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2015年11月 4日 (水)

中国経済の実情を日米欧の識者が語り出した

【中国国家統計局】は10月19日、2015年第3四半期(7月~9月)のGDP成長率を前年同期比で6.9%と発表した。この発表に関して日米欧の経済専門家やマスコミを含めた識者の大半は信じていない。中国の各種の経済指数(失業率、物価上昇率など)が6.9%という日米欧諸国にとっては夢のような高い成長を担保する数値ではないからだ。
中国政府の第3四半期の成長率の目標値は7.0%,市場の予想値は6.8%であったが、6.9%はその中間値で、イギリスの経済紙【フィナンシャル・タイムズ】によれば皮肉を込めて習近平国家主席を、市場関係者をも満足させる数値と表現しているがこの数値の信憑性を疑問視している。
中国の実態に近い成長率を算出する試みが日米欧の専門家の間で為されるようになったがその際利用される経済の指数が現在の中国の首相李克強氏の名を冠した【李克強指数】である。これは【電力の消費量】、【貨物輸量】,【銀行融資残高】で構成されている。だがもっと信頼が置ける数値が存在する。それは輸入統計である。中国の輸入は他国にとっては輸出であるから中国もこの数値は捏造できない。
中国の今年の1月~9月の間の輸入額は前年同期比で15%のマイナスであった。これまでの調査によれば、先進国の輸入の伸び率とGDPの成長率は正の相関関係にある。つまり輸入が増えればGDPの成長率は上昇するのだ。15%も輸入額が減少してGDの成長率が6.9%の伸びということは現実には存在しないのである。
2008年9月に起こった【リーマンショック】後に中国政府は4兆元(56兆円)の景気刺激策を実施した結果、中国経済は鉄道,橋梁、道路などのインフラ投資によってGDP成長率はヒートアップしたがやがて息切れしたために12年にはさらに中国政府は景気刺激策を実施した。財政負担は地方政府が担当している。
地方政府は不動産開発業者と組んで住宅バブルを起こしている。しかし住宅バブルは14年第1四半期には弾けたので経済成長の牽引車を作る必要から中国政府が目をつけたのが、株式市場である。銀行の貸出金利と預金金利を引き下げて一般の国民を株式市場に誘い込んだのだ。
14年7月の時点では中国の株価の代表的な指数【上海総合指数】は2000ポイントを上回っていた程度であったが11月下旬に貸出金利を引き下げてから株価は上昇し、株価が停滞すると金利を引き下げるという行為を繰り返し、15年6月初旬には【上海総合指数は5000ポイントを超えた。11カ月で株価は2.5倍上昇したことになる。
しかし、6月15日の習国家主席の誕生日を過ぎてから株価は暴落し、その間国営銀行が中心になって株価を下支えしたがその間投じた資金は5兆元(100兆円)である。8月24日には【上海総合指数】は3000ポイントを割ったので5兆元が消し飛んでしまった。
8月31日に中国政府は衝撃的な統計を発表している。8月上旬の時点で中国の銀行の不良債権総額が、1兆8000億元(約36兆円)に達しているというのである。
そのうち5大国有商業銀行の不良債権は、中国工商銀行が1643億元(約3兆3000億円)、中国農業銀行が1595億元(約3兆2000億円)、中国銀行が1250億元(約2兆5000億円)、中国建設銀行が1443億元(約2兆9000億円)、交通銀行が501億元(約1兆円)となっている。
その結果、例えば「世界最大規模の銀行」を自負している中国工商銀行の上半期の利益率は、前年同期の7・05%から0・7%へと、急降下してしまった。
ところで、中国経済の減速を実感している日米の中国進出企業は中国経済に見切りをつけ始めた。日本から中国への直接投資は、2015年上半期に16・3%減の20・1億ドルとなり、アメリカから中国への投資も10・9億ドルと、37・6%も減少した。
アメリカが南シナ海にイージス駆逐艦を派遣したのは中国経済の減速と無関係ではない。アメリカにとって経済的なメリットがなくなった中国は何の魅力もない国であり、アメリカの意向に楯突く目障りな国なのだ。   (おわり)

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