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2016年3月30日 (水)

注目される英国のEU離脱に関する国民投票の行方

3月下旬の【ニューヨーク・タイムズ】(国際版)に「Immigration sows anxiety](移民が不安の種をまく)と題する記事が掲載されていた。
取材地はロンドンから北へ約120kmのイングランド地方東海岸、リンカーンシャーの港町のボストンという郊外人口を含めると人口67000人(2015年)のタウンである。この町出身の移民がアメリカのマサチューセッツ州の【ボストン市】を建設したのである。
今、この町のイギリス人はEUの【移動の自由の原則】の下に合法的にポーランドなど東欧から押し寄せる移民に悩まされている。21世紀入った2001年~11年の10年間に移民の数は6倍となり、それ以後の4年間でも約2400人の移民が増加した。その結果、住宅、雇用、警察、病院、学校の不足が深刻化している。
移民によって低賃金の雇用が奪われるのでイギリス人の不満は高まり、【Brexit(ブレグジット)】(イギリスのEU離脱)支持者が増え、6月23日に実施される予定の【Brexit】を巡る国民投票の行方が世論調査では賛成派と反対派が拮抗し、見通せなくなっている。
【ロイター】は3月30日午後、三井・住友銀行の山口曜一郎氏の【日本人が知らない英国離脱の現実味】と題するコラム『 筆者は先週、休暇を使って、かつて9年ほど駐在していた英ロンドンを訪問した。せっかくの機会でもあり、1週間ほどの滞在期間中に、ブレグジット(BREXIT)、すなわち英国の欧州連合(EU)離脱の可能性について情報収集を行ったところ、日本で感じていた雰囲気とは異なる印象を受けた。
世論調査では離脱と残留が拮抗しているものの、6月23日に予定される国民投票では現状維持バイアスがかかりやすいこと、経済的にはデメリットが大きいことから、現実的には残留が優勢と思っていたのだが、現地で話を聞くと、どうも違う。人々は治安や移民問題などを経済以上に重要視しており、総合的な国益という点で、ブレグジットが合理的という結論に至る可能性は相応にありそうだ。
以下では、経済面での分析とアネクドータル(伝聞的)な情報に内在する意味を考えてみたい。
<経済的にはメリットに乏しい>
まず経済的に見ると、EU離脱は得策でないというのが筆者の見方だ。特に輸出と国内投資が打撃を受ける。EUは英国の対外貿易の約半分を占める重要な貿易相手だ。2014年のデータでは、英国の財・サービス輸出のうち44.6%、財・サービス輸入のうち53.1%が対EUだ。EUから離脱することになった場合、相互撤廃されている関税が課せられることになるため、貿易活動に大きな影響が出る恐れがある。
例えば自動車産業については、英国政府のレポートによれば、15年、英国は過去最高となる123万台の自動車を輸出したが、うち半分以上がEU向けだった。離脱後に優遇措置を得られなければ、EU向け輸出には10%の関税が課せられることになる。さらに、英国自動車産業は部品の40%をEUから輸入しているが、離脱後にはこれらに関税がかけられるためコストが上昇する。
サービス業についてもインパクトは大きくなりそうだ。現在、英国の銀行、保険会社、資産運用会社はEU内のあらゆる場所で金融サービスを提供したり、支店を開設したりすることができるが、離脱によって1つ1つ許認可や免許が必要になると、ビジネスの面で多大な影響が出るのは必至だ。』を配信している。
地方に住む保守的な英国人の多くは貧しくなってもいいから治安を取り戻したいと考えているふしがある。こうした民衆が国民投票でどういう行動を取るのか予測はつけがたい。イギリス自体はEU離脱で世論が分裂し、国内ではスコットランドがイギリスからの離脱を模索している。まさに前途多難の国である。   (おわり)

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