阪府。市】、【和歌山県】、【長崎県】である。関心を示しているのが【愛知県】、【横浜市】である。現在のところ施設誘致に関して明確な姿勢を示していないが東京五輪後には東京都が名乗りを上げる可能性は十分にある。
【IR施設】の誘致合戦は今後自民党内部の権力闘争の火種となる。その中心的な役割を担うのは菅義偉内閣官房長官と和歌山県選出の二階俊博自民党幹事長であろう。   (おわり)

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2018年7月20日 (金)

平成30年7月豪雨の被害で鉄道路線の復旧越年

【平成30年7月豪雨】の人的被害は、7月19日夕刻の時点で広島、岡山、愛媛の3県を中心に13県で死者が223人、行方不明者が11人である。【広島県】の死者は最も多く112人、次いで岡山県が61人、愛媛県が26人であった。
【3県の死者197人】の内訳は【広島県】では、呉市で24人、広島市で20人、坂町で16人、東広島市で12人、熊野町で12人、三原市で8人、竹原市で4人、福山市で2人、尾道市で2人、府中市で2人、安芸高田市で2人、海田町で1人、今回の記録的な豪雨で広島県内の死者はは合わせて112人に上っている
【岡山県】では、倉敷市が最も多く52人で、このうち51人が広範囲が浸水した真備町である。さらに、総社市で4人、笠岡市で3人、井原市で2人の合わせて61人の死者。
【愛媛県】では、宇和島市で11人、西予市で5人、大洲市で4人、松山市で4人、今治市で2人の、合わせて26人の死者が発生した。
【死者】多かったっ地域は住宅の損壊、河川の氾濫、河川の堤防の決壊、橋梁の崩落、土砂の流失、浸水、断水などの被害も甚大である。
鉄道の被害が広範囲にわたっているのも広島、岡山、愛媛の3県である。
東海道本線と連結しているJR西日本管内の【山陽線】(神戸駅―北九州市門司駅 534.4km)は日本の大動脈であるが63カ所で被災して全線が復旧するには数カ月を要する模様である。駅構内の線路が瀬野川の氾濫で土砂で埋まった広島県安芸郡海田町海田市(かいたいち)駅―広島県広島市安芸区瀬野駅間の復旧は8月中旬、瀬野ー三原駅(広島県三原市)間の復旧は10~12月中旬。山陽線全線の復旧は来年1月になる見通し。山陽線の復旧が遅れれば中国地方の製造業への部品の供給に支障をきたし経済への影響は計り知れない。
【JR呉(くれ)線】(三原駅ー海田市駅 87.0km)の海田市―坂間の復旧は8月中旬、坂―広間の復旧は11月中旬。呉線全線の再開も来年1月の見通し。
広島市と岡山県北部の都市新見市を結ぶ【JR芸備線】(広島駅―岡山県新見市備中神代(こうじろ)駅 159.1km)は広島市安佐北区の狩留家(かるが)駅―白木山駅間の三篠川に架かる鉄橋が増水のため崩落、その結果、芸備線の全線復旧には最低1年は要する。
広島県の瀬戸内海沿岸の都市、福山市と広島県北部の三次(みよし)市を結ぶ【JR福塩(ふくえん)線】(福山駅―三次市塩町駅 78.0km)は塩町―府中間の復旧には1年間は必要なので全線復旧は来年の7月以降。
島根県松江市と広島県北部の都市庄原市を結ぶ【JR木次(きすき)線】も出雲横田―備後落合(庄原市)間の復旧に1年の歳月を要することから全線復旧は来年の7月以降になる見通し。
広島県と岡山県の内陸部の重要な輸送手段が破壊されたので地域経済に及ぼす悪影響は予測不能である。1日も早いローカル鉄道の復旧が望まれる。   (おわり)

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2018年7月18日 (水)

