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2018年2月 2日 (金)

トランプ大統領外交・安全保障分野で主導権を喪失

ドナルド・トランプ米大統領は1月18日午後(日本時間19日未明)、政権初の「国家安全保障戦略」(NDS)を発表した。米国の国益を最優先する「米国第一」を掲げる一方で、中国とロシアを「米国に挑戦するライバル」として、現在の世界秩序を乱そうとする「修正主義国家」と位置づけた。北朝鮮も「ならず者政権」と非難している。中露や北朝鮮の軍事的脅威を抑えるため、レーガン大統領以降の4つの政権(ブッシュ、クリントン、ブッシュJr,、オバマ)で弱体化した軍事力を、大幅に拡大する方針である。
安全保障や外交の専門知識を持たないトランプ大統領にとって安全保障上の脅威はイスラム原理主義に基づく過激派武装集団【IS】であった。だが政権を担当して1年後にはアメリカにとって安全保障上の最大の脅威は【中国】と【ロシア】が【IS】に取って代わったのである。
2014年に勃発したロシアによるウクライナの領土クリミアの【武力併合】を欧米諸国が黙認したことが現在の国際秩序の混乱を生み出したのであり、ロシアに対して武力介入も辞せずという断固たる姿勢を貫かなかったオバマ大統領にその責任の大半はある。この時以来、安全保障を担当する国防省の幹部にはフラストレーションが溜まったのである。さらに素人で的外れな安全保障論を展開したトランプ大統領に対しても同様であったに違いない。
つまり【安全保障】に関してはこれ以上トランプ大統領の指示を実行することの危険性を察知して【国防省】はトランプ大統領を棚上げにしたということである。言葉を換えれば国防省は大統領が安全保障問題に関して関与する権限を取り上げたということを意味する。
通商と外交問題に関してもトランプ大統領は権限を棚上げされている。
トランプ大統領は就任早々、【TPP】(環太平洋経済連携協定)を永久に離脱するという大統領令に署名したが1年後の1月25日、訪問先のスイスのダボスでの米CNBCテレビのインタビューでTPPに関して「「もし相当良い協定ができるなら、私はTPPにオープンだ」と話し、再交渉でより有利な条件が得られればTPPに復帰する可能性を示唆した。
【TPP】は単なる多国間の自由貿易協定ではなく中国の国際的な貿易協定破りを牽制する役割を担っている。アメリカがTPP交渉を主導して大筋合意に持ち込みながら協定から離脱した行為は国際的にアメリカの威信を大きく傷つけたのである。アメリアが【TPP】参加にに方向転換したのはトランプ大統領の意思ではなく、外交を司どる【国務省】の意向と理解することが妥当であろう。
さらに「トランプ米大統領は、英民放ITVが28日夜に放送したインタビューで、昨年6月に離脱を表明した地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」について、米国に有利な条件が整えば、復帰を検討するとの考えを改めて示した」と【ヨミウリオンライン】は1月29日午前に配信している。
トランプ大統領が自身の業績と強調してきた公約の転換を仄めかしているということはトランプ大統領の意思が【通称】や【外交】政策でも反映されなくなったことを意味し、トランプ大統領が【国防省】や【国務省】の軍門に下ったということに他ならない。   (おわり)

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