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2016年8月 7日 (日)

TPP発効に暗雲

【TPP(環太平洋経済連携協定)】の協議が大筋の合意に達したのが2015年10月5日であった。その後発効に向けた動きは進展していない。アメリカの大統領選に影響を与えかねないからだ。
ところで、【TPP】の原協定はシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国が参加して2006年5月に発効し、10年3月から米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの5カ国が新たに交渉協議に加わり、さらに13年には日本、カナダ、メキシコが参加した。日本が交渉協議に初めて加わったのは7月にマレーシアで開かれた会合からだ。
交渉協議が大筋合意に達したからと言ってすぐにTPPが発効するわけではない。アメリカ以外の11カ国は通商に関する交渉権は政府が保有している。そのため形式上議会の同意を得られれば国内の手続きは完了する。
ところがアメリカは通商交渉権は議会が掌握しているのだ。アメリカの憲法では、外国との通商に関する取り決めを定めるのは議会である。このため、大統領は、関税交渉を始めとした通商交渉を行う権限を憲法上有していない。これでは実質的に不都合が生じるため、立法行為によって議会が大統領に対して通商交渉の権限を付与することが過去に何度も行われてきた。このような権限の一形態がTPA(Trade Promotion Authority 貿易促進権限)である。
オバマ大統領はTPAを議会から付与されたが【TPP】参加12カ国の署名が済む16年2月まで権限を行使できなかった。ところがアメリカは16年は大統領選と上下両院議会の選挙イヤーであるので権限の行使を選挙後に先送りしてきた。
その上厄介な事態が発生した。野党共和党の大統領候補となったドナルド・トランプ氏が選挙戦術上【TPP】に反対の立場を鮮明にしたために民主党の大統領候補者のヒラリー・クリントン氏も【TPP】反対の立場に転じたのだ。ただし、前述したようにオバマ大統領の任期中には次期大統領には交渉権限はないので、議会がどう対応するかにかかっている。
上下両院の過半数を制し、【TPP】賛成派の多い野党共和党の下院議長のライアン氏は【国内の反発が強い項目の修正が必要だ】と述べている。アメリカで反発が強いのは【知的財産権】のうち【バイオ医薬品】に関する「製薬会社に独占的に販売を認めるデータ保護期間を実質的に8年とする」という合意事項である。
【NHK NEWS WEB】は8月5日午前、【TPP】発効について『オバマ大統領は11月の大統領選挙が終わったあと、来年1月までのみずからの任期中に議会で承認が得られるよう全力を挙げるとしています。
これについて、議会で多数を占める共和党のライアン下院議長が4日、アメリカメディアのインタビューに答えました。この中で、ライアン下院議長は「オバマ政権は議会の承認を得るため、協定のいくつかの項目を修正するべきだ」と述べ、知的財産の保護など国内で反発が強い項目の修正が必要だとして、TPPの交渉参加各国と改めて協議すべきだという考えを示しました。そのうえで、現状のままでは、オバマ大統領の残された任期に議会で採決しないという考えを明らかにしました。
TPPは、アメリカの議会で承認されないかぎり発効しないことから、今回のライアン下院議長の発言を受けて発効の行方は不透明感が強まっています。』と報じている。
アメリカの都合で【TPP】が発効しなければアメリカは国際的な信頼を失うであろう。その結果、国際社会はリーダー不在となり、混迷を深めることになりかねない。   (おわり)

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