日・EUのEPA(経済連携協定)の署名終わる。

安倍晋三首相と【EU】(ヨーロッパ連合)のドナルド・トゥスク欧州理事会議長(大統領)及びジャン・クロード・ユンカー欧州委員会委員長は7月17日、日本とEUの第25回目の定期首脳協議のあと共同声明を発表。
【共同声明】の冒頭で「世界最大のエコノミーの2つである日本とEUとの間での高度に野心的な貿易協定の署名を我々が祝う中で、本日は歴史的な一歩となる。この協定を完全に実施するに当たり、日本とEUは、自由で、公正な、かつルールに基づく貿易を促進し、保護主義に対抗するという力強いメッセージを発信している。この経済連携協定は、自由貿易の旗を高く掲げ続け、自由貿易を力強く前進させていくとの日本とEUの揺るぎない政治的意思を世界に対して示すものである。さらに、この協定は、21世紀において、高い水準の、自由で、開かれた、かつ公正な貿易・投資ルールのモデルとなるものである。この協定はまた、持続可能で包摂的な経済成長をもたらし、雇用の創出を促すものである。この協定は、世界と、そして我々の市民に対して、自由で、公正な、かつルールに基づく貿易が我々の社会及び世界において繁栄を促進するための重要なツールであり続けることを示すものである。さらに、日本とEUは、投資ルールに関する協議を続けていく。」と記している。
EUとのEPAの戦略的意義と経済的意義に関して外務省経済局は以下のように要約している。
【戦略的意義】
●アベノミクスの成長戦略の重要な柱
●自由で公正なルールに基づく、21世紀の経済秩序のモデル
●【日EU・EPA】の交渉妥結は、日EUが引き続き自由貿易の牽引役として世界に範を示し続けるとのイメージ
【経済的意義】
●EUは,総人口は約5.1億人,世界のGDPの約22%,我が国輸出入総額の約11%を占め,我が国にとっての主要な貿易・投資相手である。EPAにより,巨大なEU市場の取込みが実現する。
● その結果として,総人口約6.4億人,世界のGDPの約28%,世界貿易の約37%を占める日本とEUによる,世界で最大級の規模の,自由な先進経済圏が新たに誕生することになる。
● EPAは,相互の市場開放等による貿易・投資の活発化,雇用創出,企業の競争力強化等を含む日EU双方の経済成長に資するものである。EUとの戦略的関係を強化するのみならず,我が国の成長戦略の重要な柱となる。
【日EU・EPA】は日本の自動車産業、半導体産業、醸造業にとっては朗報であろう。現在、日本車のEUへの輸出には10%の関税が課せられている。この関税は8年後には撤廃される。それまではEU圏内でも人件費の廉価な旧東欧諸国に新たな生産拠点を設けるなどしてEUでの販売量増加に対応すればいいのである。   (おわり)

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2018年7月17日 (火)

豪雨の影響で浸水や断水に見舞われた医療機関危機的な状況に

西日本に甚大な被害を齎した【平成30年7月豪雨】で数多くの医療機関が被災した。医療機関と言えば声明に直接かかわる極めて重大な施設であるだけに水害から医療機関の重要な機能を保護することが必要不可欠であるが豪雨が原因で浸水や断水などを理由として被災地の地域医療に広く影響が及んでいる。。
今後、被災した医療機関の機能が回復した後に将来的な水害(浸水、断水)対策を専門家たちによって検討される必要がある。
厚生労働省によると、断水や浸水、停電の被害を受けた医療機関(精神科病院を除く)は京都から長崎にかけての6府県で94施設。うち71施設は14日正午時点で、給水などの支援を必要としているという。
人工透析を行っている医療機関では、断水は喫緊の問題となっている。腎臓の機能低下が進んだ患者は週数回、血液を濾過(ろか)する人工透析が欠かせない。透析器大手のニプロによると、一般的に1回の治療と配管洗浄などで計450リットルのきれいな水が必要となる。
【朝日新聞デジタル】は7月15日午前、断水で緊急事態下にある医療機関に関して『三原城町病院(広島県三原市)では、普段1日30~40人が透析を受けるが、一部の患者を断水していない別の病院に受け入れてもらった。残りの患者は医師の判断を踏まえ、普段4時間かかる透析を3時間に短縮して、水を節約している。
三原市や同県尾道市は取水場を急きょ動かすなどして、緊急を要する病院に優先して給水を始めるなど対策を急いだ。
7日から断水した済生会呉病院(同県呉市)は、海上自衛隊などから給水を受けたが、当初は病院で必要な1日約90トンの半分程度しか確保できなかった。
呉市の高齢化率は全国平均より7ポイント高い33%(2015年国勢調査)で、約100人いる入院患者の多くが高齢者。猛暑で冷房に使う水を止めるわけにはいかず、不急の手術や検査機器の洗浄を控えた。12日に水道が復旧したが、万田祐一・事務部長は一時は「もはや限界に近い」と危機感を募らせた。中国労災病院(同市)も必要な水量を確保するまで、手術は全て延期し、手術などが必要な救急患者の受け入れも中断した。
県立安芸津病院(同県東広島市安芸津町)は1階が浸水。地下の電源室などが泥につかり、自家発電も動かず、一時停電した。12日まで診療は行わず、かかりつけの患者への薬の処方などに限った。』と配信した。
秋の台風シーズンに備え医療機関に対して台風による2次災害を防ぐために今回の豪雨で激甚災害の指定を受ける自治体は緊急の浸水・断水対策を急ぐべきであろう。   (おわり)

