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2017年1月18日 (水)

英メイ首相EUからの強硬離脱を選択

昨年6月に実施された国民投票において英国民はEUからの離脱(ブレグジット)を選択した。【ブレグジット】決定後に首相に就任したメイ首相は離脱の方策を約半年間慎重に検討してきたと思われる。
メイ首相は1月17日、EU(ヨーロッパ連合)からの離脱をめぐる交渉に向けた政府の方針について演説し、「EUの単一市場にとどまることはできない」と述べ、EU域内で人の自由な移動を認めモノやサービスの取り引きを活発にする単一市場から撤退する意向を初めて表明した。
メイ首相は政権を維持するために【ブレグジット】の成立の最大の原因である【人の自由な移動】の結果がもたらす移民の増大に拒否感を露わにする地方の保守的な住民の意向を優先せざるを得なかったのである。
【ブレグジット】が決定した後も国民投票でEU残留を望んだ【残留派】は【穏やかな移民規制】とできる限り【貿易の高い自由度】を両立させる【ソフトブレグジット】(穏健離脱)を主張していた。それに対して【ブレグジット派】は移民規制を優先し、単一市場から脱出することを厭わない【ハードブレグジット】(強硬離脱)を譲らなかった。
英国抜きのEUは結束を強める必要が生じ、EUの統合の基本理念である4つの自由【人、モノ、資本、サービスの移動の自由】で英国に妥協しなかった。英国に妥協すればEU内の亀裂が今後広がる可能性が高まるからである。
【フィナンシャル・タイムズ(FT)】は18日深夜、英国のEUからの強硬離脱について『英国のメイ首相は17日、欧州連合(EU)からの離脱を巡り、移民制限や司法権独立など英国の権限回復を優先し、EU単一市場から完全に離脱すると表明した。昨年6月の国民投票で示された民意を重視し、強硬離脱に傾いたメイ氏は「開かれた英国」を守れるか。3月末までにEUに離脱を正式に通知する方針だが、交渉は難航が必至だ。
「英国は偉大でグローバルな貿易立国になる」。メイ氏は17日の演説でこう言い放った。だが、その前提となる「円滑な離脱」の実現には難題が山積している。
まず、離脱交渉そのものだ。メイ氏はEU基本条約(リスボン条約)50条が定める「2年間」の離脱交渉の期限内に、EU側との合意をめざす考えを表明した。英国がEUに離脱を正式に通告してから交渉が始まる。3月末までに通告すれば2019年3月が期限だ。
だが正味の交渉期間は1年半ほど。EU側の交渉責任者、欧州委員会のバルニエ首席交渉官は英側との最終合意の目標を「18年10月」としている。EUと英国の双方の議会の承認手続きに半年程度はかかるためだ。』と配信した。
ところで、現在英国に進出している日本企業は約1000社あるがその中でも多くの従業員を抱えているのは、金融機関では【三菱UFJフィナンシャル・グループ】(従業員約2000人)、【野村ホールディングス】(約2500人)、【三井住友海上火災】(約2200人)、製造業では【日産自動車】(約7200人)、【日立製作所】(約4000人)、【富士通】(1万人以上)などである。
英国にヨーロッパの拠点を置いている日本企業は英国とEUの交渉の妥結した内容によっては拠点を他のEU加盟国に移動させる必要が生まれる。交渉には想定以上の時間がかかるであろう。   (おわり)

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