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2017年1月22日 (日)

アメリカ第1主義でトランプ大統領は質の高い雇用を増やせるのか

2017年1月20日に誕生したドナルド・トランプ第45代アメリカ大統領は就任演説で【アメリカ第一】を唱え、雇用の確保を最優先することを宣言した。
アメリカは歴史的に【移民大国】である。現在もその傾向は変化していない。2013年からの【アメリカの人口】の推移は13年が3億1670万人、14年が3億1913万人、15年が3億2160万人、16年が10月の推定値で3億2398万人である。2014年の人口増加数は243万人、15年が247万人、16年(推定値)が238万人となっている。
それに対して就業者数は2013年が1億4394万人、14年が1億4631万人、15年が1億4884万人、16年が1億5127万人(16年10月時点の推定価)で、就業者の増加数は14年が237万人、15年が53万人、16年が233万人(推定値)。人口の増加数と就業者数の増加数がほぼ同数ということは依然として移民を数多く受け入れ、アメリカは国家の成長を維持していることになる。その結果、2016年の12月の時点で【失業率】は4.7%(推定理)となった。16年12月だけで非農業部門の就業者数は15万6000人増えている。失業率4.7%は人数に換算すると約800万人で実質的には完全雇用に近い状態である。
【雇用問題】にトランプ大統領が拘るのは【ラストベルト】(錆び付いた工業地帯)に位置する伝統的に労働者が多く民主党の支持基盤の6つの州(ミシガン州、オハイオ州、インディアナ州、イリノイ州、ウイスコンシン州、ペンシルバニア州)のうち5つの州で勝利を収めて、大統領選を制したからである。
【ラストベルト】とは米国中西部から北東部に位置する、鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退した工業地帯を指す別称で、倒産して放置された工場や機械が錆び付いている状況を表す。
かつての花形産業であった鉄鋼や自動車産業が衰退し、雇用を失った白人労働者の不満をトランプ大統領は選挙戦中に煽り立ててこの地域で支持を広げた。
トランプ大統領の雇用創出法はユニークである。ツイッターを駆使して個別の企業を脅かし、アメリカ国内に投資を呼び戻す戦略であるために口先介入ではなく【指先介入】と呼ばれている。これまでこの手法で自動車メーカーの【フォード】、、【FCA】(フィアット・クライスラー)、,アメリカの空調メーカー大手の【キャリア】がメキシコでの投資を断念しアメリカでの投資を約束した。だがアメリカの人件費が高いために生産の向上にロボットやAIの導入によって雇用が減少する可能性が生まれる。
トランプ大統領は雇用を2500万人創出すると明言したがアメリカの就業希望者は現時点では800万人しかいないのだ。約1700万人の移民を受け入れることになるのであろうか。その時の思い付きでトランプ大統領はツイートするのであまり深刻に受け止める必要はないのかもしれない。
トランプ政権の閣僚はまだ3人しか議会の承認を得ていない。アメリカは大統領の権限が強大であるように思われているが議会の権限が強い。2年後には中間選挙があり、上院の3分の1の議員が選挙戦に臨む。下院議員は全員が選挙の洗礼を浴びることになる。トランプ大統領は1年半で実績を残さなければならない。中間選挙で敗れればトランプ大統領は死に体になり、アメリカ憲政史上最悪の大統領となりかねないからだ。   (おわり)

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