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2018年7月15日 (日)

西日本豪雨の影響で企業の生産体制に大打撃

7月9日に気象庁が【平成30年7月豪雨】と命名した2018年(平成30年)6月28日から7月8日頃にかけて、西日本を中心に北海道や中部地方など全国的に広い範囲で記録された台風7号および梅雨前線等の影響による集中豪雨は近畿地方の大阪府、京都府、兵庫県、中国地方の岡山県、広島県、山口県、四国地方の愛媛県、香川県、高知県九州地方の福岡県、大分県、宮崎県、鹿児島県など19府県に甚大な被害をもたらした、
7月15日現在の総務省消防庁による被害状況の集計は以下の通り。
【人的被害】:【死者】209人、【行方不明者】20人、【負傷者】231人(【重症】47人、【軽傷】181人、【程度不明】3人)。
【住宅被害】:【全壊】349棟、【半壊】242棟、【一部損壊】861棟)、【床上浸水】16984棟。【非住宅被害】:【公共建物】6棟、【その他】40棟。
【インフラへの被害】:【鉄道】JR東海管内、JR西日本管内、JR四国管内、JR球種管内。地方私鉄、 【道路】:【西日本高速道路】管内では以下の道路の一部区間に損害が出ている。
【新東名高速道路】、【京奈和自動車道路】、【舞鶴若狭自動車道路】、【山陽自動車道路】、【中国自動車道路】、【岡山自動車道路】、【広島呉道路】、 【米子自動車道】、 【関門自動車道】 、【関門トンネル】、 【高知自動車道】 、
九州自動車道 】、【東九州自動車道 】、【長崎自動車道 】。
上記の自動車道路のうち復旧に時間を要するのは、【山陽】、【中国】、【高知】、【九州】、【東九州】道路の一部区間である。
西日本を中心とした豪雨災害により企業活動への影響が長期化している。被害が大きかった中国地方では発生から約1週間がたつ現在も多くの工場が稼働を停止した状態が続いている。生産設備への被害に加えて道路インフラの寸断による物流の停滞が原因で、企業業績や弐㌿経済への影響を懸念する声上がり始めている。
【西日本地域】最大の製造業である【マツダ】は7月7日から広島県の本社工場と防府工場(山口県)での操業をとりやめた。12日から本社の宇品第1、第2工場では2交代制の昼勤のみで、防府工場では夜勤も含めて操業を再開。20日までその体制を続け、21日以降については今後決めるとしている。
【マツダ】はこの数年業績が好調で、国内の販売台数は2016年が16万2274台、2017年は前年より7650台増の16万9928台、2018年上半期(!~6月)は前年比5.4%増の9万7099台である。米国での販売台数は2017年が前年比2.8%減の28万9470台。2017年の米国市場は世界の自動車メーカーの大半が前年の販売量を下回っていた。中国市場では【マツダ】は2017年が前年比8.3%増の30万9407台。2016年の上半期は前年同期比7.6%増えて14万5824台である。豪雨被害によって【マツダ】は中国への輸出向けの生産に支障をきたしかねない。
豪雨被害で生産に影響が出ているのは【マツダ】ばかりではな【く三菱自動車】は岡山県倉敷市の水島製作所での操業停止と再開を繰り返している。
操業を停止している企業は、【王子HD】グループ企業の広島県呉工場、【淀川製鋼所】、【パナソニック】岡山工場、セーラー万年筆】呉工場、【帝人】の広島県三原工場。   (終わり)


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2018年7月11日 (水)

