« 日本はいつ金融緩和政策を見直すのか | トップページ | 日米首脳会談で北朝鮮問題を駆け引きの材料に使う米大統領 »

2017年11月 5日 (日)

中間選挙対策で米共和党減税を柱とする財政改革法案を提出

来日中のトランプ大統領が大統領選で勝利を手中にして1年が経過する。トランプ大統領の重要な選挙公約は今後10年間で2500万人の雇用の創出と所得格差の是正だ。
ところで、来年の11月には米国では【中間選挙】が行われ下院の435の全議席と上院の3分の1の議席が改選される。不人気なトランプ大統領が任期を全うできるか否かの試金石が【中間選挙】で共和党が上下両院で過半数を維持できるか否かにかかっている。過半数を制するには有権者の中で最も多い中間層の支持を得る必要があり、そのためには中間層が最も歓迎する収入増(減税)を実現することであろう。
トランプ米大統領は9月27日、連邦法人税率を35%から20%に下げる税制改革案を正式に発表した。トランプ大統領は支持者が多い中西部インディアナ州で演説して「歴史的な減税で、米国に企業と雇用を取り戻す」と主張している。減税によって収益が増大した企業は減税で増えた収益の一部を賃上げなどで従業員に還元するので中間所得層に恩恵が及ぶのである。しかしながら野党・民主党は個人所得税の最高税率引き下げなどを「富裕層優遇だ」と批判しており、議会審議は難航も予想される。
先進工業国の製造業が海外に進出しているのは新興国の人件費が廉価であることと先進国の【法人税】が高いことが原因である。世界の【先進工業国】の法人税の平均税率は22.5%であるがアメリカのそれは35%と世界一高い。因みに日本の法人税(国税)は平均値に近い22.59%である。トランプ大統領は【法人税率】を20%に引き下げると言明した。
トランプ大統領は【選挙公約】の一つに【収入格差の是正】を掲げたが、格差の是正は富裕層の収入を減らし、中間層の収入を増やすことである。富裕層に対しては税控除や抜け穴(租税回避)を減らし、場合によっては増税し、中間層に対しては税制区分を簡素化(0%、12%、25%、33%の4段階)して減税を行う。
米国の【ブルームバーグ通信は】11月2日深夜、下院共和党の税制改革法案について『米下院共和党が作成した税制改革法案が実施されれば、今後10年間で財政に推計1兆4900億ドル(約170兆円)の負担となる。この額は米議会が先週可決した予算決議で認められた範囲にちょうど収まる。
  上下両院税制合同委員会によると、税率引き下げや基礎控除の倍増、代替ミニマム税の廃止、遺産税の段階的廃止など個人やパススルー事業体向けの税制変更で税収は9300億ドル純減する。法人税変更による財政への負担は8470億ドルとなるが、海外留保利益への課税で2850億ドル相殺される。
  財政に大きな穴があくことを一部の有力議員は問題視している。共和党のボブ・コーカー上院議員は2日、この税制改革案が「財政赤字を膨らませることがないようにしたい」と述べた。
  これとは別に非政府組織(NGO)の「責任ある連邦予算委員会」は2日、個人向け減税の財政コストは差し引き3000億ドルになるとの報告を発表した。この数字は州・地方税と売上税の控除廃止、固定資産税や住宅ローン利子の控除適用条件の厳格化を考慮に入れたものだという。政府にとって遺産税の段階的な廃止は約2000億ドル、法人税率の引き下げは1.5兆ドル、パススルー事業体への減税は約4480億ドルの税収減になると、同委員会は算出した。』と配信した。
財源が確保できるかどうかがこの法案成立の鍵になる。   (おわり)

|

« 日本はいつ金融緩和政策を見直すのか | トップページ | 日米首脳会談で北朝鮮問題を駆け引きの材料に使う米大統領 »

16アメリカ問題」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中間選挙対策で米共和党減税を柱とする財政改革法案を提出:

« 日本はいつ金融緩和政策を見直すのか | トップページ | 日米首脳会談で北朝鮮問題を駆け引きの材料に使う米大統領 »