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2017年6月 4日 (日)

アメリカはパリ協定から離脱できるのか

英国は昨年6月23日に実施した【EU(欧州連合)】からの離脱の是非を問う【国民投票】によって僅差であったが離脱賛成派が勝利を収め【EU】離脱を決定した。【EU】離脱に関してはEUの憲法ともいうべき【欧州条約(リスボン条約)】の50条によって規定されている。英国が【EU】を正式に離脱するのは当初2019年と言われていたが2023年頃までにずれ込みそうである。
トランプ大統領は6月1日に温暖化対策の国際ルールである【パリ協定】からの離脱を表明したが離脱を宣言したからといって直ちに離脱できるわけではない。
【パリ協定】が締結されたのが2015年12月で、協定が発効したのが2016年11月4日である。離脱の通告をできるのは発効後の3年後からであるからアメリカが離脱通告が可能になるのは2019年11月4日からで離脱は通告後の1年後に可能になるので最速で正式離脱時期は2020年11月4日だ。この日はアメリカの大統領選挙が行われた翌日になる。
ということはトランプ大統領が再選を狙う2020年の大統領選挙の最大の争点は【パリ協定離脱の是非】になる可能性が高い。
トランプ大統領は昨年の大統領選中に公約として【白人労働者の雇用の維持】を掲げていた。トランプ大統領が想定していた【白人労働者】とはイリノイ、インディアナ、ミシガン、オハイオ、ペンシルバニア諸州を含む「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれている地域の労働者である。【ラストベルト】という呼び名は、これらの地域の多くの産業が時代遅れの工場・技術に依存していることに由来する。1970年代、激しくなる国際競争への対応策として製造業者がこれらの地域からアメリカの他の地域やメキシコに工場を移転、かつて繁栄していた工業地帯の経済が悪化したことによりこの名称が幅広く使われるようになった。
これらの地域では、工場閉鎖に伴ってて失業者が増加し、多くの人々は食を求めてこの地域を去って行った。デトロイト、ピッツバーグ、セントルイス、クリーブランドなどの都市、あるいはインディアナ州ゲリー、オハイオ州アクロンといった比較的小さな都市は、都心が衰退してしまったラストベルトの都市の代表例だ。
この地域は製造業の労働者が多く、民主党の強力な選挙地盤であったことからトランプ大統領はこの地域の票を獲得しない限りは選挙戦の勝利は覚束ないことに気付き【雇用の維持】を選挙公約に掲げたのだ。そしてその作戦は図に当たり大統領の座を射止めた。
トランプ大統領は、約19万人の石炭産業関連の企業に属している白人労働者の雇用維持を明言して【パり協定離脱】の正当性を主張しているが、石炭産業は斜陽産業である。アメリカの石炭生産量の95%は電力会社の火力発電所の燃料として利用されている。
しかし時代のトレンドとして石炭の需要は年々低下しているが太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー(水力発電も含む)由来の電力量が増加していることが世界的な流れだ。【ドイツ】は再生可能エネルギーの電力量に占める割合は26.2%、【英国】は19.4%、【アメリカ】は12.9%、【日本】は12.2%である。アメリカの水力発電を除いた【再生可能エネルギー】の比率は6,2%程度、日本は水力発電大国なので3.2%と先進国の中では太陽光発電の依存度が一番低い。
日本では今後、太陽光発電の供給量が増大する可能性は低い。経産省を中心とする【原力村】が健在だからだ。ドイツでは2025年には原発は全廃されるが日本は原子力発電の比率は今後20%台を維持することになるであろう。
トランプ大統領が2018年11月の中間選挙までに内政で実績を上げなければトランプ大統領の再選を阻む動きが加速し、20年の大統領選の最大の争点は【パリ協定離脱】となり、トランプ大統領の再選が阻止されればアメリカの【パリ協定離脱】は撤回されることになる。   (おわり)

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