米中貿易戦争により日本の国際収支は今後悪化の見通し

財務省は7月9日、2018年5月の【国際収支状況】を発表した。
【国際収支】とは「ブリタニカ国際大百科事典小項目」の解説によれば「国境を越える財やサービス,資金の流れを体系的に示すもの。財・サービスの輸出入取引を示す【経常勘定】と,資本の取引を示す【資本勘定】に大別される。さらに前者の収支 【経常収支)】は,(1) 財貨の輸出入の差額を示す【貿易収支】,(2) サービスの輸出入および利子所得の差額を示す【サービス収支】,(3) 対価を伴わない送金,贈与などの差額を示す【移転収支】に分れる。また後者の収支 【資本収支)】は,(1) 取引期間が1年をこえる「長期資本収支」,(2) 1年未満の「短期資本収支」に分れる。
2018年5月の【経常収支】:
①【貿易・サービス収支】は2616億円の赤字、前年同月の赤字が2136億円であったことから赤字幅は拡大。
【貿易収支】3018億円の赤字、前年同月は1954億円の赤字であったから【赤字幅拡大】。
   【輸出】6兆3232億円、前年同月比6035億円の輸出増(10.6%増)
   【輸入】6兆6271億円、前年同月比7989億円の輸入増(13.7%増)
【サービス収支】423億円の黒字 前年同月比で182億円黒字が減少
②【第1次所得収支】 2兆3980億円の黒字、前年同月比で4513億円の黒字増加(黒字幅拡大)
③【第2次所得収支】 1982億円の赤字、前年独月比で74億円の所得増加で赤字幅縮小
【第1次所得収支】とは「対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況を示す。
(第一次所得収支の主な項目)
①【直接投資収益】:親会社と子会社との間の配当金・利子等の受取・支払
②【証券投資収益】:株式配当金及び債券利子の受取・支払
【経常収支】は①の【貿易・サービス収支】、②の【第1次所得収支】、③の【第2次所得収支】の総計なので2018年5月の経常収支は【1兆9383億円】で昨年の5月より2451位億円増えた。
【輸出品目】の内訳は「【自動車】(輸出金額は+574億円[+7.1%]、数量:同+8.2%)、半導体等製造装置(輸出金額は+442億円[+23.4%]、数量:同+18.6%)等が増加」。
【輸入品目】の内訳は「原粗油(輸入金額は1,514億円増[昨年同月比で28.7%増]、数量:昨年同月比で0.4%増)、航空機類(輸入金額は昨年同月比で730億円増[264.4%])等が増加。
「主要地域別」では、対アジア(輸入金額前年同月比で2,771億円増[+9.5%])、中東(輸入金額前年同月比で2,071億円増[+33.5%])等が増加。
2018年5月の時点での原油の輸入代金は1バレル(159リットル)=70.62米ドル(前年同月比で31.0%の値上がり)で、今後、原油価格はさらなる高騰が予想される。原油価格の高騰と米中貿易戦争が長期化すれば日本の輸入金額が2011=14年の時期のように貿易赤字額が数兆円に拡大し、2019年のの経済成長率は消費税率の2%の引き上げと相まってマイナスに転じる可能性が出てきた。   (おわり)

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2018年7月 9日 (月)

