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2017年12月14日 (木)

トランプ大統領の選挙公約実現に黄色信号が灯った

2017年12月12日に投開票が行われた米アラバマ州連邦議会上院補欠選挙で、民主党のダグ・ジョーンズ候補が、共和党のロイ・ムーア候補を僅差で破った。得票率は勝利したジョーンズ候補が49.9%、敗れたムーア候補は48.4%であった。
アラバマ州は伝統的に共和党への支持が強い地域であり、共和党にとっては負ける筈のない選挙での敗北となった。アラバマ州の上院議員選挙で共和党の候補が負けたのは、実に1992年以来となる。昨年の大統領選挙でも、アラバマ州ではトランプ大統領がヒラリー・クリントン候補に約28%ポイント差で勝っていた。負けるはずのない選挙で協和とのムーア氏が敗れたのはムーア氏が過去において少女にわいせつ行為をした疑惑がマスコミによって報じられ民主党はそれを巧みに露擁した。アメリカ社会は日本と違って【セクハラ】に関しては非常に厳しく、共和党議員は何人も辞職に追い込まれている。そのような社会風潮が蔓延している米国であるから共和党支持の女性票が民主党のジョーンズ候補に流れたのは当然の帰結である。補選の出口調査によれば女性の58%が民主党のジョーンズ候補に投票している。
ところで、アラバマ州の連邦上院補選の共和党候補の敗北はトランプ政権にとって大きな打撃となるのは間違いない。上院の多数党であるとはいえ、共和党の現有議席は定数100議席のうち過半数を僅か2議席を超える52議席にしかすぎない。今回の補選によって、共和党の議席数は半数の50議席をわずかに1議席上回るだけとなった。賛否が同数の場合にはマイク・ペンス副大統領が一票を投じられるとはいえ、共和党は2人の議員が造反すれば過半数を確保できない状況になる。
アメリカは日本と異なり党が正式に機関決定したことに拘束されることはなく、法案の採決の際には、議員個人の判断に委ねられている。それだけに造反する議員が生まれやすいのである。
トランプ大統領にとってムーア氏の敗北は痛手であったが共和党主流派の議員にとっては安堵した選挙結果であったと思われる。というのはムーア氏が当選したならば共和党議員はセクハラ疑惑に塗(まみ)れたムーア議員を擁護せざるを得なくなり、その結果、来年11月に実施される中間選挙で共和党は苦戦する可能性が高くなるからだ。
アメリカは豊かな国だと言われているが製造業から金融業中心の国家へ転換した結果貧富の格差が拡大し、さらに民族格差がそれに加わったためにアメリカは分断国家への道を歩んでいる。トランプ大統領の施策はそれをさらに増長させることになるであろう。
トランプ大統領は年内に法人税の減税を決定することになる。法人税の減税はアメリカ連邦政府の税収を減らすことにほかならない。減収分の財源は社会保障費の削減によって生み出すことになるので貧富の格差はさらに拡大することになる。低所得者層の不満は増大し、その不満は共和党の議員に向けられることになりかねない。
トランプ大統領の選挙公約の健康保険制度の改革となる【オバマケア】の撤廃やメキシコ国境に壁を建設することは上院の勢力が拮抗したことから有権者の反発も強いこともあり実現が難しくなるであろう。   (おわり)

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