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2017年4月24日 (月)

根拠薄弱なトランプ大統領の日米自動車貿易を巡る発言

トランプ米大統領が大統領就任後、、日本の自動車産業を批判している。しかしその批判の大半は的外れというより、日米貿易摩擦が深刻化していた1980年代~90年代前半の知見に基づいていて現在では解決済みなのだ。
大統領就任後の1月23日にトランプ大統領は米国企業経営者などとの会合で「日本では我々が自動車を売るのを難しくしているのに彼らは見たこともない大きな船に数十万台の車を載せてやってくる。公平ではなく、話し合う必要がある。】と語っている。この発言は1920年に日本に進出したアメリカ自動車産業のビッグスリーの一つ【フォード】が2016年末に日本を撤退したことを念頭に置いての発言と思われる。
製品の輸出にとって最大の障害となるのが【関税】である。しかしながら日本は自動車に関しては1978年に6・4%だった輸入関税を撤廃しているので現在は輸入関税はゼロである。それに対して米国は、日本からの輸入車に2・5%の関税をかけている。
TPPの交渉協議で米国の日本車に対する輸入関税が議論の対象となったが、19年後に2.5%の輸入関税を撤廃することで合意に達した。今となってはこの合意は何の価値もないが、米国こそが公平でないのだ。
その他、日米通商交渉などで米国は「日本の安全基準は厳しく、米国車の輸出の妨げになる」と主張するが、国土交通省は、「国際ルールの統一が進み、米国車にだけ不利な基準は基本的に存在しない」と断言する。
ところで、日本の自動車市場で新車販売の米国車のシェアは2008年から16年にかけて0・2~0・3%だったが、欧州車は3・6%から5・7%に伸びた。欧州車のシェア拡大の原因は車両の燃費の改善や右ハンドル対応など日本の顧客の要望を車両製造の過程で取り入れてきたからだ。それに対して米国メーカーは日本の顧客の要望や日本の道路事情などに鈍感であり過ぎたのである。。トランプ氏が指摘する日本の「壁」は、日本市場の特殊性を理解していない的外れな発言と言えよう。
 一方、2015年に米国の日本からの輸入車は160万台で、190万台規模のメキシコ、カナダに次ぐ3位であるが日本車の輸出のピーク時の1986年の343万台からは半減している。しかし【レクサス】などの高級車が増え、日本の2016年の対米輸出額のうち、自動車は4・4兆円で3割を超えた。
日本車の輸出の激減の要因は日米貿易摩擦が激しかった80~90年代前半、トヨタ、日産、ホンダなどの日系メーカーは輸出減を求められ、米国で現地生産を増やした。86年の米国での生産台数は42万台だったが、15年には384万台となり、日本からの輸出の2倍超に伸びた。工場のほか販売店などを含めると、日系企業は約150万人の雇用を生み出している。
それでもトランプ大統領が日本の自動車メーカーを批判するのは日本メーカーが米国市場で米国メーカーを販売台数で抜き去るかもしれないという危機感を抱いているのかもしれない。
因みに2016年の米国メーカーのGMの新車販売台数は304万2421台、フォードが259万9211台の合計564万1632台、それに対して日本メーカーのトヨタは244万9587台、ホンダが163万7942台、日産が156万4423台の合計565万2952台であった。   (おわり)


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