西日本を襲った記録的豪雨の被害拡大の一途

気象庁が【平成30年7月豪雨】と命名した記録的な豪雨は、広い地域で河川の堤防を決壊させ河川の氾濫や土砂災害を引き起こした、その結果、死者は広島、岡山、愛媛3県を中心に死者は116人、3人が意識不明の重体、さらに77人が依然として行方不明であることが各地の警察や消防へのマスコミの取材で判明している。消防や自衛隊による捜索活動が続いているが、依然77人以上が安否不明である。
被害は人的被害ばかりでなく高速道路や鉄道、電力などインフラにも広範囲で及び、企業活動にも影響が出ている。被害の全容は見えておらず、政府は救援や復旧に全力を挙げるよう被災地域の自治体に指示を出している。
被災各地には避難所が設けられ、総務省消防庁によれば7月8日午後9時時点で少なくとも15府県で約2万3千人が避難所に身を寄せた。9日午前5時時点でもなお避難指示・勧告が17府県の174万世帯、385万人に出されている。
河川の堤防の決壊は199か所、橋梁の流失も相次いだ。岡山県倉敷市真備町地区では近くを流れる小田川の堤防が少なくとも2カ所で決壊し、地区の約3割が浸水。同市によると、8日午後6時時点で周辺の家屋4600戸が浸水した。
広島県では熊野町の住宅地で土砂崩れが発生。12人が巻き込まれたとみられ、1人の死亡が確認された。福山市でも、ため池の決壊で家屋ごと流された女児(3)が遺体で見つかった。愛媛県宇和島市や北九州市などでも土砂崩れによって犠牲者が出ている。
国土交通省によると、9日午前5時半現在、JR東海などの13鉄道事業者が管理する37路線で、土砂の流入や橋の流失などが起きて運行を休止している。JR東海高山線の飛騨萩原―猪谷駅間は土砂が流入しており、再開は11日までずれ込む見込み。
高速道路は12路線13区間で通行止めが続く。中国自動車道の滝野社インターチェンジ(IC)―吉川IC間、岡山自動車道の有漢IC―賀陽IC間でのり面が崩壊。国道も67路線185区間が通行止めとなった。
こうした甚大な被害を受けて政府は9日午前、非常災害対策本部の2回目の会合を首相官邸で開き、安倍晋三首相は「自治体が全力で応急対応、復旧に当たれるよう、しっかりと財政措置を講じていく」と表明した。これにより今回の記録的豪雨の【平成30年7月豪雨】の被災自治体は復旧にかかる費用を政府が支援する【激甚災害】に指定される見通しとなった。
ところで、7月5~8日にかけての記録的な大雨で西日本の各地に大きな被害が出たことを受け、自民党の石破茂・元幹事長は8日、石破氏の地元鳥取市での講演の中で、「復興庁を改組し、防災省を作っていかねばならない」と述べた。
2011年の東日本大震災後に設置された【復興庁】の存続機関は2021年までである。日本は近年毎年のように大災害に見舞われ、【激甚災害】指定が常態化している。石破氏の提言は時宜を得たというべきであろう。   (おわり)

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2018年7月 8日 (日)

米中貿易戦争勃発

トランプ米大統領は3月1日、鉄鋼とアルミニウムの輸入品に安全保障の観点から関税を課す方針を明らかにした。この関税に関しては米国内においても賛否両論が存在している。この関税を支持するのは鉄鋼・アルミ業界であり、材料価格が上昇して販売量が減少売ると予測される自動車業界は反対の立場であろう。
このトランプ大統領発言により関税の対象となるのは中国、EU,、日本、韓国などの鉄輸出製品であるのでこれら輸出国は損害を被ることになるので米国に対して対抗措置を採る可能性は極めて高い。この結果、米国と中国、EU,日本、韓国など国々と米国との間で【貿易戦争】が勃発することになる。
トランプ米大統領は3月8日、賛否両論のある鉄鋼とアルミニウムの輸入品に対する追加関税を導入する大統領令に署名した。
鉄鋼は25%、アルミニウムは10%の追加関税が課せられる。新制度は15日後に適用が始まるが、カナダとメキシコは除外される。
トランプ氏は、米国が「不公正な貿易」に悩まされており、今回の措置が米国の産業を後押しすると述べた。しかし当然のことながら他国は激しく反発しており、専門家らは貿易戦争が始まる可能性を警告している。
3月1日以降、7月5日までの数カ月にわたる言葉の応酬後、米東部時間同日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に米国は耕運機や航空機部品など中国からの輸入品340億ドル(約3兆7600億円)への25%の追加関税を発動。中国政府も直ちに大豆や自動車など米製品に対する報復措置に踏み切った。正式に【米中貿易戦争】の火蓋が切って落とされた。
トランプ大統領の今回の追加関税の狙いは11月の【中間選挙】対策として1970年代まではアメリカを代表する工業地帯で現在は脱工業化が進んでいる米国の中西部地域から中部太平洋地域の所謂【ラストベルト地帯】(錆び付いた工業地帯)の製鉄業とアルミニュウㇺ工業を中心とする製造業の雇用を増やすことである。だが当初、追加関税の対象外であったメキシコやカナダにも追加関税を適用したことによってメキシコもカナダも対米報復関税を課すると表明している。
ところで、【EU】は6月22日に総額約28億ユーロ(約3600億円)規模の米国製品に最大25%の追加関税を課す報復措置を発動した。これを受けてアメリカが誇る二輪車メーカー【ハーレー・ダビッドソン】はカンザス州の工場の一部の生産機能を海外に移転すると公表した。税増業の国内回帰を標榜するトランプ大統領にとって想定外の事態が起こったことになる。
トランプ大統領は中間選挙直前まで【貿易戦争】を継続することになるであろう。妥協すれば敗北を認めたことになり、中間選挙の勝利が覚束なくなるからだ。米国は厄介な権力者を誕生させたものである。  (おわり)

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2018年7月 6日 (金)

倫理観欠如が常態化した日本の官僚機構

東京地検特捜部は7月4日文部科学省事務方トップの事務次官就任を確実視されていた文部科学省科学技術・学術政策局長の佐野太(ふとし)(58)容疑者を受託収賄容疑で逮捕した。
【私立大学研究ブランデイング事業】と銘打った2016年から開始された新たな補助金を給付する【私立大学支援事業】を巡り、佐野容疑者は、【東京医科大学】の関係者から請託を受けて同大学に便宜を図る見返りに自らの子息を合格させてもらったとして逮捕された。
2014年5月30日に【内閣人事局】が設置されて国家公務員である各省庁の幹部職員の人事権を首相官邸が掌握するようになり、上昇志向の強い各省庁の幹部職員は国家公務員の本来の【国民に奉仕する】という任務を放棄し、官邸の意向に忠実な出世欲の権化と化した。その結果、起こった事件が【森友学園】への国有地売却に関連する決裁文書の改竄事件であり、【加計学園】の国家戦略特区制度を活用した不透明な【獣医学新設】疑惑であった。
この2つの事件の中心的な役割を果たした佐川宣寿元財務省理財局長と柳瀬唯夫元首相秘書官は自身の栄達が目的とはいえ首相官邸を擁護するという堅固な意思を持っていた。ある意味では個人を犠牲にして組織に忠実であった。
しかし、今回の収賄事件の容疑者佐野太氏は我が子の大学合格を成功させるというあまりにも個人的な動機で官僚としての【モラル(倫理観)】の欠如を露呈している。日本の中央官庁の官僚のモラル崩壊はゆゆしき問題で筆者は日本の将来に危機感を抱かざるを得ない。
ところで、今回の逮捕劇は文部科学省の【内部告発】という風評が流れている。現在の【文部科学省】は2001年1月の中央省庁再編で旧文部省と総理府の外局であった旧科学技術庁が統合されて誕生した省である。統合された組織となって17年が経過した現在でも旧文部省に入省した職員と旧科学技術庁に入庁した職員の間には微妙な感覚の相違が存在し、2つの目に見えない派閥が存在していると言われている。
文科省の主流派は組織として格が上であった旧文部省出身者のグループであったが【天下り就職斡旋問題】で主流派は前川喜平事務次官をはじめ主要幹部は責任を取らされた。しかし反主流派の科学技術庁出身グループはトップの当時官房長であった佐野氏は無傷であった。
【科学技術庁派】のエース佐野氏は事務次官への登用コースの【官房総務課長】、【官房長】、さらに【科学技術・学術政策局長】を歴任して今回か次回の人事異動で事務次官への昇進が約束されていた。
文科省内部の権力闘争の一環で佐野氏は失脚する可能性が高まったが官僚としての倫理観の欠如が明確になった以上佐野氏は取り調べで真実を語り、潔く責任を果たすべきであろう。   (おわり)

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2018年7月 5日 (木)

TPP11はFTAを無力化するのか

トランプ大統領が離脱を決断したことによって参加国が11カ国になった【環太平洋経済連携協定(TPP)】の新協定「TPP11」関連法は6月29日午前の参院本会議で、与党自民党・公明党それに日本維新の党などの賛成多数で可決、成立した。
これによって【TPP11】発効に必要な日本の国内手続きはほぼ完了したことになる。今国会では【森友学園問題】と【加計学園問題】で国会審議が紛糾したことにより審議時間が不足し、【TPP11】関連法案の集中審議をする特別委員会を設置せず成立を急いだ。
【TPP11】発効のための国内手続きを終了した国はメキシコと日本の2カ国となり、新協定発効に必要な手続き終了国は参加国11カ国の過半数の6カ国なので残り4カ国となった。この結果、【TPP11】の年内発効の見通しが立ったと言える。
年内には日本は農産物のかつてない市場開放に踏み出す。
ところで、日本は【TPP】を離脱した米国と新たな貿易協議(FFR)を継続中であるがFFRでは2国間の日本に不利な【自由貿易協定(FTA)】締結とTPPを上回る譲歩を強いられる可能性がある。その根拠は【TPP11】が発効すれば、米国の農産物は対日輸出でオーストラリアやニュージーランドなどとの価格競争で不利になるために与党共和党の有力支持団体である米国内の農業団体が【TPP】再参加でトランプ政権に圧力を強めかねないからだ。
【TPP11】発効が現実味を帯びてきたことから【アセアン】(東南アジア諸国連合)加盟の有力メンバーである【タイ】と【インドネシア】が【TPP11】への参加の意思を固め、日本に両国の【TPP11】への参加の仲介に尽力するよう要請してきている。
原【TPP】は2006年5月に成立したシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド4カ国の【FTA】(自由貿易協定)である。10年3月にアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムが参加を表明して8カ国となり、9月にマレーシアが参加を表明して【TPP】の参加国は9カ国になった。日本は民主党政権時代で当時の菅直人首相が10月1日に【TPP】への参加を検討すると表明している。
アメリカが【TPP】への参加を決断したのは2008年9月に起こった投資銀行リーマンブラザーズの倒産が引き金になった100年に一度と言われた【金融危機】の勃発である。アメリカは2007年までは【住宅バブル】に沸いていた。当時のアメリカ経済は極端な内需主導型経済であった。返済能力に疑問符が付く低所得層でも金融機関から融資を受けて住宅を建設し、バブルであるから建設した住宅価格が上昇し、上昇した住宅価格と融資額の差額分をさらに融資を受けて自動車の購入や海外旅行などで国内消費が増大していた。そうした過度に借金に依存した経済に持続性はなくアメリカは金融危機に陥ったのである。
この状況から脱出するには【外需主導】つまり【輸出主導型】経済に切り替える必要性にアメリカ政府は迫られ、【TPP】に参加し、アメリカが【TPP】を主導することになったのである。【TPP】に新たに参加した国々はアメリカへの輸出増を狙っていた。しかし【TPP】は成立したがトランプ政権が離脱を決断したことによって【TPP】は空中分解の危機に晒されたが日本が主導することによって【TPP11】として再生された。
タイやインドネシアが新たな加盟国に名乗りを上げた背景には【TPP11】は参加する障壁が低くなり、参加各国との【FTA】の価値が低下したからである。   (おわり)

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2018年7月 3日 (火)

米20%の自動車関税への主要メーカーの反発強まる

米国のトランプ政権は、米国大統領に安全保障を根拠とした貿易制裁を認める1962に成立した【通商拡大訪232条(国防上皇)】に基づく輸入車や関連の部品などに輸入制限措置を発動するかどうか調査を行っていて輸入車の関税を現行の2..5%から最高で25%に引き上げることを検討していると報じられていた。
追加の輸入税率に関してトランプ大統領は、7月1日放送されたアメリカの保守系テレビ局「FOXビジネスネットワーク」のインタビューで、輸入車の関税は「実際には20%だ」と述べて、具体的な税率に言及した。
今回の米国の追加関税措置は米国に大量の車を輸出している【ドイツ】の現行の10%輸入関税の米国並みの2.5%への低減か撤廃、現行の輸入関税0%の【日本】に対する非関税障壁(輸入車の安全基準が厳格など)緩和を求めてのブラフと考えられている。このことはトランプ政権が米国内での自動車産業の雇用の減少に焦りを感じている証でもある。今後、米国での新車販売台数の約40%は【メキシコ】、【カナダ】、【日本】、【ドイツ】、【中国】などからの輸入車が占めると予測されているからだ。
輸入関税の高率化について米国を代表する自動車メーカー【GM(ゼネラルモーター)】は6月29日に商務省に提出したコメントで、「GMの規模縮小や、米国を象徴する当社の存在感が国内外で低下する事態につながり、国内雇用が増加でなく減少する恐れもある」との見解を述べている。。
さらに、「関税が自動車価格の上昇につながり、販売減を招く恐れがある」と指摘。仮に関税の影響に伴うコスト高を価格に転嫁しなければ「投資の減少、さらに雇用の減少、賃金低下につながり、いずれ画期的技術の遅れに至る可能性がある」とも述べている。
【トヨタ】も当局への提出文書の中で、「自動車関税が「米製造業、雇用、輸出、経済の繁栄を脅かす」との見方を示し、反対する立場を鮮明にした。
トヨタは、トランプ大統領も重ねて称賛している自動車メーカーによる国内投資について言及し、「こうした投資は、米経済や米政権が実施する減税措置に対するわれわれの信認を反映したもの」とした。(ロイター6月29日の記事より引用)
ドイツの高級車メーカーの【BMW】もロス商務長官宛ての書簡で、「これらの制裁を科すという脅しには特定の目的を達成する意図があるように思われる」と6月30日、独紙【ウェルト日曜版】が書簡の写しを引用して報じた。【BMW】は米サウスカロライナ州スパータンバーグにある自社工場に約90億ドル(約9970億円)を投資し、米国の12万人余りの雇用を支えていると説明した。
米国の製造業は2016年まで2016年に史上最高の1755万台の新車を販売した自動車産業が主導していた。しかしその時点で自動車産業の低迷は始まっていたことになる。2012年の自動車販売台数に乗用車が占める割合は51.32%であったが2016年には40.4%にまでその比率は低下し、この乗用車の販売台数の激減は自動車組み立て工場の7~8カ所の生産台数に該当したという。
その結果、2017年1月20日にトランプ大統領が就任した当日に【GM】の小型乗用車【シボレー・クルーズ】の製造工場オハイオ州ローズタウン工場の生産ラインの一部が停止し、1200人がレイオフ(一時解雇)され、2017年にGMの米国工場全体で5000人が解雇された。この傾向は2018年に入っても続いている。
自動車の輸入関税率引き上げは世界の主要メーカーが反対しているようにトランプ政権にとって危険な賭けであろう。    (おわり)


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2018年7月 1日 (日)

トランプ政権の輸入制限措置国内製造業に影響が出始める

トランプ米政権が3月下旬に導入した鉄鋼の輸入制限が、米国製造業の経営に深刻な影響を与え出した。米国製造業の復活を選挙公約に掲げたトランプ大統領にとって想定外の事態が発生したことになる。
中国やEUなどの鉄鋼・アルミニュウㇺ製品へ高率の輸入関税を課したことによって原材料の仕入れ価格が上昇して米最大級のくぎ製造業者は倒産の危機に直面し、さらに米輸入制限に対抗するEUの25%の報復関税の対象となった二輪車大手、【ハーレー・ダビッドソン】は国内生産施設の一部を海外に移転すると表明しており、メーカーは対応に苦慮している。
米政府は、6月1日から日本や中国、欧州連合(EU)などの輸入鉄鋼に25%の追加関税を課したが米国内では昨年から高率関税という輸入制限措置を予測していたことから鉄鋼価格は昨年から大幅に上昇していた。その影響を受けてくぎ製造業者【ミッドコンチネントネイル社】は輸入コストが上昇し、経営危機に陥り、中西部ミズーリ州の工場で60人を【レイオフ】(一時解雇)した。米メディアは6月25日、米輸入制限措置の波紋の影響で解雇を迫られた国内初の事例として同社の【レイオフ】を一斉に報じた。
【ハーレー・ダビットソン】の生産拠点の海外移転計画の発表は【EU】の報復関税が引き金になったが米国の製造業の国内回帰を唱えていたトランプ大統領にとって想定外の痛手であろう・
輸入制限措置によって国内では製造業の倒産件数が増え、【EU】の報復関税によって米国製造業の生産拠点の海外移転が加速するという2つのリスクに晒される可能性が高まったと言えよう。
7月以降、中国とメキシコさらにカナダの報復関税が実行に移される。その影響は農産品や食料品、飲料に深刻な影響が表れることになるであろう。特に豚肉や牛肉などの食肉、チーズなどの酪農製品、オレンジジュースなどの果実飲料やバーボンウイスキーといったアルコール飲料は企業の経営に影響が及ぶばかりでなく、これらの製品の産地を選挙地盤とする与党共和党の上下両院連邦議員の中間選挙での得票数に深刻な影響を与えることになりかねない。
【EU】、【中国】、【メキシコ】、【カナダ】の報復関税の狙いは共和党の有力議員に圧力をかけて【米国の輸入制限措置】を1日も早く撤回させることである。中間選挙前に国内企業の倒産件数が上昇し、失業率が企業倒産と企業の生産拠点の海外移転が増えれば変わり身の速いトランプ政権は輸入制限措置を中止せざるを得なくなる。   (おわり)

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